絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【か】

海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「江戸城大奥列伝」
 (えどじょうおおおくれつでん)


*カバー装画・中一弥
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*237頁 / 発行 1988年

*カバー文
春日の局 ― 徳川三代将軍家光の乳人となり、家光の将軍継嗣に尽力し、「表」の老中に匹敵するほどの権勢を持つようになった、江戸城「大奥」の取締役。ついでお万の方、矢島の局、桂昌院、右衛門佐の局、お伝の方、左京の方、絵島等々、江戸の時代を背後から彩る大奥婦女を活き活きと描く海音寺史伝。

*目次
御側御用人と大奥 / 春日の局の威力 / お万の方旋風 / 矢島の局の明暗 / 桂昌院の栄達 / お伝の方と右衛門佐の局 / 桂昌院の信仰 / 悪法の背景 / 北の丸殿の登場 / 御台所の博識 / 左京の方の提言 / 堂上家の隆盛 / 絵島のとりなし / 内政と外交に関する白書 / 大奥を巻き込む訴訟 / 大奥女中の影響力 / 解説 尾崎秀樹


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「史談と史論〈上下〉」
 (しだんとしろん)


*カバー装画・中一弥
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*発行 昭和52年

*カバー文
上巻
歴史上の人物を語っては当代一の著者の史談・史論・随筆集を上・下2巻に収録。調査の精緻、論理の正確明晰に加えて、読物としての面白さ、小説的描写を以て、歴史上の人物に焦点をあてる。
上巻には、「西郷南州の悲劇」「乱世の英雄」「武蔵の強さ」ほか、明治維新・江戸・安土桃山期の傑作23遍を収める。
下巻
歴史上の人物を語っては当代一の著者の史談・史論・随筆集――調査の精緻、論理の正確明晰に加えて、読物としての面白さ、小説的描写を以って、歴史を彩った人物と時代背景に焦点をあてる。
下巻には、「かくれ門徒の話」「倭寇物語」「平将門」「武将雑感」ほか、室町・南北朝・鎌倉・平安朝の傑作22編を収める。


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「孫子」
 (そんし)


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*656頁
*発行 1974年
*カバー装画・原田維夫

*カバー文
“兵法とは究極には己れに勝つこと”呉楚の確執が続く古代中国。卓越した戦略家的素質と隠者的性格を合わせ持つ孫武と、復讐に憑かれて生涯を賭ける伍子胥の生き様。骨肉相食む戦乱の世の諸王・将軍・刺客等人間群像を、「春秋左氏伝」「呉越春秋」「史記」から掘り起こし、独自の解釈のもと鮮やかに甦らせる。


加賀 乙彦 (かがおとひこ)
「錨のない船 上下」
(いかりのないふね)
講談社文芸文庫スタンダード



*デザイン・菊地信義
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*上528頁 / 下544頁 / 発行 2010年新装版

*カバー文
上下
一九四一年、アメリカの厳しい経済制裁で資源確保が困難化、進退窮まる日本。武力解決を訴える勢力の圧迫を受けつつも、ワシントンに飛んだ来島平三郎特命全権大使は、妻の故郷アメリカとの開戦回避の道を懸命に模索していた。だが、ルーズヴェルト大統領、ハル国務長官を相手の交渉は難航、だましうちのように真珠湾攻撃が敢行されてしまう ―― 。戦争に翻弄される外交官一家の肖像をつぶさに描く傑作長篇。
上下
外交官来島平三郎とアメリカ出身のアリスの長男である健は母の容貌をより濃く受け継いだがゆえ、日本陸軍飛行兵として戦争に深く関わっていくことを自ら選んでいた。日本の敗色濃厚な一九四五年春、来島健は戦闘機疾風を操り米軍のB29を撃墜するも、結局無惨な死を迎える。敗戦。息子に先立たれた平三郎は、戦犯の疑いをかけられ ―― 歴史に翻弄された一家の運命を描く歴史長篇の新装版完結。

*下巻巻末頁
参考文献 / 著者から読者へ / 解説 リービ英雄 / 年譜 / 著書目録


加賀 乙彦 (かがおとひこ)
「ザビエルとその弟子」
(ざびえるとそのでし)


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*232頁 / 発行 2008年
*カバー装画・聖フランシスコ・ザヴィエル像 神戸市立博物館蔵 / カバーデザイン・多田和博

*カバー文
日本に初めてキリスト教を伝道したフランシスコ・ザビエル。中国への布教を熱烈に夢見ながら、目前のサンチャン島で熱病に斃れた彼の最晩年を、三人の弟子を通じて描く。貴族出身で現世的なフェレイラ、日本人のアンジロウ、そして最期を看取ったアントニオ。聖ザビエルの激しい魂が活写された、衝撃作。

*目次
1 要塞都市 / 2 丘の上の聖母教会 / 3 迫害 / 4 暗い船出 / 5 孤島 / 6 終焉の浜辺 / 7 死霊と生霊 / 8 復活


郭 沫若著 (かくまつじゃく) 須田 禎一訳 (すだていいち)
「李白と杜甫(上下)」
 (りはくととほ)


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*上274頁・下315頁
*発行 昭和51年
*カバーデザイン K・B・K

*カバー文
李白と杜甫は、その詩を古くから愛誦され、親しまれてきた。本書は文化大革命後、郭沫若が世に問うた、この盛唐二大詩人の評伝である ― 社会科学の方法論と詩人の鋭い直感をもって、詩を解剖し、旧来の諸説を論破し、“人民詩人”としての李白・杜甫像を力強い筆で描出した。それは、従来杜甫を〈詩聖〉と貴び、李白を〈浪子〉と下位に置く評価をも覆した。


風見 潤・安田 均編 (かざみじゅん・やすだひとし)
「世界SFパロディ傑作選」
 (せかいえすえふぱろでぃけっさくせん)


*カバー装画・ナメ川コーイチ
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*331頁 / 発行 1980年

*カバー文
スーパーマンはめったやたらに空を飛び、フランケンシュタインは深く静かに地にもぐる ― 口きく犬は名探偵、鋼鉄吸血鬼は淋しく眠る ― 反物質爆弾発射!
ロボットは人間に危害を加えてはならない ― レンズマンよ永遠なれ!→SFとパロディが見事に合体した全宇宙、反宇宙、超宇宙的傑作選。11編を収録。

*目次
スーパーマン症候群(シンドローム)  ノーマン・スピンラッド
ホーカミの群  ポール・アンダースン&ゴードン・ディクスン
好色な神へのささげ物  ウィリアム・ノールズ
スカーレティンの研究  ジョナサン・スウィフト・ソマーズ三世(フィリップ・ホセ・ファーマー)
バーニイ  ウィル・スタントン
吸血機伝説  ロジャー・ゼラズニイ
レンズマン裏舞台  ランドル・ギャレット
昇華世界  J・G・B ― (ジョン・スラディック)
暗殺者たち  ロン・グーラート
欠陥  ジェイムズ・ブリッシュ&L・ジェローム・スタントン
昏い世界を極から極へ ― 続「フランケンシュタイン」  スティーブン・アトリー&ハワード・ウォードロップ

 解説(安田 均)


梶山 季之 (かじやまとしゆき)
「那覇心中」
(なはしんじゅう)


*カバー装画・山下昌也
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*237頁 / 発行 1989年

*カバー文
不動産業者の倉地は、沖縄・那覇で出会った青年山口を東京にさそい、就職の世話をする。山口の那覇での荒れた生活が気になったのだ。
 しかし半年後、山口は心中した。しかも相手が七十の老女! 倉地にあてた長文の遺書は、青年のおどろくべき生活を赤裸々に告白していた……。単行本未収録作や放送劇を含む、鬼才の心中小説集。

*目次
那覇心中
スワッピング心中
ケロイド心中
綱島心中
紀伊浜心中
 初出一覧
 解説 岩崎清一郎


梶山 季之 (かじやまとしゆき)
「李朝残影」
 (りちょうざんえい)


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*308頁 / 発行 1978年
*カバー装画・山下昌也

*カバー文
昭和十五年の京城。日本人画家野口は、李朝時代の宮廷舞踏を舞う美しい妓生を知り、大作のモデルにしたいと懇望するが、彼女の応対は冷たい。彼女の過去に日本軍を憎悪せざるをえない或る出来事が強く刻みこまれていたのだ。元軍人を父にもつ野口の衝撃は大きかった。京城に愛惜の念を深く抱いた著者の代表作。

*解説頁・坂田稔


加藤 秀俊 (かとうひでとし)
「隠居学 おもしろくてたまらないヒマつぶし」
(いんきょがく)


*カバーデザイン・間村俊一
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*384頁 / 発行 2011年

*カバー文
森羅万象、世の中はおもしろいことだらけ。なにかを知って、ああ、おもしろいねえ。きょうも物知りになった、と夜、寝る前に満足感にひたりながらニヤニヤできれば、それでいいのだ。現役をはなれて自由になった隠居には目的なんかなくてよろしいのである ―― 人生を味わいつくした碩学による極上随筆集。

*目次
 まえがき
つぎはぎの世界
  「韃靼」幻想 / 連歌の精神 / 揚句のはて / ありあわせ主義
マンネリズムのすすめ
  様式の美学 / お作法について / 「今日もまた…」 / 歳時記の意味 / 規則ただしく
ブランコの話
  いのち短し / 月もおぼろに / 異界との往復 / ロココの世界 / サーカスの記号学
「可欠」のひと
  キュウリからみた世界 / 職業さまざま / 浅草紙のはなし / 組織というもの / 可欠と不可欠 / 名刺の肩書き
忘れる自由
  粗忽の使者 / 忘却力 / 忘れるよろこび / フロイトの屁理屈 / 「海馬」のふしぎ
ヒトとサルのあいだ
  ケータイ解約 / 「ミサキ」のはなし / お稲荷さん / 日吉神社由来 / 庚申講のこと / 人猿
人なき里のロボット
  ロボットの起源 / 「ひとがた」のはなし / 銅像文化 / あやつり人形 / デカルトのお人形 / 「からくり」研究 / 人間とロボット
イワシの頭も…
  日本の社寺 / 一神教の世界 / 「宗教圏」と「信心圏」 / 東洋の神さまたち / 経験としての宗教
ケガレの構造
  履物考 / 日本人の足もと / 服装の秩序 / 「ケガレ」の発見 / 暮らしのケジメ
百病息災
  からだとストレス / 瀕死の文学 / 健康神経症 / 「クスシ」のこと / 宗教としての健康
ヒマもなかなか忙しい
  サイの神をたずねて / 「閑中忙あり」 / 「道楽と職業」 / 目的論への疑問 / 「最もすばらしいもの」
 あとがき
 解説 隠居という愉楽 氏家幹人
 文庫版へのあとがき


金井 美恵子 (かないみえこ)
「噂の娘」 (うわさのむすめ)


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*400頁
*発行 2004年
*カバー装画・デザイン 金井久美子 / 題字 鈴木文枝

*カバー文
遠いどこかの街で父親が入院し、母は私と弟を、懇意の美容院に預けて旅立つ。50年代のどこか、夏から秋にかけての数日間を女ばかりが暮らすその家で過ごす私は、漠然とした不安に発熱する。おびただしい噂話、錯綜する記憶、懐かしい物が織りなす重層的な映像(イマージュ)。時間と感覚を縦横に描く繊細にして強靭な長編。

*巻末インタビュー 断然、読者は女の人しか考えていません


金井 美恵子 (かないみえこ)
「軽いめまい」 (かるいめまい)


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*200頁
*発行 2002年
*カバー写真・青砥茂樹 / カバーデザイン・金井久美子

*カバー文
郊外の住宅地にある築七年の中古マンションで、夏実は夫と小三と幼稚園児二人の息子と暮らしている。専業主婦の暮らしに何といって不満もなく、不自由があるわけでもない。けれど蛇口から流れる水を眺めているときなどに覚える、放心に似ためまい。生活という日常を瑞々しく、シニカルに描いた傑作長編小説。

*解説頁・「既視感という快楽」堀江敏幸


金井 美恵子 (かないみえこ)
「タマや」


*カバー写真・山田宏一
*カバーデザイン・金井久美子

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*189頁 / 発行 1991年

*カバー文
突然、猫をおしつけられて、ぼくは困ってしまう。間もなく五匹の仔猫も誕生した。そこへ、気ままで、気の弱いおかしな人間たちが、次々と押しかけてくる。ぼくの密かな夢は、どうなってしまうのだろう? ― 猫を飼う青年の頼りないやさしさ、自分探しの哀しみ。現代の若者を描き切った、楽しい連作小説集。

*目次
タマや
賜物
アマンダ・アンダーソンの写真
漂泊の魂
たまゆら
薬玉
 「タマや」について ― あとがきにかえて ―
 解説 武藤康史


金井 美恵子 (かないみえこ)
「単語集」 (たんごしゅう)


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*195頁 / 発行 昭和60年
*カバー画・金井久美子

*カバー文
事典に載せられた単語のように、不変で確実な〈事実の世界〉は存在するのだろうか? 物質の欠如が夢想へと駆立て、言葉の虚構性のなかに、夢見る力を委ねようとするが……。言葉の力で他人を魅惑しようと努めながら、自ら物語るという行為を恐れる書き手、作者と作品の奇妙な関係を描く、十二の短篇集。

*目次
 競争者 / 窓 / 薔薇のタンゴ / 人生の時間 / 曖昧な出発 / フィクション / 声 / 月 / 境界線 / 調理場芝居 / ピクニック / 春の声 / 単行本・あとがき / 解説 江中直紀


金井 美恵子 (かないみえこ)
「春の画の館」 (はるのえのやかた)


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*132頁
*発行 昭和54年
*カバー・本文装画 金井久美子

*カバー文
主の名もわからない不思議な館には、この上なく純潔な少年少女たちが飼われている。彼らはメイドたちの監督下で、日夜みだらで残酷な光景を展開させている ― こうした中世ふうモティーフで、甘美かつアレゴリカルに語りかける大人のメルヘン。独得の感性と語感で知られる著者がイメージの実験を試みた散文詩。

*解説頁 「夢のジャムの氾濫」巌谷國士


金井 美恵子 (かなみみえこ)
「プラトン的恋愛」 (ぷらとんてきれんあい)


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*212頁 / 発行 昭和57年
*カバー装画・金井久美子

*カバー文
あなたの名前で発表された小説を書いたのはわたし ― との書き出しで届く奇妙な手紙は、小説を発表するたびに必らず送られてきた。小説を書くことによって初めて彼女との関係が始まるのだ……。書くことに内包されたエロティシズムの悦楽と恐怖とを、読者=作者に鋭く突きつけた現代文学の成果。泉鏡花賞受賞作

*目次
プラトン的恋愛 / 桃の園 / 二つの死 / 才子佳人 / アルゴス / 年齢について / 木の箱 / 日記 / 公園の中の水族館 / 花嫁たち / もう一つの薔薇 / あとがき / 解説 秋山駿


金子 光晴 (かねこみつはる)
「女たちへのエレジー」
(おんなたちへのelegy)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊池信義
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*280頁
*発行 1998年

*カバー文
「ニッパ椰子の唄」「洗面器」「シンガポール羅衛街にて」等の若き日のアジアへの放浪の旅が生んだ「南方詩集」と「画廊と書架「他の三部構成詩集『女たちへのエレジー』。女性への憧憬、愛着、切なさをうたう連作詩『愛情69』。時代に抗し生涯にわたり魂の自由を求めた詩人の生きる証として書かれた詩集二冊を収録。

*巻末頁
解説 中沢けい
年譜 中島可一郎
著書目録 原満三寿


金子 光晴 (かねこみつはる)
「風流尸解記」
(ふうりゅうしかいき)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*344頁 / 発行 1990年

*カバー文
まだ焼け跡の残る敗戦直後の東京の町の片すみで男は抱いた少女の裸身の背後に、朽ち果てた無残な女たちの尸(しかばね)の幻影を見る。恋の道ゆき、地獄廻りのものがたりに、人間の哀しさ、愛しさと残酷さを容赦ない筆致で剔出する『風流尸解記』。芸術選奨受賞。『蛾』『手』『心猿』『姫鬼』『獲麟』『樹懶』の六短篇を併せて優れた現代詩人金子信晴の遺した全小説七篇を集成。

*目次
風流尸解記
樹懶
 蛾
 手
 心猿
 姫鬼
 獲麟
 樹懶

 著者に代わって読者へ 河邨文一郎
 解説 清岡卓行
 作家案内 原満三寿
 著者目録


下野 康史 (かばたやすし)
「図説 絶版自動車 ― 昭和の名車46台、イッキ乗り!」
(ずせつぜっぱんじどうしゃ)
講談社+α文庫


*カバー写真・阿部ちひろ
 デザイン・鈴木成一デザイン室
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*288 / 発行 2006年

*カバー文
今では乗れない、もう買えない懐かしの絶版車に、人気の自動車ライターが1台1台乗って書き下ろした、今までにない旧車評論! 乗ってみたのは昭和時代の名車46台。
1960年代の正統派クラシックカーから、1980年代の「ちょっとだけ古い」クルマまで、思い出の中で輝きを失わない、不朽不滅の名車を楽しむためのガイドブック。
豊富な写真と詳細データつき。この一冊で、憧れだった当時の名車がよくわかる!

*目次
 文庫版まえがき / 本書の読み方
第1章 1960年代の絶版自動車
 トヨタ・クラウン1900デラックス(1961年型) / メッサーシュミットKR‐200(1962年型) / 日野ルノー(1963年型) / いすゞ・ベレット1600GT(1965年型) / 日野コンテッサー1300クーペ(1965年型) / フォード・マスタング・ハードトップ(1965年型) / ダイハツ・コンパーノ・スパイダー(1965年型) / ホンダS800(1966年型) / ホンダT360(1966年型) / トヨタ2000GT(1967年型) / 日産シルビア(1967年型) / 日産ブルーバード1600SSS(1967年型) / トヨタ・パプリカ・デラックス(1967年型) / スバル360スタンダード(1968年型) / マツダR360クーペ(1968年型) / ダイハツ・ミゼット(1969年型) / トヨタ・スポーツ800(1969年型)
第2章 1970年代の絶版自動車
 シトロエンDS20パラス(1970年型) / アルファ・ロメオ1750GTV(1970年型) / 日産サニー1200デラックス(1971年型) / 三菱デボネア・エグゼクティブ(197年型) / 日産チェリー・クーペ1200X(1972年型) / 日産フェアレディ240Z−L(1972年型) / マツダ・ファミリア・プレスト・ロータリーTSS(1972年型) / 日産スカイライン・ハードトップ2000GT−X(1972年型) / ホンダ・ライフ・ステップバン・スーパーデラックス(1973年型) / マツダ・コスモ・スポーツ(1973年型) / 三菱ギャランGTO2000GSR(1974年型) / ロータス・ヨーロッパ・スペシャル(1974年型) / スバル・レオーネ・エステートバン4WD・LG(1978年型) / いすゞ117クーペXT−L(1979年型)
第3章 1980年代の絶版自動車
 スズキ・アルトMX-AT(1981年型) / ホンダ・シティE(1982年型) / トヨタ・ソアラ2800GTリミテッド・エディション(1982年型) / 三菱ランサーEX1800GTターボ・インタークーラー(1984年型) / トヨタMR2・1600Gリミテッド(1985年型) / 三菱コルディア1800・4WD・GSRターボ(1986年型) / ホンダ・バラード・スポーツCR−X1600Si(1986年型) / トヨタ・スターレット・ソレイユL(1987年型) / トヨタ・スプリンター・トレノGTアペックス(1987年型) / 日産プレーリーJW−G(1987年型) / スバル・アルシオーネ4WD1・8VR(1988年型) / いすゞ・ピアッツァXEハンドリング・バイ・ロータス(1989年型) / 日産エクサ・キャノピー(1988年型) / 三菱ジープJ53(1989年型)
番外編 フォルクスワーゲン1・6i(1998年型)



鎌田 慧 (かまたさとし)
「反骨 ― 鈴木東民の生涯」 (はんこつ すずきとうみんのしょうがい)


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*426頁 / 発行 1992年
*カバー写真・読売大争議抗議集会(一九四六年) / カバーデザイン・田村義也

*カバー文
その男、鈴木東民。徹底した反ナチス報道でドイツを追われ、日本に帰ってからは軍部の言論弾圧に抗した新聞記者。敗戦後は読売新聞大争議を指導、のち釜石市長として反権力・反公害運動を展開。一生を時流に媚びず、「反骨」に生きた男の心意気が、痛切に胸を打つ。新田次郎賞受賞の渾身のドキュメント。

*目次
第一章 岩手県唐丹村
第二章 大正デモクラシーの洗礼
第三章 「ナチスの国を見る」
第四章 流謫の日々
第五章 読売新聞大争議
第六章 抵抗の釜石市長
第七章 石をもて追われるごとく
あとがき
解説 黒田清
鈴木東民年譜
人名索引


亀井 勝一郎 (かめいかついちろう)
「日本人の精神史 第三部 中世の生死と宗教観」 
(にほんじんのせいしんし)


*カバー装画・舟橋菊男
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*276頁 / 発行 昭和50年

*カバー文
人間の歴史とは恐怖の歴史である。鎌倉時代こそ、信仰における意志の力の試練された「信心決定」の世紀といえる。乱世に流転するあらゆる生の嘆きに遇い、ここに生じた苦悩こそ「死」の問題であり、中世精神の形成者たる僧、聖、隠者たちが、いかに宗教改革と民衆の思想を形成したか、その主題を追跡した第3部。

*目次
乱世に直前して
 生死の激しさ〈序に代えて〉 / 自力修行の涯に / 宗教改革への道 / 民衆の思想形成ということ / 方丈の異端者
王朝の夕映え
 新古今集とその前後 / 夕映えの美学 / 女房文学の行方
内乱の詩と真実
 平家物語の作者たち / 明日への戦慄と過去への思慕 / 院政の独裁者 / 義経伝説 / 源氏の悲劇と実朝の歌
人間と罪
 救われざるもの / 罪と救いをめぐる妄想 / 信仰の危さ
戒律を求めて
 仏道をならうというは / 邂逅と信の決定 / 生死の思慕と体験
折伏と受難
 正方を護るもの / 迫害のなかの愛情
宗教改革と文学
 信仰の純化をめぐって / 文学の否定 / 徒然草

 後記 / 解説 分銅惇作 / 年表


唐木 順三 (からきじゅんぞう)
「朴の木 ― 人生を考える」 (ほうのき)
講談社学術文庫



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*307頁
*発行 昭和52年
*カバー装画・菱田春草「落葉図屏風」部分(永青文庫蔵) / カバーデザイン・志賀紀子

*カバー文
私はかねがね、真、美という価値体系が崩壊してしまったことが、近代のニヒリズムの根本原因だと思ってきた。いわば科学的真が、善、美を圧伏して独走してしまったことが、近代という時代の性格であると考えてきた。そして、この近代ニヒリズムを超える道は、失われた価値体系をとりもどすことにあると考えてきた。そのためには、真、善、美の統一原理として、幸福というものを、深いところで考えねばならぬと思う。(本文より)

*解説頁・岡松和夫


柄谷 行人 (からたにこうじん)
「マルクスその可能性の中心」 (まるくすそのかのうせいのちゅうしん)


*カバーデザイン 菊地信義
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*239頁 / 発行 1985年

*カバー文
ある作品の豊かさは、著作家が意識的に支配している体系そのものにおいて、なにか彼が「支配していない」体系をもつことにある。……私にとって、マルクスを「読む」ことは、価値形態論において「まだ思惟されていないもの」と読むことなのだ。……マルクスをその可能性の中心において読むとは、そういうことにほかならない。 (「序章」より)

*目次
T マルクスその可能性の中心
U 歴史について ― 武田泰淳
V 階級について ― 漱石試論T
W 文学について ― 漱石試論U
 あとがき
 文庫版へのあとがき
 解説 笠井潔


カルロス・カスタネダ著 青木 保監修 名谷 一郎訳 (あおきたもつ・なたにいちろう)
「未知の次元 ― 呪術師ドン・ファンとの対話」 (みちのじげん)
講談社学術文庫



*カバーデザイン・蟹江征治
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*465頁 / 発行 1993年

*カバー文
若き人類学者カスタネダは幻覚植物の秘密を探るうちに北メキシコのヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンに出会い、現代文明とは別次元の「非日常的現実」についての教えに触れた。彼は文明人としての誇りを捨てて呪術師の弟子となる。トナール(言葉によって示すことができる世界)に対するナワール(日常性や理性をはるかに超えた世界)とは一体何か。呪術と信仰の本質を追究する実践哲学の書。

*目次
学術文庫版へのまえがき
第一部 力の行為の目撃者
 知識との約束 / 夢みる者とみられる者 / 光を発する存在の秘密
第二部 トナールとナワール
 信じなければならないこと / トナールの島 / トナールの日 / トナールの収縮 / ナワールの時に / ナワールの囁き / 知覚の翼
第三部 呪術師の説明
 三人のナワール目撃者 / 呪術師の戦略 / 知覚の泡 / 二人の戦士の好むところ
解説 呪術師カスタネダ…青木保


河井 寛次郎 (かわいかんじろう)
「蝶が飛ぶ 葉っぱが飛ぶ」
(ちょうがとぶはっぱがとぶ)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*242頁 / 発行 2006年

*カバー文
陶芸家としての名声に自ら背を向け同志柳宗悦、濱田庄司と民芸運動を立ち上げた河井。「美を追っかける」世界から、名もなき職人仕事、工業製品の如き「美が追っかける」世界へ、さらに晩年は用途を超えた自由奔放な造形美の宇宙へ……。京都五条坂に登り窯をすえ、暮らし、仕事、美の三位一体、生涯を一陶工として貫徹した河井の純粋なる魂の表白。平易でありながら深遠な味わい深い文章を精選して収録。

*目次
T 仕事と思想
 陶器の所産心 / 機械は新しい肉体 / 火は心の炎 / 民族造形の祈願
U 暮しと言葉
 蝶が飛ぶ 葉っぱが飛ぶ / 歴史の突端に立つ子供達 / いのちの窓それ以後 / 手考足思 / 新時到来 / 饗応不尽
V 陶技始末
W 対談 作り手の立場 嗣子河井博次との対談

  【参考資料】
  河井に送る 柳宗悦 / 解説 河井須也子 / 年譜 鷺珠江 / 著書目録


河井 寛次郎 (かわいかんじろう)
「火の誓い 現代日本のエッセイ」
(ひのちかい)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
(画像はクリックで拡大します)

*284頁 / 発行 1996年

*カバー文
人間国宝や文化勲章に推挙されても応じることなく、一陶工として独自の陶芸美の世界を切り拓き、ついには焼き物の枠を超えた無私普遍の自在な造形世界に自らを燃焼させた河井寛次郎が、美しい物に隠れている背後のものを求めての歩みを詩情豊かな文章で記した、土と火への祈りの書ともいうべき名エッセイ。

*目次

第一篇 物と作者
 部落の総体 / 藁工品とその作者 / 和蘭陶器(デルフト)とその作者 / 石仏と像影と坂本万七君 / 手仕事の塔 / 高橋一智君を想う / 外村吉之介君と西ケ崎の織物 / 棟方志功君とその仕事 / 芹沢_介君とその仕事 / 吉田璋也さん / リーチと別れてから / 陶器が見たピカソの陶器 / 浜田(庄司)の事 / 柳(宗悦)にささぐ
第二篇 窯場紀行
 化粧陶器 / 瀬戸行 / 山陰の窯 / 近江の信楽 / 苗代川の陶農 / 朝鮮の旅 / 壺屋(つぼや)と上焼(じょうやき)
第三篇 町の景物
 序 / 浜鳴り / 梅と鶯 / 模様の国紺屋の仕事 / 町の神々 / 雲雀と子供 / 六月の皿山 / 蚯蚓の鳴声 / 眠れる者達 / 子供の先達 / 町の景物 / 乞食の贈り物 / 鰻の番小屋 / 鯰の生態 / 百万遍 / 秋の虫々 / 野菜の信号 / 八百屋の使者 / 洋灯・幻灯 / ぽてぽて茶 / 膝塗り / 冬の日の町
第四篇 いのちの窓
 序 / 前篇 火の願い / 後篇 いのちの窓 / 自解 / 後記
河井寛次郎素描 壽岳文章
 人と作品 河井須也子
 年譜 鷺珠江
 著書目録
 (カット ―― 河井寛次郎)


河上 徹太郎 (かわかみてつたろう)
「私の詩と真実」
(わたしのしとしんじつ)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
(画像はクリックで拡大します)

*216頁 / 発行 2007年

*カバー文
小林秀雄とともにわが国の近代文芸批評を文学として確立させた河上徹太郎。「純粋」という観念に憑かれた一青年は、中原中也、また青山二郎らとの深い交流のなかで精神の自己形成を図った。音楽を愛し、ヴェルレーヌ、ジッド、ヴァレリーらフランス象徴主義の思考により、エピキュリアンにしてストイックな精神性を身につけた、日本文学最高のアマトゥールによる自伝的連作エッセイ十一篇。

*目次
詩人との邂逅 / 神への接近 / 友情と人嫌い / シェストフ的不安 / 私のピアノ修業 / わが楽歴 / フランクとマラルメ / 若い知性の抒情 / 認識の詩人 / ロンドンの憂鬱 / 詩と人生の循環 / 解説 長谷川郁夫 / 年譜 大平和登・寺田博 / 著書目録 大平和登


川喜田 二郎 (かわきたじろう)
「日本文化探険」 (にほんぶんかたんけん)


*カバーデザイン=アド・ファイブ
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*306頁 / 発行 昭和48年

*カバー文
日本を異邦人のごとき眼でとらえ、国際的座標軸上の日本人の位置、またその中で我々が何をなすべきかを縦横に論じ、現代的、国際的マインドへの転換を訴えた興味つきない“日本人学”の書。
「神仏混淆」「コドモとオトナ」「カンの良い国民」「民族解散」「文化の生態学」「世界史のなかの日本」等、17篇を収める。

*目次
増訂文庫版へのまえがき / まえがき
北地の日本人
南海の日本人
生活様式の改造
山と谷の生態学
神仏混淆
「コドモ」と「オトナ」
パーティー学の提唱 ―― 探検隊の教訓から
カンの良い国民
カーストの起源 ―― 清潔感をめぐる日本文化の座標
労働と人間形成
慣習の国
民族解散
文化の生態学 ―― ひとつの進化論の試み
日本文化論 ―― 丸山真男氏の所論にふれて
世界史のなかの日本
民族文化と世界文化
あとがき


河口 慧海 (かわぐちえかい)
「第二回チベット旅行記」
(だいにかいちべっとりょこうき)
講談社学術文庫


*蓮華手観世音菩薩画像
 (東北大学文学部 川口コレクション)
 カバーデザイン・辻村益郎
(画像はクリックで拡大します)

*282頁 / 発行 1981年

*カバー文
第一回チベット入りの紀行と同じく、この本もまたきわめて信頼性の高いものである。慧海師の観察は、生物や民族の生態についても鋭い。ヤクその他家畜や、その乳製品などについて、あるいは遊牧民などについて。彼のチベット人の三区分(遊牧民、定住牧民、半農半牧民)は、今まで私が接したどの研究者の見解よりも正しいと思う。かように学術的資料としても貴重であるが、読み物としても、おもしろい。(川喜田二郎氏「解説」より)

*目次
新種植物発見者としての河口慧海 宮田恵美
初版 序
第二回チベット旅行地図
凡例
第一部 入蔵記
 黄檗山に入る / ネパール(その一) / ネパール(その二) / ネパール(その三) / ラーマと会見(その一) / ラーマと会見(その二) / ヒマラヤ越え(その一) / ヒマラヤ越え(その二) / ヒマラヤ越え(その三) / ラサ紀行(その一) / ラサ紀行(その二) / ラサ紀行(その三) / チベットの今昔(その一) / チベットの今昔(その二) / チベットの今昔(その三) / チベットの宗教(その一) / チベットの宗教(その二) / チベットの宗教(その三) / チベットの宗教(その四) / チベットの宗教(その五) / チベットの宗教(その六) / チベットの雑俎(ざっそ)
第二部 雪山歌旅行
 雪山歌旅行 初篇 / 雪山歌旅行 西蔵篇
事実とロマン 川喜田二郎

*関連書(サイト内リンク)
 河口彗海 「チベット旅行記」 旺文社文庫


川口 松太郎 (かわぐちまつたろう)
「愛子いとしや」
 (あいこいとしや)


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*241頁
*発行 1985年
*カバー装画・仲田好江

*カバー文
十一も年下なのに、膵臓癌で先に逝ってしまった最愛の妻にささげる鎮魂の書。才能豊かな女優でありながら、家事一切もみごとにとりしきった妻・三益愛子と共に過した四十六年間の尽きぬ思い出。深く結ばれた夫婦の愛。「次の世に生まれ代っても三益愛子を妻に持ちたい」という、涙でつづる感動的な亡妻記。


川口 松太郎 (かわぐちまつたろう)
「一休さんの門 (上下)」
 (いっきゅうさんのもん)




(画像はクリックで拡大します)

*上巻320頁・下巻357頁
*発行 1990年
*カバー装画・横山隆一

*カバー文
上巻
室町時代、臨済宗の風狂僧一休宗純は後小松天皇の落胤ながら、富貴権門に近づかず、流浪の旅のうちに真の悟りを追い求める。貧しい庶民には慈愛と救いの手をさしのべ、足利幕府の圧政には得意の狂歌で立ちむかい、凶暴な無法者には力で懲らしめる痛快な修行生活。天衣無縫の自由人、一休禅師の生きざまをヒューマンな筆致で描く遺作長編。上巻。

下巻
応仁の乱で焼失した大徳寺の伽藍再建の勅令を受けた一休禅師は、寄進行脚のすえ大役を果たし、名誉ある「紫衣」を賜る。そして山城の酬恩庵での修行生活に戻るが、ひそかに身辺をととのえる。やがて風狂僧一休にも非情な老いと病が訪れる。時に八十八歳、眠るがごとき大往生。著者、渾身の大傑作長編、完結。

*巻末頁
あとがき(川口浩)
解説(磯貝勝太郎)


川口 松太郎 (かわぐちまつたろう)
「人情馬鹿物語」 
(にんじょうばかものがたり)


*カバー装画・朝倉 摂
(画像はクリックで拡大します)


*311頁 / 発行 昭和56年

*カバー文
大正中頃、悟道軒円玉という江戸っ子気質の講釈師がいた。縁あってその円玉の家に住み、講談速記を手伝いながら文芸の修業をしている信吉の目を通して、庶民の哀歓と下町の人間模様を綴る ―― 職人の哀しい恋の物語「紅梅振袖」、信吉の文壇デビューを巧みに描く自伝的作品「深川の鈴」など名品12編を収録。

*目次
第一話 紅梅振袖
第二話 春情浮世節
第三話 遊女夕霧
第四話 深川の鈴
第五話 親なしっ子
第六話 春色浅草ぐらし
第七話 七つの顔の銀次
第八話 櫓太鼓
第九話 丸髷お妻
第十話 三味線しぐれ
第十一話 歌吉心中
第十二話 彼と小猿七之助
 解説 榎本滋民


川瀬 一馬 (かわしかずま)
「能とは何か 能芸術の表現の本質」 (のうとはなにか)


*カバー絵・渡辺崋山筆「野守」
(画像はクリックで拡大します)

*115頁 / 発行 昭和51年

*カバー文
能とは ― その表現の本質を、史的展開を含め日本文化論の視野で捉え、明治以降現在に於ける能役者の評価、又能のよき優れた援護者安田善次郎氏との親炙等自己の体験を織り混ぜ論じた含蓄ある入門書、更には、まことの能芸術表現が失われゆく姿を憂える書といってもいい。

*目次
 序
一 みずからの論理で能芸術を
二 申楽能の由来と日本文化
三 中世の武家文化と申楽能
四 武家式楽能とその深化
五 申楽能の型と謡
六 明治以来の申楽能
七 能芸術の表現と諸芸道
八 能芸術を理解する条件
九 能芸術の表現に必要な条件
十 能芸術における恨み・妬みの表現
十一 能芸術の表現における老女と美女
十二 能芸術の笑い
十三 日本文化の表現における能芸術の意味
十四 附言
 あとがき
 附録/現行演能五番立分類曲目

 口絵
   表 能黒塚後ジテ宝生流宗家(昭和五十年十一月九日水道橋能楽堂にて)
   裏 宝生英雄師と著者(昭和五十年十一月九日水道橋能楽堂楽屋にて)
   撮影・名鏡勝朗


川添 登+山田 宗睦 (かわぞえのぼる+やまだむねむつ)
「菊 ― 日本文化を考える」
 (きく・にほんぶんかをかんがえる)
講談社学術文庫



*カバーデザイン・勝井三雄
(画像はクリックで拡大します)

*194頁 / 発行 昭和54年

*カバー文
近代は、ともすると一つ一つのモノを忘れて、抽象的な概念のみに走りがちな時代である。本書では、個々の事物に立ち戻って世界を見直そうとする観点から、一つの具象的なモノである〈菊〉を取り上げ、日本人と菊とがどのようにかかわってきたかをたどる。〈花〉を都市文化として捉えようとする建築評論家川添登氏と、ここ十年来(モノの博物誌)を創りつづける哲学者山田宗睦氏が、菊をめぐって縦横に語るユニークな日本文化論である。

*目次
まえがき
菊作り文化反射複合体
 いま近代の出口で / 新石器時代の花から江戸の花まで / 緑と花の江戸で / 園芸農業の二千年がつづいて
花の日本史
 少年時代の花を手繰って / 菊人形の背後で / サクラとキクの歴史をたどって
具体の学
 野生の思考で / 形造りから切り花まで / ゲテモノ文化にくみして / 照葉樹林の島で
花文化拾遺

 注 / あとがき 川添登 / 解説 高田宏


河竹 登志夫 (かわたけとしお)
「作者の家 ― 黙阿弥以後の人びと」(第一・二部) 
(さくしゃのいえ-もくあみいごのひとびと)




*カバーデザイン・倉橋三郎
(画像はクリックで拡大します)


*(第一部)276頁・(第二部)381頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
(第一部)
河竹黙阿弥の死後、長男をさしおき、娘糸女が歌舞伎作者の家を継ぐ。相続や著作権をめぐるトラブルに巻きこまれながらも家を守る糸女。そして坪内逍遥の仲だちで、養嗣子繁俊をむかえることになる。曽祖父・黙阿弥への想いと綿密な考証を重ねつつ、生涯独身で家を守った糸女の"女の一生"をも描いた、実感的近代史。
(第二部)
黙阿弥の娘糸女は、養嗣子繁俊と、その嫁みつをむかえて“歌舞伎作者の家”を守る。しかし関東大震災、糸女の死等によって、黙阿弥が「つづくをもて家とす」といった意味での家は終焉を告げた。ひとりの女性を中心に、江戸の家と人びとが近代の中にどう溶解したかを克明に描き上げ、読売文学賞と毎日出版文化賞とを同時受賞した傑作。

*目次
(第一部)
 はじめに
一 消えて行く「家」
  狂言作者と近代 / 幻影の糸女
二 幼年時代の疑問
  二つの姓 / ここのお祖母さん
三 おそめさんと私
  記憶のあとさき / 松濤の家
四 其水夫婦と糸女
  土蔵相模の名花 / 律儀な大番頭
五 糸女「家」を継ぐ
  「弁天小僧」裁判事件 / 十六娘の仏門志願
六 糸女の生甲斐
  著作権継承 / 黙阿弥と琴女の遺書 / 糸女の一日
七 趙遙が選んだ養子
  逍遥と黙阿弥 / 二人の候補者
八 田舎書生の青春
  文学青年市村半身 / 病苦と望郷
九 繁俊「家」に入る
  運命の岐路 / 養子縁組
十 本所の家
  住居と一族 / ふたつの世界 / はじめての狂言作者伝

(第二部)
一 嫁とりの条件
  結婚ばなし / 両替町さんの娘
二 両替町の人びと
  黙阿弥と田中家 / 薄倖の女性たち
三 大店の昼と夜
  日本橋の商家 / みつの娘時代 / 暗い家庭
四 繁俊の結婚
  一晩で決める / 大正初年の嫁入り
五 本所の四季
  盆暮正月 / 糸女の手料理 / ことばと猫と一中節
六 根岸閉居
  糸女の日記 / 田村成義と市村座 / 帰心
七 大震災前夜
  繁俊の帝劇時代 / 乳癌発見
八 劫火の中で
  大正十二年九月一日 / 越中島と船中と / 百本杭から月島へ
九 宇田川の陋居
  震災で失われた江戸 / 桜横丁の憂鬱
十 糸女の死
  復興と早大への接近 / 葛籠の中の金貨 / 終焉
十一 その後
  その後の作者界 / 繁俊の晩年と死
略系図
あとがき
 文庫版へのあとがき
 解説 井上ひさし


川那部 浩哉 (かわなべひろや)
「川と湖の生態学」
 (かわとみずうみのせいたいがく)
講談社学術文庫



(画像はクリックで拡大します)

*253頁
*発行 昭和60年
*カバーデザイン・志賀紀子

*カバー文
「あなたは太陽を食べている」と説おこす本書は、アユ等川と湖を主役にした身近な生態学への刮目する入門書である。生物科学と社会・人文科学を架橋すべく登場した生態学の歴史と展望から、食物連鎖、なわばり、群れを中心に、陸封された琵琶湖アユから進化をさぐり、哲学としての生態学へとせまる。豊富な調査と入念な思考の上に構築された本書は、生態学への安易な解釈を排し、自然と人間への真の理解を深める上の必読書である。

*解説頁・原田英司


川端 香男里 (かわばたかおり)
「ユートピアの幻想」
(ゆーとぴあのげんそう)
講談社学術文庫



*カバー・ピーター・ブリューゲル
 「怠け者の天国」
 (ミュンヘンアルテ・ビナコテーク所蔵)
 カバーデザイン・多田進
(画像はクリックで拡大します)

*285頁 / 発行 1993年

*カバー文
ギリシア語で〈どこにもない理想郷〉を意味するトマス・モアの造語〈ユートピア〉。プラトンの『国家』に始まるその古典的淵源から説き起こし、十九世紀の社会主義的ユートピア志向を経て、現代のSF化された未来論に至るユートピア思想の変遷を辿る。さまざまな楽園伝説や終末論、諷刺・幻想文学などの隣接領域と対比しながら、比較文化学の視点からユートピア像の多面的な姿を考慮した画期的力作。

*目次
学術文庫版まえがき
原本はしがき
序章 ユートピアとは何か
 一 ユートピアと科学
 二 ユートピアの原義
 三 ユートピア・千年王国論・終末論
 四 ユートピアの近接領域
 五 ユートピアの種類
第一章 ユートピアの古典的淵源
 一 仮構の物語(ミユトス)とユートピア
 二 祝祭とユートピア
 三 プラトンの『国家(ポリーテイアー)』篇
 四 その他のユートピア作品
第二章 中世からルネッサンスへ
 一 地上楽園
 二 トマス・モアの島
 三 モアとマキアヴェリ
 四 ルネッサンスの理想都市
 五 フランソワ・ラブレー以後
第三章 フランス革命まで
 一 イギリス革命のユートピア
 二 十七世紀のフランス
 三 啓蒙の時代
 四 デフォーとスウィフト
 五 ルソー、ヴォルテール、ディドロ、その他
第四章 十九世紀
 一 十九世紀への序曲
 二 産業主義時代のユートピア
 三 ユートピア文学史の展開点
 四 ベラミーとモリス
 五 社会主義の未来像をめぐって
第五章 現代のユートピア
 一 未来への期待
 二 「来るべき人種」
 三 H・G・ウェルズ
 四 ロシアとソビエト
 五 アンチ・ユートピア
第六章 ユートピアと東洋
 一 楽園幻想
 二 千年王国
 三 日本の思想と文学
終章 ユートピア的幻想
 一 文学としてのユートピア
 二 結語
ユートピア作品書目
主要参考文献
人名索引


川端 康成 (かわばたやすなり)
「小説の研究」
(しょうせつのけんきゅう)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・深山真知子
(画像はクリックで拡大します)

*222頁 / 発行 1977年

*カバー文
本書は、ノーベル文学賞受賞作家であり、日本の文学を代表する著者が、創作力の最も盛んなときに著わした小説をめぐる鋭利な批評の集大成であり、昭和前半のわが文学界を鳥瞰せしめ、わが国の現代小説の特色を指摘した興味深い文学入門書。「小説とは何か」を創作の局面から平易に概説したユニークな小説理論篇と、著者の鋭い批評眼がうかがえる文芸批評の小品集、「文章論」「作家と作品」「小説一家言」などの応用篇とから成る。

*目次
まえがき / 小説とは何か / 創作の動機 / 長篇小説 / 短篇小説 / 主題 / 筋 / 性格と心理 / 文章論 / 作家と作品 / 小説一家言 / 解説 進藤純孝


河盛 好蔵 (かわもりよしぞう)
「河岸の古本屋 ― 現代日本のエッセイ」
(かしのふるほんや)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
(画像はクリックで拡大します)

*357頁 / 発行 1994年

*カバー文
古本屋のない町は文化の低い町とみる著者が、パリのセーヌ河岸の古本屋(ブキニスト)の盛衰を心情込めて語る『河岸の古本屋』。「誤訳の楽しみ」など十二章に綴る魅力溢れる読書論『本とつき合う法』。日本人の人生観、パリでの青春の日の見聞、日本の文壇人の想い出、大学教育の危機等。血肉を通してフランスのモラリストを深く研究した著者の多彩な文学活動を示す、滋味豊かなエッセイ集。

*目次
人間風景
本とつき合う法
パリ今昔
人と作品
学生と教育
斜めの世界
 人と作品 庄野潤三
 年譜 大橋千明
 解説 大橋千明


川村 二郎 (かわむらじろう)
「銀河と地獄 幻想文学論」
(ぎんがとじごく)
講談社学術文庫



*カバーデザイン・菊池薫
(画像はクリックで拡大します)

*333頁 / 発行 昭和60年

*カバー文
表面的な怪奇幻想をこえ、文学のあやに分け入り、比較文学的考察を随所にはさみながら展開した幻想文学論。日本文学・思想の流れに沿って、幻想と現実との微妙な関わりを焦点に上田秋成から吉行淳之介まで十数人の著作をとりあげ、真のロマン主義を追求。単なる作家論ではなく、特に折口信夫・柳田国男・南方熊楠を文学として論じ、文学と民俗学の接触をも試みた。混迷する現代の文学状況に独特の視座から果敢に挑戦した文学評論。

*目次
「学術文庫」のためのまえがき
走るやさしさ ―― 上田秋成
反自然の自然 ―― 狂言作家たち
瞠視された空間 ―― 泉鏡花
伝説と小説 ―― 折口信夫
経験主義と神秘 ―― 柳田国男
博物誌の文体 ―― 南方熊楠
銀河と地獄 ―― 岩野泡鳴
幻想の地誌 ―― 佐藤春夫
篤実な誇張法 ―― 牧野信一
陰画の浄土 ―― 藤枝静男
魂の修練の諸段階 ―― 吉行淳之介

解説 … 高橋英夫


神沢 利子 (かんざわとしこ)
「銀のほのおの国」
 (ぎんのほのおのくに)


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*298頁
*発行 昭和51年
*カバー装画・小野木学

*カバー文
トナカイはやてをたずねて「銀のほのおの国」へ出かけた、たかしとゆうこ……トナカイの国の興亡をテーマにして、大きな架空の世界が展開されます。トナカイと青イヌとの凄惨な戦いの中に自然が自然のままに動いていくためのきびしい循環の生態を描きながら、その底に清冽な詩情を秘めたファンタジーの名品。

*解説頁・ 阪田寛夫
*年譜付、カット・小野木学


上林 暁 (かんばやしあかつき)
「白い屋形船・ブロンズの首」
(しろいやかたぶね・ぶろんずのくび)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
(画像はクリックで拡大します)

*314頁 / 発行 1990年

*カバー文
脳溢血で、右半身、下半身不随、言語障害に遭いながら、不撓不屈の文学への執念で歩んだ私小説の大道。読売文学賞「白い屋形船」川端賞「ブロンズの首」ほか、懐しく優しい、肉親・知友そして“ふるさと”の風景。故郷の四万十川のように、人知らずとも、汚れず流れる、文学への愛が、それのみが創造した美事な“清流”。

*目次
白い屋形船
母ハルエ
父イタロウ
筒井筒
幼い母
ばあやん
上野桜木町
ブロンズの首
極楽寺門前
竜舌蘭
四万十川幻想
 著者に代わって読者へ 徳広睦子
 解説 高橋英夫
 作家案内 保昌正夫
 著書目録 保昌正夫


上林 澄雄 (かんばやしすみお)
「日本反文化の伝統」
(にほんはんぶんかのでんとう)
講談社学術文庫


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*257頁
*発行 1976年

*目録文
日本では古代以来、社会の大変動の起こる一年前に、しばしば集団歌舞の熱狂的流行が見られた。本書は、この社会の変動と流行性集団踊狂との関連を歴史的に追求して、日本人の心の謎を解き明かす野心作。