絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【や】

柳田 國男 (やなぎだくにお)
「柳田國男」 (やなぎだくにお)
ちくま日本文学全集



(画像拡大不可)

*477頁・文庫本
*発行 1992年
カバー装画・安野光雅

*目次
浜の月夜 / 清光館哀史 / 遠野物語 / 山の人生 抄 / 草の名と子供 / 木綿以前の事 / 酒の飲みようの変遷 / 涕泣史談 / ウソと子供 / 笑の本願 / 不幸なる芸術 / 故郷七十年 抄 / 詩 / 笑う偉人 南伸坊 / 年譜


柳田 國男 (やなぎだくにお)
「柳田國男全集 2」 (やなぎだくにおぜんしゅう)


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*662頁 / 発行 1989年 / 全32巻
*カバー装画・『菅江真澄 民俗図絵』より 平内の雪景色

*カバー文
大正8年貴族院書記官長を辞任し、翌9年朝日新聞社の客員となった柳田國男は、東北地方をはじめ日本全国各地を旺盛に旅し、農山村や漁村の人々の生活・信仰や風俗・風習に触れたが、これらの旅における発見と認識が彼の学問の基礎となった。本巻には、著者の民俗学的関心と詩人としての感受性が一体化した記行文学の傑作として評価の高い作品『雪国の春』『秋風帖』『豆の葉と太陽』のほか、街道や峠道と人間との関わりを説いた『東国古道記』および単行本未収録作品「旅中小景」「丹波市記」などを収録。

*目次
雪国の春
秋風帖
東国古道記
 *
豆の葉と太陽
旅中小景
丹波市記
樺太紀行
遊海島記
海上文化
 解説 宮田登
 解題


柳田 國男 (やなぎだくにお)
「柳田國男全集 6」 (やなぎだくにおぜんしゅう)


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*618頁 / 発行 1989年 / 全32巻
*カバー装画・『菅江真澄 民族図絵』(岩崎美術社刊)より 諏訪神社、春の神事と供物(大館市立中央図書館蔵)

*カバー文
われわれの畏怖というものの最も原始的な形はどのようなものであったか ― 天狗・川童・幽霊など、さまざまな怪異の本質を、信仰の零落した現象として捉えた『妖怪談義』。わが国に広く伝承されている一つ目小僧、橋姫、隠れ里、ダイダイ坊などの伝説を蒐集・整理し、その伝播に携わった常民の信仰・習俗・精神構造の推移を考究した『一目小僧その他』。以上二冊の単行本のほか、動物霊の俗信をあつかった論考「おとら狐の話」「片目の魚」の二篇を収録。

*目次
妖怪談義
一目小僧その他
 

おとら狐の話
片目の魚
 解説 飯島吉晴
 解題


柳田 國男 (やなぎだくにお)
「柳田國男全集 9」 (やなぎだくにおぜんしゅう)


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*615頁 / 発行 1990年
*カバー装画・「菅江真澄 民族図絵」(岩崎美術社刊)より いろりの周辺(辻兵吉氏蔵)

*カバー文
日本海の潮の香に包まれた山陰・北陸一帯を舞台に、語り部と聴き手によって育くまれてきた、一寸法師や山椒太夫を主人公とする説経・祭文・浄瑠璃など、民間文芸の変遷の跡を明らかにする『物語と語り物』。俳諧や戯作、滑稽譚など、日本の文芸に深く浸透していた笑いの起源を探る『笑の本願』。かつて人生の潤滑油として大きな役割を担っていたウソや鳥滸(オコ)の文芸の零落を嘆き、悪の効用を説く『不幸なる芸術』。ほかに「東北文学の研究」など、諷刺精神と文明論的洞察に溢れた名篇を収録。

*目次
物語と語り物
笑の本願
不幸なる芸術
  ※
東北文学の研究
世間話の研究
御伽噺と伽
童話小考
昔話を愛する人に
昔話のこと
 解説 福田晃
 解題


柳田 國男 (やなぎだくにお)
「柳田國男全集 17」 (やなぎだくにおぜんしゅう)


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*655頁 / 発行 1990年
*カバー装画・「菅江真澄 民族図絵」(岩崎美術社刊)より 大臼小臼(辻兵吉氏蔵)

*カバー文
やわらかな肌ざわりと色彩に富む木綿の出現は、ごわごわとした麻の衣に慣れていた日本人の表情やものごし、感性にまで大きな変化をもたらした。芭蕉の「七部集」に見られる無数無名の女性たちの生活誌を資料として、新たなる日本文化史を構築した『木綿以前の事』。鏡餅はなぜ丸いのか、握飯はなぜ三角なのか、節供や式日の食べ物の持つ意味や、贈答品に添えるのしの起源など、食の習俗から日本人の心と信仰のありようを解き明かす『食物と心臓』。日常卑近な話題から日本文化の本質に迫る二名著ほかを収録する。

*目次
木綿以前の事
食物と心臓
  
手拭沿革
民間些事
稗の未来
米櫃と糧と菜
親の膳
小豆の話
塩雑談
 解説 倉石あつ子


山口 文憲 (やまぐちふみのり)
「日本ばちかん巡り」
(にほんばちかんめぐり)


*カバーイラスト ミルキィー・イソベ
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*413頁 / 発行 2006年

*カバー文
天理教から真如苑から伊勢神宮まで、日本各地の宗教団体の聖都(ばちかん)を訪ね歩いたルポルタージュ。人々はこぞって聖都に集まり、踊ったり祈ったり買い物をしたりおしゃべりをしたりしていた。そこは、日本で失われつつある、安心して、憩うことのできる共同体だったのだ。日本にはこんなにも多彩な世界があった。ええじゃないか、なかなか、という気分にさせる1冊である。

*目次
はじめに
序章・オウム真理教 六年目の夏
天理教 おぢばという名の磁場へ
金光教 人もたちゆき 神も立ちゆく
大本 霊界二都物語
世界救世教 あまりに天国的な
真如苑 霊能者のいる秘密の花園
善隣会(教) おすがり王国の空高く
崇教真光 種人よ起て 手をかざせ
天照皇大神宮教 「踊る宗教」歌説法の聞こえる里
出雲大社 神在月の浜辺
辯天宗 「走り辯天」の春
伊勢神宮 ご遷宮の夜が来るまで
生駒山系の神々 済州島は八百キロの彼方
松緑神道大和山 北の聖共同体
いじゅん 琉球にミロク世の風が吹く
あとがき
文庫版のためのあとがき
解説 有田芳生


山口 昌男 (やまぐち まさお)
「笑いと逸脱」
(わらいといつだつ)


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*415頁 / 発行 1990年

*目録文
旺盛な知的好奇心の持ち主である著者の講演・インタヴュー・評論・エッセイを収める。

*目次
1 笑い・遊び・逸脱
 笑いについて / 「遊び」の本来の姿 / 規範と逸脱
2 知的冒険へのインタヴュー
 知的冒険への手引き / 『道化』あるいは道化的なるもの
3 人類学の眼・記号論の挑発
 悪魔の文化人類学 / 人を食った人類学 / 足の文化人類学 / 学力の文化的前提 / 幸福論とアイデンティティ論 / 日本史における規範と逸脱 / 記号論の挑発性 / テキストとしての文化 / パラダイム論とスケープゴート論 / 広告と記号論 / 広告の挑発性と「新しさ」の神話 / 詩人と道化
4 子供の発見
 異文化としての子供 / 子供の発見 / 「子供の世界」から「大人の世界」へ / お遊びの時間 / 「出来事」としての絵本
5 エッセイ・アト・ランダム ―― 旅・履歴・etc
 新聞は毎日立つ縁日である / 潜在意識が演出する“即興的”本漁り / 私の事故初体験 / 私の図書館・私の大学 / 終戦直後の語学環境
6 南方熊楠とシェイクスピア
 南方熊楠と文化人類学 / シェイクスピア劇の中の王権・祝祭・道化



山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「魔群の通過 ― 天狗党叙事詩 山田風太郎幕末小説集」
(まぐんのつうか)


*カバーデザイン・南伸坊
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*391頁
*発行 2011年

*カバー文
尊皇佐幕の藩論統一を巡って、骨肉相食む「内戦」を戦い、二千人とも五千人ともいわれる死者を出した水戸天狗党の乱。敗残の武田耕雲斎、藤田小四郎らは八百余名の残兵を率い、雪と氷の道無き山中、京へ向かう死の大長征を開始した……。維新史最大のタブーに真正面から挑む異色歴史巨篇!

*巻末頁
 解説 中島河太郎
 編者解題 日下三蔵


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集」(全12巻)
 (やまだふうたろうにんぽうちょうたんぺんぜんしゅう)

 1 かげろう忍法帖
 2 野ざらし忍法帖
 3 忍法破倭兵状
 4 くノ一死ににゆく
 5 姦の忍法帖
 6 くノ一忍法勝負
 7 忍法関ヶ原
 8 武蔵忍法旅
 9 忍法聖千姫
 10 忍者六道銭
 11 お庭番地球を回る
 12 剣鬼喇嘛仏


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 2 野ざらし忍法帖」
(のざらしにんぽうちょう)


*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(野晒銀四郎)
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*365頁
*発行 2004年

*カバー文
「……忍術と現代となんの関係があるものか。……孤独だの非情だのという形容詞をとってくっつけて、それで結びつけたつもりでいるのは抱腹させる。……なぜ無邪気なナンセンスとして面白がるだけであってはいけないのか。」 (「「甲子夜話」の忍者」より)
初恋の女のために命をかけて「忍法生死人」に挑む野晒銀四郎、人形に生命を吹きこむ傀儡歓兵衛ほか ― 読三嘆の忍者列伝十二篇。シリーズ第二弾。

*目次
忍者車兵五郎 / 忍者仁木弾正 / 忍者玉虫内膳 / 忍者傀儡歓兵衛 / 忍者枯葉塔九郎 / 忍者梟無左衛門 / 忍者帷子万助 / 忍者野晒銀四郎 / 忍者枝垂七十郎 / 「甲子夜話」の忍者 / 忍者鶉留五郎 * 大いなる幻術(画 水木しげる) / 解題 日下三蔵 / 解説 権田萬治


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 3 忍法破倭兵状」
(にんぽうはわへいじょう)


*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(李竜将)
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*383頁
*発行 2004年

*カバー文
『朝鮮水軍統制使李舜臣の「破倭兵状」、すなわち日本軍を破った戦闘報告書の一つである』悪名高き秀吉の朝鮮出兵。正体不明、無敗の朝鮮軍の大将「沙也可」と日本の忍者「狐」が手を結び狙うは太閤の命、ただ一つ。 ―― 史実と忍法が見事に融合した表題作を含む快作七篇。
収録作品 / 忍法鞘飛脚 / 忍法肉太鼓 / 忍法花盗人 / 忍法しだれ桜 / 忍法おだまき / 忍法破倭兵状 / 忍法相伝64 解説 海道龍一朗


山田 風太郎著・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 5 姦の忍法帖」
(かんのにんぽうちょう)


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*383頁
*発行 2004年
*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(甲賀兵四郎)

*カバー文
【本書の内容】由比正雪が仕切る「将軍御前における各藩秘蔵の武具競べ」。「のぬふ……のぬふ……」、それぞれ最強の武具を手にした甲賀くの一と伊賀忍者の対決は激しい媾合(まぐあい)合戦から始まった。エロスが乱舞し、奇妙な術が出現する表題作を含む全七篇。
収録作品 姦の忍法帖 / 胎の忍法帖 / 笊の忍法帖 / 転の忍法帖 / 牢の忍法帖 / 〆の忍法帖 / 絵巻物 忍者向坂甚内(画矢野徳)
解説 日下三蔵


山田 風太郎著・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 6 くノ一忍法勝負」
(くのいちにんぽうしょうぶ)


*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(くノ一お阿佐)
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*435頁
*発行 2004年

*カバー文
『家康はふしぎな人だ。……この人に果して父性愛があったかどうかということである』家康の密命を受け、豪快にして凶暴なその六男松平忠輝を倒すべく秘術を尽す伊賀のくの一とその房術指南役雪ノ外記の闘いを描く「倒の忍法帖」他、多彩な忍法万華鏡全七篇。

*目次
倒の忍法帖 / 叛の忍法帖 / 虫の忍法帖 / 呂の忍法帖 / 妻の忍法帖 / 淫の忍法帖 * 絵物語 忍者撫子甚五郎(画 矢野徳) / 解題 日下三蔵 / 最上級の体験 のせがわまさき


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 7 忍法関ヶ原」
(にんぽうせきがはら)


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*335頁
*発行 2004年
*カバーデザイン・日下潤一 / カバー装画・山本タカト(服部半蔵)

*カバー文
関ヶ原の合戦の帰趨を決する近江の鉄砲鍛冶の村国友。その取りこみを家康に命じられた伊賀の服部半蔵。国友村の実力者四人衆と半蔵の命を受けた伊賀の男女の壮絶な駆け引き。「裏の関ヶ原」ともいうべき争いを描く表題作をはじめ歴史の影に奔放な想像力を駆使した力作四篇に文庫未収録エッセイを収録。収録作品 / 忍法関ヶ原 / 忍法天草灘 / 忍法甲州路 / 忍法小塚ッ原 / 忍法と剣のふるさと 解説 笹川吉晴


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 8 武蔵忍法旅」 (むさしにんぽうたび)


*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(宮本武蔵)
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*319頁
*発行 2004年

*カバー文
精力絶倫の剣鬼武蔵が剣聖へと変化する瞬間を見事に切り取った表題作、日米開戦前夜、首相近衛文麿がふと思い出した近衛家に伝わる妖怪「ぬらりひょん」の正体を追う「近衛忍法暦」……歴史を視る角度に新鮮な驚きを覚える全七篇。

*目次
武蔵忍法旅 / おちゃちゃ忍法腹 / 刑部忍法陣 / 近衛忍法暦 / 彦左衛門忍法盥 / ガリヴァー忍法島 / “忍法小説”はなぜうけるか / 編者解題 日下三蔵 / 解説 霜月蒼


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 9 忍法聖千姫」
(にんぽうせいせんひめ)


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*351頁 / 発行 2004年
*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(千姫)

*カバー文
大坂夏の陣で愛する秀頼と引き離された千姫。悲しみをおさえ、奔放にふるまう彼女の妖艶さは、その爪、髪、唾を与えることで刺客さえも手なずけてしまう。千姫をとりまく男たちの悲喜劇を描いた表題作を含む七篇に初収録のエッセイを加える。収録作品 / 忍法聖千姫 / 忍法ガラシヤの棺 / 忍法とりかえばや / 忍法幻羅吊り / 忍法穴ひとつ / 忍法瞳録 / 忍法阿呆宮 / 首斬り浅右衛門(エッセイ)

*解説頁・日下三蔵


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 10 忍者六道銭」
(にんじゃろくどうせん)


*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(鴨の内記)
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*405頁
*発行 2005年

*カバー文
時は享保年間、信州松本城で秘伝の忍法を披露した筑摩組の忍びの者二人。松本城主戸田家の姫君の密命を受け二人は勇躍して出かけるのだが…表題作を含む全八篇の傑作忍法帖。

*目次
忍者六道銭 / 忍者死籤 / くノ一地獄変 / くノ一紅騎兵 / 天明の判官 / 天明の隠密 / 大いなる伊賀者 / TV忍法帖(エッセイ) / 編者解題 日下三蔵 / 解説 倉田英之


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 11 お庭番地球を回る」
(おにわばんちきゅうをまわる)


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*405頁
*発行 2004年
*カバーデザイン・日下潤一
 カバー装画・山本タカト(滝川右近)


*カバー文
「ニンジャ」の技は世界に通ず。大老井伊直弼の密命を受け、遣米使節団の一員としてアメリカに渡る元お庭番、村垣淡路守の活躍を描く気宇壮大な表題作、東京オリンピックを忍者の闘いに見立てた「忍法金メダル作戦」(文庫初収録)を含む全七篇。収録作品 お庭番地球を回る/怪談厠鬼/さまよえる忍者/読淫術/忍法死のうは一定/怪異二挺根銃/忍法金メダル作戦 解説 川出正樹


山田 風太郎・日下 三蔵編 (やまだふうたろう・くさかさんぞう)
「山田風太郎忍法帖短篇全集 12 剣鬼喇嘛仏」
(けんきラマぶつ)


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*365頁 / 発行 2004年
*カバーデザイン・日下潤一 / カバー装画・山本タカト(長岡与五郎)

*カバー文
若年寄田沼意知が発案した侍専用の遊郭の設営を命じられた服部億蔵の悪戦苦闘を描く「忍法女郎屋戦争」、男女の相性診断が出来る聴恋器を発明した服部大陣の恋の顛末「伊賀の聴恋器」ほか文庫初収録の「開化の忍者」を含む、最終巻にふさわしい快作八篇。シリーズ完結!
収録作品 
忍法女郎屋戦争 / 伊賀の散歩者 / 伊賀の聴恋器 / 羅妖の秀康 / 剣鬼喇嘛仏 / 春夢兵 / 甲賀南蛮寺領 / 筒なし呆兵衛 / 開化の忍者

*解題・解説 日下三蔵


山田風太郎・聞き手 森まゆみ (やまだふうたろう・もりまゆみ)
「風々院風々風々居士 ― 山田風太郎に聞く」
(ふうふういんふうふうふうふうこじ)


*カバーデザイン・南伸坊
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*234頁 / 発行 2005年

*カバー文
「体が丈夫じゃないから、他の仕事は勤らない、坐っていればいいから医者より楽だと思って」作家の道を選んだ東京医科大学卒の山田風太郎。忍法帖シリーズが大ブームを呼び、“明治小説”で新境地を開く。晩年は、『あと千回の晩飯』がベストセラーに。糖尿病、パーキンソン病を友として死を語り飄々としていた。
名うてのインタビュアー森まゆみが山田風太郎の肉声に迫る。

*目次
山田風太郎見参逐語録
ただぼうぼうと「風」の音
明治小説の舞台うら ―― 自著を語る
 風のように逝かれた ―― あとがきに替えて
 奥但馬紀行 ―― 文庫版あとがきに替えて
 解説 風太郎さんのおはなし 田村七痴庵(治芳)


山田 洋次・朝間 義隆 (やまだようじ・あさまよしたか)
「男はつらいよ(2) リリー篇」
(おとこはつらいよ)


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*464頁 / 発行 1997年
*カバーデザイン・神田昇和
 カバー写真 「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」 (C)松竹(株)

*カバー文
寅さん、あんた今頃、どこを旅しているんだろうねえ……『男はつらいよ』に最も多く登場し、寅さんにとっても寅さんファンにとっても特別な存在であったマドンナ、リリーの特集巻。『寅次郎忘れな草』『寅次郎相合い傘』『寅次郎ハイビスカスの花』『寅次郎紅の花』(第11・25・48作)を収録。解説 浅丘ルリ子


山田 洋次・朝間 義隆 (やまだようじ・あさまよしたか)
「男はつらいよ(3) 慕情篇」
(おとこはつらいよ)


*カバーデザイン・神田昇和
 カバー写真
「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」(C)松竹(株)
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*359頁 / 発行 1997年

*カバー文
旅先で知り合った小説家の娘歌子(吉永小百合)への寅さんの慕情を描く『柴又慕情』、数年後、夫と死別し津和野の図書館で働く彼女と再会し、その再出発を願って寅さんと「とらや」の人々が活躍する『寅次郎恋やつれ』の二作品に小学校時代の悪友デベソの妹で画家のりつ子(岸恵子)との友情と恋を描く『私の寅さん』を併録。

*解説頁・寅さんと音楽 山本直純

*「男はつらいよ・シナリオコレクション」 (全5冊)
1 登場篇
2 リリー篇
3 慕情篇
4 立志篇
5 青春編

*関連文庫(サイト内リンク)
山田洋次 「映画館(こや)がはねて」 中公文庫
大下英治 「知られざる渥美清」 廣済堂文庫
猪俣勝人 「日本映画名作全史 現代編」 現代教養文庫(社会思想社)



山中 康裕 (やまなかやすひろ)
「絵本と童話のユング心理学」
(えほんとどうわのゆんぐしんりがく)
ちくま学芸文庫



*カバー装画:A Child's Garden Verses
(C)Brian Wildsmith 1966
 カバーデザイン 水木奏
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*301頁 / 発行 1997年

*カバー文
一般に「子どもの本」として、ともすれば軽視されがちな絵本や童話の世界。しかしそこは、豊かで自由な《イメージ》の宝庫である。子どもの本が紡ぎだすイメージの周りをぐるぐる巡りながら、その象徴性の核心に迫ってみよう。きっと、論理的な説明からは漏れおちてします、「こころ」の本質がほの見えてくるかもしれない。そしてこれは、ユング心理学の中心的な方法でもあった。ユング心理学の理論家であり、また臨床医、かつ心理臨床家でもある著者が、ペルソナ、影、アニマ・アニムス、太母などの「元型」や、「対向性 ― 内向性」、「死と再生」、「自己実現」などのキー概念をやさしく紹介しながら、その精髄に迫る。

*目次
 序 ユング心理学入門
第一章 こころの変容
第二章 太母と不安
第三章 なまけと創造
第四章 影
第五章 『アモールとプシケー』T
第六章 『アモールとプシケー』U
第七章 死と再生
第八章 アニマとアニムス
 あとがき / 文庫版あとがき
 解説(森省二)


山本 七平 (やまもとしちへい)
「洪思翊中将の処刑(上下)」
(こうしよくちゅうじょうのしょけい)


*表紙写真・陸軍中佐時代の洪思翊

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*上398頁 / 下360頁 / 発行 2006年
*カバーデザイン・間村俊一

*カバー文

明治42年、大韓帝国最後の皇帝純宗は自国民の中から36名を選抜し、日本の陸軍中央幼年学校に入学させた。その中の一人が、本書の主人公・洪思翊中将である。彼は陸軍士官学校、陸軍大学に進み、終戦時は比島派遣第14方面軍兵站監を務めていた。民族差別にもかかわらず「帝国陸軍中将」となり、敗色の濃いフィリピンで捕虜の管理・監督にあたり、それによって戦犯として告発されるまでを描く。

補給が途絶えるなかで、自国民だけでなく多数の捕虜を管理するという任務は困難を極めた。癒しがたい悲劇を生んだBC級の戦犯裁判は、どう進められたのだろうか。膨大な裁判史料を読みときながら、“武人の矜持”に支えられた道徳律と、実態には関わりなく厳密な確認と証明を求めるアメリカの“リーガル・マインド”との相克をたどり、“文明の衝突”の犠牲となった洪中将の最期を描く。

*目次

第一章 南方赴任 / 第二章 韓国系将校 / 第三章 忠誠 / 第四章 出生伝説 / 第五章 虚構の応酬 / 第六章 戦犯法廷 / 第七章 複廓陣地 / 第八章 敗戦 / 第九章 平常心 / 第十章 山下裁判の証人 / 第十一章 捕虜輸送 / 第十二章 小田島証言(T) / 第十三章 小田島証言(U) / 第十四章 小田島証言(V)

第十五章 武藤証言 / 第十六章 ヘイズ日記(T) / 第十七章 ヘイズ日記(U) / 第十八章 ヘイズ日記(V) / 第十九章 ヘイズ日記(W) / 第二十章 指揮権 / 第二十一章 木原証言 / 第二十二章 無罪申立 / 第二十三章 論理と論証 / 第二十四章 判決 / 第二十五章 聖書 / 終章 絞首台 / あとがき / 解説 本物の感動を与える朝鮮武人像 / 文庫版への解説