絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【お】

生出 寿 (おいでひさし)
「一筆啓上 瀬島中佐殿 ― 無反省の特攻美化慰霊祭」
 (いっぴつけいじょう せじまちゅうさどの)
徳間文庫



*カバーデザイン・今福健司
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*317頁 / 発行 1998年

*カバー文
 部下たちを特攻戦死させて生き長らえた作戦指導者・指揮官・参謀たちの責任をうやむやにしたまま、現代の若者たちにも特攻を讃美させようという動きがあるという。戦死した陸海軍の特攻隊員は約三千六百名だが、このようなことでは、彼らは哀れな犠牲者にすぎなくなってしまう。大西滝治郎中将をして「統率の外道」と言わしめた特攻の是非と、その責任の所在を問う、衝撃のドキュメント。著者渾身の書下し。

*目次
『幾山河』は売れても / 瀬島参謀本部参謀式慰霊祭 / 特攻戦没者の悲願に適う慰霊祭 / 林冨士夫の自殺志願 / 出撃指名人と被指名人 / 予備学生は本チャンの尻ぬぐい / 角田和男の零戦特攻隊員物語 / 心で泣く特攻出撃 / 「回天」にかけた小灘利春の夢 / 「死に損い」の遺族係 / 幻の土佐沖回天戦 / 生涯心に残る慰霊法要 / 突入成功を望めない兵器 / 自決せずに生きよ / あとがき / 参考・引用文献 / 解説 妹尾作太男


生出 寿 (おいでひさし)
「昭和天皇に背いた伏見宮元帥」
 (しょうわてんのうにそむいたふしみのみやげんすい)
徳間文庫



*カバーイラスト・中川恵司
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*381頁 / 発行 1991年

*カバー文
 国際的な見識をもっていたはずの海軍が、不見識も甚だしい太平洋戦争に突入し、しかも、戦前には予想もしなかったほどの大敗を喫したその原因はなにか。対英米不戦を主張する条約派と戦争も辞さない艦隊派、この二派の確執を軸に、従来、海軍出身者らがタブーとして口を閉ざしてきた東郷平八郎、伏見宮博恭両元帥の犯した過誤を究明して、日本海軍終焉のダイナミクスを描破した戦記ノンフィクション意欲作。

*目次
危機の萌芽
天皇に背く首脳たち
軍令部総長の不明
海軍滅亡へ
あとがき
 解説 小綿恭一


大岡 昇平 (おおおかしょうへい)
「ある補充兵の戦い」
(あるほじゅうへいのたたかい)
徳間文庫



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*318頁 / 発行 1984年
*カバーイラスト・秋山法子

*カバー文
 昭和十九年、大岡二等兵の属する東部第二部隊は、輸送大隊に編成された。行先は勿論、知らされなかった。妻に電報を打ったが、面会時間に妻の姿はなかった。翌日品川駅で小休止中の部隊の中を必死で捜し求める妻子とやっと対面できた。そして、大岡ら補充兵を乗せた輸送船団は、玄界灘から外洋に出た。死地に向かって積み出されていった ―― 。出征から復員まで大岡戦争文学の精髄を集大成。

*解説頁・川本三郎


大岡 昇平 (おおおかしょうへい)
「来宮心中」
 (きのみやしんじゅう)
集英社文庫



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*230頁 / 発行 昭和53年
*カバー装画・麻田鷹司

*カバー文
“どうしても別れなきゃならなかったら、死んじゃいましょうか”人妻である房枝との恋が行き詰まった時、もし彼女が死のうというならば、自分が尻込みすることは許されない。若き日にフランス文学を学んだ著者が、その夢を日本の風土にとけこませ、浄瑠璃のように語り流す表題作ほか「黒髪」「逆杉」「停電の夜」「春の夜の出来事」など珠玉集。

*目次
黒髪 / 来宮心中 / 逆杉 / 動物 / 一寸法師後日譚 / 鷹 / 停電の夜 / 清姫 / 振分け髪 / 春の夜の出来事 / 解説 水上勉


大岡 昇平 (おおおかしょうへい)
「母六夜」 (ははろくや)
集英社文庫



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*306頁
*発行 昭和53年
*カバー・麻田鷹司

*カバー文
父と子が、同時にひとりの女に魅から、愛憎の業のなかにあえぐ名作「沼津」、大岡文学のライトモチーフになる女性像を幻想的な世界に現出する「母六夜」ほか「焚火」「問わずがたり」近作「木下氏の場合」など、著者の文学世界の核心をかたちづくった傑作十三篇を収録。

*解説頁・飯島耕一


大岡 信 (おおおかまこと)
「大岡信詩集」 (おおおかまことししゅう)
芸林21世紀文庫



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*128頁 / 発行 2003年
*装画・池田満寿夫「聖なる手1」 / 装幀・高林昭太 

*目次
初期詩篇(『記憶と現在』以前)
記憶と現在 一九五六年
わが詩と真実 一九六二年
綜合詩集版 大岡信詩集 一九七七年
悲歌と祝祷 一九七六年
春、少女に 一九七八年
水府 みえないまち 一九八一年
草府にて 一九八四年
ぬばたまの夜、天の掃除器せまってくる 一九八七年
故郷の水へのメッセージ 一九八九年
世紀の変り目にしやがみこんで 二〇〇一年
解説 粟津則雄


大河内 昭爾選 (おおこうじしょうじ)
「味覚小説名作集」
(みかくしょうせつめいさくせん)
光文社文庫


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*347頁 / 発行 2016年
*カバーデザイン・高林昭太

*カバー文
四季折々の風物を愛で、旬の食材を使った料理を口にする。そんな、あたりまえだった日々の暮らしと食の有り様。大正から昭和の人々は何を思って飯を食い、誰を想って料理をしたのか。島国という風土の中で営々と培ってきた私たちの味覚とは?近代文学に大きな足跡を残した文人たちが“食”にまつわる様々な人間のドラマを綴った傑作ばかりを収めたアンソロジー。

*目次
鱧の皮 上司小剣 / 茶粥の記 矢田津世子 / 鮨 岡本かの子 / 芋粥 芥川龍之介 / 寺泊 水上勉 / 苺 円地文子 / 料理 耕治人 / 佐渡 庄野潤三 / 作品解説 大河内 昭爾


大路 和子 (おおじかずこ)
「清姫物語 『道成寺』愛の伝説」
(きよひめものがたり)
PHP文庫



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*286頁 / 発行 1994年
*装幀・上田晃郷

*カバー文
芝居「道成寺」で有名な安珍と清姫の非恋伝説。幼い頃、この説話に魅せられた著者は、丹念な取材と創作力で、ついにこれを完璧な小説に仕立てあげた。修験者として信仰に生きようとする安珍と、愛を貫こうとする清姫。二人の愛ははたして成就するのか? 摩訶不思議な運命の糸に操られて、物語は二転、三転していく。時を経ても、決して色褪せることのない「愛の形」がここにある。

*目次
文庫版へのまえがき / 鬼哭(きこく)の森 / 盟神探湯(くかたち) / 吼比狼峠(こびろとうげ) / 傀儡(くぐつ)の舞(まい) / 御燈祭(おとうまつり) / 大峯抖?(おおみねとそう) / 嵐(あらし) / 野辺送(のべおく)り / 捨身行(しゃしんぎょう) / 道成寺(どうじょうじ) / あとがき(旧版) / 解説 ── 清原康正


大下 宇陀児 (おおしたうだる)
「石の下の記録 日本推理作家協会賞受賞作全集D」
(いしのしたのきろく)
双葉文庫


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*418頁
*発行 1995年
*装幀・菊地信義 / 装画・落田洋子

*カバー文
代議士の息子藤井有吉は、敗戦後の混乱の中で悪友たちと刹那的な享楽に溺れていた。遊ぶカネ欲しさに仲間たちは強盗を犯し、有吉は父親への賄賂の一部を失敬する。有吉が罪悪感に悩んでいるうちに父親が自宅で惨殺され、それぞれが転落への道を辿る。残酷な青春への鎮魂歌。

*解説 山村正夫


大下 英治 (おおしたえいじ)
「知られざる渥美清」
(しられざるあつみきよし)
廣済堂文庫


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*541頁 / 発行 2002年
*カバーデザイン・長谷川正治 / カバーイラストレーション・村山潤一

*カバー文
昭和3年、東京の上野に生まれた渥美清は戦後の浅草で軽演劇、剣劇、新劇、映画と片っぱしから見て回った。親の反対を押し切り喜劇役者を目指す渥美はフランス座の舞台で注目を浴びやがてテレビのレギュラー出演も。その後、山田洋次監督との出会いから、映画『男はつらいよ』の主人公「フーテンの寅」で人気が爆発する。役者としての渥美清の凄みと魅力そして惜しまれながら逝った国民的スターの素顔を描ききる長篇実録ノベル!

*目次
第一章 もう一つ名前があったらという願いがずっとあった
第二章 寅次郎を演るときは、狂って演る。狂わなきゃ演れない
第三章 ぼくは世間からすっかり切り離されていたいんです
第四章 お遍路が一列に行く虹の中 ――〈渥美清・最後の句〉


大島 昌宏 (おおしままさひろ)
「結城秀康 ― 秀吉と家康を父に持つ男」 (ゆうきひでやす)
PHP文庫



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*439頁
*発行 1998年
*装画・西のぼる / 装幀・上田晃郷

*カバー文
「秀頼はそなたの弟じゃ、くれぐれも頼むぞ」秀吉末期の言葉が秀康の耳に甦る。「なんとしてでも家康から豊臣家を守らねば」秀康は固く心に誓った。 ― 家康の実子でありながら父に疎んじられ、秀吉の養子となった結城秀康。秀吉の薫陶を受け、その恩顧に報いようとする秀康に、危険を感じた家康はついに……。二人の天下人が父という数奇な運命を雄々しく生き、福井藩祖となった武将の生涯。


大嶋 みち子・河野 實 (おおしまみちこ・こうのみのる)
「愛と死をみつめて ― ある純愛の記録」 (あいとしをみつめて)
女性文庫(学陽書房)



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*430頁
*発行 1996年
*装画・三嶋典東

*カバー文
― 21歳という若さで不治の病に侵されたミコ。そして、死を見つめながらも真摯に生きようとする彼女を支える恋人マコ。3年間の闘病中に交わされた400通もの往復書簡は、二人の人間が互いに成長を遂げていく魂のふれあいだった。死を前にした若いふたりが胸を打つ、鮮烈な愛の記憶。


大島 弓子 (おおしまゆみこ)
「雨の音がきこえる ― 珠玉短編集」
 (あめのおとがきこえる)
小学館文庫



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*254頁
*発行 1976年
*デザイン・玉井ヒロテル / カバー装画・川井輝雄

*カバー文
■両親と四人姉妹の幸福な早咲家。高校進学を目指す快活な三女、秋子は、ある日、養女である秘密を知って悩む。追いうちするような母の死が、平和な家庭を重苦しい空気に。孤立する秋子は、日増しにいらだって…。
■表題作ほか「ヨハネが好き」「ほたるの家」「風車」「つぐみの森」の珠玉短編4作収録。


太田 静子 (おおたしずこ)
「斜陽日記」
(しゃようにっき)
朝日文庫


*カバー装幀・岡本健+
 カバー装画・三嶋典東
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*248頁 / 発行 2012年

*カバー文
太宰治が、出世作『斜陽』の下敷きとした、回想録的な日記。“愛人”として娘を生んだ著者が、1945年の春から12月までの日々を、太宰に勧められるままに綴って渡した、文学史的にも貴重な作品を復刊。娘・治子のエッセイや太宰からの手紙を特別収録。

*目次
斜陽日記
 あとがき
 母の糸巻 太田治子
 解説 出久根達郎


太田 静子 (おおたしずこ)
「斜陽日記」
(しゃようにっき)
小学館文庫


*カバーデザイン・菊地信義
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*249頁 / 発行 1998年

*カバー文
「いまとなっては、あの『斜陽』という小説は、本当に、あのかたの苦しい生涯の落日となってしまいました。」 (あとがき)
 太宰治が没する前年の十二月、『斜陽』は刊行されるや、大ベストセラーになった。
 この名作が、実在する女性の手記をもとに書かれたことはよく知られている。太宰治没年秋、一度出版されて以来、世に出ることのなかった。“まぼろしの日記”。
 半世紀を経て、作家を創作へと突き動かした時代の息吹きが甦る。

*目次
斜陽日記
 母の糸巻 太田治子
 〈参考〉「大雄山荘」物語
 解説 小森陽一


大塚 久雄 (おおつかひさお)
「欧州経済史」
(おうしゅうけいざいし)
岩波現代文庫



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*276頁 / 発行 2001年

*カバー文
本書は欧州経済史を問題史的観点から構成したユニークな概説書として定評があり、読者は本書によって、大塚史学の方法論の核心にふれることができる。資本主義の発達から、産業資本の形成、封建制から資本主義への移行の問題にいたるまで、凝縮された史的叙述が試みられている。論文「資本主義社会の形成」も収録。

*目次
 改版序 / 序
第一章 資本主義の発達
 一 資本主義 / 二 産業資本 / 三 原始蓄積
第二章 産業資本の形成
 一 貨幣経済の発達 / 二 商人の活躍とその問屋制前貸 / 三 農村工業と中産的生産者層の分解 / 四 産業資本形成の歴史的条件
第三章 封建制から資本主義への移行 ── その要旨
資本主義社会の形成
 解説 隅谷三喜男 / 索引


大野 芳 (おおのかおる)
「宮中某重大事件」
(きゅうちゅうぼうじゅうだいじけん)
学研M文庫


*カバーデザイン・山田秀春
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*325頁 / 発行 2012年

*カバー文
裕仁親王(昭和天皇)のご成婚時、すでに妃として内定していた久迩宮家の良子女王に対して、色覚遺伝を理由に元老・山県有朋が婚約辞退を迫った事件があった。その裏側にある薩長の対立とは?山県の皇室干渉に反対する勢力は、これを支持する国粋主義者や浪人たちを巻き込み、やがて刺客団までが結成され……。近代史最大のタブーを息づまる筆致で描く、驚愕のノンフィクション。

*目次
プロローグ / 第一章 日韓の絆 / 第二章 御学問所 / 第三章 色盲遺伝の発覚 / 第四章 山県有朋の策謀 / 第五章 久邇宮家の苦悩 / 第六章 知仁勇の実践 / 第七章 山県を総攻撃 / 第八章 御変更なし / エピローグ / 参考文献 / 文庫版あとがき


大庭 みな子 (おおばみなこ)
「大庭みな子の雨月物語 わたしの古典シリーズ」
(おおばみなこのうげつものがたり)
集英社文庫


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*272頁 / 発行 1996年
*カバー作品・栗田敬子 / AD・菊地信義

*カバー文
下総の国、真間の郷に勝四郎という男がいた。零落した家を興すため、秋には帰ると妻に言い残し、都に上る。7年後、真間に戻り、妻と情を交わした。一夜が明けると妻はおらず、何年も前に死んだという。昨夜の妻は亡霊だったのだ。(浅茅が宿)ほか「夢応の鯉魚」等8編(「雨月物語」)、と短編歴史小説の「春雨物語」。わが国の怪異小説の最高峰を分かりやすく、面白く読む。

*巻末頁
解説 板坂則子 / 鑑賞 高樹のぶ子


大林 太良 (おおばやしたりょう)
「日本神話の起源」
(にほんしんわのきげん)
徳間文庫


*カバーデザイン・秋山法子
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*251頁 / 発行 1990年

*カバー文
 日本の古代を明らかにするための学問分野として、神話学がある。本書は、『古事記』『日本書紀』『風土記』などに含まれている神話伝承を、朝鮮、中国、東南アジア、モンゴル、オセアニア、シベリアに伝わる神話を収集し、分類し、比較することによって、日本民族・日本文化の起源と系統を段階的に再構成したものである。われわれは、本書を通じて日本人のルーツをたどる巨大な手がかりを得ることが出来る。

*目次
神話の研究法 ―― イントロドゥチォーネ
T あめつちのはじめ
U 国土と神々の創成
V 生と死
W アマテラスとスサノオ
X 天地初発からアマテラスまで
Y 出雲の大蛇と小人
Z 高天原から日向へ
日本神話の起源 ―― フィナーレ
補論 日本文化の形成
 あとがき / 解説 松村一男


岡 潔 (おかきよし)
「情緒と日本人」
(じょうちょとにほんじん)
PHP文庫



*装丁・多田和博
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*221頁 / 発行 2015年

*カバー文
「人と人との間にはよく情が通じ、人と自然の間にもよく情が通じます。これが日本人です」 ―― 世界的な天才数学者、岡潔。自然と共に生きてきた日本人の中にある「情緒」の重要性を訴え、日本の未来に警鐘を鳴らす作品を数多く発表した。本書は、数ある著書の中から岡潔の一貫した主張が込められた言葉を集めた箴言集。
現代の日本人にこそ伝えたい、日本人の情緒とは。日本民族、教育……岡潔が遺した珠玉の言葉の数々。

*目次
はじめに ―― 解説にかえて
第一章 情緒と日本人
第二章 日本民族
第三章 数学と芸術と文学と
第四章 教育
付章 松下幸之助との対話
出典一覧


岡野 弘彦 (おかのひろひこ)
「歌集 冬の家族」
 (かしゅうふゆのかぞく)
短歌新聞社文庫



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*128頁
*発行 平成9年

*冬の家族五首
 ひたぶるに人を恋ほしみし日の夕べ萩ひとむらに火を放ちゆく
 草の上に子は清くして遊ぶゆゑ地蔵和讃をわれは思へり
 論理するどく行動きびしき学生の父の多くは戦ひに死す
 胸の下に銃をかばひて死にゐしは我よりも皆若き初年兵
 熱き息頬に触るるかと思ふまで近づかしめて射ちはなちたり


岡本 綺堂・結城 信孝編 (おかもときどう・ゆうきのぶたか)
「岡本綺堂 怪談選集」
(おかもときどうかいだんせんしゅう)
小学館文庫


*装画・ケッソク ヒデキ
 カバーデザイン・後藤葉子
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*352頁 / 発行 2009年

*カバー文
 明治初期、商売をたたんで一家で移り住んだ“しもた屋”の離れに、一人の泊り客ができた。離れには、主人が没落士族らしき男から買い受けた木彫りの猿の仮面が掛けられていたが、夜も深まったころ、どこからかうなり声が聞こえてきて……(「猿の眼」より)。
 怪談の名手・岡本綺堂の短篇十三本を選りすぐった“おそろし噺”傑作集。江戸から明治、大正時代までを舞台にした怪しくて不可思議な噺が、百物語形式で語られていく。ほかに、雪夜の横丁に座る老婆を目にした若侍たちの顛末を描く「妖婆」、新婚の夫がある温泉場から突然行方不明になる「鰻に呪われた男」など。

*目次
利根の渡 / 猿の眼 / 蛇精 / 清水の井 / 蟹 / 一本足の女 / 笛塚 / 影を踏まれた女 / 白髪鬼 / 妖婆 / 兜 / 鰻に呪われた男 / くろん坊 / 編者解説 結城信孝


岡本 綺堂 (おかもときどう)
「綺堂むかし語り」
(きどうむかしがたり)
光文社時代小説文庫


*カバーイラスト・堂昌一
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*330頁 / 発行 1995年

*カバー文
 晴れた空には鳶が舞い、夕暮れには蝙蝠、秋になれば麹町にも赤とんぼの大群が ── 。明治初年の東京に生まれた著者が記す、当時の小学校、初めての芝居見物、町のあちこちに色濃く残る江戸の面影。そして、名作「修禅寺物語」の執筆にまつわる思い出など、大正・昭和の歌舞伎界に数多くの名作を残し、「半七捕物帳」を生み出した綺堂の味わい深いむかし語り。

*目次
T 思い出草
 思い出草 / 島原の夢 / 昔の小学生より / 三崎町の原 / 御堀端三題 / 銀座 / 夏季雑題 / 雷雨 / 鳶 / 旧東京の歳晩 / / ゆず湯
U 旅つれづれ
 昔の従軍記者 / 苦力とシナ兵 / 満洲の夏 / 仙台五色筆 / 秋の修善寺 / 春の修善寺 / 妙義の山霧 / 磯部の若葉 / 栗の花 / ランス紀行 / 旅すずり / 温泉雑記
V 身辺雑記
 素人脚本の歴史 / 人形の趣味 / 震災の記 / 十番雑記 / 風呂を買うまで / 郊外生活の一年 / 薬前薬後 / 私の机 / 読書雑感 / 回想・半七捕物帳 / 歯なしの話 / 我が家の園芸 / 最後の随筆
 解題 岡本経一

旺文社文庫版(サイト内リンク)


岡本 綺堂 (おかもときどう)
「蜘蛛の夢」 (くものゆめ)
光文社時代小説文庫


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*265頁 / 発行 1990年
*カバーイラスト・堂昌一

*カバー文
 小さな蜘蛛の咬み合いが、多くの人々を狂わせる(「蜘蛛の夢」)、釣った魚の腹から出た封筒の女文字が、男女変死の謎にからむ(「有喜世新聞の話」)――今なお古くならない綺堂作品には、貴重な風俗資料が一杯。(十二編)

*目次
火薬庫 / 蜘蛛の夢 / 放し鰻 / 平造とお鶴 / 穴 / 有喜世新聞の話 / 慈悲心鳥 / 女侠伝 / 馬妖記 / 廿九日の牡丹餅 / 真鬼偽鬼 / 恨みの蠑螺 / 解説 都筑道夫


岡本綺堂作 (おかもときどう)
「修禅寺物語・正雪の二代目 他四篇」
 (しゅぜんじものがたり・しょうせつのにだいめ)
岩波文庫


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*250頁・旧仮名旧字体
*発行 1952年
*カバー・中野達彦

*カバー文
「新歌舞伎」をはじめ演劇界に輝かしい足跡を残した綺堂の傑作戯曲集。「修禅寺物語」は彼の声価を決定づけた出世作である。

*目次
修禪寺物語 / 箕輪の心中 / 佐々木高綱 / 能因法師 / 俳諧師 / 正雪の二代目 / 解説(戸板康二)


岡本 綺堂 (おかもときどう)
「修禅寺物語」
 (しゅぜんじものがたり)
光文社文庫



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*317頁
*発行 1992年
*カバーイラスト・堂昌一

*カバー文
 かつて源頼家の墓に詣で、寺に残る頼家の仮面(めん)にヒントを得て、戯曲「修禅寺物語」を書いた岡本綺堂。十年後、ふたたび訪れた頼家の墓前で、戯曲にゆかりの深い人々の幻影に出会う(「修禅寺物語」)。 ― 平安末期、すでに天竺・唐土を荒らしつくした恐るべき妖狐と、日本の陰陽道の名誉をかけて立ち向かう安倍泰親の対決(「玉藻の前」)。抜群の小説技法で描く幻影の世界!

*解説頁・岡本経一


岡本 綺堂 (おかもときどう)
「中国怪奇小説集」
 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)
光文社時代小説文庫



*カバーイラスト・堂昌一
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*353頁 / 発行 1994年

*カバー文
 士族の家に生まれた綺堂が、幼少のころに住んでいた旗本屋敷は、有名な幽霊屋敷だった。
 この世に怨みをもって出る日本の幽霊とは異なり、中国の幽霊は一見なんの縁もないところにあらわれる。そこが怖い。中国の怪奇譚に造詣が深い綺堂が、六朝(ろくちょう)から清に至る各時代の中から二百二十種を抄出して名訳。
 妖気ただよう幻想の世界へ読者を誘う、中国怪奇傑作集。

*目次
綺堂先生に感謝する … 海音寺潮五郎
開会の辞
捜神記(六朝)
捜神後記(六朝)
酉陽雑俎(唐)
宣室志(唐)
白猿伝・其他(唐)
録異記(五代)
稽神録(宋)
夷堅志(宋)
異聞総録・其他(宋)
続夷堅志・其他(金・元)
輟耕録(明)
剪燈新話(明)
池北偶談(清)
子不語(清)
閲微草堂筆記(清)
解説 岡本経一


岡本 綺堂 (おかもときどう)
「白髪鬼 ― 岡本綺堂怪談集」 (はくはつき)
光文社時代小説文庫


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*267頁 / 発行 1989年
*カバーイラスト・堂昌一

*カバー文
 壇の浦から落ちのびた平家の官女の怨念を秘める幽霊藻(「水鬼」)。試験場にきまって現われる髪の白い女の正体は?(「白髪鬼」)。 ―― など、名作十三編を収録。人々を妖気漂う幻想の世界に導く、綺堂ならではの怪異の世界。

*目次
こま犬 / 水鬼〈すいき〉 / 停車場の少女 / 木曽の旅人 / 西瓜 / 鴛鴦鏡〈おしどりかがみ〉 / 鐘ケ淵 / 指輪一つ / 白髪鬼 / 離魂病 / 海亀 / 百物語 / 妖婆 / 解説 都筑道夫


岡本 綺堂 (おかもときどう)
「鎧櫃の血 ― 岡本綺堂巷談集」
 (よろいびつのち)
光文社時代小説文庫



*カバーイラスト・堂昌一
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*296頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
「三浦老人の話は、およそ二十四、五の短編である。単彩の話題をとらえて、人生の断面を衝き、時代相と生活が渾然と融け合っている…。「江戸」がすっかり懐ろに収まっている趣きである」(解説より)。全十八編収録。

*目次
 三浦老人昔話
桐畑の太夫 / 鎧櫃の血 / 人参 / 置いてけ堀 / 落城の譜 / 権十郎の芝居 / 春色梅ごよみ / 旗本の師匠 / 刺青の話 / 雷見舞 / 下屋敷 / 矢がすり
 新集巷談
鼠 / 魚妖 / 夢のお七 / 鯉 / 牛 / 虎
 解説 岡本経一


岡本 嗣郎 (おかもとしろう)
「歌舞伎を救ったアメリカ人」
(かぶきをすくったあめりかじん)
集英社文庫


*写真・東京新聞
 AD・安彦勝博
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*472頁 / 発行 2001年

*カバー文
新生日本からカブキを追放せよ ―― 。封建思想の讃美になるとして歌舞伎弾圧に乗りだしたGHQ。その決定に一人の男が反旗を翻した。マッカーサーの副官、フォービアン・バワーズ。歌舞伎に深い愛情と理解を抱いていた彼が自らのキャリアを犠牲にし、強大な組織に挑んだ戦いとは? 戦後日本の出発点を探る渾身のノンフィクション。文庫化に際しバワーズ氏、小泉純一郎氏との特別鼎談を収録。

*目次
プロローグ
羽左衛門は元気か
初めての歌舞伎観劇
太平洋戦争
戦時下の歌舞伎
日本が敗れた日
寺子屋事件
天皇・マッカーサー会見
鳳舞登場
ハバカリながら勝手します
受難の終わり
諸行無情の法則
エピローグ
 あとがき / 解説鼎談 / 文庫版あとがき / 参考文献


岡本 眸 (おかもとひとみ)
「自愛 ― 岡本眸句集」
 (じあい)
ふらんす堂文庫



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*77頁
*発行 1992年
*装丁・千葉皓史

*帯文
既刊句集より自選303句を収録。
岡本眸さんには、身辺座臥の間の些事にある不思議なものに驚き、その微妙なものを捉らえる感覚の冴えがある。(井本農一)


岡本 隆三 (おかもとりゅうぞう)
「長征」
 (ちょうせい)
潮文庫



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*349頁
*発行 昭和46年
*カバー・熊谷博人


*目次
 まえがき / はしがき / 長征全図 / 第一章 征風立つ / 第二章 歴史の光芒 / 第三章 金沙江を渡る / 第四章 大渡河の壁 / 第五章 大雪山越え / 第六章 大草原横断 / 第七章 大合流の光と陰 / 主要参考文献


小川 国夫 (おがわくにお)
「流域」 (りゅういき)
集英社文庫

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*203頁
*発行 1978年
*カバー・中林忠良

*カバー文
人が住むところ、どこにも物語があることは間違いないが、それが、いわば湧き水のように溢れている土地がある。(後記)
著者が生まれ、育った大井川流域を背景にして、暗い情念の世界を描いた「闇の力」を核に、「心臓」「酷愛」「先生の下宿」他、小川文学の豊かな水脈をしめす秀作を収録。

*解説頁・藤枝静男


小川 和佑 (おがわかずすけ)
「桜の文学史」 (さくらのぶんがくし)
朝日文庫


*カバー装幀・笹川寿一
(画像はクリックで拡大します)

*244頁 / 発行 1991年

*カバー文
さくらは古代人にとってたいせつな農事暦であり、その開花は一年の吉凶を予兆する聖なる樹でもあった。その桜樹信仰という古代人たちの素朴な祈りは、「さくら前線」の報をこころまちにする現代の春に生きている。古来、文学のテーマとして、日本人は桜をどのように歌い、描いて来たのか。文学作品をたどり、各地の桜を紹介する新しい視点の文芸論。

*目次
1 さくら讃歌=プロローグ
 日本の春 / 《桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる!》 / さまざまなさくら
2 古代のさくら=飛鳥・奈良時代
 秋に咲くさくら ― 『日本書紀』のさくら / さくらの歌物語 / 「桜華」をめぐって / 万葉のさくら / 桜児説話 / 平城京のさくら
3 王朝絵巻のさくら=平安時代T
 さくらの歌 ― 平安京の春 / 憧れと郷愁の花 / 散りゆくさくら / さくらの物語 ― 伊勢・源氏など / 『古事談』と南殿のさくら
4 薄明に咲く=平安時代U
 移りゆく時代に / 武門のさくら / さくらと吉野信仰 / 薄明に咲く ― 桜町中納言と泰山府君 ― 『平家物語』のさくら
5 さくら美の完成者たち=鎌倉時代
 唯美者たちのさくら観 / 西行桜 ― シダレの可憐さ / さくらの唯美者 / 東国のさくら ― 実朝 / 定家・そのさくら観
6 さくらのドラマツルギー=室町時代
 室町さくら文化前史 / 常照皇寺の御車返し ― 里桜花開く / 『花匡』・甦る王朝のさくら / 継体伝説と淡墨桜
7 聖から俗へ=桃山時代
 広がるさくら美の波紋 / 『閑吟集』の風流 / 醍醐の花宴 ― さくら観の転換
8 新しいさくら文化の開花=江戸時代
 生活文化のさくら / 『江戸名所花暦』 / さくら図鑑の流行 / 江戸のさくら流行 ― 芭蕉のさくら / 蕪村・一茶 ― 天明のさくら / 攘夷と「国華」 ― 思想化するさくら
9 文明開化とさくら ― 明治時代
 さくらが変わる ― ソメイヨシノの出現 / 文明開化とさくら / 明治の花見 ― ベルツの日記から / ハーンの『怪談』 ― 不思議なさくらに因む物語 / 散る花といのち ― さくら観を変えた思想 / 祇園のさくら ― 吉井勇の「祇園冊子」 / 新体詩人たちのさくら観
10 さくらの歌びとたち=大正時代
 さくらの歌びとたち / 白秋・空穂・迢空 / 朔太郎・犀星のさくら
11 昭和文学の桜譜=昭和時代T
 死のさくら ― 梶井基次郎 / 咲き極まるさくら ― 三好達治・谷崎潤一郎 / 坂口安吾『桜の森の満開の下』 ― さくらの復権 / 石川淳の桜鬼 ― 『修羅』中世の物語 / 現代詩のさくら
12 現代文学に咲く=昭和時代U
 浪漫派のさくら ― 五味康祐のさくら / さくらの復興 ― 水上勉『桜守』 / 宇野千代の『淡墨の桜』 / 惑いの花 ― 渡辺淳一の『桜の樹の下で』 / 終章・中村真一郎のさくら愛 ― 『雲のゆき来』『美神との戯れ』

  日本各地のさくらの種類・名桜名所10選・日本のさくら一覧
  あとがき


奥瀬 平七郎 (おくせへいしちろう)
「忍術 その歴史と忍者」
(にんじゅつ)
新人物文庫


*カバーデザイン・幅雅臣
(画像はクリックで拡大します)

*299頁 / 発行 2011年

*カバー文
日本で最初に“忍び”を使った聖徳太子!
 忍術の発祥には、いくつかの説がある。古代中国の『孫子』を原典とし、日本独自の“兵法”として発達した忍術の系譜にはさまざまな人物が登場する。大友細人を「志能便」として用いた聖徳太子をはじめ、役行者・安倍晴明・源義経・楠木正成などである。そして迎えた戦国乱世の時代、伊賀・甲賀に代表される忍術の全盛期を迎える。
 諜報・謀略の特殊技能 ── 忍術を駆使し、忍者を巧みに使いこなし得た者が天下を制した。その最たる者が徳川家康だった……。
 数多くの秘伝書や忍家に伝わる口伝から甦る忍術の世界と、忍者たちの知られざる物語。

*目次
古代の忍術 / 奈良朝の忍術 / 平安朝の忍術 / 源平期の忍術 / 鎌倉期の忍術 / 南北朝の忍術 / 戦国期の忍術 / 織・豊期の忍術 / 徳川期の忍術 / 参考資料・忍術伝書目録


興津 要 (おきつかなめ)
「江戸食べもの誌」 (えどたべものし)
朝日文庫


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*264頁
*発行 1995年
*カバー装丁・田村義也 広重「東都名所 高輪二十六夜待遊興之図」(神奈川県立歴史博物館蔵)より

*カバー文
「雛祭り皆ちつぽけなくだを巻き」―江戸中期から後期にかけて、川柳、狂歌、小咄が盛んになる。季語や切れ字を気にしない自由な表現形式。そこには庶民生活の哀歓がこめられている。日本近世文学の第一人者がそれらに登場する“味”をさぐることによって、江戸の人情と世相を浮き彫りにする。


興津 要 (おきつかなめ)
「大江戸長屋ばなし ― 庶民たちの粋と情の日常生活」
 (おおえどながやばなし)
PHP文庫



*装幀・菊地信義
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*289頁 / 発行 1991年

*カバー文
「納豆としじみに朝寝おこされる」 ― もの売り声で始まる江戸の一日、つましさの中にも明るさを失わない長屋の人々。その「粋」と「情」の暮らしぶりは、現代人にとって、ノスタルジーと共に羨ましささえ感じさせる。
 本書は、江戸庶民の日常生活を川柳、落語、小説に追いながら、「九尺二間」の長屋に凝縮されているそのエネルギーと魅力を余すところなく伝える、江戸社会史の格好の入門書である。

*目次
 まえがき
T 長屋の朝・昼・晩 ― 粋と情の世界に遊ぶ
江戸の市政 / 表長屋と裏長屋 / 時のはなし / 江戸ッ子の朝 / 長屋の昼さがり / 裏店の夜 / 家主稼業 / 大家の収入源 / 借家人の吟味 / 裏店の住人 / 自治とプライバシー / 髪結床は社交場 / 銭湯はいこいの場 / 行水は夏の風物詩 / 子どもの教育
U 路地を行き交う行商人たち ― ぬくもりにあふれた生活空間
魚売り
 かつお / あじ / いわし / このしろ / さんま / 鰻 / どじょう / ふぐ / まぐろ
野菜売り
 なずな売り / 菜売り / 瓜売り / かぼちゃ売り / 西瓜売り / 芋売り / 茄子売り / 柿売り / 大根売り / ごぼう売り
惣菜用食品売り
 菜屋 / 納豆屋 / しじみ売り / 豆腐屋 / むきみ売り / 金時売り / 鰻蒲焼売り / 玉子売り / 梅干売り
季節の行事用品の行商
 竹売り / 荒神松売り / 絵馬売り / 餅網売り / すだれ売り / 盆提灯売り / 苧殻売り / 真菰売り / すすき売り / 飾り物売り / 柊売り
日用必需品の行商
 油売り / 塩売り / 炭売り / 水売り
古物商い
 紙くず買い / 古がね買い / 古着買い / 古傘買い / 古椀買い / 三つ物売り / 竹馬きれ売り
修理屋たち
 たが屋 / 鋳掛屋 / その他の修理屋
V ささやかな楽しみ ― “ハレ”の時間の過し方
食べ物店
 鰻屋 / そば屋 / 夜鷹そば / にぎりずし / 天麩羅 / 茶漬飯屋 / 茶めし / 女川菜飯 / おでん
街頭芸人
 お千代舟 / 乞食芝居 / 猿廻し / 丹波の荒熊 / ところてんの曲突き / 歯力 / ひとり相撲
行楽
 花見 / 六阿弥陀詣
信仰と娯楽
 縁日 / 飛んだ霊宝
あとがき(旧版)
付録 ― 近世文学の基礎知識
注&付録の索引
解説 今野信雄


奥野 健男監修 (おくのたけお)
「太平洋戦争 ― 兵士と市民の記録」
 (たいへいようせんそう)
集英社文庫



*カバー・依光隆 / AD・岡邦彦
(画像はクリックで拡大します)

*605頁 / 発行 1995年

*カバー文
1941年12月8日未明、連合艦隊はハワイ真珠湾を奇襲した。すでに中国を侵略していた日本軍は、アメリカとの決戦により、さらに戦域を拡大していった。しかし日本の侵略行為も原爆投下という空前の惨劇で終局を迎える。はたして太平洋戦争は何をもたらしたのか。本書に収められた凄絶な生と死の記録は、二度とくり返してはならぬ戦争の悲惨さを私たちに伝えてくれる。

*目次(アンソロジー)
巻頭エッセイ 太平洋戦争を考える … 林京子・高木俊朗・川村湊
連合艦隊の出撃 … 伊藤正徳
真珠湾上空六時間 … 淵田美津男
十二月八日 … 太宰治
真珠 … 坂口安吾
戦争詩歌 … 高村光太郎・室生犀星・斎藤茂吉
蝗 … 田村泰二郎
戦友に愬う … 火野葦平
連合艦隊の最後 … 伊藤正徳
ガダルカナル空戦記録 … 坂井三郎
サイパン島の最期 … 菅野静子
海ゆかば水漬く屍 … 渡辺清
今咲き出でん … 鷲尾克巳
戦艦大和ノ最期 … 吉田満
沖縄戦従軍記 … 橘政子
ヒロシマ日記 … 蜂谷道彦
暗黒日記 … 清沢洌
終戦まで … 吉沢久子
一学徒兵の死 … 木村久夫
回天特別攻撃隊員の遺書 … 松田光雄・黒木博司・塚本太郎・本井文哉・水知創一・水井淑子
寝台の穴 … 田中小実昌
解説 … 奥野健男


奥野 良之助 (おくのりょうのすけ)
「金沢城のヒキガエル 【競争なき社会に生きる】」
(かなざわじょうのひきがえる)
平凡社ライブラリー


*カバー写真=前田憲男撮影
(画像はクリックで拡大します)


*328頁 / 発行 2006年

*カバー文
「自然界にはきびしい競争原理が働いている」という“科学的常識”は本当だろうか? 生き物の多くは、のんびりと、ほそぼそと生き延びているだけではないのか。金沢城址の池に生息するヒキガエル、なんと1526匹を9年間追跡調査した、愛と感動と驚愕に満ちたドキュメンタリー。学問、科学、近代社会を問い直す一撃!

*目次
序章 雨の金沢城跡
第一章 金沢城のヒキガエル
 魚から蛙への転向 / ヒキガエルのすべて / 金沢城のヒキガエル
第二章 最初の1年
 雨とヒキガエル / 秋、冬、そして春
第三章 繁殖
 ヒキガエルを繁殖に誘うもの / オスとメスの出会い / 抱接と産卵 / 抱接の成功と失敗
第四章 生まれてから死ぬまで
 卵・オタマジャクシ・子ガエル / 一歳以後の成長 / 生き残りの率と寿命 / 移動と定着
第五章 本丸ヒキガエル集団の盛衰
 ヒキガエルたちへの鎮魂歌(レクイエム) / H池集団の始まり / H池集団の盛衰
第六章 ヒキガエルの社会
 なわばりも順位もない社会 / 繁殖“戦略” / 親と子の断絶 ―― ヒキガエルの空想的社会機構 / 障害のあるカエル / あるヒキガエルの一生
終章 競争なき社会を求めて

 旧版のあとがき
 「平凡社ライブラリー」版へのあとがき
 解説 ―― 名随筆にして独創的な警醒の書 紀田順一郎


奥本 大三郎 (おくもとだいざぶろう)
「虫の宇宙誌」
 (むしのうちゅうし)
集英社文庫



*カバー・三村淳
(画像はクリックで拡大します)
*392頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
“私は虫に慰められてきたし、これからも虫なしでは生きられない”蝶、蜻蛉、甲虫を限りない優しさで観察し、失われゆく自然への愛惜を語り、小さな虫の世界を通してみた東西文明の差異を、卓抜な感性とユーモアで綴ったナチュラリストの精神の散歩。
読売文学賞受賞作。

*目次
虫の宇宙誌 T
 めでたい虫 / 芋虫、毛虫、挾んで捨てろ / 雌と雄とそのあいだ / 昆虫図鑑の文体について(一) / 昆虫図鑑の文体について(二) / サラマオのモンシロチョウ / 象牙の箸と杉の割箸 / ヴェルサイユのジェラニウム / マイ ハート リーブス アップ / 飛龍虫の説 / 蝉涼し / 聴ケドモ聞コエズ / 思い出の虫たち / 防虫剤について / 空想の庭園

虫の宇宙誌 U
 ボン・グウ 鴎外の「田楽豆腐」 / ネルヴァルの詩の中の蝶と蛾

あとがき / 解説・高田 宏


奥本 大三郎 (おくもとだいざぶろう)
「虫の春秋」 (むしのしゅんじゅう)
集英社文庫


(画像はクリックで拡大します)

*258頁 / 発行 1999年
*カバー装画・杉浦範茂

*カバー文
「虫の身になって考えれば、今の自然破壊の激しさは古今未曾有と言ってよいであろう。(中略)これからの昆虫と虫屋の世界が、はたして春秋に富むものであるのかそうでないのか、まったく予断を許さない」 ― 筋金入りの虫屋にして、心優しき人間嫌いの著者が、春夏秋冬、身近な虫を観察しつつ、人間とその営みを鋭く洞察。ユーモアと批判に富んだ、「虫屋の文学者」ならではの含蓄あるエッセイ集。

*目次
第1部 虫の春秋
第2部 虫の居どころ
 解説 香山リカ


奥本 大三郎 (おくもとだいざぶろう)
「本を枕に」
(ほんをまくらに)
集英社文庫



*カバー・アンリ・リヴィエール
「アベス街より」
(『エッフェル塔三十六景』No19)
(ニューオータニ美術館蔵)
AD・杉浦範茂
(画像はクリックで拡大します)


*280頁 / 発行 1998年

*カバー文
少年時代の何年かを病床で過ごし、読書が至上の楽しみだった著者。以来、その読書遍歴&耽溺はハンパではない。内田百閨AG
(ギルバート)・ホワイト、G(ジョージ)・ギッシング、金子光晴、夏目漱石、S(サマセット)・モーム、J(ジュール)・ルナールなどなど、古今東西の作家と作品をとりあげ、その魅力を縦横に語った、滋味あふれるエッセイ集。異色の読書案内、そして著者の精神の形成史としても、極めて興味深い。

*目次
神田の古本屋
貝の光沢 玩具の光沢 ―― 鹿間時夫『美の遍歴』
琴と文章 ―― 内田百閨w比良の虹』
英語の虫 ―― 市河三喜『昆虫・言葉・国民性』
若き隠遁者 ―― ギルバート・ホワイト『セルボーンの博物誌』
御鷹狩り ―― 蜂須賀正氏『南の探検』
孤独の放浪者の夢想 ―― ギッシング『ヘンリ・ライクロフトの私記』
螢の樹
(カユ・アピアピ) ―― 金子光晴『マレー蘭印紀行』
明治の油絵 ―― 寺田寅彦
不良少年の昆虫学 ―― 中原和郎『少年昆虫学者』
魂の地獄めぐり ―― 夏目漱石『坑夫』
受験生と大人の小説 ―― サマセット・モーム『雨』
夏・水・土・懊悩 ―― 徳冨蘆花『みゝずのたはこと』
病床の少年王者 ―― 山川惣治
詩人の条件 ―― 佐藤春夫
楽しいフランス文学 ―― ジュール・ルナール、岸田國士訳『にんじん』
あとがき
解説 関川夏央


小倉 磐夫 (おぐらいわお)
「カメラと戦争 ― 光学技術者たちの挑戦」
(かめらとせんそう)
朝日文庫


*カバー写真・図版
 「ニコンF」カットモデル
 東城鉦太郎「三笠艦橋の図」(部分)
  三笠保存会蔵
 カバー装幀=神田昇和
(画像はクリックで拡大します)

*246頁 / 発行 2000年

*カバー文
ライカ、コンタックスは第一次大戦の敗戦国ドイツで生まれ、世界を制覇した。日本のカメラ産業も、第二次大戦中の光学兵器の技術から育った。『アサヒカメラ』でおなじみドクター・オグラが、カメラ開発に携わった光学技術者たちの哀歓をエピソードを交えて温かく描く。

*目次
第1章 カメラと戦争
  1 日本海海戦とカメラのピント合わせ
  2 零式戦闘機の標準器とライカM3
  3 ボフォース機銃とファインダーの余白
  4 爆撃標準器からAF一眼レフへ
  5 「大和」15メートル側距儀とニコン
  6 レーダーと暗闇のオートフォーカス
  7 サン=テグジュベリと写真偵察の魅力
  8 雪の朝のクーデターとキャノンの創業
  9 「ゾルゲ事件」とライカ、コンタックス
  10 アクリル ―― 戦闘機からレンズまで
  11 第二次世界大戦中の国産カメラ事情
  12 ポラロイド発明者の知られざる業績
  13 キューバ危機を救ったミノックスB型
第2章 戦後カメラ史余話
  1 ああ全数欠損、輸出カメラの記憶
  2 ニッポン占領のスーベニア、コニカU型
  3 天津の超ロングセラー機「ヤシカ」
  4 中国製ピッカリコニカの生産現場
  5 トプコンカメラ消えて「TTL」を残す
  6 ニコンを追ったキャノン「2群ズーム」
  7 「特許という紙切れ」と日本的風土
  8 日本を爆撃したハネウエルの制御技術
第3章 カメラを育てた人たち
  1 「レンズ屋」と「箱屋」、相剋と矜持
  2 星をのぞいて光学メーカーを興す
  3 研究室へ超光学・松本社長の怒鳴り込み
  4 名付け親不明の「ゼンザブロニカ」
  5 「喧嘩」にも強かった博士社長
  6 半世紀早かった「破滅型技術者」の仕事
  7 ミリオンセラー機と「生涯一技術者」
  8 「不滅の名作」レンズ設計者の、その後
  9 顕微鏡からカメラへ、オリンパスの飛躍
  10 原爆忌によみがえる乾板の味
  11 ダハプリズム研磨工Kさんの思い出
あとがき
文庫版のためのあとがき
解説・小野茂夫

写真提供=榎並悦子、尾松孝茂、織間勇、オリンパス光学株式会社、キャノン株式会社、京セラ株式会社、清水文子、株式会社タムロン、株式会社ニコン、日本ポラロイド株式会社、萩谷剛、長谷川勇、ペンタックスカメラ博物館、三笠保存会、AP/WWP


尾崎 一雄 (おざきかずお)
「暢気眼鏡 虫のいろいろ 他十三篇」
(のんきめがね、むしのいろいろ)
岩波文庫


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*326頁 / 発行 1998年
*カバーカット・尾崎一雄の書。 『暢気眼鏡』の見返しに揮毫されたもの。(日本近代文学館蔵)

*カバー文
出世作となった「暢気眼鏡」以下の一連のユーモア貧乏小説から、「虫のいろいろ」、そして老年の心境小説まで、尾崎一雄(1899−1983)の作品には一貫して、その生涯の大半を過した西相模の丘陵を思わせる洒脱で爽やかな明るさがある。

*目次
暢気眼鏡 / 芳兵衛 / 燈火管制 / 玄関風呂 / 父祖の地 / 落梅 / 虫のいろいろ / 美しい墓地からの眺め / 痩せた雄鶏 / 山口剛先生 / 石 / 松風 / 蜜蜂が降る / 蜂と老人 / 日の沈む場所 / 解説(高橋英夫) / 初出一覧


尾崎 士郎 (おざきしろう)
「石田三成」 
(いしだみつなり)
光文社時代小説文庫



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*327頁
*発行 昭和63年
*カバーイラスト・中川惠司

*カバー文
死の床にある秀吉をめぐって、北政所と淀殿、石田三成と古参の武将たちが激しく対立。慎重に時を待つ家康の巨大な影が、無言の圧力となって人々を脅かす。知性の人・石田三成の悲劇を描いた長編歴史小説。

*解説頁・磯貝勝太郎


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「大久保彦左衛門〈上下〉」 (おおくぼひこざえもん)
徳間文庫




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*上350頁・下318頁
*発行 1988年
*カバーイラスト・濱野彰親 / カバーデザイン・矢島高光

*カバー文

 かつて公儀隠密だった旗本・横沢源太夫は、手に入れた秘密の書状をたねに、大名阿部上総守から大金をゆすり取っていた。横沢と親しい旗本・曽根崎刑部の女中お組は、その事実を知ったため横沢に命を狙われる。二人の若侍に助けられ、危うく命拾いをしたお組だが、若侍は無惨な死を遂げる。これを知った彦左衛門、浪人の寺西登之助と魚屋・太助を従え、横沢の悪事を暴くべく起ち上った。ご存知、痛快時代小説。


 曽根崎の嫡女義江は美貌の若侍だが、実は女だった。阿部上総守から大金をゆする横沢源太夫は、この曽根崎父娘の秘密につけこみ、義江をわがものしようと企む。だが、阿部上総守の弟・采女が腹心の部下とともに横沢を倒そうと画策。彦左衛門らも追及の手をゆるめず、横沢はついに江戸を去り、所領内の屋敷に引きこもる羽目に。ところが、横沢の所領に、なんと義江が単身乗り込んだ……。痛快時代小説。

*解説頁(下巻収録)・福島行一(防衛大学校教授 大佛次郎記念館研究員)


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「おぼろ駕籠」 (おぼろかご)
徳間文庫


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*413頁
*発行 1988年
*カバーイラスト・濱野彰親 / カバーデザイン・池田雄一

*カバー文
 宿下り中の大奥女中・お勝が殺された。その宵、お勝と逢った恋人の小柳進之助に嫌疑がかったが、目明し亀蔵は白と見た。だが何故か同心は進之助を犯人に仕立てようとし、小柳家でも進之助に自害を迫った。
 逐電した進之助を救けた大身旗本・本多内蔵介は、追従と腐敗の世をすね隠棲する身。事件の背後に田沼意次派の策謀と、大奥の勢力争いがあることを看破、真相究明に乗り出すが……。長篇時代小説。

*解説頁・福田行一


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗 新東京絵図」 (くらまてんぐ しんとうきょうえず)
徳間文庫


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*318頁
*発行 1990年
*カバーイラスト・佐多芳郎

*カバー文
 江戸が東京と名を変えて一年。徳川家の駿府引きこもりの煽りですっかりさびれたこの町に、頭巾を脱いだ鞍馬天狗が海野雄吉の名で暮らしていた。もう自分は退き、新しい時代を担う青年にすべてを託す考えであった。だが、武家町で不審な男に尾けられ、逆に縛り上げてやった雄吉は、その男が何者かに殺されたことから、またも事件に巻き込まれる。新時代の槌音響く東京を舞台に繰り拡げられる傑作時代小説。

*解説頁・都筑道夫


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈1〉鬼面の老女」 (くらまてんぐ・きめんのろうじょ)
朝日新聞社の文庫版シリーズ


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*326頁
*発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤

*解説頁 「鞍馬天狗と大佛次郎」 福島行一


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈2〉御用盗異聞」 
(くらまてんぐ・ごようとういぶん)
朝日新聞社の文庫版シリーズ

*396頁 / 発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈3〉小鳥を飼う武士」 (くらまてんぐ・ことりをかうぶし)
朝日新聞社の文庫版シリーズ


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*310頁
*発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤

*帯文
今、ふたたび鞍馬天狗の時代
怪剣士はねらいを鞍馬天狗に定めた。
幕末の大動乱のあとに生き残るのはどちらか?
大佛次郎著・室謙二解説


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈4〉角兵衛獅子」
 (くらまてんぐ かくべえじし)
朝日新聞社の文庫版シリーズ



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*406頁 / 発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤

*帯文
今、ふたたび鞍馬天狗の時代
まんまと敵方の使者になりすまして
大坂城におしかけた天狗を待つ運命は?

*目次
角兵衛獅子
雪の雲母坂
鞍馬天狗のライフ・スタイル 小野耕世


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈5〉山岳党奇談」 (くらまてんぐ)
朝日新聞社の文庫版シリーズ


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*430頁
*発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤

*帯文
今、ふたたび鞍馬天狗の時代
山嶽党と名のる謎の秘密結社を敵にまわした天狗。
最後に笑うのはどちらか?

*解説頁・うつ病のくすり鞍馬天狗 鶴見俊輔


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈6〉雁のたより」 (くらまてんぐ がんのたより)
朝日新聞社の文庫版シリーズ


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*326頁
*発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤

*解説頁 「鞍馬天狗の世界と私の世界」 高橋章子


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈7〉天狗廻状」 (くらまてんぐ)
朝日新聞社の文庫版シリーズ


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*446頁
*発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤

*帯文
今、ふたたび鞍馬天狗の時代
天狗の名をかたる密告書を出して
彼を窮地におとしいれる快老人の正体は?

*解説頁 次郎・天狗・京都 村上光彦


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈8〉女郎蜘蛛」
 (くらまてんぐ・じょろうぐも)
朝日新聞社の文庫版シリーズ



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*365頁 / 発行 1986年
*カバー・ペーター佐藤

*帯文
今、ふたたび鞍馬天狗の時代
予告どおりに公卿が次々と暗殺される。
複雑怪奇な貴族社会に潜む犯人に天狗はどう迫るか?

*目次
女郎蜘蛛
淀の川舟
 覆面考 佐藤忠男(解説)


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈9〉地獄の門」
 (くらまてんぐ・じごくのもん)
朝日新聞社の文庫版シリーズ



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*365頁 / 発行 1986年
*カバー・ペーター佐藤

*帯文
今、ふたたび鞍馬天狗の時代
淀川をさかのぼる舟から千両箱が消えた。
見廻組と謎の怪盗を相手にして天狗の推理は?

*目次
地獄の門
御存知鞍馬天狗
 シャーロック・ホームズと鞍馬天狗 小林司・東山あかね


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「鞍馬天狗〈10〉江戸の夕映」
 (くらまてんぐ・えどのゆうばえ)
朝日新聞社の文庫版シリーズ



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*305頁 / 発行 昭和56年
*カバー・ペーター佐藤

*帯文
今、ふたたび鞍馬天狗の時代
江戸幕府は倒れても世の中は変わらなかった。
革命後の社会で天狗は何をめざすか?

*目次
西海道中記
江戸の夕映
海道記
鞍馬天狗のさめた目 なだ いなだ


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「湖上の姫 桜子」
(こじょうのひめ さくらこ)
徳間文庫



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*474頁 / 発行 1991年
*カバーイラスト・濱野彰親 / カバーデザイン・池田雄一

*カバー文
 応仁元年(一四六七)に始まった大乱によって京の都は荒れ果て、夜ともなれば野盗が群れ騒いでいた。巨?怪力のゆえに、弁慶の異名をとる足軽が、春、十六夜(いぎょい)の晩に一人の美少女を拾った。満開の桜の樹の下にいたので、桜子と名づけられた。その、美しく汚れを知らぬ少女は、戦いに明け暮れる弁慶にとって掌中の珠とも、生き甲斐ともなったのだが……。戦乱の世を生きる、神秘と謎に満ちた美姫を描く傑作。

*解説頁・福島行一


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「ごろつき船 上下」
(ごろつきぶね)
北上次郎選「昭和エンターテインメント叢書@A」=小学館文庫



*カバーデザイン・松田行正
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*上553頁・下537頁 / 発行 2010年

*カバー文
上巻
 蝦夷地松前藩。家老蛎崎主殿は船問屋の赤崎屋と結託し、赤崎屋の商売敵八幡屋に密貿易の嫌疑をかけて取り潰しを図る。併せて正義感の強い目障りな役人三木原伊織も亡き者にしようと企てるが……。
 そこに、江戸の盗賊佐野屋惣吉、訳あってアイヌに成り済ましていた元旗本の土屋主水正、そして和尚の覚円ら、悪事を捨て置くことのできない男たちが次々と立ち上がる。彼らの助けにより、八幡屋の遺子銀之助は本土津軽へと逃げ延びるが、一方、伊織の妻子の身にも危険が迫っていた。
 息もつかせぬ展開の大衆小説。書評家・北上次郎オススメの名作シリーズ第一弾!

下巻
 八幡屋事件から十一年。首謀者の赤崎屋は、八幡屋の遺子銀之助と、これを助けた土屋主水正たちを始末するべくいまなお手を尽くしていた。
 佐渡に流されていた佐野屋惣吉は、松前藩家老蛎崎主殿の弟の差し金で命を狙われ、成長した銀之助は赤崎屋に捕えられてしまう。救出された銀之助は、いよいよ父の敵、赤崎屋を討つことを決意。正義に篤い主水正や覚円和尚、そして露西亜に流れ着いていた三木原伊織らも、一味を成敗するため蝦夷地へ向かう。
 結集した正義の“ごろつき”どもを乗せ、船は最終決戦の地、赤崎屋一党が潜む孤島へ! 波瀾万丈の大ロマン。

*解説頁・北上次郎


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「薩摩飛脚」〈上下〉
 (さつまひきゃく)
徳間文庫





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*上巻407頁・下巻411頁
*発行 1989年
*カバーイラスト・濱野彰親

*カバー文
上巻
 鎖国政策を続ける薩摩藩は国境を侵す他国者を容赦なく斬り捨てていた。公儀の隠密・神谷金三郎は、松村伊織と共に薩摩藩の探索を命じられるが、薩摩に入国した伊織は消息を絶ってしまった。金三郎はやむなく単身江戸に戻るが、同僚を見殺しにしたとする周囲の風当りは強かった。隠密の有志は江戸の薩摩屋敷を相手に報復を試みる……。一方、伊織の妻・るいは、夫の存否を確かめるため江戸を発った。時代長篇。

下巻
 江戸を発ったるいと伊織の弟・欽之助を追う神谷金三郎は、お神楽伝次という連れを得て東海道を上った。伊織の従兄弟で尾張藩士・宗方新之丞を訪ねた金三郎は、るい達が立ち寄っていないことを知り落胆するが、伊織から新之丞の内儀宛てに琉球特産の反物が届けられていた。伊織はまだ生きているのか?隠密は生きて帰れないという薩摩入国を目差す金三郎とるいを待ち受けている運命は? 長篇時代小説完結篇。

*解説頁・福島行一


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「その人 最後の旗本」
 (そのひとさいごのはたもと)
徳間文庫



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*379頁
*発行 1990年
*カバーイラスト・濱野彰親 / カバーデザイン・池田雄一

*カバー文
 慶応三年、旗本・小場小四郎は京都にいた。討幕を企図する薩・長軍との戦いを前にして、若い血を燃やしていた。だが、鳥羽・伏見の一戦に敗れた小四郎は、すさんだ気持のまま、旗本の未亡人・おむらと刹那的な一夜をすごした。落城直後の大坂城で、小判を盗んだ幼なじみの新吉を斬ったのも、敗戦という向けどころのない憤りが原因だった。あくまでも幕臣として生き抜こうとする男の苦悩を描く歴史長篇。

*解説頁・福島行一


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「大楠公 楠木正成」 
(だいなんこう くすのきまさしげ)
徳間文庫



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*414頁
*発行 1990年
*カバーイラスト・濱野彰親 / カバーデザイン・池田雄一

*カバー文
元弘元年(1331)八月二十四日、神器を帯した後醍醐天皇は、にわかに京を脱し、奈良に疾った。笠置山に籠った帝は、鎌倉幕府を倒すべく、討幕の綸旨を発した。帝の志に応え、諸国の武将に先んじて兵を挙げたのが、河内国金剛山麓の赤坂に小城を構える無名の田舎武士、楠木正成であった。時に元弘元年九月十四日――この日、正成は光芒を発して歴史に登場したのであった。勇渾、華麗な筆致で描く歴史大作。

*解説頁・福島行一(防衛大学校教授 大佛次郎記念館研究員)


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「天皇の世紀」(全17冊) (てんのうのせき)
朝日文庫


*14巻カバー
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*発行 昭和52年〜53年
*カバー・村上豊

*紹介文
『天皇の世紀』は、大佛次郎の歴史小説。1967年1月1日から1973年4月25日まで「朝日新聞」朝刊に連載され朝日新聞社刊。 のちに明治天皇となる祐宮誕生、ペリーの黒船来航から戊辰戦争に至るまでの激動の幕末維新の時代を膨大な歴史資料を駆使して描いた作品。作者のライフワークとなったが、休載直後の1973年4月30日に死去したため未完となった。絶筆となった回の原稿の仕上げに「病気休載」と書いて締めくくっている。

*全巻内容
1 黒船渡来 / 2 地熱 / 3 大獄 / 4 反動 / 5 有志者 / 6 攘夷 / 7 義兵 / 8 長州 / 9 奇兵隊 / 10 逆潮 / 11 新しい門 / 12 大政奉還 / 13 波濤 / 14 江戸攻め / 15 新政の府 / 16 武士の城 / 17 金城自壊〈人名索引〉


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「猫のいる日々」 (ねこのいるひび)
徳間文庫


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*349頁 / 発行 1994年
*カバー写真=大佛次郎記念館 所蔵コレクションより
 撮影=矢藤修三
 カバーデザイン=東京図鑑

*カバー文
〈私の家に住んだ猫の数は五百匹に余る / 食事の時だけどこかから通って来るのがあった / 黒猫ばかりふえた時代があるかと思うと白猫ばかりの天下があった。両統対立の時代もあった〉
 仕事に向かうと、極端に無口で怒りっぽくなる心をなごませてくれるのが、猫であった。猫は人間に冷淡なので好きだ ―― そう述懐する著者の猫への眼差しは、どこまでも暖かい。
 猫に関する小説、童話、随筆を集大成。

*解説頁・福島行一


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「源実朝」
(みなもとのさねとも)
徳間文庫


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*284頁 / 発行 1997年
*カバーイラスト・佐多芳郎 / カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
 源氏の血統が自分で絶えることを予感し、官途の栄達を願った鎌倉三代将軍実朝。異例の早さで右大臣に昇進した翌年(承久1・1219)正月、鶴岡八幡宮での拝賀の式に臨んだ折、兄頼家の遺児・公暁(くぎょう)に殺され、予感は的中した。死に臨み、その胸中に去来したものは何だったのか? 母政子の実家・北条氏の内紛にまき込まれ、政治から逃避、和歌・管弦に親しみ、渡宋をも企てた実朝の生涯を描く歴史小説の名作。

*解説頁・福島行一


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「パナマ事件」 (ぱなまじけん)
大佛次郎ノンフィクション文庫 9 (朝日新聞社出版局)


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*373頁 / 発行 1983年
*カバー装幀・熊谷博人

*カバー文
一八六九年一一月、スエズ地峡に一大運河が開通する。
フランス人フェルヂナン・ドゥ・レセップスが発起し、一〇年の歳月を要した難工事であった。
レセップスは一躍時代の寵児となる。
スエズの成功で、やがて人々の目は太平洋と大西洋間に横たわるパナマ地峡にむかう。
夢は現実となって動きだし、七四歳のレセップスが再び登場する。
しかし自然の猛威の前に事業は頓挫。
資金調達の富籤付債券公募をはかる議会をめぐって、議員と金融業者が暗躍。
一大疑獄事件に発展する。
思いがけぬ罪を得た潔癖孤高の人レセップスの栄光と悲惨を描き、フランス議会の腐敗堕落をえぐった長編力作。


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「パリ燃ゆ(一)」 (ぱりもゆ)
大佛次郎ノンフィクション文庫 1 (朝日新聞社出版局)


*カバー装丁・熊谷博人
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*320頁 / 発行 1983年

*カバー文
流血のあった地面から芥子の花が咲くように、
けんらんとした時代が始る。
その門口に人は立っていた ―― (本書から)
一八五一年一二月、ナポレオン三世の軍隊は、銃火を市民に向けた。
無謀・無差別な殺戮だった。
二月革命から三年余、クーデターは成功したのだ。
そして一九年後、皇帝ナポレオンが君臨する花の都パリは、
爛熟と頽廃をきわめ、治政は崩壊の淵にあった。
普仏戦争の砲火はパリ市中にも及び
解放を求める市民の喚声が街巷に満ちる。
世界初の人民自治パリ・コミューンを謳う
一大叙事詩の開幕。


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「パリ燃ゆ(二)」 (ぱりもゆ)
大佛次郎ノンフィクション文庫 2 (朝日新聞社出版局)


*カバー装丁・熊谷博人
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*301頁 / 発行 1983年

*カバー文
皇帝ナポレオン三世の軍隊は、各地で釘づけとなった。
トゥールで、スダンで、メェッスで――。
プロシア宰相ビスマルクの強腰の前に、
フランスの将星たちは木偶と化したかのようだった。
ついに、スダンの城壁には降服の白旗が翻り、
ナポレオン三世は捕虜の身となる。
元帥バゼーヌが率いる将兵は、メェッスに在って動かない。
パリは包囲され、
市民は貧窮のどん底で、犬や猫まであさる日々である。
「更に数週間、メェッスのライン軍が持ちこたえていたら、ドイツ軍はパリの包囲を解かざるを得なかった」(ビスマルク)のだが……。


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「パリ燃ゆ(三)」 (ぱりもゆ)
大佛次郎ノンフィクション文庫 3 (朝日新聞社出版局)


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*279頁
*発行 1983年
*カバー装丁・熊谷博人

*カバー文
入城したドイツ軍が目にしたのは弔旗を垂れ、死んだように静まりかえったパリの街だった。だが、パリは死んではいなかった。占領を免れた地区の一角にある記念碑には、平等を示す赤い旗が掲げられ、人々は黙ったままそれを眺めた。パリ・コミューンへの第一歩が踏み出されたのだ。


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「パリ燃ゆ(四)」 (ぱりもゆ)
大佛次郎ノンフィクション文庫 4 (朝日新聞社出版局)


(画像拡大不可)

*284頁
*発行 1983年
*カバー装丁・熊谷博人

*カバー文
1871年3月18日、パリ市民が蜂起した。行政長官はヴェルサイユに遁走し、国民軍中央委員会がパリの支配権を掌握、コミューン革命は成った。しかし「コミューン宣言」もつかのま、内部矛盾につけ入るヴェルサイユ軍により、パリ市民の運命は再び、惨劇のただなかに漕ぎ出されていく。


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「パリ燃ゆ(五)」 (ぱりもゆ)
大佛次郎ノンフィクション文庫 5 (朝日新聞社出版局)


(画像拡大不可)

*252頁
*発行 1983年
*カバー装丁・熊谷博人


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「パリ燃ゆ(六)」 (ぱりもゆ)
大佛次郎ノンフィクション文庫 6 (朝日新聞社出版局)


(画像拡大不可)

*269頁
*発行 1983年
*カバー装丁・熊谷博人


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「ブゥランジェ将軍の悲劇」 (ぶぅらんじぇしょうぐんのひげき)
大佛次郎ノンフィクション文庫 8 (朝日新聞社出版局)


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*248頁
*発行 1983年

*カバー文
普仏戦争の屈辱的降服から17年、フランスの一巡査がドイツ領内に拉致された。アルザス、ロレーヌ2州の帰属をめぐって普仏間に緊張が高まる。ドイツ憎し、と英雄の登場を待ちわびるフランス国民の前に陸軍大臣の要職にあってナポレオンを夢みる若き将軍ブゥランジェが躍りでるが……。

*解説頁・上前淳一郎


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「細谷十太夫《からす組》(上下)」
(ほそだじゅうだゆう からすぐみ)
徳間文庫


*カバーイラスト・濱野彰親
 カバーデザイン・池田雄一
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*上375頁 / 下382頁 / 発行 1990年

*カバー文

伊達藩は官軍に恭順を表明していたが、藩内は揺れていた。そんなとき一つの事件が起きた。不意を襲われた藩士・細谷十太夫は相手は斬ったが、男は竹馬の友・箕作滝次郎だった。そしてその妻りえは十太夫の初恋の女だった。りえは十太夫を仇とねらうが官軍に捕えられ、救おうとした十太夫は官軍兵士を斬ってしまう。 ── この小さな事件が奥州の天地を血で染める戦になって行く。戊辰の役を描く時代長篇小説。


奥州鎮撫軍参謀・世良修蔵の暗殺にふみ切った仙台藩は開戦を余儀なくされた。親友を斬り、仇とねらわれる身の細谷十太夫は、討たれる覚悟を決めていたものの、戦雲急を告げる今となっては決起するしかなく、百姓・町人、さらには渡世人を糾合して一隊をつくった。その神出鬼没の戦ぶりに官軍は恐怖におとし入れられた。十太夫の肩に鴉がとまっているために、彼らはからす組と呼ばれた……。時代大作完結篇。


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「霧笛」
 (むてき)
徳間文庫



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*414頁
*発行 1989年
*カバーイラスト・濱野彰親

*カバー文
 文明開化の港町横浜の外人居留地。スリの現場を押えられ、そのまま拾われて英国人クウパーの邸で下僕となった千代吉。ある夜、ひょんなことで顔を出したあいまい宿の賭場で、花と名のる若い女に出会った。
 烈しい想いで逢瀬を重ねる二人だったが、真新しい洋館に住む花の、可憐な肢体の背後に、男の影がちらつきだした……。
 新時代の人情世相を描いて名作の誉れ高い表題作ほか「幻燈」を収録。

*解説頁 「ヨコハマ ― 大佛次郎が愛した街」福島行一(防衛大学教授・大佛次郎記念館研究員)


大佛 次郎 (おさらぎじろう)
「義経の周囲」
 (よしつねのしゅうい)
徳間文庫



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*250頁
*発行 1993年
*カバーイラスト・佐多芳郎

*カバー文
 藤原秀衡は「人間として鎌倉の頼朝も及ばぬほどに大きく、寛大で、北方の巨人なり王者の名に値した(中略)。人間として純粋に、義経に同情を持ち成人させ立派にしてから世間に送り還したのである」(「秀衡」より)
 義経が正史に足跡を記すのはわずかに二年。華麗なる戦績と、最期の悲劇性ゆえに、多くの伝説・物語を生んだ、その生涯にまつわる風物、人間を重厚に語る、珠玉の歴史エッセイ。

*解説頁・高橋克彦


小沢 昭一 (おざわしょういち)
「雑談にっぽん色里誌」 (ざつだんにっぽんいろざとし)
徳間文庫


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*477頁
*発行 1985年
*カバーイラスト・矢野徳

*カバー文
「赤線」に灯が消えて久しいが、ショーバイそのものがなくなったわけではない。だが、かつての“色里”にあった人々の放埓な活力は、すっかり消え失せてしまった。色里の“こころ”がなくなってしまった。 七十歳の現役娼婦の話、私娼窟の話など色里の売り手と、買い手でもあった芸人たちの話を集めた本書は、漂泊民の心を求めてやまない小沢昭一の『小沢昭一的こころ』の集大成である。

*解説頁・井家上隆幸


小沢 善雄 (おざわよしお)
「飛翔と回帰 国吉康雄の西洋と東洋」
(ひしょうとかいき)
岡山文庫(日本文教出版)



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*229頁 / 発行 1996年

*目次
 プロローグ
第一章 東洋から西洋へ
第二章 アメリカ西海岸
第三章 ニューヨークの仲間たち
第四章 ダニエル画廊とデビュー
第五章 ヨーロッパで学んだもの
第六章 離婚・独立
第七章 女性像の秘密
第八章 戦争と表現
第九章 心情的道化師
第十章 西洋から東洋へ
 エピローグ
 収録図版リスト


織田 正吉 (おだしょうきち)
「絢爛たる暗号 百人一首の謎を解く」
(けんらんたるあんごう)
集英社文庫



*カバー・後藤市三
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*352頁 / 発行 1986年

*カバー文
鎌倉時代、歌人藤原定家が撰んだとされる『百人一首』 ── 、だが何故、類似の句が多く、また秀作に混り愚作・駄作が撰ばれ、そして何故“百首”なのだろうか。著者の素朴な疑問は、前人未踏の謎に挑戦、緻密に大胆にミステリー・タッチで核心に迫る。

*目次
 百人一首の驚き 田辺聖子
はじめに ── この本の要約
序章 謎の歌集『百人一首』
第一章 こわされた壷
第二章 同じ語句よく似た歌
第三章 言語遊戯としての和歌
第四章 つながりあう百首
第五章 流されびとの歌集
第六章 定家と後鳥羽院
第七章 もう一つの謎『百人秀歌』
第八章 配列を復元する
第九章 秘めたる恋・式子内親王
第十章 絢爛たる暗号
終章 不思議の国の定家
 参考資料 / 文庫版のためのあとがき / あとがき ── 遊びのための


織田 文二著・茶園 義男監修 (おだぶんじ・ちゃえんよしお)
「看守が隠し撮っていた 巣鴨プリズン未公開フィルム」
(すがもぷりずんみこうかいふぃるむ)
小学館文庫


*「私は貝になりたい」より、
 フランキー堺(右)と佐分利信(TBS提供)
 カバーデザイン・大野鶴子+Creative・Sano・Japan
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*213頁 / 発行 2000年

*カバー文
東京・池袋、林立する高層ビル群の真下に、かつて我が国未曾有の試練となった「東京裁判」のもう一つの舞台「巣鴨プリズン」があった。東條英機ほか戦犯60名の処刑が行われた場所でもある。1945年から13年の間、この収容所におびただしい数の、戦犯・容疑者たちの日々があった。報道の立ち入りの許されなかったこの施設の全貌はほとんどしられていない。元看守によって密かに隠し撮られたこのフィルムがなかったとしたら、それは歴史の闇に埋没してしまっただろう。

*目次
「東京裁判」その光と影
 日本の一番長い日 / ポツダム宣言 / 御前会議 / 戦争犯罪人 / 米軍進駐 / 戦犯容疑者逮捕指令 / 戦犯収容施設 / 巣鴨プリズン誕生 / 戦争裁判開始 / 戦争裁判の裏側 / パターン死の行進 / 東京裁判開廷 / 東京法廷への動議 / 爆弾発言 / 立証の不公平 / 南京大虐殺 / 東條英機の戦い / 判決 / A級戦犯七名の処刑
二〇世紀の残像
 巣鴨プリズン未公開フィルム
歴史の足あと
 去る人、来る人 / 巣鴨の生活 / 米軍管理から日本管理へ / 巣鴨プリズン三大事件 / 戦犯への慰問 / 巣鴨プリズンの風景 / 巣鴨プリズン解散 / エピローグ
巣鴨プリズン年表
あの時代にも心優しいアメリカ人がいた 東京裁判傍聴記 中村喜春


小田切 秀雄 (おだぎりひでお)
「明治文学史」
(めいじぶんがくし)
潮文庫



*カバー・田辺輝男
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*411頁 / 発行 昭和48年

*目次
 はじめに / 初刊本「序」
序章 近代文学前史
 一 日本近代文学の四百年と百年 / 二 近代文学の諸前提 ―“近世文学”と“近代文学”の関係 / 三 日本近世文学史の展望 ― 芭蕉・西鶴から人情本や武家文学まで
第一章 近代文学への過渡期 ― 明治維新から啓蒙文学時代へ
 一 革命的状況と文学不在 / 二 明治初年 ― 権力と民衆と文学 / 三 “文明開化”への江戸戯作者の即応 / 四 歌舞伎の変化 ― 河竹黙阿弥 / 五 漢文体の文学
第二章 啓蒙文学の時代
 一 “啓蒙期”の範囲 / 二 啓蒙思想家たちの散文 ― 明治最初の古典 / 三 翻訳文学の流行 / 四 文学と自由民権運動 ― 政治小説、およびそこでの実現しなかった可能性 / 五 近代的文学観念と方法と批評との移植、展開 ―『小説神髄』の成立 / 六 文学“改良”の諸動向 ― 『新体詩抄』、和歌改良、演劇改良 / 七 国民語の形成と“言文一致”の試み
第三章 近代文学生誕と文壇の形成
 一 二葉亭四迷『浮雲』の登場 / 二 確立された天皇制と文学独自のコース / 三 硯友社と“文壇”の形成 / 四 尾崎紅葉、幸田露伴およびその他の作家たち
第四章 近代浪漫主義の成立 ― 文芸思潮の形成
 一 浪漫的動向と近代的自我 / 二 文芸思潮の形成へ ― 『しがらみ草紙』、逍鴎論争、『蓬莱曲』 / 三 北村透谷と『文学界』(第一次)のグループ / 四 短歌、俳句の近代的再生へ ― ナショナリズムと正岡子規 / 五 “写生”の成立と『ホトトギス』 / 六 『国民之友』グループ、大西祝、中西梅花
第五章 浪漫主義の高揚
 一 日清戦争の“戦後文学” ― 深刻小説・観念小説および樋口一葉 / 二 田岡嶺雲と高山樗牛 / 三 社会小説および通俗小説、家庭小説 / 四 近代詩の成立と発展 ― “新体詩”時代 / 五 短歌革新 / 六 明星派の“星菫調”と与謝野晶子『みだれ髪』 / 七 徳富蘆花 ― “田舎紳士”の文学から社会主義小説へ / 八 木下尚江『火の柱』と社会主義詩人グループ
第六章 自然主義・反自然主義 ― 日露戦争後の近代文学確立期
 一 浪漫主義から自然主義へ / 二 日本近代リアリズムにおいての“写生”派の役割 / 三 島崎藤村『破戒』と田山花袋『蒲団』 / 四 自然主義の作品と評論 / 五 私小説への傾斜と国民文学の方向と / 六 反自然主義の概観 / 七 夏目漱石とその系列 / 八 森鴎外および『スバル』『三田文学』 / 九 白樺派の登場 / 一〇 自然主義を越えるもの ― 石川啄木と『火鞭』
終章 大正文学へ ― 大正文学の一般的性格
 明治文学史年表 / 人名索引



小野 稔 (おのみのる)
「森蘭丸」〈上〉
 (もりらんまる)
大陸文庫



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*605頁・上下巻全二冊
*発行 1988年

*カラーイラスト・中川惠司

*カバー文
天正四年、石山本願寺攻め目前の信長に、お側近く仕えることになった若者がいた。―兵法に通じた美少年、森蘭丸。中世の魔王と恐れられた信長に従い、戦乱の世を清冽に駈けぬけた、惑いに満ちた魂を描く長編歴史小説。


小野田 寛郎 (おのだひろお)
「わが回想のルバング島」
(わがかいそうのるばんぐとう)
朝日文庫


*カバー装幀・西垣泰子
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*305頁 / 発行 1995年

*カバー文
敗戦後三十年間戦い続け、1974年3月、フィリピン・ルバング島から帰国をはたした元陸軍少尉・小野田寛郎。度重なる捜索隊の呼びかけにも応じず、「残置諜者」として上官の命令を遂行し続けた日々、戦友の死、帰還、そして家族との再会……。祖国生還の恩人・鈴木紀夫の死を機に綴った感動の手記。

*目次
 はじめに
第一章 ルバング島の出会い
第二章 ルバング島へ
第三章 赤津勇一一等兵の投降
第四章 島田庄一伍長の死
第五章 終戦28年目の小塚金七の“戦死”
第六章 大捜索隊を泳がして
第七章 なんたるザマだ、このおれは
第八章 祖国への生還と狂騒の日々
第九章 ヒマラヤへ慰霊の旅
 おわりに / 文庫版あとがき

*関連書(サイト内リンク)
 鈴木紀夫 「大放浪 ― 小野田少尉発見の旅」 朝日文庫


尾上 圭介 (おのえけいすけ)
「大阪ことば学」
(おおさかことばがく)
岩波現代文庫



*カバー・章扉イラスト=はるき悦巳
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*232頁 / 発行 2010年

*カバー文
客のややこしい注文には「惜しいなあ、きのうまであってん」と切り返す。動物園のオリの前の立て札には「かみます」とだけ書いてある。距離をとらずにさっぱりと、聞いて退屈せんように、なんなと工夫して話すのでなければ、ものを言う甲斐がない。誤解されがちなことばの意味と背後にある感覚を、鋭く軽快に語る大阪文化論。

*目次
 大阪商人の秘けつがわかる『ことば帳』(金田一春彦)
第一章 なんなと言わな、おもしろない
第二章 せっかくものを言うてくれてるのやから
第三章 ネンが足らんは念が足らん
第四章 言うて、言うてや、言うてんか
第五章 理づめで動くが理くつ言いはきらい
第六章 よう言わんわ
第七章 ぼちぼち行こか
第八章 待ってられへんがな
第九章 大阪弁は非能率的か
第十章 大阪弁は非論理的か
第十一章 笑い指向と饒舌の背後にあるもの@
第十二章 笑い指向と饒舌の背後にあるものA
 内なる大阪ことばを求めて―あとがきの代わりに ―― あとがきの代わりに
 解説(井上宏)


尾上 柴舟 (おのえさいしゅう)
「歌集 日記の端より」
 (かしゅうにっきのはしより)
短歌新聞社文庫



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*126頁 / 発行 平成5年

*カバー文
日記の端より五首
つけ捨てし野火の烟のあかあかと見えゆく頃ぞ山は悲しき
春の谷あかるき雨の中にして鶯なけり山のしづけさ
立ちがれの木の肌しろく暮れ残る山の谷間の春のたそがれ
奈良に来て猶われは我いにしへの人は人なる思ひをぞする
外套に草の実すこしつけながれ冬なる家に野よりかへりぬ

*目次
旅のうた … (二百十四首)
をりをりの歌 … (三百六十三首)
解説 … 高嶋健一


小幡 陽次郎 / 横島 誠司 (おばたようじろう/よこしませいし)
「名作文学に見る『家』 ― 謎とロマン編」
 (めいさくぶんがくにみるいえ なぞとろまんへん)
朝日文庫



*カバー装丁=日下充典
 撮影=杉浦章浩
 協力=インターデコ・ワコア
      叶島織物
      潟gミタ

(画像はクリックで拡大します)

*253頁
*発行 1997年

*カバー文
「夢想大工」を自称する読書家と建築家が、日本と世界の傑作から、その舞台となった「家」や「店」などのイメージを読みとって、具体的に間取り図を描きおこしてみせる。空想の翼を広げる喜び、自分の想像していた空間と比べてみる面白さ…名作を二度楽しみたい人のための、楽しい文学ガイド。

*目次
まえがき
謎の「家」
海外文学に見る世界の「家」
名作文学を彩る「店」「集合住宅」など
あとがきにかえて
解説 山崎浩一


小原 敏彦 (おばらとしひこ)
「人見絹枝物語 ― 女子陸上の暁の星」
 (ひとみきぬえものがたり)
朝日文庫



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*302頁 / 発行 1990年

*カバー文
日本女子スポーツ黎明期の1920年代、陸上競技界に彗星のごとく現れ、いくつもの世界記録を書きかえた人見絹枝。単身参加した万国女子競技会スウェーデン大会での個人優勝、アムステルダムオリンピックでドイツ人選手と演じた800メートルレースでの死闘は、世界中の人々に感銘を与えた。24年と8カ月の短い人生を全力で走り抜いたアスリートの、波乱に満ちた青春を追いながら、大正から昭和初期にかけての女性と運動競技の状況を探る。

*目次
バッサイ絹枝
最初の陸上競技会
二階堂体操塾
ひとりぼっちの大活躍
初めての敗北
アムステルダムオリンピック開幕
別れ道
充実期
一路プラハへ
第三回万国女子オリンピック大会
故国への苦しい旅
苦しみは止まず
最後の闘い
資料 人見絹枝略年譜 / 人見絹枝が残した主な記録


折口 信夫著 / 富岡 多惠子編 (おりぐちしのぶ / とみおかたえこ)
「釈迢空歌集」
(しゃくちょうくうかしゅう)
岩波文庫


*カバー=中野達彦
カバー書=釈迢空自筆短歌(本書一八頁に掲載)
「人も 馬も 道ゆきつかれ死に々けり。
旅寝かさなるほどの かそけさ」
(国学院大学折口先生記念古代研究所所蔵)
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*352頁
*発行 2010年

*カバー文
民俗学者折口信夫のもう一つの顔、歌人釈迢空(しゃくちょうくう)。両者は一にして二ならず。生涯歌に憑かれた詩人は、古代のいぶきを山に、海に、旅に感受し、みずからの息づきとした。「永久なるものを我は頼むなり」 ―― 幽明にひそむ生の躍動は、永遠の命へと読む人をいざなう。

*目次
海やまのあひだ
春のことぶれ
水の上
遠やまひこ
天地に宣る
倭をぐな
短歌拾遺
 折口信夫略年譜
 解説(富岡多恵子)
 初句索引