絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【や】

八木 重吉 (やぎじゅうきち)
「八木重吉詩集」
(やぎじゅうきちししゅう)
芸林21世紀文庫



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*128頁
*発行 2002年
*表紙装画・新井深

*目次
秋の瞳
貧しき信徒
重吉詩稿
花と空と祈り(重吉詩稿補遺)

八木重吉年譜
八木重吉の詩 高野喜久雄


八木 秀次 監修 (やぎひでつぐ)
「精撰『尋常小學修身書』 明治・大正・昭和……親子で読みたい」
(せいせんじんじょうしょうがくしゅうしんしょ)
小学館文庫


*カバーデザイン・渡辺和夫(watanabe Office)
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*409頁 / 発行 2002年

*カバー文
「人をそしるのは、天に向かってつばきするようなものです」「それ財をつまんと欲せば、必ず貧を守れ。貧を守れば、よく倹約を行うを得、必ず富を致すを得べし。富を致すは、微を積み、大に至るを要とす」「びんぼうが安芳(勝海舟)をほろぼすか、安芳がびんぼうを打ち負かすか。一生けんめいになって戦い続けました」。
 ここには日本人がないがしろにしてきた美徳がある。時代を生き抜く知恵がある。正直、謙遜、礼儀、勤勉、責任、友情、公益、勇気など、日本人の心を育てた修身書から、現代にも通じる感動の137編を精撰。
 1日15分、我が子、孫と声に出して読んでみませんか。

*目次
はじめに
Basics 基本(第一期・尋常小学第二学年)全文
1 Honesty 素直な心を持つ(正直・誠実・良心)
2 Discretion 自分を慎む(謙虚・質素・倹約・寛容・報恩・整理整頓・健康)
3 Courtesy 礼儀正しくする
4 Self-discipline 自分の行ないを律する(自己規律)
5 Ambition 夢を持つ(志を立てる・進取の精神)
6 Diligence 一生懸命に働く(勉強・学問・仕事・勤勉・努力)
7 Endurance つらさを乗り越える(忍耐・辛抱・克己)
8 Courage 困難に立ち向かう(勇気)
9 Responsibility やるべきことを成し遂げる(責任)
10 Rationalism 合理的精神を持つ
11 Obseruance of Rules ルールを守る
12 Devotion to family 家族を尊ぶ(夫婦・親子・兄弟・祖先)
13 Friendship 友だちを大切にする(友情)
14 Sympathy for Others 思いやりの心を持つ(同情・博愛)
15 Cooperation 力を合わせて(協力)
16 Public Spirit みんなのために(公益)
17 As Japanese 日本人として
18 Pure Life 美しく生きる(まとめ)
 監修者解説 八木秀次


安田 義章監修 (やすだよしあき)
「未亡人の誘惑 明治・大正『幻の浪漫文庫』B」
(みぼうじんのゆうわく)
二見文庫―クラシック・アート・コレクション


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*249頁
*発行 1992年

*紹介文
壊かしき大正時代のエロス館。発掘された幻の秘画と艶本で甦る大正ロマン。近代浮世絵師たちの戯作の粋。〈性の哲人・高橋鐵〉のもとに秘蔵されていた秘画・艶本の名作を初めて公開。

*目次
春色十二景 / 未亡人の誘惑 / 犠牲 / 南十字星 / 大正秘帳名作選 / 奇遇 / 地獄の女 / 夫婦の秘録


保田 與重郎 (やすだよじゅうろう)
「ヱルテルは何故死んだか」
(ゑるてるはなぜしんだか)
保田與重郎文庫5(新学社)


*表紙カバー書・保田與重郎
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*111頁・旧仮名旧字体 / 発行 2001年

*カバー文
〈新ぐろりあ叢書〉の一冊として昭和十四年十月に刊行された本書は、同十一年に出た事実上の第一評論集『英雄と詩人』で扱った主題と関心を、さらに発展深化させた稀有の文芸評論の書である。
資本主義とともに普遍化してゆく西欧近代の発想に早くから疑念を抱いていた保田は、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」の背後に、近代の無惨を知って主人公を殺さざるを得なかった作家の明察と、東洋に目を向けようとする芸術家の精神を読み取った。戦後になって著者自ら筆を執った「解題」で「私の近代否定論が、どういふ骨格かといふことを、理解して欲しいので、この本を出した」と述べているところからも窺えるように、文学批評の枠を超えた究極の文芸評論、文明論として光彩を放つ異色作である。

*目次
ヱルテルは何故死んだか
ロツテの辯明
 解説 山城むつみ


保田 與重郎 (やすだよじゅうろう)
「日本浪曼派の時代」 (ろまんはのじだい)
保田與重郎文庫19(新学社)


*装丁・水木奏
 カバー書・保田與重郎
 文庫マーク・河井寛次郎
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*382頁・旧仮名旧字体 / 発行 1999年

*カバー文
昭和四十四年十二月、至文堂から刊行された本書は、「国文学解釈と鑑賞」の昭和四十二年四月号から二十六回に亘って連載された稿を一本としたものである。
大阪高校の級友たちと始めた同人誌「R火」の後身ともいうべき「コギト」に拠って、本格的な執筆活動を開始した保田は、昭和十年に至って中谷孝雄、亀井勝一郎らとともに「日本浪曼派」を創刊する。同誌は後に佐藤春夫、萩原朔太郎、伊東静雄、太宰治なども参加するに及んで一大文学運動の観すら呈した。
本書は戦争を挟んで三十年後に、当時の交友や文学者の消息、文学界の事情などを回想した書である。併し単なる文学史の資料や時代の証言の類とは趣きを異にし、自らのめざした文芸の質を振り返って確認しようとした確信的なメモアールと云うべきであろう。

*目次
一つの文学時代
「コギト」の周辺
日本浪曼派の気質
近代終焉の思想
日本的の論
わが「日本文学」
 解説 新保祐司


安本 美典 (やすもとびてん)
「神武東遷」 (しんむとうせん)
徳間文庫


*カバーデザイン・秋山法子
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*251頁 / 発行 1988年

*カバー文
《この本は、神武天皇の実在証明の本である。神武非実在説は、おもに『古事記』『日本書紀』の分析による。しかし、その方法と結論のだしかたは、主観や先入観が、いちじるしくはいりやすい方法によっている。新しい、客観的な文献学によるとき、非実在説は矛盾が大きく、逆の結論がみちびきだされる》(本文より)
 数理文献学的手法を駆使して、日本古代史への新たなアプローチを確立した名著。

*目次
プロローグ
T 新しい文献学 ―― この本の方法と立場
 1 文献の科学 2 邪馬台国の問題 3 文献学の潮流
U 神武伝承の構造 ―― テキストの分析
 1 『古事記』と『日本書紀』 2 事件のあった年月日 3 地名説話 4 歌謡 5 氏族の祖先の物語り 6 帝紀的部分
V 神武天皇の時代 ―― 東遷は三世紀末か
 1 信頼できる記事はなにか 2 年代の推定 3 記紀の伝承と『魏志倭人伝』 4 九州から大和へ
資料 神武伝承の現代語訳(『古事記』『日本書紀』)
エピローグ
 解説 鯨清


矢田 喜美雄 (やだきみお)
「謀殺 下山事件」
(ぼうさつしもやまじけん)
新風舎文庫


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*485頁
*発行 2004年
*カバーデザイン・中澤裕志 (super material,inc.) / カバーイラスト・岩崎政志

*カバー文
昭和二十四年(一九四九)七月六日、午前零時二十分ころ、東京郊外の常磐線・下り線レール上で中年男性が列車に轢かれた。初代国鉄総裁・下山定則氏である。総裁は五日の朝、車で自宅を出て日本橋・三越に立ち寄ったあと消息を断っていた。その日は、国鉄従業員十万人の大量首切りが発表された翌日であった。
総裁は自殺したのか? 殺されたのか? その真相はいまだ解かれぬ謎のままである。
新聞記者だった著者が真実を追究し書き上げたドキュメント。


柳澤 愼一 (やなぎさわしんいち)
「明治・大正スクラッチノイズ」
(めいじたいしょうscratchnoise)
ウェッジ文庫


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*413頁
*発行 2009年
*カバーイラスト・和田誠

*カバー文
 オッペケペー節からセントルイス・ブルース、立小便禁止令から歌舞伎の歴史まで、明治〜大正の社会・風俗・政治・教育・文化そして大衆芸能の出来事を、ヒット曲にのせて縦横無尽に語り倒したジャズ講談。一冊に百冊分の情報が詰まっていると永六輔氏も吃驚仰天。西郷隆盛からフレッド・アステア、エノケン、キートン、サッチモと、登場人物は無慮数千人。語るはジャズ歌手、声優、俳優にして稀代の雑学王・柳澤愼一。


柳沢 一博・監修 大内 一憲 近藤 雅和 (やなぎさわかずひろ・おおうちかずのり・こんどうまさかず)
「戦争映画名作選 第2次大戦映画ガイド」
 (せんそうえいがめいさくせん)
集英社文庫



*カバー写真・オリオンプレス
 PPS通信社
 AD・岡邦彦
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*367頁 / 発行 1995年

*カバー文
壮大な戦場シーン、抵抗できない運命、恋愛、悲喜劇……第2次大戦を描いた映画は数多い。そして映画史上に残る名作、大作揃い。その主要作品144本を、開戦前夜から戦後処理までの“戦線別”“テーマ別”に配し、ひと味違った歴史の姿をくっきりと浮かび上がらせる。まさに《映画で観る第2次大戦》!

*目次
はじめに
第T部 ヨーロッパの戦い
 第1章 ― 第2時対戦前夜 / 第2章 ― フランス・レジスタンス / 第3章 ― バトル・オブ・ブリテン / 第4章 ― ロシア戦線 / 第5章 ― ヨーロッパ各地の情勢 / 第6章 ― 北アフリカ戦線 / 第7章 ― イタリア戦線 / 第8章 ― Dデイ、アルデンヌの戦い / 第9章 ― ベルリン陥落とドイツの降伏 / 第10章 ― 戦争犯罪・復員
第U部 アジア・太平洋の戦い
 第1章 ― 日中戦争 / 第2章 ― 日米開戦と太平洋戦争 / 第3章 ― 南方戦線 / 第4章 ― 沖縄戦と原爆投下 / 第5章 ― 日本降伏、戦争責任
第V部 海と空の戦い・補虜と市民
 第1章 ― 海の戦い / 第2章 ― 空の戦い / 第3章 ― 捕虜収容所、または救出作戦 / 第4章 ― ホロコースト / 第5章 ― 戦時下の市民生活、または女性 / 第6章 ― 戦時下の愛
地図 略年表 / 選外戦争映画リスト / あとがき / 索引


柳田 国男 (やなぎだくにお)
「不幸なる芸術・笑の本願」
 (ふこうなるげいじゅつ・わらいのほんがん)
岩波文庫



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*277頁
*発行 1979年

*帯文
人生をすこしでも明るく面白くするためには何が必要不可欠かという強烈な問題意識に貫かれた異色の文芸論13篇(解説=井上ひさし)


柳田 国男 (やなぎだくにお)
「こども風土記 母の手毬歌」
 (こどもふどき・ははのてまりうた)
岩波文庫



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*328頁
*発行 1976年

*帯文
日本の各地に伝わる子供の遊びをとりあげた短文集「こども風土記」と戦時下の疎開児童のための読物として書かれた「母の手毬歌」。


柳原 良平 (やなぎはらりょうへい)
「柳原良平 船の本@ 船旅絵日記」
 (やなぎはらりょうへいふねのほん)
徳間文庫



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*333頁
*発行 1986年
*カバーイラスト・柳原良平

*カバー文
 船の旅には目的地はない。港から港へと発着の場所はあっても、目的は港ではない。洋上で見る海と空、のんびりとした毎日、パーティーやゲーム……船旅の目的は船そのものなのだ。
 船上での過ごし方、パーティーのマナーから乗船客とのつき合い、クルーズ船の選び方のノウハウまで、船キチを自認する著者が豊富な体験をもとに、素敵な絵とエッセイで綴った旅情溢れる船旅のすすめ。

*解説頁・斎藤茂太


柳原 良平 (やなぎはらりょうへい)
「柳原良平 船の本B 船図鑑」 (やなぎはらりょうへいふねのほん ふねずかん)
徳間文庫


*カバーイラスト・柳原良平
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*389頁 / 発行 1988年

*カバー文
 船旅を楽しむには、まず船を知ること。丸木船から葦船、帆船、蒸気船へと、船の移り変りを眺め、船の構造と船の現在を知る。船旅は船の知識あってこそ面白い。船のことなら何でもござれの著者が、古今東西の船の歴史から、わが国の船舶史、世界の帆船、はては航海術、船の信号、船乗りの制服、ロープの結び方まで、ユニークな絵とエッセイで綴ったウンチク満載の船図鑑。口絵、好評カラーイラスト。

*目次
第一章 船の歴史六〇〇〇年
 1 船のはじまり / 2 帆船時代 / 3 世界大航海時代 / 4 蒸気船時代 / 5 現代の船
第二章 良平の船舶史
 1 日本郵船八十年史 / 2 大阪商船八十年史 / 3 三井船舶五十年史 / 4 Kラインの五十年 / 5 山下新日本汽船
第三章 良平の帆船パレード
 1 世界の現役帆船 / 2 復元された帆船 / 3 各地の保存帆船
第四章 良平の商船学校
 1 船長さん / 2 船乗りになる道 / 3 船乗りの制服一覧図 / 4 ボクの航海術 / 5 船の信号をおぼえよう / 6 ロープの結び方 / 7 商船学校練習船一覧図
第五章 良平の船図鑑
 1 世界の船・日本の船(25隻の断面図)

 あとがき / 解説 阿川弘之


柳原 良平 (やなぎはらりょうへい)
「船旅の絵本」
 (ふなたびのえほん)
徳間文庫



*カバーイラスト・柳原良平
 カバーデザイン・矢島高光
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*220頁 / 発行 1986年

*カバー文
 船の旅が見直されている。飛行機や新幹線での、瞬時に目的地に着く旅に、旅情はない。船旅は、果てない海原のかなたに想いを馳せながら、のんびり時間をすごすこと。船そのものが浮かぶ観光地であり、楽園なのだ。目的地は船、着く港々は、背景にすぎない。
 船旅のすごし方から、世界の港点景、豪華客船の舞台裏まで、素敵な絵とエッセイで綴る船旅への誘い。

*目次
第一部 船の旅
 船旅をすすめるコマーシャル / 出帆 / キャビン / パーティー / バー / メニュー / エンターテインメント / デッキ・チェア、プール / 船酔い / 海と空 / 洋上大学 / パッセンジャー・リスト / 入港 / 船旅の事務的な手続き
第二部 世界の港
 ニューヨーク港 / サンフランシスコ港 / ロスアンゼルス港 / ホノルル港 / サウサンプトン港 / ル・アーブル港 / ナポリ港 / ホンコン港 / 基隆港 / 仁川港
第三部 世界の客船
 フランス / クイーン・エリザベス2世 / オシアニック / S・A・バール / ソング・オブ・ノルウェー
初刊本あとがき
文庫版あとがき
解説 山口瞳



柳家小満ん (やなぎやこまん)
「柳家小満ん『塩原多助一代記』を読み解く 落語で愉しむ江戸の暮らし」
(「しおばらたすけいちだいき」をよみとく)
光文社知恵の森文庫


*カバーデザイン・安彦勝博
 カバー写真・山田雅子
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*223頁
*発行 2013年

*カバー文
『塩原多助一代記』は、わずか六百文の銭を懐に上州から江戸に出てきた塩原多助が数々の機転を利かせ、本所で始めた炭薪の商いにより、一代で三十万両の身代を築き、二十四カ所の地所持ちになったという立身出世物語です。柳家小満んの軽妙洒脱な語りで、おおらかで心豊かな江戸の暮らしぶりと共に初代三遊亭圓朝屈指の名作をお楽しみください。


矢野 誠一 (やのせいいち)
「三遊亭圓朝の明治」
(さんゆうていえんちょうのめいじ)
朝日文庫


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*256頁 / 発行 2012年
*カバー装幀・桂川 / 井上安治『向島桜〈版画東京百景〉(部分)』(東京都江戸東京博物館 / Image:東京都歴史文化財団イメージアーカイブ)

*カバー文
明治維新後、三遊亭圓朝は政府に要人に近づき、時代に相応しい文化人を目指す。だがそれは一方で落語の伝統を否定し、藝人としての己の居所場を失わしめる行為だった。日本の大転換期に翻弄されつつも、したたかに生き抜いた名人の栄光と屈折を描く本格評伝。

*目次
二つの時代
  近代落語の祖 / 漱石の圓遊論
一 江戸の人気者
  圓朝の家系 / 師圓生との確執 / 絵ごころ / 売物の芝居噺 / 圓生の門に転じた弟子 / 師弟関係 / 緋の襦袢 / 断髪 / 若き日の醜聞
二 歴史転換の観察者
  御一新 / 上野の戦争 / 徳川贔屓 / トンキヨー / 素噺への転向 / 三条ノ教憲
三 禅と山岡鐵舟
  禅の講義を受ける / 桃太郎を所望 / 熱心な参禅 / 無舌の悟り / 鐵舟の最期 / 都会文化の教師役
四 不肖の倅
  生涯の重荷 / 名妓だった妻 / 掏摸の手先 / 酒びたり / 落語家志望 / 朝太郎廃嫡
五 幽霊との訣別
  怪談噺の傑作 / 「眞景」イコール「神経」 / 泥棒伯圓、転じて新聞講談の伯圓 / 怪談だった鹽(塩)原太助 / 十六年かかった代表作 / 立身出世ストーリー / 修身の教科書に / 多助先生とピューリタン / 御前口演はあったか
六 晩年
  引退表明 / 席亭への不満 / 挫折した寄席改革 / 歌舞伎座で大当り / 名人の名前だけがひとり歩き / 大阪からの出演依頼 / 地方出身者と江戸の藝 / 孤独な名人藝 / ふたたび高座へ
七 門弟圓遊
  紺屋の倅 / ステテコ踊り / 寄席四天王 / 花の圓遊 / 新時代への同化と模索 / 圓朝の複雑な思い / 新しい客層をつかむ / 文明開化の風俗詩人
名跡
  大師匠の称号 / 幻の二代目
あとがき
朝日文庫版あとがき
『三遊亭圓朝の明治』関連年譜
解説 中野翠



山岡 古都 (やまおかこと)
「京の形 ― 日本文様図集」 (きょうのかたち)
京都書院アーツコレクション


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*発行 平成10年

*紹介文
京で染められた和服の文様の中から、代表的な図案約150点を収録。写実的な花やデフォルメされた花や木、鶴、人、流水、波、扇、御所車、御簾、風景、またその取りあわせなど美々しい世界が展開される。


山口 治子 (やまぐちはるこ)
「瞳さんと」
(ひとみさんと)
小学館文庫


*装幀・菊地信義
 カバー写真・田沼武能
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*346頁 / 発行 2012年

*カバー文
 作家・山口瞳夫人が明かす「本当の瞳さん」。没して十六年、なお熱狂的な読者に支持され続ける直木賞作家・山口瞳。その瞳に長年、寄り添ってきた夫人が初めて語った創作の舞台裏と、せつなくも温かい夫婦愛の記録がここにある。
 『江分利満氏の優雅な生活』『男性自身』などの伝説的作品ほか、『人殺し』『血族』などの名作を残した山口瞳の真の執筆模様は迫力にあふれ、作家の業を垣間見ることになる。
 二〇〇七年、山口瞳フリークを感涙させた話題の単行本が、ついに待望の文庫化。文庫版あとがきに代えて、著者と「聞き書き」者との数えきれない手紙のやりとりも掲載。

*目次
序章 / 出会い / 結婚 / 直木賞受賞 / 家族 / 国立に転居 / 人殺し / 血族 / 文壇の先輩 / 別れ / あとがき / 補遺 / 文庫版あとがきに代えて 中島茂信


山口 廣+日大山口研究室著・宮本 和義写真 (やまぐちひろし・にちだいやまぐちけんきゅうしつ・みやもとかずよし)
「近代建築再見 生き続ける街角の主役たち (上下巻)」
(きんだいけんちくさいけん)
エクスナレッジムック




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*上395頁 / 下349頁
*発行 2002年
*表紙・カバーデザイン・春井裕

*帯文
一九八二年の早春、近代建築再見の旅が始まった。先ずは俳聖芭蕉のひそみにならい奥の細道に向ったのを思い出す ─ (本文より)
五年の歳月をかけ、明治・大正・昭和戦前に建てられた全国の近代建築を訪ね歩き、その建築がもつ魅力を余すところなく収録。


山口 瞳 (やまぐちひとみ)
「青雲の志について ― 鳥井信治郎伝」
 (せいうんのこころざしについて)
集英社文庫



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*171頁
*発行 1981年
*カバー・柳原良平

*カバー文
単なる儲け主義ではなかった。赤玉ポートワインで莫大な利益を得ながら、何故危険を冒してまで、日本初の国産ウイスキー製造に取り組んだのか? 明治中期に生まれ、大正・昭和の激動期を生き抜いた“洋酒の寿屋”の創始者の半生を描く栄光の物語。

*巻末頁 〈鼎談解説〉 ウイスキーあ・ら・かると 矢口純 / 柳原良平 / 山口瞳

山口 瞳 (やまぐちひとみ)
「伝法水滸伝」
 (でんぽうすいこでん)
集英社文庫



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*290頁
*発行 1977年
*カバー・山藤章二

*カバー文
♪義理と人情は涙が先よ。サレバ天保15年……。軽率さは遺伝するものだろうか。私の祖父の祖父は、笹川勢との対決の際、飯岡勢にいた。のち“元締”と呼ばれた。私は、そいういう血を感じる。最大の表われは軽率。ヤクザの家系に自嘲をこめたユニークな私小説風表題作ほか「繁蔵御用」「天地衰弱説」「機上位」「麻雀必勝法」「林間ホテル」「鯉」など初期短篇7篇を収録。 解説・村島健一


山口 瞳 (やまぐちひとみ)
「どこ吹く風」 (どこふくかぜ)
集英社文庫



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*287頁 / 発行 昭和57年
*カバー・大沢昌助

*カバー文
嵐もあれば、風も吹く。出世、恋愛、離別、停年。微妙な屈折や挫折にも耐えに耐え、傷つきながらも志高く、我が道をひたすら生き抜くマジメ人間。世間の荒波にたちむかう泣き笑い人生の深淵をユーモアとペーソスをおりまぜて綴る。連作小説十九篇を収録。 解説・高橋呉郎

*目次(収録作品)
春さきのベンチ / 背後の声 / ホテルの匂い / ちいさい希望 / 蝦蛄(しゃこ)の町 / 子供のとき / 駄目な男 / 三の酉 / 昼の月 / 赤い部屋 / 蟹のように / 稲瀬川 / ちりぢりに / 眼鏡 / 頭を洗う / 眺める / 夜の蝉 / 寺本、やってみろ / 長い道


山口 玲子 (やまぐちれいこ)
「女優貞奴」 (じょゆうさだやっこ)
朝日文庫


*カバー装幀=多田進・永田敏子
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*348頁 / 発行 1993年

*カバー文
伊藤博文はじめ維新の元勲達が贔屓にした芸者・奴。のちに壮士演劇の旗手・川上音二郎と結婚し、欧米興行の際、ジイドやピカソの絶賛を浴びた女優・貞奴。音二郎没後、福沢諭吉の女婿で《初恋の人》挑介との同棲生活に入る ―― ジャパニーズ・アクトレス川上貞奴の波瀾の生涯。

*目次
序章 厄年の決断
第一章 酒の肴の物語
 四歳の駆込寺 / 十五の春 / 芸者「奴」
第二章 書生演劇
 自由童子 / 落籍祝い / 川上座
第三章 梨園の外道
 冬の海 / 遥かな道 / Sada Yacco
第四章 一九〇〇年パリ万国博覧会
 パリのセンセーション / 日本のセンセーション / ヨーロッパ客演旅行
第五章 女優開眼
 正劇運動 / 『浮かれ胡弓』 / 『ハムレット』
第六章 劇界の戦国時代
 パリ再訪 / 女優養成所 / 革新興行
第七章 貞奴一座
 帝国座 / 新派凋落 / 隠れすむべく野菊かな
第八章 かくれ里
 川上絹布設立 / 二葉御殿 / 身に塁を招く
終章 惜別の宴
 児童楽劇園への夢 / 貞照寺の羊
 あとがき / 年表 / 参考文献 / 解説 大笹吉雄


山崎 朋子 (やまざきともこ)
「サンダカンまで わたしの生きた道」
朝日文庫


*カバー装幀・桂川潤
 カバー写真・著者提供
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*376頁 / 発行 2017年

*カバー文
底辺女性史の名著『サンダカン八番娼館』の著者による自伝。1954年、女優を目指し上京した著者は、朝鮮人青年との恋、暴漢に顔を切られるアクシデント、結婚、出産を経て、女性史の道へ。何度人生に絶望しても自分の道を歩き続けた、驚愕の人生秘話。

*目次
第一部 雨の夜のアクシデント
 顔を切られる / 判決文と上申書下書き / 三人の見舞客 / 犯人の姉 / 「傷痕(きず)も身の内」 / 痣のある女性 / シンデレラの靴 / 忘れられぬ人
第二部 潜水艦長の娘
 出生の秘密 / 呉=軍港の町 / 伊号第六十七潜水艦の沈没 / 女だけの家 / 広島二県女=二年西組
第三部 自由へのあこがれ
 大野=奥越の小京都にて / 脱出のこころみ / 福井大学の二年間 / 「君が代」に追われるるごとく
第四部 民族と思想の壁に
 東京=その片隅で / 朝鮮青年との出会い / 結婚=民族を越えて / わが名は羅敦香(ラドンヒャン) / 日本人でさえなければ / 〈革命〉と〈愛〉のはざまで / 別れてののち
第五部 女性史研究へのあゆみ
 新宿=風月堂 / マロニエの並木道で / 〈家事〉と〈育児〉と〈学習〉と / わたしの一九六〇年 / 徒弟修行の月日 / アジア女性交流史研究会 / 『サンダカン八番娼館』を
あとがき / 解説 城戸久枝


山崎 洋子【文】・岡田 嘉夫【絵】 (やまざきようこ・おかだよしお)
「夢幻美女絵巻」
(むげんびじょえまき)
小学館文庫


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*255頁 / 発行 2004年
*カバー画・岡田嘉夫 / カバーデザイン・中島かほる

*カバー文
〈美女〉は本人の気持ちを俟つことなく、後世にさまざまな解釈、さまざまな物語を生み出される。そこが〈美女〉たちの凄さ、美女の〈美女〉たる由縁である。〈美女〉たちが繰り広げる夢幻の世界に迷いこんでいただきたい。愉悦に浸り、恐怖におののき、恋に身を焦がし、憎悪の刃を研いでいただきたい。十三人目のヒロインは、もしかすると、あなたかもしれないのだ。 「あとがき」より

*目次
まえがき 岡田嘉夫 / 火城
楊貴妃 / 奔月かぐや姫 / サロメ朱宮 / アナスタシア昏宮 / クレオパトラ矯波 / 舞姫悲翔 / 出雲阿国爛漫 / カルメン埋火 / カビヤカ再生 / マタ・ハリ貪儚 / ペトラの女熬心 / マリー・アントワネット浄華
美女は血のにおい 山崎洋子 / イワクあり 岡田嘉夫


山下 清 (やましたきよし)
「裸の大将遺作 東海道五十三次」
(はだかのたいしょういさく とうかいどうごじゅうさんつぎ)
小学館文庫



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*221頁 / 発行 2000年
*カバー画像 
 山下清 東海道五十三次のうち「藤川(部分)」 
 カバーデザイン・大野鶴子+Creative-Sano-japan

*カバー文
今年の花火見物はどこへ行こうかな ―― 知的障害というハンディキャップをものともせず、下駄履きで全国を踏破した大放浪画家山下清。その裸の大将の幻の遺作「東海道五十三次」が東海道宿駅制定400年祭を前に甦る。1964年の東京オリンピック直後の東海道の風景を、当時新素材の出現と驚きをもって迎えられたフェルトペンで描いている。
宿場町の持つ、人生にも似た躍動と哀感がインクのにおいと混ざりあって旅情を誘う。

*巻頭頁
 叔父山下清 自由な時間への遁走 山下浩
*巻末頁
 解説 ちょいときゅうくつ 倉本四郎


山住 昭文 (やまずみあきぶみ)
「風流江戸の小ばなし」 (ふうりゅうえどのこばなし)
朝日文庫


*カバー装幀=黒田喬志
 葛飾北斎「北斎漫画」より
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*233頁 / 発行 2002年

*カバー文
廓通いの道楽息子、死の道行きを急ぐ男女に、嫁いびりの好きな姑―やちまたを右往左往する人間の、滑稽ながらも愛おしき姿を軽妙洒脱に描き出す、“江戸小ばなし”の世界。泰平の江戸を生きる瑞々しき庶民の生活、風俗、そして人情を紡ぎだす「笑いの文芸」ここにあり。

*目次
いつまでもあると思うな親と金
男と女の他愛もない話
春夏秋冬江戸八百八町
お店大事の奉公人
医者と和尚とお師匠さん
紅灯の巷に生きる篭の鳥
花は桜木人は武士というけれど
 解説 矢野誠一


山田 宏一 (やまだこういち)
「映画的な、あまりに映画的な マキノ雅弘の世界」
(まきのまさひろのせかい)
ワイズ出版映画文庫


*カバー写真・『次郎長三国志 次郎長賣出す』
演出中のマキノ雅弘監督
左は小堀明男、中央は若山セツ子
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*421頁 / 発行 2012年

*カバー文
粋でお洒落で面白い……。映画の神様、マキノ雅弘監督の世界に、映画評論家・山田宏一が愛を込めて捧げるオマージュ……。「次郎長三国志 ── マキノ雅弘の世界」「日本侠客伝 ── マキノ雅弘の世界」を再編集し、さらに改稿。

*目次
話術の天才 ── 序に代えて
第一部 次郎長三国志
第二部 日本侠客伝
第三部 破れかぶれの映画渡世
略歴と作品
アルバムT……撮影風景より
アルバムU……名場面より
索引


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「赤い蝋人形 ― 山田風太郎傑作大全〈12〉」 (あかいろうにんぎょう)
廣済堂文庫


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*271頁
*発行 平成9年
*カバーイラスト・山本タカオ

*カバー文
列車炎上により焦熱地獄をさまよった少女雑誌編集者福島弘は、その後、担当する人気少女小説家西条蕭子の秘書の失踪、無能な夫に愛想をつかした西条の妹の焼身自殺事件…と続発する奇妙な事件に巻き込まれる。事件の謎が解明されるにつれ、その背後に恐ろしくも悲壮な人間の美と醜の対立が明らかに…。表題作ほか、「賭博学体系」「美女貸し屋」「とんずら」「わが愛しの妻よ」「痴漢H君の話」「ダニ図鑑」の6篇を収録。

*解説頁・細谷正充


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「いだ天百里 ― 山田風太郎傑作大全L」 (いだてんひゃくり)
廣済堂文庫


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*303頁
*発行 平成9年
*カバーイラスト・藤原ヨウコウ / カバーデザイン・原田幸生

*カバー文
時は、豊臣家と徳川家の勢力の交錯する戦国武士最後の光芒の慶長年間。主家武田家滅亡後、天城の金山を狙う金山総奉行大久保石見守長安。武田家再興を図る一党の執念と悲願、愛欲にただれ、黄金に溺れた長安一味の陰謀。地雷火による江戸城爆破をもくろむ真田家。忍者、徳川隠密と山に棲み渡り鳥のごとく自由闊達に山から山をわたる撫衆を巻き込んだ三つ巴の凄絶な闘いが繰りひろげられる伝奇長篇小説。

*解説頁・長谷部史親


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「江戸にいる私 ― 山田風太郎傑作大全22」
 (えどにいるわたし)
廣済堂文庫



*カバーイラスト・山本タカト
 カバーデザイン・原田幸生

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*301頁 / 発行 1998年

*カバー文
ある正月、藪井正一は妻と息子の笑いを期待してチョンマゲのかつらを被って祝膳についたが相手にされず、激論の末立腹した彼は、酒をがぶ飲みし泥酔状態に陥った。頭の中は江戸の田沼時代にタイムスリップ。あまりの環境の変化にとまどいつつも何とか適応しようと努力し、さらには腐敗した社会を立て直そうと野望まで抱く。が、突如、江戸の家庭内の礼儀のすばらしさに感心し、野望はもろくも崩れてしまう。

*目次
山田真竜軒
悲恋華陣
黒百合抄
明智太閤
叛心十六歳
江戸にいる私
 解説・長谷川史親


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「怪異投込寺」
 (かいいなげこみでら)
集英社文庫



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*239頁 / 発行 1994年
*カバー・シブヤ ユウジ / AD・岡 邦彦


*カバー文
廓で死人が出る数日前、必ず現れる鴉爺い。その廓には美貌と聡明さで男を魅惑する花魁・薫がいた。蛸と絡んだ薫の枕絵を描く大画人・葛飾北斎。その様子を盗み見する鴉爺い。…半年後、北斎が知った驚くべき事実とは? 意外な展開をみせる表題作ほか切支丹弾圧に狂奔する竹中半兵衛の子孫・采女正の奇怪な出会いと運命を描いた『踏絵の軍師』等、妖気漂う五編を収めた妖異時代小説集。

*目次
踏絵の軍師 / 怪異投込寺 / 獣人の獄 / 芍薬屋夫人 / 地獄太夫 / 解説・細谷正充


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「死なない剣豪 ― 山田風太郎傑作大全P」 (しなないけんごう)
廣済堂文庫


*カバーイラスト・安里秀晴
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*303頁 / 発行 平成9年

*カバー文
将軍家剣法師範小野忠明の屋敷に住み、乳の出ない女の乳を吸い出すと噂される奇妙な老人。同じ剣法師範の柳生十兵衛は、もしやしてその老人は忠明の師匠で剣聖として名を馳せた伊藤一刀斎ではと疑問を抱く。彼の生死については世の何びとも知るところがない。疑問を解き明かしたいという衝動にかられた十兵衛は、小野家を訪ね乳飲み老人との憲法指南を申し出る。忠明と十兵衛の間に殺気の幕が……。

*目次
降倭変
幽霊船棺桶丸
お玄関拝借
国貞源氏
慶長大食漢
死なない剣豪
お江戸英雄坂
 解説 長谷部史親


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「不知火軍記」
 (しらぬいぐんき)
集英社文庫



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*271頁
*発行 1991年
*装画・東元

*カバー文
1638年、天草のキリシタン反乱を支援する奇妙な集団が現れた。小西行長の血筋をひく混血の美女・不知火が率いる変幻無比の伴天連党だ。「焼け、殺せ、天帝の敵を許すな」彼女と対決する若き武将の扇千代の悲願は小西に滅ぼされた天草家の再興である。 ― 前世から宿敵同士の怨念と復讐心がぶつかり合う。天草の歴史の闇を射抜く表題作ほか「盲僧秘帖」と「幻妖桐の葉おとし」を収録。

*解説頁・関口苑生


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「神曲崩壊」
 (しんきょくほうかい)
朝日文庫



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*380頁
*発行 1990年
*カバー装画・熊谷博人

*カバー文
19XX年、人類が始めた戦争で核爆発が起き、地球は崩壊し、全人類は絶滅した。そのあおりで、ダンテが創造した「神曲」の地獄世界も崩壊。地球消滅のその瞬間、「神曲」を読んでいた私はダンテに導かれロシアの妖僧ラスプーチンを馭者にした霊柩車型の馬車で、崩壊した地獄めぐりの旅に出る。そこで目にした地獄とは、亡者たちとは ― 。奇想天外、抱腹絶倒の異色作。


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「青春探偵団 ― 山田風太郎傑作大全〈10〉」
 (せいしゅんたんていだん)
広済堂文庫



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*332頁
*発行 1997年
*カバーイラスト・山本タカト

*カバー文
北国の町はずれにある霧ガ城高校の男子寮・女子寮生徒6人で結成した「殺人クラブ」。会の名前は物騒だが、探偵小説の愛好家達で、読んだ小説の批評、殺人トリックの考案、気にくわぬ舎監や教師いじめの妙案等を模索し、厳しい舎監の目を盗み寮規を破るのを楽しみにしていた。が、いつもと違った事態が発生。「殺人クラブ」のメンバーはにわか探偵に変身。次々に起こる難事件を6つの個性が合致し見事に解決……。

*解説頁・長谷部史親


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「戦中派動乱日記 昭和24年 / 昭和25年」
(せんちゅうはどうらんにっき)
小学館文庫


*カバーデザイン・多田和博
(画像はクリックで拡大します)

*331頁 / 発行 2013年

*カバー文
 昭和二十四年〜二十五年。東京医学専門学校を卒業したインターン生は、作家・山田風太郎として日本探偵作家クラブ賞を受賞、江戸川乱歩や横溝正史らと交流を深めながら数々の作品を発表しつづける。
〈この年、二十八才! いかなる運命が余の前に展開せられるであろうか。呆々たる一日。夜、酒のみ泥酔〉〈決意す。余が医者たるは肉体的に精神的に性格的に適せず。乾坤一擲作家たらんとす。(?)「ころび波羅韋僧」かきはじめる〉
 萌芽のときを迎えた作家が、旺盛な執筆活動の記録と無頼な暮らしぶりを等身大に綴った、。山田風太郎戦後日記シリーズ第三弾。(解説 / 谷口基)


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「戦中派闇市日記 昭和22年 / 昭和23年」
(せんちゅうはやみいちにっき)
小学館文庫


*カバーデザイン・多田和博
(画像はクリックで拡大します)

*443頁 / 発行 2012年

*カバー文
昭和二十二〜二十三年。二十五歳の青年は試験と実習に追われるかたわら前年に書き上げた小説『達磨峠の事件』が入選、人生の大きな転換期を迎えていた。〈むずかしい。小説の苦しさを初めて知った。こんなくだらないものでも、頭がヘトヘトになるようだ〉
 江戸川乱歩に宛てた書簡の草稿、占領下での食糧不足、東京裁判の判決、殺到する小説執筆の依頼……青春の只中で未来への道を模索する日々と戦後日本を感性豊かに綴る。
 医学生から作家・山田風太郎へ。戦後最大の物語作家誕生の記録。『戦中派焼け跡日記』につづく戦後日記シリーズ第二弾。(解説 / 紀田順一郎)


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「旅人 国定龍次〈上下〉―山田風太郎傑作大全〈16〉」
 (たびにんくにさだりゅうじ)
廣済堂文庫



*カバーイラスト・安里英晴
 カバーデザイン・原田幸生
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*上巻388頁・下巻378頁 / 発行 1997年

*カバー文
【上巻】
上州大前田村の栄五郎親分に育てられた国定忠治の遺児・龍次。八州取締出役を斬り渡世人修業の旅へ。江戸一の大親分町火消し新門辰五郎の元に草鞋をぬごうとして、旗本青木弥太郎一味とのいざこざに巻きこまれる。そこで意気投合したヒゲ万こと草堂万千代を用心棒として甲州へ旅立ち、黒駒の勝造を訪ねたものの彼に利用され、たった二人で清水の次郎長一家に立ち向かうはめになる。果たして龍次の運命は……。
【下巻】
勢州桑名の黒田屋一家の荒神山をめぐる縄張り争いの内紛に巻きこまれた龍次。秘薬マキスイを用いて蛇の大群をあやつる香具師赤蛙の凶兵衛と死闘を展開。一時生死の境を彷徨った龍次は、ヒゲ万に請われて京は伏見の薩摩屋敷へ。おりしも京は勤王佐幕の暗闘の真っただ中。ヒゲ万の頼みに応え、天朝の助っ人として任侠を貫こうとする龍次だが、その行動の果てに思いもよらぬ悲劇が……。長脇差小松五郎義兼危うし。

*解説頁・細谷正充


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「天国荘奇譚 ― 山田風太郎傑作大全E」 (てんごくそうきたん)
廣済堂文庫


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*326頁
*発行 平成8年
*カバーイラスト・山本タカト / カバーデザイン・原田幸生

*カバー文
山陰地方の旧制中学で事件は起きた。寄宿舎・青雲寮の天井裏に「天国荘」と名づけた遊び部屋を作りたむろする悪童4人組は、教師への糞便攻撃の作戦を練り実行に移す。彼らの奇想天外なアイデアと抱腹絶倒のユーモアあふれた事件の裏には、時代の空疎な権威に対する反逆の意味が込められて……。表題作他、「恋罪」「ドン・ファン怪談」「童貞試験」「寝台物語」「大無法人」「臨時ニュースを申し上げます」の7篇収録。

*解説頁・長谷部史親


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「東京南町奉行」 (とうきょうみなみまちぶぎょう)
大陸文庫



*カバーイラスト・柳澤達朗
(画像はクリックで拡大します)

*341頁 / 発行 1989年

*カバー文
江戸南町奉行鳥井甲斐守耀蔵。天保の改革において、渡辺華山、高野長英ら洋学者に弾圧を加え、そのあまりの苛烈さ故に〈天保の妖怪〉と怖れられた男の、明治維新後の姿を描いた表題作ほか、珠玉の短編五編を収録。

*目次
斬奸状は馬車に乗って
明治暗黒星
天衣無縫
首の座
おれは不知火
東京南町奉行
 解説 縄田一男


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「叛旗兵 ― 山田風太郎傑作大全F」 (はんきへい)
廣済堂文庫


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*674頁
*発行 平成8年
*カバーイラスト・毛利彰 / カバーデザイン・原田幸生

*カバー文
直江山城守兼続の養女伽羅に本多佐渡守正信の次男正重との縁談が持ち込まれた。これを嫌った兼続は、大谷刑部の忘れ形見左兵衛を婿として迎えた。が、腑抜けで覇気のない左兵衛に怒った伽羅は、直江四天王に彼を鍛えよと命ずる。ユニークな個性の持ち主で一筋縄ではいかない強者4人、伽羅の婿になりそこねた正重、その左右を守る宮本武蔵、佐々木小次郎までもが加わり、奇想天外な騒動が繰り広げられる。

*解説頁・細谷正充


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「妖説忠臣蔵」 (ようせつちゅうしんぐら)
集英社文庫


*カバー装画・佐藤三千彦
(画像はクリックで拡大します)


*270頁 / 発行 1991年

*カバー文
大義のために血盟を誓った三人の武士の中に、ひとりの裏切り者が。疑心暗鬼となった彼らのひとりが殺されひとりは自決し、事件は解決したかに見えたが……。仇討ち遂行のためには手段を選ばぬ大石内蔵助の冷酷さを描く「殺人蔵」ほか、おなじみ忠臣蔵を彩る人物たちの意外なエピソード。

*目次
赤穂飛脚
殺人蔵
虫臣蔵
俺も四十七士
生きている上野介
 解説 ―― 虚実の狭間から浮かぶ真実 縄田一男


山平 重樹 (やまだいらしげき)
「残侠 ― 会津小鉄・図越利一の半生」 
(ざんきょう)
双葉文庫



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*412頁 / 発行 1999年
*カバー・デザイン 鈴木邦治

*カバー文
四代目会津小鉄は、京都を本拠に滋賀、奈良などにも地盤を築き、構成員五千人といわれる巨大な組織力を誇る博徒一家だった。その系譜は、幕末の大侠客・“会津の小鉄”こと上坂仙吉を初代として、二代目・上場卯之松、三代目・図越利一、四代目・高山登久太郎と続く侠道界屈指の名門であった。 ― この会津小鉄一門の頂点に立つ男が図越利一である。

*目次
第一部 激流編
第二部 王道編
 解説 猪野健治


山藤 章二 (やまふじしょうじ)
「イラストエッセイ パンの耳」 (ぱんのみみ)
集英社文庫


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*発行 昭和57年 / ノンブル(本の頁数)はありません。
*カバー・山藤章二

*目次
(カラー)歴代猛虎連異職見立
 まえがき
 主な出演者
(イラストエッセイ)パンの耳
(対談)下には下がある
ひやかし半分
 解説 石堂淑朗


山村 修 (やまむらおさむ)
「禁煙の愉しみ」
(きんえんのたのしみ)
朝日文庫


*カバー装幀・泉沢光雄
(画像はクリックで拡大します)

*232頁 / 発行 2011年

*カバー文
禁煙に必要なのは、強い意志や我慢ではない。ニコチンの裏をかき、禁煙そのものを愉しむことだ ―― どうしても煙草をやめられなかった著者が編み出した、毎日が心豊かになる禁煙法とは。優柔不断な人、本気で禁煙に悩む人にお薦めの「煙草をやめてみたくなる」エッセイ集。

*目次
T 禁煙の発見
U 禁煙の稽古
V 禁煙の現場
 1 禁煙とパスタ料理 / 2 禁煙と犬の散歩 / 3 禁煙と漢詩 / 4 禁煙とひょうたん / 5 禁煙とビールと映画 / 6 禁煙と謡曲
W 禁煙の本棚
 1 禁煙の日記 南方熊楠と西田幾多郎 / 2 禁煙を遊ぶ 吉野秀雄と作家たち / 3 禁煙の奇書 安田操一とズヴェーヴォ
X 禁煙の乾杯

あとがき / 新潮OH!文庫版あとがき / 特別寄稿 山村睦美


山村 正夫 (やまむらまさお)
「推理文壇戦後史」 全3冊
 (すいりぶんだんせんごし)
双葉文庫



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*(T)297頁・(U)293頁・(V)338頁
*発行 1984年

*(U)カバー文
先に刊行した「推理文壇戦後史1」は、多くの方々から好評を博することができた。推理小説発展の軌跡を探るためには、正面から論じた正史に俟たねばならない。だが、そうしたオーソドックスな推理小説史とは別に、推理小説界を賑わせた事件や、各作家の人間的なプロフィールに重点を置いた側面史的なものも必要ではないかという気がする。 山村正夫





山本 七平 (やまもとしちへい)
「勤勉の哲学 日本人を動かす原理」
(きんべんのてつがく)
PHP文庫


*洛中洛外図屏風(東京国立博物館所蔵)
 装幀・中島かほる
(画像はクリックで拡大します)

*356頁 / 発行 1984年

*カバー文
勤倹貯蓄、これは実に長い間の日本人の徳目であり、これを行なうことが美徳とされて来た。美徳とされて来たことはそれが一つの独立した価値、いわば宗教的ともいえる価値をもっているからであり、それが価値を持ちうることは、一つの思想の帰結だからである。では一体その思想はどのように形成され、どのような影響を与え、どのようにして現在に結果しているのであろうか。それを探求しようと試みたのが本書である。本書が、自己を律している伝統的規範を明らかにし、将来への予測の一助となり得れば幸いである。(「序文」より)

*目次

第一章 勤勉の哲学以前
第二章 “肯定的革命”と治教一致
第三章 日本的思想の枠組
第四章 鈴木正三と日本的資本主義の精神
第五章 日本人の仕事観
第六章 世法・仏法と正三
第七章 正三・梅岩とその思想背景
第八章 石田梅岩の世界観
第九章 “理屈屋”梅岩の実践的日常倫理
第十章 勤勉の哲学
第十一章 石門心学と後継者たち
第十二章 日本人の心学的科学観
 解説 小室直樹
 山本七平主要著作一覧


山本 七平 (やまもとしちへい)
「昭和天皇の研究 ― その実像を探る」 (しょうわてんのうのけんきゅう)
ノン・ポシェット(祥伝社)


*カバーデザイン・中原達治
 カバー写真・共同通信社
(昭和天皇御在位六十年記念金貨の一部)

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*408頁 / 発行 平成7年

*カバー文
「豊かな教養人」の悲劇 作家・深田祐介
 大日本帝国の主権者であった昭和天皇が、天皇であることをどう考えていたのか、どう自己規定していたのかは、まさに昭和史の根幹にかかわる重要なテーマと思われる。この天皇の自己規定について、山本七平氏は、東宮御学問所における天皇教育の内容について、詳細、かつ論理明快に分析してゆく。
「豊かな教養人」「東洋的徳の人」として成人した天皇は、軍部に対しても政府に対しても立憲君主という自己規定の内に留まり、自ら選択肢を狭めていったのではないか、そこに昭和天皇の悲劇があった、と七平氏は指摘しているがごとくである。

*目次
 まえがき
 昭和天皇と時代の証言者たち(*巻頭グラビアページ / 写真提供 毎日新聞社)
一章 天皇の自己規定 ― あくまでも憲法絶対の立憲君主
     なぜ、天皇は開戦を阻止出来なかったのか
     終戦の「聖断」は、憲法を踏みまちがえたものか
     戦前も、天皇は「現人神(あらひとがみ)」ではなかった
二章 天皇の教師たち(T) ― 倫理担当に杉浦重剛を起用した時代の意図
     天皇の自己規定を形成した教師たち
     倫理の「御進講」が、後の天皇に与えた影響
三章 「三種の神器」の非神話化 ― 道徳を絶対視しつつ、科学を重んじる杉浦の教育方針
四章 天皇の教師たち(U) ― 歴史担当・白鳥博士の「神代史」観とその影響
     天皇は、神話や皇国史観をどう考えられたか
     敗戦国に待ちうける皇室の運命
五章 「捕虜の長」としての天皇 ― 敗戦、そのときの身の処し方と退位問題
     「私を絞首刑にしてかまわない」
     天皇の反面教師 ― ウィルヘルム二世
六章 三代目 ― 「守成の明君」の養成 ― マッカーサー会談に見せた「勇気」は、どこから来たか
     「創業と守成のいずれが難き」
     三代目・家光にみる「守成の勇気」
七章 「錦旗革命・昭和維新」の欺瞞 ― なぜ、日本がファシズムに憧れるようになったのか
     戦争制御における内閣の権限と、近衛の言い訳
     相沢中佐の異常心理と「昭和維新」
     永田軍務局斬殺が、「大御心」か
八章 天皇への呪詛 ― 二・二六事件の首謀者・磯部浅一が、後世に残した重い遺産
     事件勃発、天皇の決然たる対応
     天皇を叱咤、怨嗟する磯部の叫び
     真崎大将、陸軍首脳の腰抜けぶり
九章 盲信の悲劇 ― 北一輝は、なぜ処刑されねばならなかったか
     北一輝には「天皇尊崇の念」など全くなかった
     天皇自らが、「機関説」の信奉者
     「御公家かついで壇の浦」
十章 「憲政の神様」の不敬罪 ― 東条英機は、なぜ尾崎行雄を起訴したのか
     「天皇と同意見だと不敬罪」の不思議
     近衛・東条の翼賛体制への痛烈な批判
     不刑罪 ― 刑にあらざる罪
     天皇ではなく、国民全体が“三代目”
十一章 三代目・天皇と、三代目・国民 ― 尾崎行雄が記した国民意識の移り変わりと天皇の立場
      浮誇驕慢で大国難を招く三代目
十二章 立憲君主の“命令” ― 国難近し、天皇に与えられた意思表示の手段とは
      白川大将に示した、天皇の精一杯の“褒章”
      無視された天皇の「提案」と「希望」
      「聖断」を未遂に終わらせた“もう一つの事件”
十三章 「人間(アラヒト)」・「象徴」としての天皇 ― 古来、日本史において果たしてきた天皇家の位置と役割
      「アラヒトガミ」の思想は、どこから生じたか
      文化的統合の象徴としての天皇
十四章 天皇の“功罪” ― そして「戦争責任」をどう考えるか
      「天皇は戦争を止められるのに、なぜ止めなかった」
      「おれの息子は、天皇のために死んだ」
 終章 「平成」への遺訓
      憲法改正に反対した美濃部博士
      「昭和」から「平成」へのメッセージ
  ★〈資料@〉「新日本建設に関する詔書」(人間宣言)全文
  ★〈資料A〉昭和天皇 ― ご生涯とその時代


山本 七平 (やまもとしちへい)
「日本人を動かす原理 日本的革命の哲学」
(にほんてきかくめいのてつがく)
PHP文庫


*装幀・亀海昌次
(画像はクリックで拡大します)

*362頁 / 発行 1992年

*カバー文
本書は、「日本的革命家」北条泰時の思想と、その手になる『貞永式目』を、日本人の相続原則・刑罰思想・日本的実力主義など、様々な側面から克明に考察。そこから「道理のおすところ」たる日本人の行動原理を浮き彫りにする。日本における『貞永式目』の意味を初めて明らかにした画期的な名著である。

*目次
序文 / 第一章 日本に革命思想はなかったか / 第二章 聖書型革命と孟子型革命 / 第三章 北条泰時の論理 / 第四章 「承久の乱」の戦後処理 / 第五章 明恵上人の役割 / 第六章 明恵上人と北条泰時 / 第七章 明恵の“裏返し革命思想” / 第八章 『貞永式目』の根本思想 / 第九章 調整型経営者・泰時 / 第十章 象徴天皇制の創出とその政策 / 第十一章 『貞永式目』の制定過程 / 第十二章 日本人の相続原則 / 第十三章 「泰時の平和」のジレンマ / 第十四章 鎌倉時代の“宗教の自由” / 第十五章 『式目』の刑罰思想 / 第十六章 日本に奴隷制はあったか / 第十七章 統治する側の職務と権限 / 第十八章 日本的実力主義の論理 / 解説 矢沢永一


山本 七平 (やまもとしちへい)
「山本七平の旧約聖書物語」
 (やまもとしちへいのきゅうやくせいしょものがたり)
徳間文庫



*カバーデザイン・秋山法子
(画像はクリックで拡大します)

*379頁 / 発行 1988年

*カバー文
「聖書は裏返して読めば非聖書である。なぜならそれは、人間がいかに『聖なる者』でないかを証明している書だから」(本書より) ―― 「旧約聖書」では、“聖なるもの”は神のみであり、登場人物は始祖アダム以来すべて欠点多き人間である。これらの弱い人間がイスラエルという一民族の生成・発展、そして亡国・再生の劇的歴史を通して、何を学んでいくか。旧約聖書は、人類が残した最も秀れた世界文学である。

*目次
T イスラエルの誕生
 太初(はじめ)に神、天地をつくりたまえり / 「法規」と「物語」の成り立ち / 創世記のアナクロニズム / ヤコブとイスラエル / ヨセフとその兄弟たち / エキゾダス / モーセ / 「出エジプト」の旅程表 / ヨシュアと士師たち / ペリシテとイスラエル
U 王と預言者の時代
 サムエルとサウル / サウルとダビデ / ダビデの登位 / 聖都エルサレムのはじまり / アブサロムの物語 / ソロモンの王国 / 王国分裂、アハブ王とエリヤ / 北王国イスラエルの滅亡 / アッシリア帝国とヒビキヤ王 / イザヤとミカ / 最初の革命 / ヨシヤ王と申命典記者 / 聖書の「社会保障」 / ユダ最期の日々
V 亡国の民
 バビロン捕囚 / エゼキエル / 謎の詩・謎の詩人 / 旧約・新訳 ― 「旧い契約」と「新しい契約」 / エズラとネヘミヤ / 旧約聖書の「はじめに言葉あり」 / 聖書と医術 / ヨブと神とサタン / マカバイ王朝の成立 / 黙示文学ダニエル書 / 旧約聖書の「キリスト」
 解説 矢代静一
 写真 / 善養寺康之


山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう)
「小説の効用・青べか日記」
(しょうせつのこうよう・あおべかにっき)
光文社知恵の森文庫


*カバーデザイン・緒方修一
 カバーイラスト・瀬知エリカ
(画像はクリックで拡大します)

*336頁 / 発行 2009年

*カバー文
「エッセイの類は、学者とか通人とかが披露するもの」 ―― 小説に全てを投入した山本周五郎にはエッセイの数が少なく、本書はその貴重な一冊である。数々の名作を生み出したものの見方・考え方を語り、公表された唯一の日記『青べか日記』では、失職、貧困、病苦等々の苦難に耐えながら「絶対に挫けない」と記す。周五郎の素顔、人生・文学観が総覧できる。

*目次
T 小説の効用 / 歴史か小説か / 作品雑感 / 大衆文学芸術論? / 小説の芸術性 / 「面白さ」の立場から / 中島健蔵氏に問う / 歴史と文学 / 歴史的事実と文学的真実 / 小説と事実 / 断片 / 無限の快楽 / すべては「これから」 / お便り有難う / 型もののご趣向と演技 / 旧帝劇の回想

U 多忙 / 飛躍にも表と蔭 / 性分 / 武士道の精髄 / 国史に残る忍城の教訓 / 武家の食生活 / めがねと四十年と

V 堀口さんとメドック / 土岐雄三著『カミさんと私』―― 出版記念会でのあいさつ / 跋に代えて / 小説「よじょう」の恩人 / 畏友山手樹一郎へ / 江分利満氏(註・山口瞳)のはにかみ / あきせいの今昔 / 語る事なし

W 直木三十五賞「辞退のこと」 / 毎日出版文化賞辞退寸言 / 文藝春秋読者賞を辞すの弁 / 作者の言葉

X 青べか日記

Y 対談 著者と一時間 / 現代養生訓〈高橋義孝との対談〉/ 作家の素顔〈河盛好蔵との対談〉

 解説 清原康正(文芸評論家)

新潮文庫版(サイト内リンク)


山本 松谷画・山本 駿次朗編 (やまもとしょうこく・やまもとしゅんじろう)
「百年前の東京絵図(フォーカス) :21世紀への遺産」 (ひゃくねんまえのとうきょうえず)
小学館文庫


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*217頁 / 発行 1999年
*カバー・新橋停車場之図(部分) 山本松谷・画

*カバー文
 維新から30余年、西郷死して20余年、いまだ覚めやらぬ江戸の夢。押し寄せる近代化の波に、混沌として生成する東京の貌を好奇と哀惜の眼で捉えた報道画家山本松谷の明治東京フォーカス。
 絵画から写真へと移行する報道プロセス、その最後を飾る石版画の数々。21世紀を目前にして、今、問いなおす曾祖父曾祖母たちの明治東京、その光と陰。絵を鍵に短文で誘う百年前の東京案内。魅力のカラー文庫。

*目次
八ツ山付近の景 / 業平橋 / 上野東照宮 / 深川不動尊 / 銀座地蔵前縁日 / 向島堤の観桜 / 増上寺三門 / 親父橋より、よし町を望む / 神田小川町通り / 回向院の大相撲 / 辨慶橋 / 歌舞伎座 / 日本橋新年の景 / 浅草六区見世物小屋 / 護国寺 / 旧京橋の図 / 回向院 / 神田神社男坂を望む / 九段坂 / 新橋停車場の図 / 三田山魚藍寺 / 十軒店幟店 / 三つ橋の現況 / 御茶ノ水橋・駿河台 / 万世橋付近の図 / 豊川陀枳尼天堂 / 神田岩本町古着市場 / 神田柳原河岸通り / 目白台下駒塚橋の景 / 吉原各店 / 三番町通りより不二を望む / 浅草雷門 / 中洲付近の景 / 木母寺境内 / 神田明神 / 石川島造船所の図 / 麻布飯倉熊野神社 / 月島の夜景 / 芝浦の景 / 両国川開き図 / 神田市場 / 竹河岸 / 数寄屋橋付近の図 / 比枝神社拝殿 / 芝愛宕山公園 / 根岸御行松 / 永代橋東詰 / 蛎殻町水天宮 / 東神田染物師の物干台 / 山本松谷 画業と生涯 山本駿次朗 / 山本松谷 略年譜 / 解説 倉本四郎


山本 容子 (やまもとようこ)
「パリ散歩画帖」
(ぱりさんぽがちょう)
朝日文庫


*カバー装幀・十河岳夫
 カバー装画・山本容子
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*168頁 / 発行 2013年

*カバー文
銅版画家の著者が見つけたパリの日常を綴る。小路を散歩しながら、フランスパンの袋を、カフェのメニューを、メトロの切符をアーティストならではの視線でコラージュ。旅の思い出を演出する「自分だけの旅ノート」の作り方を伝授する。オリジナルポストカード付き。

*目次
私のパリ ─ 旅の記憶の方法
 〜 Paris et moi 〜
パリの日常を探す旅 ─ めざすは16区
 〜 Bonjour,Paris 〜
パリと遊ぶための道具選び ─ ボン・マルシェ
 〜 Au Bon Marche 〜
エレガントなマダムたちの小路 ─ シェルシュ・ミディ
 〜 Rue du Cherche Midi 〜
アートと文学に触れる小路 ─ ジャコブ / セーヌ
 〜 Rue Jacob / Rue de Seine 〜
パリの日曜日の過ごし方 ─ モンジュ広場
 〜 Place Monge 〜
エスニックな香り ─ ムフタール
 〜 Rue Mouffetard 〜
手作りの夕食でおもてなし ─ エミール・オジェ
 〜 Bd.Emile Augier 〜
時空を超えた不思議な商店街 ─ パッサージュ
 〜 Les Passages 〜
ゆるやかに新しいパリ ─ ケ・ブランリー美術館
 〜 Le Musee du Quai Branly 〜
散歩画帖を作るには? ─ 五感でメモをとる
 〜 Comment dessines-tu? 〜
旅のメモ
 Carnet d'adresses


山本 芳樹 (やまもとよしき)
「バイロス侯爵画集 ― 世紀末ウィーンの甘美な夢」
(ばいろすこうしゃくがしゅう)
京都書院アーツコレクション


*カバー表紙デザイン・佐藤邦仁
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*286頁 / 発行 1998年

*紹介文
十九世紀末から今世紀のはじめにウィーンとミュンヘンで大活躍したバイロス侯爵。ロココの優美な装飾性とアール・ヌーヴォーのデカダンを備えた耽美的な挿絵、蔵書票などの作品をカラー図版で紹介する。

*目次
わがバイロス侯爵 山本芳樹
 〈バイロス・アルバム〉
美のシンフォニア
 楽園追放 / 天使との戦い / フィレンツェ幻想曲 / 肖像の女たち / 宿命の女たち(すべての女は妖婦である) / サロメ考
聖なる世界と地獄めぐり
 「神曲・地獄篇」
 「神曲・煉獄篇」
 「神曲・天国篇」
艶なる宴
千夜一夜物語 / デカメロン / ペンタメローネ
〈ロココと世紀末〉
 アレティエーの物語 / ファニー・ヒル / おしゃべりな宝石 / カザノヴァ回想録 / グラモン伯の回想録
〈我々の時代のエロティカ〉
 艶かな貴婦人の小さな足 / ラ・ポエーム / 化粧台物語 / 甘美な夜 / 愛欲の使者 / ボンボニエール・パオの美しい娘 / C・C夫人の閨房
バイロス侯爵の蔵書票 山本芳樹
音楽の戯れ
 モーツァルトの謝肉祭
バイロス著作目録
 あとがき