絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【い】

飯尾 憲士 (いいおけんし)
「開聞岳」
 (かいもんだけ)
集英社文庫



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*291頁
*発行 1989年
*カバー・田村義也

*カバー文
若くして死を選らばざるをえなかった、特攻隊員のなかに数名の朝鮮出身者たちがいた。「天皇のためなんかに死ねるか」といっていた高山昇こと崔貞根は、ある日ついに開聞岳をあとにする。なぜ、自国を解放してくれるはずのアメリカ艦船に彼は勇躍突入していったのか?執拗なまでの著者の追求は、生き証人を尋ね沖縄から韓国まで拡がる。そして徐々に解きほぐされてゆく真実……。

*解説頁・伊藤成彦


飯尾 憲士 (いいおけんじ)
「艦と人 ― 海軍造船官八百名の死闘」
 (かんとひと)
集英社文庫



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*324頁
*発行 昭和61年
*カバー・荒川じんぺい

*カバー文
第二次大戦中、海戦の勝敗を決めたのは用兵者の戦術だけではない。空母をはじめ巡洋艦、駆逐艦などの建艦技術の競争も熾烈な、もう一つの戦場だった。建艦に従事した福田烈海軍技術中将に率いられた造船官はいかに戦ったか? 苦悩のなかで技術革新をやりとげた歴史の陰のドラマを浮彫にするノンフィクション・ノベル。

*解説頁・野坂昭如


飯沢 耕太郎 (いいざわこうたろう)
「増補 戦後写真史ノート 写真は何を表現してきたか」
(せんごしゃしんしのーと)
岩波現代文庫


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*303頁 / 発行 2008年

*カバー文
第二次大戦後から現在まで、日本の写真は何をどう表現してきたのだろうか。日本の『ライフ』を目指した名取洋之助、リアリズムにこだわった土門拳、日本人の原像を追い求めた東松照明、「私写真」の世界を切り開いた荒木経惟など、代表的写真家の活動を中心に、戦後日本の写真表現の歴史を描き出す。戦前からのつながり、九〇年代以降の動向もおさえた増補改訂版。

*目次
 はじめに
T 戦後写真の出発 1945〜1955
 1 戦後写真への助走
 2 名取洋之助の“戦後”
 3 リアリズムという問題
 4 主観主義の隘路
U “戦後派”の登場 ── VIVOの世代 1955〜1965
 1 断絶と連続
 2 奈良原一高 ── 「パーソナル・ドキュメント」の成立
 3 東松照明 ── 生活者の視点
 4 川田喜久治 ── 「地図」の手ざわり
V “私”と“他者”へのまなざし 1965〜1975
 1 さびしさの思想化 ── 東松照明の一九六五‐七五年
 2 『プロヴォーク』の疾走
 3 “私”と“他者”へのまなざし
 4 編集される写真 ── 『カメラ毎日』の六〇‐七〇年代
 5 広告写真の“夢”
 6 私・旅・フォークロア
W “世界の中心”の喪失 1975〜1990
 1 奇妙な空白 ── 一九七〇年代後半の写真
 2 「植物図鑑」以後の世界像
 3 ドキュメンタリーの可能性
 4 ネイチャー・フォトの広がり
X 写真表現の現在 1990〜
 1 ARAKIとMORIYAMA
 2 「女の子写真」の日々
 3 デジタル時代の写真表現
 おわりに / 岩波現代文庫版あとがき / 主要参考文献 / 掲載写真出典一覧 / 人名索引


飯田 進 (いいだすすむ)
「魂鎮への道 ― BC級戦犯が問い続ける戦争」
(たましずめへのみち)
岩波現代文庫


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*382頁 / 発行 2009年

*カバー文
ニューギニア戦線での地獄の体験とは何か。いかなる状況下で戦争犯罪を犯したのか。巣鴨刑務所出獄後も戦争責任を直視し続けてきた元BC級戦犯(現在八六歳)の稀有な思索。過酷な戦場で無残な最期をとげた兵士と戦犯裁判を経て処刑されたBC級戦犯の姿を通して、日本の戦争と戦争責任・戦後責任を根本から問い直す。

*目次
第一部 BC級戦犯としての体験
1 体験伝承のむずかしさ / 2 刑死者たちの声を聞く / 3 手負いになること ―― ぼくの戦争犯罪

第二部 戦争犯罪と戦犯裁判
4 連合軍の犯罪 / 5 日本軍の犯罪

第三部 戦争責任を戦後に問い続けて
6 松井石根大将を思う / 7 勇戦敢闘できなかった死者のために / 8 護送船からの手紙 / 9 BC級戦犯から見た東京裁判 / 10 スガモ・プリズンの衝撃 / 11 大本営参謀の戦争責任を問う

第四部 今も鎮魂の意味を問いながら
12 日本軍を想い自衛隊の現在を考える / 13 韓国・朝鮮人BC級戦犯が願うこと / 14 鎮魂への道

 参考文献 / あとがき / 岩波現代文庫版あとがき / 解説 内海愛子


いえき ひさこ
「恋は緑の風の中」
(こいはみどりのかぜのなか)
秋元文庫・YOUNGシリーズ(秋元書房)


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*174頁
*発行 昭和49年
*映画化カバー(主演佐藤佑介・原田美枝子)

*目録文
東宝で映画化され、話題を呼んだ同題の原作である。中学生の日常生活を通して、男女交際、初恋、性のめざめがつつみかくさず明るく描かれている。スチール写真も豊富に掲載。


生田 直親著 写真・吉岡 直道 (いくたなおちか・よしおかなおみち)
「さよなら青函連絡船 《人魚がくれた手紙》」 (さよならせいかんれんらくせん)
徳間文庫


*カバーフォト・吉岡直道
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*153頁 / 発行 1987年

*カバー文
 青函連絡船のデッキから、津軽海峡へと身を投げた一組のカップル。船長立ち会いのもと、洋上結婚式を挙げたばかりの幸せそうな二人がいったい何故? 遺された一通の手紙が、二人の哀しい運命を語り始める……(「人魚がくれた手紙」)。
 北の海を渡る連絡船と函館の街並みを題材にした珠玉の四篇を収録。書き下し&撮り下しの、詩情溢れるカラー・フォト・ストーリー。

*目次
函館からの電話
人魚がくれた手紙
蝶の舞う空
白い夏


井口 朝生 (いぐちあさお)
「山姫の砦」 (やまひめのとりで)
大陸文庫


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*351頁
*発行 昭和63年
*カバーイラスト・中川惠司

*カバー文
応仁の乱の激動期、阿波山中で繰りひろげられる阿修羅地獄。その中で周囲から虐げられ、賊徒と化し砦に篭る荒くれ共を統率する美少女山姫。一揆征伐に加勢した武士と山姫の奇妙な交流を描いた戦国伝奇ロマン!

*解説頁・石井冨士弥


イグナチオ・デ・ロヨラ著 / 門脇 佳吉訳・解説 (かどわきかきち)
「霊操」 (れいそう)
岩波文庫


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*304頁
*発行 1995年
*カバーカット・イグナチオの署名(一五四一年)

*カバー文
1522年、修業中のイグナチオ・デ・ロヨラはマンレサ近くの河畔で神からの神秘的照らしを受ける。「すべてを新しく感じられ」「別の知性を得たように」感じた彼は、修行のためのまったく新しい指導書を書き始める。自らの神秘体験を反省し普遍化して弟子たちに再体験させようとつくりあげた、約四週間にわたる観想のプログラム。詳細な解説付。


池波 正太郎 (いけなみしょうたろう)
「小説の散歩みち」 (しょうせつのさんぽみち)
朝日文庫


*カバー装画・池波正太郎
 カバー装幀・多田進

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*275頁 / 発行 1987年

*カバー文
ふたりの祖母に恐るべき悪童と言われながらも慈しまれた幼年期から戦争体験を経て、今日、時代小説の名手となるまでの懐しき日々、思い出の人々。そして小説作法の秘密、歴史の主役たち、旅の楽しさ、季節の味……。単行本『一年の風景』『新年の二つの別れ』から、著者ならではの感覚と語り口が楽しい秀篇を集めたエッセイ集。

*目次
1
私のヒーロー 時代小説うらばなし 時代小説について 伏線について 恩恵の書巻 湯島天神境内 敵討ち 福島正則と酒 堀部安兵衛 大石内蔵助 西郷隆盛 伊庭八郎
2
浅草 住居と生活 紙 生き残った二冊の本 忘れられない本 こころとこころ タバコを売る少女 睡眠 家庭 観劇の一夜 長谷川伸 父 家族 ふたりの祖母 文士と悪童 桂文楽のおもい出 植草甚一さんを悼む 狂気の夏
3
東京の鮨 小鍋だて ソースをたっぷり 立版古 昔の味 有為転変 酒に交われば 嗜好 食べもの日記二十年 なつかしの味 越中・井波 ― わが祖先の地 東大寺の結解料理 金沢 飛騨・高山


池波 正太郎 (いけなみしょうたろう)
「東京の情景 池波正太郎エッセイ・シリーズ1」
(とうきょうのじょうけい)
朝日文庫


*カバー装幀・吉田篤弘+吉田浩美
 カバー装画・池波正太郎

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*110頁 / 発行 2007年

*カバー文
変貌を続ける首都・東京のビル群の隙間にわずかに残る江戸の面影。作品の舞台や懐かしい街角を池波正太郎が訪ね歩き、エッセイとカラーイラストで描く画文集。池波ファンが「幻の本」として愛する1985年刊の単行本を、イラスト全30点も収録し、初めて文庫化。

*目次
大川と待乳山聖天宮 / 谷中の異人屋敷 / 湯島天神の白梅 / 皇居の桜田濠 / 夕焼けの赤羽橋 / 品川・御殿山の名残り / 銀座の雨(天國) / 四谷見附の橋 / 神田・ニコライ堂 / 築地・聖路加病院 / 武州・御岳 / 神田・お茶の水 / 芝・増上寺 / 日曜日の魚河岸 / 最後の都電(雑司ヶ谷附近) / 佃の渡し(昭和27年) / 大川と佃大橋 / 月夜の船入り(佃島) / 上野・不忍池 / 浜離宮の舟入り / 柳橋夜景 / 浅草・東京クラブ / 名橋・日本橋 / 池上・本門寺 / 乃木将軍旧邸 / 明治座の楽屋 / 上野山内・東照宮 / 赤坂・霊南坂教会 / 湯島の聖堂 / 兜町(株式街) / あとがき / 巻末対談 北原亞以子×重金敦之


池波 正太郎 (いけなみしょうたろう)
「新年の二つの別れ 池波正太郎エッセイ・シリーズ3」
(しんねんのふたつのわかれ)
朝日文庫


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*429頁 / 発行 2008年
*カバー装幀・吉田篤弘+吉田浩美 / カバー装画・池波正太郎

*カバー文
過ぎゆく日々を惜しみつつ、新しい年を迎えるこころは弾む。師・長谷川伸の思い出や亡き父の面影、友との交流など、人と人との出会いと別れ、旅への想い、食べ物の記憶、さらに時代小説のうらばなしまで、時代小説作家として脂の乗り切った著者が綴る円熟のエッセイ集。《巻末対談・常盤新平×重金敦之》


池波 正太郎 (いけなみしょうたろう)
「私が生まれた日 ― 池波正太郎自選随筆集[1]」 (わたしがうまれたひ)
朝日文芸文庫


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*387頁
*発行 1996年
*カバー画・池波正太郎 / カバーデザイン・多田進

*カバー文
時代小説の仕掛人のみならず、生活の達人でもあった著者が、折にふれ綴り好評を博した随筆の中から、食べ物、散歩、旅、下町、家族に関するものなど自ら選び抜いた62篇を収録。かつての東京下町の情景、そこに住み暮らす大人と子供の姿が活き活きとして蘇る。池波ファンならずとも必読の1冊

*巻末エッセイ 常盤新平


池波正太郎 (いけなみしょうたろう)
「私の風景 ― 池波正太郎自選随筆集〈3〉」 (わたしのふうけい)
朝日文芸文庫


*カバー画=池波正太郎「夕焼けの赤羽橋」
 デザイン=多田進
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*201頁 / 発行 1996年

*カバー文
生まれ故郷・東京の思い出深い場所を、ひとつひとつスケッチした「東京の情景」。最後の楽園が変わり果てる前に、と訪れたシンガポール・インドネシア旅行記「夜の闇の魅力」。映画や絵画を通じ親しみを抱くフランス旅行記「ルノワールの家」。変わりゆく風景を惜しみつつ綴ったシリーズ第3弾。

*目次
東京の情景
 大川と待乳山聖天宮 / 谷中の異人屋敷 / 湯島天神の白梅 / 皇居の桜田濠 / 夕焼けの赤羽橋 / 品川・御殿山の名残り / 銀座の雨(天國) / 四谷見附の橋 / 神田・ニコライ堂 / 武州・御岳 / 神田・お茶の水 / 芝・増上寺 / 日曜日の魚河岸 / 最後の都電(雑司ヶ谷附近) / 佃の渡し(昭和27年) / 大川と佃大橋 / 月夜の船入り(佃島) / 上野・不忍池 / 柳橋夜景 / 浅草・東京クラブ / 名橋・日本橋 / 池上・本門寺 / 乃木将軍旧邸 / 明治座の楽屋 / 上野山内・東照宮 / 湯島の聖堂 / 兜町(株式街) / 『東京の情景』あとがき

夜の闇の魅力
 ホテル「グッドウッド・パーク」 / シンガポールからバリ島へ / 夜の闇の魅力 / インドネシアへの熱い想い

ルノワールの家
 イノサンの泉 / ドイツの一夜 / ルノワールの家 / プロヴァンスの碧空 / カルカソンヌの城

 巻末エッセイ 影山勲


池部 良 (いけべりょう)
「山脈をわたる風」
(やまをわたるかぜ)
小学館文庫


*装画・蓬田やすひろ
 カバーデザイン・鈴木成一
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*280頁 / 発行 1998年

*カバー文
人に逸話あり。── 酒席の余興で色っぽいお蔦になった小津安二郎監督、撮影の小道具用に五十匹の蠅を捕ってきた山口淑子、真冬の朝、陸軍入隊を見送ってくれた島津保次郎監督。ある秘密の手術に付き合わされることになった越路吹雪など、個性豊かな人々との思い出をユーモラスに綴る。
「表立って、悪口、陰口を言わせてもらえる場を与えて頂けると、すっかり嬉しくなり、文脈も糸瓜(へちま)もなく書いてしまいます」(著者あとがき)と断りつつも、愛情あふれる筆致で紡ぎだした三十篇の軽やかなエッセイ集。

*目次
T 男ともだち、女ともだち
  憎たらしいが可愛い弟 ── 鶴田浩二
  魅惑の城 ── 越路吹雪
  一途さ ── 山口淑子
  友人、好きです ── 團伊玖磨
  嫌な野郎 ── 佐田啓二
  正論には毒がある ── 倉本聰
  年下の先輩 ── 高峰秀子
  気になる人 ── 芥川比呂志
  そそられる女(ひと) ── カトリーヌ・ドヌーブ
  牛蒡といわれた男 ── 高倉健
U ご縁がありまして
  忘れられない人 ── 島津保次郎
  鬼 ── 豊田四郎
  師匠であって先生ではない ── 小津安二郎
  ご縁がありまして ── 石坂洋次郎
  変な兄貴 ── 谷口千吉
  けじめの人 ── 源さん
  宝物 ── 志賀直哉
  観念お化け ── 篠田正浩
  魚の腸(はらわた) ── 岡本太郎
  男の風上に置けねえ ── 池部釣
V 偉くて、好きで
  尊敬する人物 ── 乃木希典
  偉くて、好きで ── 丸山茂
  政治家 ── 勝海舟
  江戸っ子の孤独 ── 夏目漱石
  「ヰタ セクスアリス」 ── 森鴎外
  プロフェッショナル? ── 東郷平八郎
  思い入れ ── ヘンリー・フォンダ
  「惜別」の友かな ── ジェラール・フィリップ
  先生の手紙 ── 富田彬
  おふくろ ── 池部富子
   (すみません、敬称は略させていただきます。著者)
 単行本あとがき
 解説 如月小春


石井 忠 (いしいただし)
「漂着物事典 : 海からのメッセージ」 (ひょうちゃくぶつじてん)
朝日文庫


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*330頁
*発行 1990年
*カバー装幀=多田進 / 写真=ボンカラー

*カバー文
この22年間、雨の日も風の日も、著者は漂着物を求めて早朝の海岸を歩く。休日には玄海沿岸20キロを一回りする。何が見つかるか分からぬ偶然の面白さと、さまざまな謎を秘めた漂着物の素性を追う楽しさにとりつかれ、集めた品はココヤシだけで630個、総計6000点。黒潮が運んできた便りの数々を、事典風に興味深く紹介する。


石井 花子 (いしいはなこ)
「人間ゾルゲ」
 (にんげんぞるげ)
徳間文庫



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*345頁
*発行 1986年
*カバーデザイン・矢島高光

*カバー文
昭和16年、反戦運動に参画していたリヒアルト・ゾルゲ(ソ連赤軍、ナチス党員・新聞記者として来日)、尾崎秀実(近衛内閣嘱託、満鉄調査部)らがスパイ容疑で検挙され、処刑された。他に逮捕者39名、獄死5名、世にいうゾルゲ事件である。著者はゾルゲとの出会い、共に暮した愛の日々を語り、その素顔を浮彫りにする。それは世の偏見と闘いながら激動の現代を生きた、貴重な証言である。

*解説頁・尾崎秀樹


石川 球太 (いしかわきゅうた)
「なつかしい『おもちゃ』の作り方」
(なつかしいおもちゃのつくりかた)
知恵の森文庫(光文社)


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*246頁
*発行 2010年
*カバーデザイン・長坂勇司

*カバー文
ワリバシ鉄砲、竹トンボ、紙ずもう、ポンポン船……。昭和の子供たちは、みんな手作りの「おもちゃ」で遊んでいた。材料は、身近にあって使い捨てていたものばかり。手作りだから、安くできるし頭も使う。『冒険手帳』の共作者が書いた、まぼろしのロングセラーを文庫化。ゲーム機やプラモデルでは味わえない、「作るよろこび」がよみがえる。


石川 光陽 / 編集協力・森田写真事務所 (いしかわこうよう)
「昭和の東京 あのころの街と風俗」
(しょわのとうきょう)
朝日文庫


*カバー写真・石川光陽
 カバー装幀・熊谷博人
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*212頁 / 発行 1993年

*カバー文
モボとモガの街銀座、庶民の町浅草の賑わい、吉原・洲崎遊廓、カフエー街、2・26事件、東京大空襲、焼け跡の闇市、MP……。ライカ片手に戦前~敗戦直後の東京の街角をスナップして歩いた警視庁カメラマン・石川光陽の秘蔵写真で再現する懐かしい東京。

*目次
はじめに
戦前
 銀座 / 東京駅前 / 神田・御茶の水 / 六本木交差点 / 赤坂見附界隈 / 警察署 / 市電・バス・タクシー / 上野広小路 / ◎私の修行時代 大正八年−十年 / 浅草六区 / 遊郭 / カフェー街・二業地 / 駅 / 商店街 / ◎関東大震災 大正十二年九月 / ◎邸内警住 昭和十一年十一月 / 京橋青果市場 / 花見 / 花火 / 細民 / 早慶戦 / ベーブ・ルース来日 / 選挙 / メーデー / 二・二八事件 / 出征 / 防空演習
戦中
 空襲 / 銃後 / ◎昭和二十年の日記から(敗戦まで)
戦後
 敗戦 / ◎昭和二十年の日記から(敗戦後) / 八雲の自宅 / 焼け跡闇市 / 米兵
あとがき / 文庫版あとがき / 取材・調査協力


石川 淳 (いしかわじゅん)
「おとしばなし集」
 (おとしばなししゅう)
集英社文庫



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*226頁
*発行 1977年
*カバー・佐藤晃 / 千代紙・菊寿堂いせ辰提供

*カバー文
江戸戯作の深い造詣にささえられた石川淳の軽妙な話体による“おとしばなし”と世界名作のパロディ。

*目次
おとしばなし堯舜 / おとしばなし李白 / おとしばなし和唐内 / おとしばなし列子 / おとしばなし管仲 / おとしばなし清盛 / おとしばなし業平 / 鉄枴 / 張柏端 / 曾呂利咄 / 小公子 / 蜜蜂の冒険 / 乞 食王子 / アルプスの少女 / 白鳥物語 / 家なき子 / 愛の妖精 / 解説・丸谷才一


石川 淳 (いしかわじゅん)
「狂風記(上下)」
(きょうふうき)
集英社文庫




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*上432頁 / 下448頁
*発行 1985年
*カバー・菊地信義

*帯文

一陣の風、下界のてんやわんやを笑う。人間の営み、夢のまた夢。

淫乱な女体。欲のふつかり合い。俗界のドラマ果て、またそこに無。

*上巻カバー文
波瀾万丈の物語性。それを支える神の如き語り手の存在や御都合主義。趣向・見立て・語呂合わせなどの戯作の技巧。あるいは歴史的仮名づかいまでも、作者はがらくたの山から掘り出してきて、時めくものへ戦いをいどむ。おそらくこれは戦後文学史のなかでも特筆されるべき文学的戦いのひとつだろうと、わたしは思う。 (井上ひさし氏評)


石川 淳 (いしかわじゅん)
「白描」
 (はくびょう)
集英社文庫



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*237頁
*発行 1978年
*カバー・佐藤晃 千代紙、菊寿堂いせ辰提供

*カバー文
木彫の技術に特異な才能をもつ鼓金吾は、ロシヤ人の画家夫婦の家で偶然みた一枚の美少女の肖像画に眼を奪われた。永遠なるものの美を求めて、社会に一歩をふみ出した少年の少女への淡い想いと、彼をとりまく大人たちとの確執を軸に、大戦前夜の知識人の孤独な魂の遍歴を描く名作。

*解説頁・佐々木基一


石川 淳 (いしかわじゅん)
「普賢」 (ふげん)
集英社文庫


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*244頁
*発行 1977年
*カバー・千代紙、菊寿堂いせ辰提供

*カバー文
退廃と汚辱にみちた日々を無気力に生きる「わたし」の前に、長い間恋いこがれてきた旧友庵文蔵の娘ユカリが、特高警察に追われ、呪詛にみち、荒んだ姿であらわれる。戯作派といわれる著者が大胆に危機感を現出して、絶望からの再生を描く。第四回芥川賞を受けた表題作の他、処女作「佳人」ほか「葦手」「秘仏」を収録した初期短編傑作集。

*解説頁・佐々木基一


石坂 敬一編 (いしざかけいいち)
「ザ・ビートルズ写真集」 (ざびーとるずしゃしんしゅう)
ケイブンシャ文庫(勁文社)


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*221頁
*発行 1983年

*カバー文
20世紀のスーパー・ヒーロー、ザ・ビートルズ。ポップミュージックの歴史を変えた彼らの音楽は、愛と自由と夢を歌いあげ、今なお世界の若者の心をとらえて離さない。'60年代を疾風怒濤のごとく駆けぬけた彼ら4人の青春の軌跡を、豊富な写真で構成したユニークな写真集。


石田 波郷 (いしだはきょう)
「初蝶 ― 石田波郷句集」 (はつちょう)
ふらんす堂文庫


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*72頁
*発行 2001年
*装丁・君嶋真理子

*帯文
代表作を網羅し精選426句を収録。
石田勝彦編・解説 〈雪はしづかにゆたかにはやし屍室〉等、代表句が網羅されたこの一冊を通して、昭和期を代表する俳人波郷の魂に迫る。
栞・佐佐木幸綱

*「栞」=解説の冊子


石ノ森 章太郎 (いしのもりしょうたろう)
「石ノ森章太郎の青春」
(いしのもりしょうたろうのせいしゅん)
小学館文庫


*カバーデザイン・海野一雄+Bay Bridge Studio
 イラスト・日暮修一
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*285頁 / 発行 1998年

*カバー文
 数々の人気コミックを世に送り出し、惜しまれながらも逝去した漫画の天才・石ノ森章太郎。
 彼はなぜ漫画家になったのか。その創造性と感性の原点は、少年時代に培われていた。
 戦争、家族の死、社会への怒り、ふるさとの野山で体験した四季の自然と遊ぶ楽しさ……。感性を磨きながら育った少年時代から、美術部や文学部での活躍、恋、漫画の投稿……と、才能を開花させた高校時代。
 上京し、駆け出しの漫画家仲間たちと過ごしたトキワ荘時代。漫画の神様・手塚治虫との運命ともいえる出会い……。
 昭和を駆け抜けた漫画の天才が自らの「時間」を振り返る青春記。漫画家志望者必読の稀少作『まんが研究会』も収録!

*目次
誕生 ―― 幼年時代
まんが研究会 石森先生現わる
四季 ―― 小学生時代
まんが研究会 コマわりの美学
行事 ―― 中学生時代
まんが研究会 まんがか勉強か
レオナルド・ダ・ビンチ ―― 高校時代
まんが研究会 ふきだしとネーム(セリフ)
仙台での同期会
まんが研究会 笑いのタイミング
あとがき
解説
年表


石丸 晶子 (いしまるあきこ)
「式子内親王伝 ― 面影びとは法然」 (しょくしないしんのうでん おもかげびとはほうねん)
朝日文庫


*カバー装幀・多田進
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*306頁 / 発行 1994年

*カバー文
「玉の緒を絶えなば絶えぬ…」の百人一首で、また忍ぶ恋の歌人として名高い後白河法皇第三皇女。鎌倉初期の動乱の闇の中、心は一途に法然の愛を求めて密かな慕情をつのらせつつ死んでいった。その式子の苦悶にみちた、痛切な衰れ深い生涯を歌と新史料を駆使して描く。第一回紫式部文学賞受賞。

*目次
第一章 式子 その周辺
第二章 賀茂の斎院となる
第三章 王朝の残夢深き夜に
第四章 末法の世に生きて
第五章 法然に出会う
第六章 円光の人法然
第七章 押小路殿春秋
第八章 有りしにもあらぬ日々
第九章 切り岸に咲く
第十章 現世への夢深く
ふたたび式子と法然 ―― あとがきにかえて
式子への旅その後 ―― 文庫になるにあたって
解説 角田文衞
 皇室及び藤原定家関係系図
 年譜
 主要参考文献目録


石牟礼 道子 (いしむれみちこ)
「椿の海の記」
 (つばきのうみのき)
朝日文庫



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*258頁 / 発行 1980年

*解説文(大岡信)の引用です。
この本の由来について石牟礼さんは次のように書いている。

 いまちょうど、いわば自伝的形式に託した長篇小説第一部を、書き直し書き直しして、なんとか脱稿直前に来たところで、「椿の海の記」と題しているのだが、はじめ気を楽にして、たのしく書きあげたいと思ってとりかかったのだった。(略)
 時代の設定は昭和初期の水俣の、満州事変の起きる直前の三・四年、わたしの二歳くらいから五歳までくらい。ごくごくものごころつきはじめの短い期間の世界で、俗にいう幼児体験をもとにしているのである。


泉 鏡花 (いずみきょうか)
「鴛鴦帳」 (おしどりちょう)
岩波文庫


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*212頁・旧仮名旧字体
*発行 1955年

*カバー文
鏡花の理想主義のもっとも鮮烈にあらわれた一篇。自己の信念のために身命を捨てることをも辞さぬ男女を描く。八年の歳月を費やしてなった大正期の力作。

*解説頁・佐藤春夫


井田 進也校注 (いだしんや)
「幕末維新パリ見聞記 ― 成島柳北『航西日乗』・栗本鋤雲『暁窓追録』」
(ばくまついしんぱりけんぶんき ― なるしまりゅうほく「こうせいにちじょう」・くりもとじょうん「ぎょうそうついろく」)
岩波文庫


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*286頁 / 発行 2009年
*カバー・中野達彦
 図版・パリ、キャピュシーヌ大通り、マドレーヌ寺院方向。Parisu nouveau illusutre(『新版・絵入りパリ案内』、一八七三年)より

*カバー文
徳川幕府崩壊とともに三一歳で隠居し、ヨーロッパを一民間人として漫遊した成島柳北(一八三七−八四)。幕府外国奉行として渡欧した栗本鋤雲(一八二二−九七)。祖国のために観察した現役の外交官鋤雲と、心の赴くままに漫歩した自由人柳北の、二つの西洋見聞録。

*目次
 凡例
航西日乗(成島柳北)
暁窓追録(栗本鋤雲)

 注
《解説》柳北と鋤雲のパリを歩く(井田進也)
 略年譜
 索引


井筒 紀久枝 (いづつきくえ)
「大陸の花嫁」
(たいりくのはなよめ)
岩波現代文庫


*カバー写真・昭和十八年三月一日、著者の壮行会にて
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*226頁 / 発行 2004年

*カバー文
越前和紙の里に生まれた女がつらい境遇から逃れるため選んだ道、それは「大陸の花嫁」となって満州へ行くことだった。開拓団の生活、夫の応召、敗戦そして乳飲み子を抱えての難民生活……。阿鼻叫喚の満州から生きて帰ってくるまでに何があったのか。そして戦後は。「花嫁」本人が描いた稀有な記録。『句集 満州追憶』併録。

*目次
大陸の花嫁
 まえがき
T 荒野
U 彷徨
V 鎮魂
句集 満州追憶
本書に寄せて 井筒紀久枝
戦争を語り継ぐために 新谷陽子


井出 孫六 (いでまごろく)
「明治民衆史」
(めいじみんしゅうし)
徳間文庫



*カバーデザイン・秋山法子
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*282頁 / 発行 1998年

*カバー文
 明治初頭、藩閥抗争に明けくれる政府内にあって、渡欧米の岩倉、大久保らの留守をあずかる陸軍大輔・山県有朋は窮地に陥った。政商山城屋に独断で融通した陸軍省予備費が生糸の暴落によってコゲついてしまったのである。司法卿である政敵・江藤新平の追及の手が伸びるが、事件は思わぬ結末に……(「葬られた政商」)。栄光の時代・明治から、暗く陰惨な時代・明治への暗転を活写する歴史ノンフィクション。

*目次
夜明け前の生贄 ―― 赤松小三郎の死
奴隷船裁判 ―― マリア・ルース号事件
葬られた政商 ―― 山城屋和助屠腹事件
二千人の叛乱 ―― 真壁郡一揆
まぼろしの勝利者 ―― 那珂郡一揆
最後の仇討 ―― 臼井六郎の場合
軍艦と税金 ―― 「酒屋会議」の敗北
遺棄された船客 ―― ノルマントン号事件
教育勅語の踏絵 ―― 内村・久米の受難
奉安殿物語 ―― 二つの久米事件
喇叭卒の謎 ―― 木口小平と白神源次郎
検定制度の陥穽 ―― 教科書疑獄
壊死した風景の彼方に ―― 足尾大暴動
明治の終焉 ―― 仕立屋銀次の逮捕
 文庫版あとがき


伊藤 海彦 (いとううみひこ)
「走る歌 江ノ電」
 (はしるうたえのでん)
朝日文庫


*カバー装画・岡本半三
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*223頁 / 発行 1987年

*カバー文
 古都鎌倉と藤沢を結んで、海辺を、花の中を、またときには家々の軒端をかすめるように、コトコト走る「江ノ電」。開業85周年の江ノ電は、いまや日本最古の私鉄でもある。この沿線に長年住み、江ノ電の人間くささを愛してきた詩人による、滋味溢れるエッセー。

*目次
まえがき
走る歌
江ノ電小景
江ノ電暦日
続・江ノ電暦日
遠ざかる歌
江ノ電各駅点描
あとがき
江ノ電・駅名変遷(吉田克彦)
◎カラーページ
江ノ電四季 / 車両さまざま / 沿線めぐり


伊藤 桂一 (いとうけいいち)
「黄土の狼」
 (おうどのおおかみ)
集英社文庫



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*269頁
*発行 1977年
*カバー 山崎佐一郎

*カバー文
「春英への激しい未練は、そのまま憎しみの情とつながった」北支山西省で、大津少尉の率いる小隊は、美貌の投稿兵李春英を引き取り、八路軍ゲリラの出没する中で中隊本部に向かった。戦場ではげしく燃え上る恋と、夾竹桃咲きみだれる戦場の死のすがたを、烈日の下に浮き出させる傑作集。

*目次
黄土の狼 / 黄土の滝 / 夜の声 / 故山への出発 / 波と? / 夾竹桃の咲くころ / ボンタン実るとき / 名を呼ぶとき / 山麓の祭 / 解説 加藤義寛


伊藤 玄二郎 (いとうげんじろう)
「風のかたみ ― 鎌倉文士の世界」
 (かぜのかたみ)
朝日文庫



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*233頁
*発行 1995年
*カバー絵・中島千波 / カバー装幀・多田進 / 表紙、扉・伊藤鑛治

*カバー文
鎌倉は文士の町。その湘南・鎌倉に住む著者が、編集者として25年、里見ク、永井龍男、小林秀雄、堀口大學など仕事を通して知遇を得た文人たちとのこぼれ話から、湘南の暮らしぶり、身辺雑記までエピソード豊富に描く。文士のプロフィールが編集者の目で巧みにとらえられている。

*解説頁・永井路子


伊藤 緋紗子 (いとうひさこ)
「華の人 有田に生きた薔薇の貴婦人・敏子の物語」
(はなのひと A Glorious Lady)
小学館文庫


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*364頁
*発行 2015年

*カバーデザイン・山田満明

*カバー文
人気エッセイストが五年の歳月をかけて取材、執筆した話題作品を文庫化! 舞台は大正時代。東京の女学校で学んでいたモダンガール敏子が恋に落ちた相手は、名門大学の剣道部主将。そしてパリ万博で金牌の栄誉に輝いた宮内省御用達窯元の若き二代目だった。女学生の身で妊娠、そして十九歳で遠く九州有田の深川家に嫁ぐことになった敏子を待ち受ける試練の日々。やがて彼女は旧弊の地で、東京に負けないカフェを作ることを思いつく……。激動の時代を鮮やかに生き抜いた彼女の三十年の生涯を描く。有田焼誕生四百年記念作品。解説は文芸評論家・末國善巳。


伊藤 文学 (いとうぶんがく)
「『薔薇族』編集長」
(ばらぞくへんしゅうちょう)
幻冬舎アウトロー文庫


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*238頁
*発行 2006年
*カバーデザイン・井上則人デザイン事務所

*カバー文
一九七一年に創刊された伝説のゲイ雑誌『薔薇族』。非同性愛者でありながら、日本全国のゲイ読者の悩みや気持ちに応えつづけ、警察からの呼び出しや、発禁、廃刊にもめげず二〇〇六年には三度目の復刊を果たした。三〇年以上闘ってきた編集長の原動力とは? 美輪明宏、寺山修司らから絶賛されたその魅力に迫る第一級ノンフィクション。

*目次
はじめに / 第一章 創刊 / 第二章 読者 / 第三章 才能 / 第四章 事件 / 第五章 歴史 / あとがき / 文庫版あとがき


稲垣 達郎 (いながきたつろう)
「森鴎外」 (もりおうがい)
学燈文庫(学燈社)


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*257頁 / 発行 1955年
*カバーフォトグラフ・基敦 / デザイン・三嶋典東

*目次
第一 序編
 一、鴎外の生涯 / 二、鴎外年譜
第二 本編
 一、ミニヨンの歌 / 二、独逸日記 / 三、舞姫 / 四、即興詩人 / 五、妻への手紙 / 六、鷄 / 七、青年 / 八、妄想 / 九、雁 / 一〇、百物語 / 一一、灰燼 / 一二、阿部一族 / 一三、安井夫人 / 一四、山椒大夫 / 一五、歴史其儘と歴史離れ / 一六、高瀬舟 / 一七、寒山拾得 / 一八、澀江抽斎 / 一九、空車
 解答編
 総索引


稲木 紫織 (いなきしおり)
「日本の貴婦人」
(にほんのきふじん)
知恵の森文庫(光文社)


*カバーデザイン・熊澤正人(パワーハウス)
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*253頁 / 発行 2004年

*カバー文
 昭和の時代に名門に生まれ育った女性16名への貴重なインタビュー集。登場する女性 ―― 東郷いせ、徳川喜和子、安田百合子、酒井美意子、伊藤ローザ、冷泉布美子、山脇道子、廣瀬忠子、井上喜久子、鳥井春子、小倉遊亀、山縣睦子、土浦信子、小酒井美智子、石井好子、朝吹登水子。撮影 / 吉田大朋、稲垣功一。

*目次
はじめに ―― 林真理子
東郷いせ ◆ 自分のお祖母様には椅子をどうぞってするでしょ その延長に外交があるの
徳川喜和子 ◆ お金で誇りは買えないです 心の中から自然に溢れ出るものなんですよ
安田百合子 ◆ 母から子に語りつがれてきたおとぎ話を英語でね 今年またクリスマスにでも出版しようかしら
酒井美意子 ◆ 私は女を演技してるんです 自分のいいところを見せようと思ったらそうしなきゃ
伊藤ローザ ◆ 今の日本は毎日の生活が“カンフォタブル”ならそれでいいとだけ思っているみたいで
冷泉布美子 ◆ 日本の心ってものをしっかりつかんでほしい いいところがたくさんあるのですもの
山脇道子 ◆ 最近の女性は何でも他人のまねばかり もっと個性を大切にすればいいのに
廣瀬忠子 ◆ 男女同権なんて盛んに言われますけど私女性の勉強も足りないと思う
井上喜久子 ◆ この先どんな面白いことができるかと思うと年取っちゃいられないわ
鳥井春子 ◆ 昨日のことはもう過去のこと ただ前を見て生きているだけです
小倉遊亀 ◆ とらわれないということができれば本当に生きることができます
山縣睦子 ◆ 仕事か結婚か…両方とったらいかがですか?
土浦信子 ◆ 私いつも今を生きてるの 昔がよかったとは思わないわ
小酒井美智子 ◆ 楽しく暮らすためにはちょっとした遊び心が大切だと思う
石井好子 ◆ 大臣の娘ともあろうものがレビューで歌うなんてケシカランと言われたんです
朝吹登水子 ◆ 軽井沢でだけ毎年お会いする“夏のお友達”っていうのがずいぶんありました
おわりに ―― 稲木紫織



井上 章一 (いのうえしょういち)
「増補新版 霊柩車の誕生」
(れいきゅうしゃのたんじょう)
朝日文庫


*カバー装幀・原田恵都子
 カバー装画・ヤマモトマサアキ
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*288頁 / 発行 2013年

*カバー文
あの独特なデザインの「宮型霊柩車」はどのような経緯で誕生し、全国に広まったのか。明治から現代まで、葬送風俗の変遷を解明する唯一の書。増補にあたり、近年、急速に「宮型」が路上から姿を消し、アメリカ風の霊柩車が主流となった背景にも迫る。

*目次
 序に代えて 吉田光邦 / はじめに
一 キッチュの意匠
 1 宮型霊柩車 / 2 四つのローカル・カラー / 3 大都市に集中する「宮型」 / 4 「宮型」の登場 / 5 原型は輿と棺車 / 6 「宮型」を嫌うひとびと / 7 キッチュ、あるいは俗悪の美学 / 8 「宮型」の芸術的価値 / 9 大阪文化が生みだしたもの
二 明治時代の葬送
 1 「おともらいかせぎ」 / 2 座棺から寝棺へ / 3 スペクタクルとしての葬列 / 4 葬儀屋の大看板 / 5 大名行列から葬列へ / 6 葬送と都市の社会史
三 霊柩車の誕生
 1 すたれる葬列 / 2 路上からの追放 / 3 葬式電車の走った街 / 4 聖なるもののおとろえ / 5 霊柩自動車の登場 / 6 最後の葬列 / 7 葬列から霊柩車へ / 8 棺車にはじまる「宮型」の系譜 / 9 大衆社会が求めた「宮型」
四 霊柩車についての断章
 1 迷信と霊柩車 / 2 交通制度のアウトサイダー / 3 “陽明門霊柩車”争い始末記 / 4 ガラスの霊柩車 / 5 エロチシズムと霊柩車 / 6 日米霊柩自動車摩擦 / 7 天皇の霊柩車 / 8 死のポルノグラフィティー
五 消えゆく「宮型」 ─ 文庫化にあたっての補筆
 1 偽装する霊柩車 / 2 より小さく、こぢんまりと / 3 都市を舞台としたページェント / 4 葬祭場と火葬場の内側で
 あとがき / 選書版へのあとがき / 文庫版へのあとがき / 解説 水道橋博士


井上 ひさし (いのうえひさし)
「馬喰八十八伝」
 (ばくろやそはちでん)
朝日文庫



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*475頁
*発行 1989年
*カバー装画・山藤章二

*カバー文
江戸時代の初め、下総国は馬産地として知られた桜七牧。馬の種付けを業とする馬喰の若者が、八十八個の嘘をつく願をたてた。ひとつ嘘を口にするたび、金・馬・美女とつぎつぎ手に入れ、ついには十万石の大名家を乗っ取る大仕事……。嘘を武器にくり広げる二転三転の痛快絵巻。

*解説頁・無縁空間の文学 山口昌男


井上 光晴 (いのうえみつはる)
「書かれざる一章」
 (かかれざるいっしょう)
集英社文庫



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*281頁
*発行 1978年

*カバー文
これは民衆と人間のあるべき革命運動の内部の矛盾を、見て見ぬふりをしている人間にむけて書かれた一章である。現実との生きた接点を失い官僚化する組織のなかで、革命への純粋な情熱にもえる主人公は、個人と家族の生活が解体する危機に直面し苦闘する。「政治と文学」に新しい次元を拓いた表題作他四篇収録。

*解説頁・佐木隆三


井上 光晴 (いのうえみつはる)
「黒縄」 (くろなわ)
集英社文庫


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*182頁
*発行 昭和54年
*カバー・司修

*カバー文
伊万里の黒髪皿山を襲った不審火の謎は、陶工たちの淫靡な男と女の関係を浮きぼりにする。窯元・前畑精一夫婦の焼死は自殺か他殺か? 出火の翌日に気が触れた女の過去。祖父の代にさかのぼる血の秘密。伊万里の窯元に渦巻く欲と痴情の葛藤に「往生要集」にいう黒縄地獄に跳梁する鬼たちの姿をうつした長篇小説。

*解説頁・竹之内静雄


井上 光晴 (いのうえみつはる)
「新編・ガダルカナル戦詩集」 (がだるかなるせんししゅう)
朝日文庫


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*261頁 / 発行 1991年
*カバー装幀・多田進

*カバー文
戦争・芸術・核・廃墟をそれぞれ主題とした本書収録の四編は、いづれも井上光晴の「自己」を問い直す作業から浮上してきた作品である。……誰もが立ち止まって、「平和」で「豊かな」いまこそじっくりとこの井上が提起している問題を考えるべきでないだろうか。(黒古一夫「解説」より)

*目次
ガダルカナル戦詩集
村沢窯の血
手の家
妖婦たちの明日
 解説 黒古一夫


井上 光晴 (いのうえみつはる)
「辺境」 (へんきょう)
集英社文庫


*カバー・横尾龍彦
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*282頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
弟の遺言どおり遺骨を海に撒く男。姿を消した夫を捜して海辺の墓地造成工事の飯場に住みつく女。荒涼とした風景のなかに広まる夫の自殺の噂。流浪のはてに深層の闇を裂いてひびいてくる男と女の旋律。〈辺境〉から怒りをこめて現代日本の傷痕を鋭くあばく表題作他「菅牟田私刑」等六編を収録。

*目次
辺境
水村二等兵曹の家
電車
菅牟田私刑
象海岸のひとで
安らいの場所
蕩児の帰棟
 解説 高野斗志美


井上 雪 (いのうえゆき)
「廓のおんな」
 (くるわのおんな)
朝日文庫



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*279頁 / 発行 1984年

*カバー文
金沢の真宗寺院坊守で作家の著者が、ひがし茶屋街を舞台に明治から大正、昭和の時代をたくましく艶やかに生きた芸妓の生涯を描いたノンフィクション。
昭和55(1980)年11月に初版された郷土の名作が「名著シリーズ」で蘇った。
廓の歴史から芸妓の生きざま、暮らしに息づく方言に至るまで精緻に記録され、往年の茶屋街の姿が金沢の奥深さを映し出す。

*目次
・雛妓の頃
 梅ノ橋 / 姉妹のこと / たあぼの頃 / 振袖芸者 / ロシア俘虜と廓 / 水揚げの日
・芸者の頃
 芸のこと / 廓遊びの四季 / 観音町ぐらし / 愛人とともに
・女将の頃
 「すず見」のあるじに / 芸者をそだてる / 戦争のあとさき / 戦後の廓 / おんなふたり
解説 川口久雄


猪俣 津南雄 (いのまた つなお)
「踏査報告 窮乏の農村」 (とうさほうこくきゅうぼうののうそん)
岩波文庫


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*244頁 / 発行 1982年

*帯文
二府十六県にわたる精力的な農村踏査により、昭和恐慌下の農村社会が活写されたルポルタージュの古典的労作.《解説=大島清》

*目次
凡例 / 序
初篇 窮乏のさまざまな型
 1 養蚕農村 / 2 米作農村 / 3 多角形農業の村 / 4 工場のある農村 / 5 山村と漁村 / 6 借金の重圧
中篇 農民から観た農村対策
 1 更生運動の実績 / 2 更生計画を立てた村々 / 3 産業組合と貧農大衆 / 4 米穀統制法の効目 / 5 救農工事の実相
終篇 農民の喘ぎ求めるもの
 1 没落の中農層 / 2 地主の状態 / 3 不在地主と土地集中 / 4 土地飢饉の出現 / 5 零細農小作と地主的土地所有 / 6 守勢の側、攻勢の側 / 7 農民運動の前途
 解説 (大島清)


井原 西鶴作 横山 重・小野 晋校訂 (いはらさいかく・よこやましげる・おのすすむ)
「本朝二十不孝」 (ほんちょうにじゅうふこう)
岩波文庫


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*267頁
*発行 1963年

*カバー文
中国の二十四孝を俳諧化して二十不孝と題し20篇の挿話に代表的な親不孝者を登場させる。親が死んだら倍にして返す「死一倍」を契約、父親を殺そうとして用意した毒薬を誤り飲んで死んでしまう笹六等々。西鶴(1642-93)は社会からはみ出す人間群像を描いて徳川封建社会の実相を読者に示した。赤木文庫を用い吉田半兵衛作の挿絵をすべて収録。


井伏 鱒二 (いぶせますじ)
「軍歌『戦友』」 (ぐんかせんゆう)
集英社文庫


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*212頁
*発行 昭和52年
*カバー・今城国忠

*カバー文
今は定年退職を迎える年齢に達した戦争体験者の、かつての戦場のひと駒を淡々と描いた表題作。素朴な庶民の生活をユーモア溢れて描く「多甚古村」「丑寅爺さん」、戦場から帰還した元中尉の異常な言動を描いて戦時思想を痛烈に批判する「遥拝隊長」の四作を収録した滋味あふれる傑作集。  解説・小坂部元秀


井伏 鱒二・舟橋 聖一・井上 靖・水上 勉 (いぶせますじ・ふなはしせいいち・いのうえやすし・みずかみつとむ)
「私の履歴書 ── 中間小説の黄金時代」
(わたしのりれきしょ ちゅうかんしょうせつのおうごんじだい)
日経ビジネス人文庫(日本経済新聞出版社)


*ブックデザイン・鈴木成一デザイン室
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*510頁 / 発行 2006年

*カバー文
後に名作『山椒魚』を生んだ中学の同級生との憶い出(井伏鱒二)、「戦禍をよそに女と寝る」と非難を受けた十二月八日(舟橋聖一)、競争からおりてしまった新聞記者時代(井上靖)、人間の修羅を見た京の寺での集団生活(水上勉) ── のちにスター作家となった四つの個性はどのように育まれたのか。

*目次
私の履歴書 井伏鱒二
私の履歴書 舟橋聖一
私の履歴書 井上靖
私の履歴書 水上勉
 解説 文壇という世界が輝いていた頃 坪内祐三


今福 龍太 (いまふくりゅうた)
「荒野のロマネスク」 (こうやのロマネスク)
岩波現代文庫


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*307頁 / 発行 2001年

*カバー文
定点から観測し,文化を客観的に捉えようとしてきた民族誌。だが、新しい民族誌家はエキゾティックなものに出会う荒野へ赴き、移動しながら異文化との相互作用を物語的(ロマネスク)に書き記す。民族誌を客観主義の呪縛から解き放ち、ハイブリッド化が進行する文化状況のなかで、新しい叙述の可能性に懸けた文学にも架橋する斬新な試み。

*目次
 プロローグ 声の提示
荒野のロマネスク
身体の地質学 アントナン・アルトー論
音と身体のエスノセオリー
直覚の人類学 ホセ・マリア・アルゲダス論
バリオの詩学
意識のダイロジック カルロス・カスタネダ論
国境文化のなかの「放蕩息子」たち アメリコ・バレーデスへの手紙
物語としての民族誌 メキシコのル・クレジオ
 あとがき
 岩波現代文庫版あとがき
 解説 物語と事実の谷間を流れる水について(林巧)


伊良子 清白 (いらこせいはく)
「詩集 孔雀船」
 (ししゅうくじゃくぶね)
岩波文庫



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*116頁・旧仮名旧字体 / 発行 1983年

*帯文
孤高の詩人清白が数多くの詩作から厳選に厳選を重ねて自ら編んだ生涯に一冊の詩集。その清純なリリシズムは読む人の心に沁み透る。

*解説頁・中山省三郎


イリン著・宮川やすえ訳 (みやかわやすえ)
「灯火の歴史・時計の歴史」
(とうかのれきし・とけいのれきし)
旺文社文庫

*229頁 / 発行 1979年

*目録文
「人間の歴史」で有名なイリンが、おもしろい多くのエピソードで描く灯火と時計の歴史物語。


色川 大吉 (いろかわだいきち)
「明治精神史 (上下)」
(めいじせいしんし)
岩波現代文庫


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*上287頁 / 下368頁 / 発行 2008年

*カバー文
民衆思想史の草分けとなった著者の記念碑的代表作。大学紛争が全国的に展開され、近代の価値が厳しく問われていた時代にあって、大きな共感をよんだ、戦後歴史学、戦後思想史の名著である。テクストは全集に収録されている「新編」ではなく一九六八年刊行の「増補版明治精神史」。

*目次

 まえがき / 増補版まえがき / 岩波現代文庫版まえがき
第一部 国民的覚醒の時代
 1 明治ルネッサンスの記念碑 ── ある地方の人間発掘から
 2 草莽の目ざめ ── 横井実学党を支えた一族たち
 3 豪農民権への展開 ── 徳富猪一郎の思想形成
 4 自由民権運動の地下水を汲むもの ── 透谷をめぐる青年群像
 5 民権と国権の相剋 ── 大矢蒼海と大阪事件内面史
 6 “戦士・詩人・思想家”の生誕 ── 透谷における原体験の意味
 7 地方知識人の道統 ── 秋山国三郎の人と精神
 8 在村活動家型民権家の二つの軌跡 ── 平野友輔と細野喜代四郎
 9 人民ニヒリズムの底流 ── 困民党指導者、須長漣造の思想

第二部 国家進路の模索の時代
 1 新日本の進路をもとめて ── 徳富蘇峰の描いた未来像
 2 “三酔人の経綸問答” ── 中江兆民の模索
 3 明治二十年代の思想・文化 ── 西欧派と国粋派の構想
 4 明治三十年代の思想・文化 ── 明治精神史の断層
 5 天皇制イデオローグとの対決 ── 内村鑑三の日本批判
 6 明治人の可能性を示すもの ── 一民権家のその後の思想)
第三部 方法論的序説
 1 歴史家の宿命について ── 歴史叙述と文学
 2 明治文化史の構想について ── “書評”の形をかりて
 3 思想史と精神史について ── “あとがき”にかえて)
第四部 問題の所在
 1 明治精神史の方法と課題 ── 初版への批判にこたえて
 2 天皇制イデオロギーと民衆意識(序説)
 3 蘇峰思想体系の三要素 ── 資料「将来之日本」の分析
 4 近代思想の矛盾構造 ── 資料「分析=評価基軸」
解説(花森重行)


色川 武大 (いろかわぶだい)
「喰いたい放題」
 (くいたいほうだい)
集英社文庫



*カバー・千葉督太郎
(画像はクリックで拡大します)

*254頁 / 発行 1990年

*カバー文
私はなんでもガツガツ喰う方だが、その私でも、たったひとつ、心がけていることがある。たまに外出して喰べる贅沢な喰い物よりも、米とか、味噌とか、豆腐とか、日常茶飯の喰べ物を吟味したい。
(「あとがき」より)「練馬の冷やしワンタン」「ソバはウドン粉に限る」「江戸前の落ちこぼれもんじゃと豆かん」等々、食通で知られた著者のとっておき味談義。

*目次
練馬の冷やしワンタン / 駄喰い三昧 / おうい卵やあい / ソバはウドン粉に限る / 江戸前の落ちこぼれもんじゃと豆かん / 右頬に豆を含んで / 大喰いでなければ / 花の大阪空腹記 / 紙のようなカレーの夢 / 及ばざるは過ぎたるが如し / ギュウニュウたこかいな / 朝は朝食夜も朝食 / キョーキが乱舞するとき / あつあつのできたて姐ちゃん / フライ屋風来坊 / 甘くない恋人たち / 向う横丁のたばこ屋の / 酒は涙か / 大物喰らい / 徹夜交歓 / 肉がなけりゃ
 あとがき / 解説 伊集院静


岩田 アキラ (いわたあきら)
「印半纏」
(しるしばんてん)
京都書院アーツコレクション


*造本・南ひとみ
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*255頁 / 発行 1998年

*目録文
背や襟などに図案化した家号や氏名などを染めぬいた半纏や法被(はっぴ)、「しるしばんてん」。日本の祭りや様々な行事には欠かせないもので、それを羽織った若衆からは、いなせな心意気さえ感じる。作家独特のアングルから活写する。

*目次
印半纏は、粋でいなせな江戸っ子の心意気 岩田アキラ
祭半纏
 お祭り / 祭半纏 / 江戸火消しの人たちの祭半纏 / 祭半纏 雛形 / 手拭被り
火消し半纏
 いろは四十八組の雛形 / 役半纏と江戸消防記念会 / 明治中期の刺子半纏 / 明治中期の火事場装束 / 昭和初期の小頭半纏 / 火消し半纏 雛形 / め組の半纏
仕事半纏
 大店の仕事半纏 雛形 / 紋と文様 / 仕事と半纏姿
あとがき / 東京おもな お祭りガイド / 参考文献


岩田 アキラ (いわたあきら)
「印半纏」
(しるしばんてん)
青幻舎


*装丁・大西和重
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*274頁 / 発行 2006年

*カバー文
粋でいなせな印半纏(しるしばんてん)。江戸っ子がデザインした意匠だ。祭には印半纏すがたのファッションが競い合う。威勢のいいかけ声に、ねじり鉢巻で神輿が踊り、跳ねまわる。火事と喧嘩は江戸の華。いろは四十八組のいなせなシンボルは印半纏。仕事師には印半纏がよく似合う。本書には印半纏の意匠を凝らした雛形のデザイン、その時代背景にある資料五〇〇点を収録。印半纏は江戸っ子の心意気だ。

*目次
まつり
 お祭り【下谷神社例大祭】 / お祭り【三社祭】 / お祭り【神田祭】 / 祭半纏 / 江戸火消しの人たちの祭半纏 / 手拭い被り
ひけし
 役半纒と江戸消防記念会 / 火消し半纒雛形 / 昭和初期の小頭半纒 / 明治中期の火事場装束[刺子] / め組の半纏いろは四十八組の雛形 / 纏絵
しごと
 仕事と半纒姿 / 大店の仕事半纒 雛形 / 紋と文様
あとがき


岩波文庫編集部編 (いわなみぶんこへんしゅうぶ)
「岩波文庫解説総目録1927‐1996 (上中下)」
(いわなみぶんこかいせつそうもくろく)
岩波文庫






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*上中下341頁 / 中597頁 / 下341頁 / 発行 1997年

*カバー文
1927年7月10日の創刊以来、1996年12月まで刊行した全書目を分野別に整理、基礎的な書誌データを網羅し簡潔な内容解説文を付した。
岩波文庫が歩んできた70年は、ちょうど昭和以降の日本の歴史と重なる。この社会的にも文化的にも激動の時代、岩波文庫は、戦争の最も激しい時期を含め、1年も休むことなく刊行され続けてきた。
岩波文庫70年の歩みを凝縮した本書は、まさに現代日本の文化受容の足跡を映すものであり、また、世界名著辞典ともなっている。(全3冊)

*目次
上巻
日本思想[青]
東洋思想[青]
仏教[青]
歴史・地理[青]
音楽・美術[青]
哲学・教育・宗教[青]
日本文学(古典)[黄]
日本文学(近代・現代)[緑]

中巻
法律・政治[白]
経済・社会[白]
自然科学[青]
東洋文学[赤]
ギリシア・ラテン文学[赤]
イギリス文学[赤]
アメリカ文学[赤]
ドイツ文学[赤]
フランス文学[赤]
ロシア文学[赤]
南北ヨーロッパ文学その他[赤]
岩波文庫別冊

下巻
書名索引
著訳者別書名索引
刊行順全書目リスト


 読書子に寄す 岩波茂雄
  ―― 岩波文庫発刊に際して ――

 真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。かつては民を愚昧ならしめるために学芸が最も狭き堂宇に閉鎖されたことがあった。今や知識と美とを特権階級の独占より奪い返すことはつねに進取的なる民衆の切実なる要求である。岩波文庫はこの要求に応じそれに励まされて生まれた。それは生命ある不朽の書を少数者の書斎と研究室とより解放して街頭にくまなく立たしめ民衆に伍せしめるであろう。近時大量生産予約出版の流行を見る。その広告宣伝の狂態はしばらくおくも、後代にのこすと誇称する全集がその編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に敬虔の態度を欠かざりしか。さらに分売を許さず読者を繋縛して数十冊を強うるがごとき、はたしてその揚言する学芸解放のゆえんなりや。吾人は天下の名士の声に和してこれを推挙するに躊躇するものである。このときにあたって、岩波書店は自己の責務のいよいよ重大なるを思い、従来の方針の徹底を期するため、すでに十数年以前より志して来た計画を慎重審議この際断然実行することにした。吾人は範をかのレクラム文庫にとり、古今東西にわたって文芸・哲学・社会科学・自然科学等種類のいかんを問わず、いやしくも万人の必読すべき真に古典的価値ある書をきわめて簡易なる形式において逐次刊行し、あらゆる人間に須要なる生活向上の資料、生活批判の原理を提供せんと欲する。この文庫は予約出版の方法を排したるがゆえに、読者は自己の欲する時に自己の欲する書物を各個に自由に選択することができる。携帯に便にして価格の低きを最主とするがゆえに、外観を顧みざるも内容に至っては厳選最も力を尽くし、従来の岩波出版物の特色をますます発揮せしめようとする。この計画たるや世間の一時の投機的なるものと異なり、永遠の事業として吾人は微力を傾倒し、あらゆる犠牲を忍んで今後永久に継続発展せしめ、もって文庫の使命を遺憾なく果たさしめることを期する。芸術を愛し知識を求むる士の自ら進んでこの挙に参加し、希望と忠言とを寄せられることは吾人の熱望するところである。その性質上経済的には最も困難多きこの事業にあえて当たらんとする吾人の志を諒として、その達成のため世の読書子とのうるわしき共同を期待する。
  昭和二年七月


岩橋 邦枝 (いわはしくにえ)
「岩橋邦枝の誹風柳多留」
 (いわはしくにえのはいふうやなぎだる)
わたしの古典シリーズ
集英社文庫



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*295頁 / 発行 1996年
*カバー作品・栗田敬子 / AD・菊地信義

*カバー文
『誹風柳多留』は、いつの世にも誰にでも親しめる人間味溢れる川柳集である。軽妙卑俗な五・七・五の十七音の世界に、江戸のあらゆる階層にわたる老若男女の生態、暮らしぶりが、日常のすみずみまで活写されている(本文より)。“寝かす子をあやして亭主叱られる” “しのぶれど色に出にけり盗み酒” 等々滑稽さ、可笑しみ、温かさがいっぱい。現代人の人情の原点をみる。

*目次
わたしと『誹風柳多留』 / 序章 / 第一章 家族 / 第二章 川柳のうがち / 第三章 職業 / 第四章 日常生活 / 解説 坂内泰子 / 鑑賞 荻野アンナ / 初句索引 / 章扉イラスト 穂積和夫


岩本 素白著・来嶋 靖生編 (いわもとそはく・きじまやすお)
「東海道品川宿 岩本素白随筆集」
(とうかいどうしながわじゅく)
ウェッジ文庫



*カバー版画・小林清親
「浅草蔵前夏夜」(明治十四年)
(画像はクリックで拡大します)

*233頁 / 発行 2007年

*カバー文
 晴れた日は、愛用の杖を携えて、人知らぬ裏町や寒駅を飄然と散策する。雨の日は、皿や茶碗を撫でたり眺めたりして日を過ごす。
 「人というものは『愛する心』を失わないうちは、いかなる境遇にも堪えて行かれるものなのである。人に対しても物に対しても、また自然に対しても ── 」
 傑作「東海道品川宿」を中心に近代随筆の最高峰と謳われた素白随筆を精選する。

*目次
序の章
 ゆく雲
Tの章
 東海道品川宿(一〜十三)
 素湯のような話 ── 南駅余情序章
 晩春夜話 ── 南駅余情二
 こがらし ── 南駅余情二
 板橋夜話一 ── 南駅余情三
 板橋夜話二 ── 南駅余情四
 怡々草堂夜話 ── 唐棧
 神府開帳
 女首蛇身像 ── 神府開帳二
Uの章
 素白夜話 ── 逸題
 壷
 こわれ物
 母校
 鳥居坂時代
Vの章
 歌人長嘯子
 日本文学に於ける漫画の創始
岩本素白略年譜 / 解説 来嶋靖生