絶版文庫書誌集成

中公文庫 【い】


飯塚 クニ (いいづかくに)
「父 逍遙の背中」
 (ちちしょうようのせなか)


*カバー・鈴木成一デザイン室
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*308頁 / 発行 1997年

*カバー文
父は写真大尽の鹿島清兵衛、母は新橋の名妓ぽん太、養父は坪内逍遥、夫は歌舞伎研究家・飯塚友一郎。華麗な人間模様に彩られた著者が、逍遙が目ざした新舞踏劇について、まは松井須磨子・会津八一らとの交友関係や日常生活について語った、日本近代文化史の貴重な証言。各紙誌・テレビ絶讃の書。

*目次
序章
第一章 逍遥の養女となる
第二章 舞い修業
第三章 素顔の逍遥
第四章 逍遥をめぐる人びと
第五章 わたしの結婚
第六章 別れのあとさき
終章
 文庫版あとがき
 逍遥とくにさんと河竹家 河竹登志夫
 解説 坪内祐三


生田 耕作 (いくたこうさく)
「黒い文学館」
(くろいぶんがくかん)


*カバー絵・アルフォンス・イノウエ
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*241頁 / 発行 2002年

*カバー文
文学の領域において公には禁じられていた悪徳とエロスという題材を大胆にとりあげ、久しく禁書の憂き目にあったレチフ、サド。そしてセリーヌ、バタイユ、ジュネ、マンディアルグ、三島由紀夫など、著者偏愛の作家論と、ベルメールなどの絵画論、蔵書論をあつめた評論集。異端文学への秘めやかな誘い。

*目次
T 黒い文学館
 象形文字
 新しさの創造 ── 序説
 もう一つの世界 ── 破廉恥三人組
U 新と旧
 泉鏡花の読み方をめぐって
 思考の裏表
 〈芸術〉なぜ悪い
 ラディカルの実体
 翻訳家の素顔
V 人と作品
 マルセル・ブリヨン『マキャベリ』
 エリフェス・レヴィ『高等魔術の教理と祭儀』
 L・F・セリーヌ『世の果てへの旅』
 ジョルジュ・バタイユ ── エロティシズムの殉教者
 反政治の極北 ── ジャン・ジュネ
 レーモン・ルーセル『アフリカの印象』
 ルイ・アラゴン『イレーヌ』
 A・P・ド・マンディアルグ
  『オートバイ』 / 『黒い美術館』『狼の太陽』 / 『燠火』 / 『城の中で語る英吉利人』 / 『大理石』 / 『海の百合』 / 『満潮』 / 『余白の街』
 マンディアルグと三島由紀夫
 マンディアルグをめぐる対話
 マンディアルグ追悼
W 光と影
 フラゴール
 ボナール
 「ロップス展」案内
 ベルメール版画『マルドロールの歌』
 シャガール『黄色の道化師』
 『レオノール・フィニーの仮面』
 『夢のポンプ』
 金子國義
 山本六三の銅版画
 アルフォンス・イノウエ
 売り絵
X 書物のある日々
 ささやかな幸福
 書物の工芸美
 『神曲』愛書家変
 『愛書狂』談義
 日々怱忙
初出一覧


生田 耕作 (いくたこうさく)
「ダンディズム 栄光と悲惨」
(dandyism)


*カバー絵、装丁・金子國義
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*212頁 / 発行 1999年

*カバー文
かのバイロン卿をして、「ナポレオンになるよりもこの男になりたい」と述懐せしめ、平民の身で当時の国王や大貴族と対等に付き合い、一世の流行を牛耳った男、ジョージ・ブランメル。彼の極めて個性的な生きざまを通じ“ダンディ”なるものの真髄に迫る、鬼才生田耕作の名著、完全版としてここに復活。

*目次
ボー・ブランメル
落日の栄光
ブランメル神話
冷たい偶像
ウイリアム・ベックフォード小伝
老いざる獅子
ダンディズムの系譜
付記 ― Le noir symbolique
後記
主要参考書目


池島 信平 (いけじましんぺい)
「雑誌記者」
(ざっしきしゃ)


(画像拡大不可)

*254頁
*発行 1977年

*目録文
かけ出しのころから満洲文春創立、暗い谷間の戦中戦後、文藝春秋編集者生活二十数年の哀歓を、亡き雑誌記者第一人者がつづる。

*目次
雑誌編集長の哀歓 / 「駈けだし」以前 / 編集一等兵の頃 / 日本を離れて想うこと / マルスの跫音を聞きながら / 戦時下の雑誌を作って / 狩り立てられた編集者 / 文芸春秋社の解散と再建 / 雑誌記者の生き甲斐 / あとがき / 解説 今日出海


池島 信平 (いけじましんぺい)
「歴史好き」 
(れきしずき)


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*302頁
*発行 1983年
*カバー画・竹久夢二

*カバー文
歴史学徒からジャーナリストへ――泉鏡花、中谷宇吉郎、菊池寛の思い出、酒飲みの天国を語り、ベレー帽を論ずる。第一線の編集者としての広範な足跡の中からにじみ出た個性の彩りあざやかなエッセイ集。

*解説頁・綱淵謙錠


池田 あきこ (いけだあきこ)
「池田あきこのねこ話」
(いけだあきこのねこばなし)


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*106頁
*発行 2008年
*カバーイラスト・池田あきこ / カバーデザイン・伊達砂織

*カバー文
美しい、遊びの天才らんちゃん。見た目は精悍なのにちょっと間抜けな黒猫カフェ。飼い猫ダヤンとキャラクターとして生み出したダヤン。猫を抱えて眠る幸せや、姿を描く愉しみ、病気の猫を心配する気持ち……自らの猫暮らしを、人気キャラクター・ダヤンの生みの親が綴るイラストエッセイ。


池田 健太郎 (いけだけんたろう)
「『かもめ』評釈」
 (かもめひょうしゃく)


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*256頁
*発行 昭和56年

*カバー文
チェーホフの名作「かもめ」の一行一行を、文学的、演劇的視点から綜合的に読み直し、その隠された象徴性と感動の秘密を明快な文章で解き明かす。戯曲の〈読み方〉を作品に即して示す画期的力作。  芸術選奨受賞作

*解説頁・川端香男里


池田 彌三郎 (いけだやさぶろう)
「日本の幽霊」
 (にほんのゆうれい)


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*239頁
*発行 昭和49年
*カバー・村上豊画

*カバー文
幽霊とお化けのちがいは? 幽霊はなぜ夏が好きなのか? 物語や昔話に登場するさまざまな幽霊や妖怪をとおして、日本人の集団感覚、心理現象、心意伝承を考え、われわれの身辺にいまでも生きている日本の霊魂信仰の本質を明かす、生活史のなかのフォークロア。

*解説頁・矢代静一


池田 彌三郎 (いけだやさぶろう)
「まれびとの座 折口信夫と私
 (まれびとのざ)


*カバー写真・槇野尚一
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*282頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
復員の日から先生のなくなられた昭和二十八年九月まで、私の日常はほとんど先生を軸にしていた ―― 孤高の詩人学者迢空折口信夫の素顔を敬愛の念とこめて浮彫りにした愛弟子の回想記。

*目次
嘆きの絵
 三田の山の先生 / 折口先生食物誌 / クイズごのみ / 先生と口述筆記 / 続茶栗柿譜

もどきの開口
 一つの解説 / 著作概観 / 『かぶき讃』追い書き

私製・折口信夫年譜
 昭和二十一年
 昭和二十二年
 昭和二十三年
 昭和二十四年
 昭和二十五年
 昭和二十六年
 昭和二十七年
 昭和二十八年

解説 井口樹生


池田 満寿夫 (いけだますお)
「私のピカソ 私のゴッホ」 (わたしのぴかそわたしのごっほ)


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*178頁 / 発行 1987年
*カバー画・ピカソ「ル・ボック(サバルテスの肖像)」プーシキン美術館蔵

*カバー文
ピカソ、ゴッホ、そしてモディリアニ。青年の日に深い衝撃と決定的な影響をうけ、今なお心を捉えて離さない天才たちの神話と芸術を、自らの青春と重ね合わせて描く白熱のエッセイ。

*目次
私のピカソ
 ピカソ断片
私のゴッホ
私のモディリアニ
 あとがき


池波 正太郎 (いけなみしょうたろう)
「又五郎の春秋」
(またごろうのしゅんじゅう)


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*273頁 / 発行 1979年
*カバー・玉井ヒロテル

*カバー文
芸歴六十年、現代歌舞伎界屈指の名優である中村又五郎の芸と人生を、長年の知友である著者が、歌舞伎論を含めて自在に語る異色作

*目次
 序 / 歌舞伎研修・第七教室 / 教師の日々 / 子役 / 無口な役者 / 名題と結婚 / 役者の身体 / 新しい世界 / 伝統と変化 / 横着時代 / 二つの顔 / 演技と演出 / 種蒔く人 / 中村又五郎略年譜 / あとがき / 解説 千谷道雄


池辺 三山著・滝田 樗陰編 (いけべさんざん・たきたちょいん)
「明治維新三大政治家 大久保・岩倉・伊藤論」 (めいじいしんさんだいせいじか)


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*236頁 / 発行 1975年

*カバー文
明治の論客池辺三山が、大久保利通・岩倉具視・伊藤博文三公の眉目を描いて長薩勤王佐幕が活きたまま現前する。稀代の名編集者樗陰の筆を得て綴った維新前後より明治にわたる政界秘史。夏目漱石序と、付録に大隈伯・桂公・山県公等の人物論23篇を収める。

*目次
池辺君の史観に就て 夏目漱石
 本書の出版について 滝田哲太郎
明治維新三大政治家
大久保利通論
岩倉具視論
伊藤博文論
附録 現代の人物
大隈伯(大隈重信) / 山県公(山県有朋) / 井上候(井上馨) / 西園寺候(西園寺公望) / 桂候(桂太郎) / 山本伯と寺内子(山本権兵衛 寺内正毅) / 徳川家達公 / 秋元子(秋元興朝) / 犬養毅 / 大石正巳 / 原敬 / 後藤新平 / 尾崎行雄 / 山路愛山 / 渋沢男(渋沢栄一) / 山県副統監(山県伊三郎) / 亀井総監(亀井英三郎) / 内田と加藤(内田康哉 加藤高明) / 東郷と乃木(東郷平八郎 乃木希典) / 山本蔵相(山本達雄) / 杉田と大岡(杉田定一 大岡育造) / 伊集院公使(伊集院彦吉) / 大倉と安田(大倉喜八郎 安田善次郎)
 解説 司馬遼太郎


池部 良 (いけべりょう)
「オレとボク 戦地にて」


*カバー画・村上豊
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*393頁 / 発行 393年

*カバー文
昭和十七年一月、家族と映画仲間に見送られて出征し、中国、南方と転戦。上官の理不尽な制裁、輸送船が魚雷攻撃を受けての漂流、終戦後も続いた飢餓地獄…極限下の状況を生き抜いた五年間を飄々と綴った池部良、幻の処女作。

*目次
出発
転進
南にて
帰国
 あとがき / 文庫版あとがき


石井 宏 (いしいひろし)
「素顔のモーツァルト」
 (すがおのもーつぁると)


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*540頁
*発行 1988年
*カバー画・和田誠

*カバー文
お遊びずきでプライドが高く、五人の子供をつくり、三十五歳で世を去った比類なき天才作曲家モーツァルト―。その残された数多くの手紙などから、時代背景を通して、知られざる素顔を浮かびあがらせる。


石川 欣一 (いしかわきんいち)
「比島投降記 ― ある新聞記者の見た敗戦」 (ひとうとうこうき)


*カバー画・脇田和
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*199頁 / 発行 1995年

*カバー文
昭和二十年九月六日、新聞報道関係者の一人であった著者は、フィリピンのルソン島にて投降した。本書は国際経験豊かなジャーナリストの収容所における米軍将兵との温かい交流の記録であり、公正な眼がとらえた敗戦時における卓抜な日米文化比較論である。

*目次
T 比島投降記
 投降 / 米国の成人 / 若い少佐 / 米軍の給与 / ジャップ / 通訳イン / アバリの病院 / ビンタ事件 / DDT / 兵隊と民主主義 / 投降勧告 / 収容所の生活 / 墓参 / 水に浮ぶ / sorry ishi! / 南の海 / カシグラン / 「英霊何個」

U アメリカ兵の印象
 N / ハッピイ / 坑夫 / ルイジアナ・サム / AB / F / AS / AR / P / サージェント G / J・G
  著者について 石川周三


石川 九楊 (いしかわきょうよう)
「書 筆蝕の宇宙を読み解く」
(しょ ひしょくのうちゅうをよみとく)


*カバー題字・黄庭堅「伏波神祠詩巻」より
 カバーデザイン・間村俊一
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*365頁 / 発行 2016年

*カバー文
私たちはなぜ、書を美しいと感じるのか。東アジアの文化の根柢をなす書は、どのような表現構造をもつのか。具体的に数々の名品を鑑賞し、ときには指でなぞり「書く」行為の追体験をすすめるなど、さまざまな角度から「書」の魅力にせまる十二の講義。

*目次
第一講 書の表現の根柢をなすもの ―― 筆蝕についてT
第二講 反転しあう陰陽の美学 ―― 筆蝕についてU
第三講 垂線の美学 ―― 書と宗教
第四講 整斉、参差、斉参 ―― 旋律の誕生
第五講 書のなかの物語 ―― 旋律の展開
第六講 折法の変遷と解体 ―― リズムについて
第七講 表現行為としての書 ―― 書と織物
第八講 書のダイナミックス ―― 筆勢について
第九講 結字と結構 ―― 書と建築
第十講 ムーブメントとモーション ―― 書と舞踊
第十一講 甲骨文、金文、雑体書 ―― 書とデザイン
第十二講 余白について ―― 書と環境
 あとがき / 文庫版へのあとがき / 引用図版出典一覧


石川 淳 (いしかわじゅん)
「夷齋小識」 
(いさいしょうしき)


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*180頁 / 発行 1979年
*カバー・司修 題字・著者=昭和四十六年五月中央公論社刊『夷齋小識』より

*カバー文
その博識で、洋の東西、古代から現代までを貫通する著者が、精妙な感覚と芳醇の文体で識す珠玉の人物・読書・文学論。宗達・宣長から万太郎・達治を語り、また文学談から学芸百般にまで及ぶ濃密多彩なエッセイ集。

*目次
わが万太郎 / 不孝でなさすぎる / 京劇雑感 / 二十七歳の達観 / 三好達治 / 宗達雑感 / ドナルド・キーン著「能」(英文)序 / 倫敦塔その他 / 大みそかの夕 / 坂口三千代著「クラクラ日記」序 / ゼロックス / 革命家の夢 / 讀み癖 / 佛界魔界 / めぐりめぐって / 無法書話 / 「中國の孝道」を讀む / ダダについて / 吉備路 / 千田是也の手 / 文學談斷片 / タケノコの説 / 無害は有害といふこと / 本居宣長 / 高志高與 / 舌を結ぶ


石川 淳 (いしかわじゅん)
「諸國畸人傳」 
(しょこくきじんでん)


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*205頁 / 発行 1976年

*カバー文
都々一の始祖都々一坊扇歌、松江の指物師小林如泥、北越雪譜の著者鈴木牧之など近世に生きた畸人を取りあげ、その生涯を描く。〈解説〉中村幸彦

*目次
・小林如泥
・算所の熊九郎
・駿府の安鶴
・都々一坊扇歌
・細谷風翁
・井月
・鈴木牧之
・阿波のデコ忠
・武田石翁
・阪口五峰
 解説 中村幸彦


石川 淳 (いしかわじゅん)
「文學大概」 
(ぶんがくたいがい)


*カバー・司修
(画像拡大不可)


*279頁・旧仮名旧字体 / 発行 1976年

*カバー文
和漢洋にわたる該博な知識に支えられた強靭で緻密な方法意識をもって、現代文学に独自の地位を築く当代の第一人者が、文章の形式と内容、短篇小説の構成、ことばと常識、など、自らの文学の方法と魅力を明かす。

*目次
文章の形式と内容
 一 書かれたことばのはたらき
 二 文章を殺すもの生かすもの
 三 文章の美について
短篇小説の構成
 一 なにが作品の長さを規定するか
 二 短篇とはなにか――その名稱のいろいろ
 三 短篇の領域
俳諧初心 / 江戸人の發想法について / 能の新作について
虚構について / 雜文について / 惡文について / 歴史と文學 / 文化映畫雜感
ラゲエ神父 / ことばと常識 / 牧野信一 / あけら菅江 / 鴎外についての對話
ヴァレリイ / マラルメ / バルザック / スタンダル / アナトール・フランス
祈祷と祝詞と散文 / 二葉亭四迷 / 岩野泡鳴 / 岡本かの子
 解説 丸谷才一


石上 露子 村松 緑編 (いそのかみつゆこ むらまつみどり)
「石上露子集」
 (いそのかみつゆこしゅう)


*カバー装画・記名無し
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*214頁 / 発行 1994年

*カバー文
明治のロマンチシズムの最も清純な流れを代表する稀有の詩人石上露子。多くの人に愛誦された絶唱「小板橋」を始めその作品に心惹かれていた著者が、ここに全作品を収録・紹介し、結婚後、消息を断っていたこの明星派歌人の足跡を辿り全容を明らかにする。明治文学史の貴重な資料でもある。

*目次
編者の序
『明星』時代
 詩 小板橋
 短歌 八十首
 美文
  日記より
  かげろふ
  夕
  夢のひと
『冬柏』時代
 短歌 二百五十七首
自伝 落葉のくに
解説 村松緑
黄金の釘 岡野弘彦


石ノ森 章太郎 (いしのもりしょうたろう)
「章説 トキワ荘の青春」
(しょうせつ ときわそうのせいしゅん)


*カバーイラスト・石ノ森章太郎
 カバーデザイン・鈴木正道(Suzuki Design)
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*278頁 / 発行 2018年

*カバー文
「トキワ荘の数年は私にとって、青春そのものであった…」。豊島区椎名町トキワ荘に集まった漫画家との熱き日々を、石ノ森氏の視点から描いた貴重な記録。寺田ヒロオ、藤子不二雄(藤本弘・安孫子素雄)、鈴木伸一、森安直哉、つのだじろう、赤塚不二夫、水野英子らにまつわる笑いと涙の交友録。『章説 トキワ荘の春』を改題。〈特別寄稿〉竹宮惠子

*目次
プロローグ
起の章
 トキワ荘……
 ……まで
承の章
 一九五七年一月最初で最後の描き下ろし
 館詰め
 トキワ荘の深夜浴場
 一度きりのサラリーマン生活
 千客万来四畳半
 新宿通い
 不死身のドラキュラ
 恋の代筆
 閑話休題
 母たちの感謝
 〆て部屋代!
 幻の孫悟空
転の章
 光と翳とTOKIWASO TWILIGHT
 トキワ荘……青春の仲間たちをご紹介します。
  寺田ヒロオさん / 藤子不二雄(藤本弘・安孫子素雄)さん / 鈴木伸一さん / 森安直哉さん / つのだじろうさん / 園山俊二さん / 赤塚不二雄さん / 横田徳男さん / 長谷邦夫さん / 水野英子さん
結の章
 ……トキワ荘
 から……
エピローグ
〈特別寄稿〉トキワ荘の青春を追いかけて 竹宮惠子


石原 莞爾 (いしはらかんじ)
「最終戦争論・戦争史大観」
 (さいしゅうせんそうろん・せんそうしたいかん)


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*318頁 / 発行 1993年

*カバー文
ほどなく起る最後の世界大戦争とその後に到来する永久平和時代 ― 。太平洋戦争の前夜、国防の危機を背景に、日蓮信仰と戦史研究から生まれたこの特異な予言の書は、満州事変を主導し日本の運命を変えた、昭和陸軍の異端児石原を理解する要石である。

*目次
最終戦争論
 第一部 最終戦争論
  第一章 戦争史の大観
  第二章 最終戦争
  第三章 世界の統一
  第四章 昭和維新
  第五章 仏教の予言
  第六章 結び
   解説
 第二部 「最終戦争論」に関する質疑回答
   解説
戦争史大観
 第三部 戦争史大観
  第一篇 戦争史大観
   解説
  第二篇 戦争史大観の序説(別名・戦争史大観の由来記)
   解説
  第三篇 戦争史大観の説明
   第一章 緒論
   第二章 戦争指導要領の変化
   第三章 会戦指導方針の変化
   第四章 戦闘方法の進歩
   第五章 戦争参加兵力の増加と国軍編制(軍制)
   第六章 将来戦争の予想
   第七章 現在に於ける我が国防

 解説 五百旗頭真


石光 真清 (いしみつまきよ)
「城下の人 ― 石光真清の手記」 (じょうかのひと)


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*330頁 / 発行 昭和53年

*カバー文
私の父は明治元年に熊本城下に生れ、稚児髷に朱鞘の刀をさして神風連、西南の役動乱のさなかをとび廻った。長ずるに及び軍人となり、やがて大津事件や日清戦争にあい、またロシア帝国の南下政策におびやかされる弱小国の一人として熱心にロシア研究を志し、ついに身をもって諜報勤務にその一生を捧げる境涯に立ち至ったのである。 石光真人
毎日出版文化賞受賞

*目次
夜あけの頃 / 神風連 / 鎮台の旋風 / 熊本城炎上 / 戦場の少年たち / 戦禍の中の人々 / 焦土にきた平和 / 父の死 / 自分の足で歩む道 / 東京 / 若い人々 / 天皇と皇后 / 出征の記 / コレラと青竜刀 / 周花蓮 / 夢と現実


石渡 幸二 (いしわたこうじ)
「あの船この船 回想の船影を追って」 
(あのふねこのふね)


*カバー写真・イギリス客船クイーン・メリー
 カバーデザイン・藤田ツトム
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*291頁 / 発行 1998年

*カバー文
古から大洋の彼方への憧憬を託して、人々は美しい船を建造してきた。偉業を達成して歴史に名を刻んだサンタマリア、優美な船影で名を残したカティサーク、処女航海で大西洋に没した豪華客船クイーン・エリザベス、戦時下に徴用・改造された日本商船がたどる数奇な運命など、海と船を愛してやまぬ著者が、史上名高い船々を綴った、ノスタルジー溢れる大海原の物語。

*目次
 まえがき
日本客船の歴史
日本客船の黄金時代
戦火に散った横浜ゆかりの船ぶね
クイーン・エリザベス物語
あこがれの上海航路
 阪神〜上海間に就航した「鑑真」に乗って
有名帆船物語
マリー・セレストの謎
米建国二〇〇年記念帆船パレードと国際観艦式
海の表情・港の表情
ロンドンの魅力
東京湾の水
利根川水系舟運の回想断片
印象に残る艦船模型あれこれ
少年の夢を描いた船の挿絵画家三傑
  ―― 村上松次郎・鈴木御水・樺島勝一
 解説 青木栄一


石渡 幸二 (いしわたこうじ)
「軍艦物語 ― 思い出の艦影を尋ねて」
 (ぐんかんものがたり)


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*230頁 / 発行 1997年
*カバー写真・全力公試運転中の重巡洋艦高雄 / カバーデザイン・藤田ツトム

*カバー文
日本海海戦から大平洋戦争に至る四十年余の間に、火花散る建艦競争によって列国海軍はその偉容を一変させた。戦艦の設計思想を変えた軍艦史上の革命児ドレッドノート。大艦巨砲の究極の結晶大和・武蔵。空母に改装されて数奇な運命をたどった日本の豪華客船……。国家の威信と存亡を担って世界の海に君臨した艨艟たち。軍艦の系譜を通してみる海と日本の近代史。

*目次
 まえがき
軍艦の移り変わり
「大和」「武蔵」を造った男たち
日露戦争と連合艦隊
軍艦史上の革命児ドレッドノート
第二次大戦における日本戦艦のライバルたち
英戦艦キング・ジョージ五世級の思い出
ナチスが夢見た幻の十二万トン戦艦
ソロモンの海に消えた戦艦霧島
戦艦艦名考
日本空母の明と暗
空母に変身した豪華客船の運命
重巡随想
艦隊防空思想を持たなかった日本海軍
艦船識別考
 解説 秦郁彦


泉 秀樹 (いずみひでき)
「海の往還記 ― 近世国際人列伝」
(うみのおうかんき)


*カバーデザイン・武田信乃
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*359頁 / 発行 1999年

*カバー文
ザビエル、天正少年使節、三浦按針、山田長政、ケンペル……。波濤万里を越えて日本を往還した男たちに光を当て、その足跡をエピソード豊かに辿る。二十一世紀を迎えようとする今、彼らの生涯を通して、グローバル時代の生き方を問う。 文庫オリジナル

*目次
美しい日本人
 フランシスコ・ザビエルの極東体験
日本占領計画
 ルイス・フロイスの生涯
栄光と挫折
 天正少年使節・その後
豪商一代記
 宗室と宗湛の黄金の日々
九州がほしかった男
 小西行長の詐術
武士と茶と神
 高山右近という生き方
望郷と計算
 ウイリアム・アダムズと三浦按針
波瀾万丈物語
 「国姓爺合戦」の背景
棄てられた日本人
 山田長政の挑戦
パスク・トクガワナの映像
 ケンペルの碧眼元禄旅日記
星条旗と日本の関係
 吉田松陰とペリー
時代の空気
 イギリス士官暗殺事件
『歩む人』の生涯
 川路聖謨とプチャーチン

 あとがき
 参考文献一覧


出雲井 晶 (いずもいあき)
「春の皇后 小説・明治天皇と昭憲さま」
(はるのこうごう しょうせつめいじてんのうとしょうけんさま)


*カバー画・出雲井晶
 カバーデザイン・山田健二
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*552頁 / 発行 1999年

*カバー文
ピエル・ロチから「春の皇后」と称し奉られた昭憲さまは、新しい時代の皇后にふさわしく、女子教育や人道事業等に心をそそぐ一方、文藻にも恵まれ多くの御製を遺された。激動の幕末に生を享け、文明開化の新時代を明治天皇と共に担い、ひたむきに生きた、一人の女性・昭憲皇后の濃やかな愛と苦脳を描く。

*目次
序章 玉虫(たまむし)
第二章 滄桑転変(そうそうてんぺん)
第三章 虎落笛(もがりぶえ)
第四章 男雛女雛(おびなめびな)
第五章 東京奠都(とうきょうてんと)
第六章 人の子(ひとのこ)
第七章 鶴幻想(つるげんそう)〈一〉
第八章 鶴幻想(つるげんそう)〈二〉
第九章 皇城炎上(こうじょうえんじょう)
第十章 徒花(あだばな)
第十一章 鶴契千年(かくけいせんねん)
第十二章 みがかずば
第十三章 非母観音(ひぼかんのん)
第十四章 雁(かり)
第十五章 葦毛色(あしげいろ)
第十六章 花菖蒲(はなしょうぶ)
第十七章 しずかなる世(よ)を
第十八章 日輪(にちりん)落(お)つ
終章 春の濤(はるのなみ)
 主要参考文献
 文庫版『春の皇后』によせて 外山勝志

*関連書(サイト内リンク)
明治神宮編 「新抄明治天皇御集 昭憲皇太后御集」 角川文庫


磯部 欣三 (いそべきんぞう)
「佐渡金山」
 (さどきんざん)


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*393頁 / 発行 1992年
*カバー・『佐渡一国山水之図』(天保十三年刊・部分)と『越後摘誌』(明治十年刊)挿図(招月亭文庫提供)

*カバー文
歴史小説や日本近世史の記述で暗いイメージを付された佐渡金山。金鉱を重視した秀吉は佐渡を直轄領とし、家康は天領として佐渡奉行を置いた。封建政治が内部矛盾を深めていった時代、幕府は大都市に溢れる生業のない浮浪者を鉱山に送りこんだ。苦役を強いられる無宿者と彼らに性を提供する遊廓の女たち。底辺に生きる人々、金山の過酷な歴史、および佐渡文化の断面を克明に描く。

*目次
廃墟の文化史 / 地底の水替 / 大工と穿子 / 心中と盆踊り / 金銀山の遊女 / 流人巡礼 / 技術の社会史 / 解説 津村節子


井筒 月翁 (いづつげつろう)
「維新侠艶録」
 (いしんきょうえんろく)


*カバー「久坂を追うお辰」小村雪岱画
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*210頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
西郷隆盛の恋、都々逸作者久坂玄瑞、生疵の井上聞多、箱屋に化けた桂小五郎…。祇園、浪華の勤王芸者二美妓をめぐって若き日の維新の英傑たちのくりひろげる人間模様。
“女”の側から維新を見、志士たちの知られざる素顔を活写する、聞き書き維新裏面史。

*目次
 序
維新侠艶録
 一 勤王芸者中西君尾の話 / 二 伊藤俊介の英国密航 / 三 俗論派と正論派の正面衝突 / 四 高杉晋作と祇園芸者おりか / 五 都々逸作者、久坂玄瑞 / 六 中川宮の御活躍 / 七 長藩堺町御門を追われる / 八 雨の中に七卿都落ち / 九 玄瑞から愛人お辰へ / 一〇 長州の志士潜入 / 一一 古高俊太郎捕わる / 一二 池田屋事変 / 一三 即死七名、生捕二十三名 / 一四 物情騒然たる京の内外 / 一五 男を上げた品川弥二郎 / 一六 箱屋に化けた桂小五郎 / 一七 歌右衛門が賞めた京美人 / 一八 押入れへ隠れた桐野利秋 / 一九 君尾の意地ずくに惚れた近藤 / 二〇 君尾の女隠密 / 二一 島田左近の暗殺 / 二二 暗殺に次ぐにまた暗殺 / 二三 舞妓君香の養父文吉 / 二四 長野主繕の妾加寿江 / 二五 多田帯刀を斬る / 二六 石部宿の与力斬り / 二七 絵師冷泉為恭 / 二八 恋の西郷隆盛 / 二九 奇兵隊馬関の遊興 / 三〇 山県狂介と津山太夫 / 三一 高杉晋作とおその / 三二 生麦事件の飛ばっちり / 三三 伊藤大隈の鞘当て / 三四 右団次とお六狂乱 / 三五 神戸奈良屋の三人娘 / 三六 業平朝臣の御気取 / 三七 神風連騒動 / 三八 薄命児前原一誠 / 三九 大阪冨田屋のお雄 / 四〇 田中光顕さん / 四一 内海忠勝と職人の娘 / 四二 岩崎弥太郎の恋 / 四三 噛み切った記念の夜具 / 四四 生疵の井上聞多 / 四五 冨田屋の大活躍 / 四六 井上、お雄、誓いの一言 / 四七 井上の面上、お雄の青痰 / 四八 伊藤、房鶴、珍な道行 / 四九 築地梁山泊の豪傑 / 五〇 シナ人奴隷事件 / 五一 一週間正に預り申し候 / 五二 副島種臣の銭湯通い / 五三 横浜の富貴楼お倉 / 五四 銀座の役人本田の妾 / 五五 名付親は天下の糸平 / 五六 陸奥宗光の端唄 / 五七 臨時列車の追手 / 五八 天下の糸平の豪遊ぶり / 五九 岩崎、お倉に縋る / 六〇 岩崎、政府の隠密を籠絡 / 六一 伊藤と大隈会見の橋渡し
品川楼の嘉志久
清河八郎の妾


井筒 豊子 (いづつとよこ)
「白磁盒子」
 (はくじごうし)


*カバー・風間完
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*247頁 / 発行 1993年

*カバー文
安南の名門阮家に迎えられたモイの乙女。愛蔵の白磁盒子を託した克欽の愛もむなしく、さ迷う二人の三魂九魄。こなごなに砕け血に染まった白磁が、魅入られたひとの思いを断つ、表題作他六篇。独自の世界を築きあげた詩情溢れる異国の香りと厳選されたことばが織りなす珠玉の短篇小説集。

*目次
「白磁盒子」叙 佐藤春夫
白磁盒子
バフルンヌール物語
江戸小紋
桃源
アディオス
ハサン・シーラージー
睡蓮
 解説 村上博子


伊藤 桂一 (いとうけいいち)
「水と微風の世界」
 (みずとびふううのせかい)


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*266頁
*発行 1976年
*カバー・司修

*カバー文
揚子江沿いの安徽省蕪湖県―はるかな大陸に戦旅をたどる兵士と流離にさまよう娼婦千鳥との愛と死。鮮烈な情感で人間の美と愛の極みを描く。他に「辺土抄」「鵲」「罠」「牛のいる風景」の全五篇。

*解説頁・伊馬春部


伊藤 整 (いとうせい)
「女性に関する十二章」
(じょせいにかんするじゅうにしょう)


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*190頁 / 発行 1974年

*目録文
戦後出版界にいわゆる“十二章ブーム”を巻き起こした本書は、伊藤整の卓抜な批評眼が最も鋭く示された名エッセイとして名高い。

*目次
第一章 結婚と幸福
第二章 女性の姿形
第三章 哀れなる男性
第四章 妻は世間の代表者
第五章 五十歩と百歩
第六章 愛とは何か
第七章 正義と愛情
第八章 苦悩について
第九章 情緒について
第十章 生命の意識
第十一章 家庭とは何か
第十二章 この世は生きるに値するか
 解説 奥野健男


稲垣 浩 (いながきひろし)
「日本映画の若き日々」 
(にほんえいがのわかきひび)


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*311頁 / 発行 1983年

*カバー文
「宮本武蔵」「無法松の一生」など数々の名作を世に送った巨匠稲垣浩が、日本映画の若き日々を回想して綴るカツドウ屋曼陀羅。

*目次
京都映画散歩
 太秦 / 等持寺 / 花園 / 愛宕 / 化野 / 天竜寺 / 嵐山 / 老ノ坂 / 祇園町 / 八坂神社・内山 / 知恩院 / 南禅寺 / 下賀茂 / 一乗寺 / 二条城 / 壬生・島原 / 東寺 / 城南宮 / 伏見 / 嵯峨の / 鳴滝 / 三条木屋町 / 宮川町

わが交遊録
 嵐寛寿郎 / 市川右太衛門 / 上田吉二郎 / 大河内伝次郎 / 大谷友右衛門 / 岡田茉莉子 / 興津要 / 乙羽信子 / 片岡千恵蔵 / 加東大介 / 菊地昇 / 久我美子 / 杉狂児 / 園井恵子 / 高野弘正 / 東野英治郎 / 中村翫右衛門 / 永田雅一 / 南部僑一郎 / 長谷川一夫 / 原節子 / 阪東妻三郎 / 松田春琴 / 三国連太郎 / 宮城千賀子 / 笠智衆 / 山口淑子

常談・戯談
 孔雀の災難 / 替え玉 / 岡若のはなし / 映画と音楽 / 撮影所の出入り商人 / お早う / 伊勢やんの話 / 私のスキーの先生 / 『瞼の母』映画化の思い出 / 照らし屋 / ふざけた野郎ども / 伊丹万作と私 / 巌流島と祇園太鼓 / 酒徒列伝 / 戦時中と終戦のとき / 涙と血と汗 / 悪製造の面白さ / セリフあれこれ / 映画館のいろいろ / 結婚と離婚 / 映画の傍題
 あとがき


稲垣 浩 (いながきひろし)
「ひげとちょんまげ 生きている映画史」



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*218頁
*発行 1981年
*カバー画・稲垣 浩

*カバー文
「無法松の一生」「忘れられた子等」などの人間性豊かな名作を数多く残した映画監督が、半世紀に及ぶカツドウ屋人生をふり返って、忘れ難い思い出、秘話のかずかずを生き生きと描く。

*解説頁・佐藤忠男


稲森 道三郎 (いなもりみちさぶろう)
「中勘助の手紙 一座建立」 (なかかんすけのてがみ)


*カバー画・中勘助「竹之図」
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*393頁 / 発行 1995年

*カバー文
静岡市郊外に住む青年と、終戦前後、東京から疎開していた「銀の匙」の筆者中勘助との温かい交流を、中の書簡を軸に数々のエピソードを交えて綴った記録。瑞々しく、それでいて味わいに富んだ文章は、中勘助の知られざる素顔を浮彫りにしつつ、中夫人を加えた三人がつくりあげた、静かだが濃密で信頼に満ちた世界を伝える。

*目次
 序にかえて 小堀杏奴
 はじめに  ―― 中勘助と静岡県服織村

T 昭和二十年
 邂逅 ―― 十一月・十二月

U 昭和二十一年
 新しき年 ―― 一月 / 節分 ―― 二月 / 雛まつり ―― 三月 / 一座建立 ―― 四月 / 大崩海岸 ―― 五月 / 鶯の話 ―― 六月 / 七夕 ―― 七月 / 忘れ庵 ―― 八月・九月 / 古寺巡礼 ―― 十月・十一月 / 銀の匙 ―― 十二月

V 昭和二十二年
 漂泊の春 ―― 一月 / 花子 ―― 二月 / 小野の薬師 ―― 三月・四月 / 端午の節句 ―― 五月 / 寺小屋 ―― 六月・七月 / 穂高 ―― 八月 / 六玉川 ―― 九月 / 大豆粉 ―― 十月 / 鞠子 ―― 十一月・十二月

W 昭和二十三年
 独楽 ―― 一月・二月 / 帰京 ―― 三月・四月

 あとがき / 文庫版あとがき / 解説 高杉一郎


犬養 健 (いぬかいけん)
「揚子江は今も流れている」 (ようすこうはいまもながれている)


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*409頁 / 発行 1984年

*カバー文
満州事変に発した大陸の戦乱はとめどもなく拡がる。盧溝橋銃声の謎、暗殺の街上海から隅田川辺の離れ座敷へ、和平に動く汪精衛・陳公博たち ― 戦火を越えて友情に結ばれた日中和平運動秘話。

*目次
 序
揚子江は今も流れている / 戦火をこえた友情 / 中国人は中国人と戦わず / 深夜の密談 / 真夜中の暗殺者 / 暗黒の街を行く / 上陸地に異変あり / 日本無くして中国無し / 過酷な和平条件 / 女間諜・鄭蘋如 / 汪精衛国民党大会 / 康紹武遂に去る / 日米戦争必死の喰止め

 附録  蒋介石(中正)小伝 / 汪精衛(兆銘)小伝 / 陳璧君女士小伝 / 陳公博小伝 / 周仏海小伝 / 康紹武小伝 / 石原莞爾小伝

*親本
 『揚子江は今も流れている』昭和三十五年九月 文藝春秋刊

*著者紹介
明治二十九年(一八九六)、東京に生まれる。犬養毅(木堂)の三男。学習院高等科を経て東大文学部に学ぶ。作家として、『一つの時代』(大正十二年)、『南国』(同十三年)、『南京六月祭』(昭和四年)など多くの作品を発表の後、昭和五年より政友会総裁の父毅を助けて政界に進む。逓信参与官、日華和平条約折衝委員、外務政務次官、法務大臣などの要職を歴任して、昭和三十六年八月没。


井上 ひさし (いのうえひさし)
「戯作者銘々伝」 (げさくしゃめいめいでん)


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*243頁
*発行 1982年
*カバー・山藤章二

*カバー文
文武二道を皮肉ってお上の忌諱にふれ、命を断った恋川春町、何でもアベコベ、逆をゆき、心に反して恋女房を吉原にたたき売った唐来参和〈とうらいさんな〉など、江戸の戯作者十二人のおかしくもしたたかな泣き笑いの人生傑作譚
鼻山人 / 唐来参和 / 半返舎一朱 / 恋川春町 / 三文舎自楽 / 山東京伝 / 平秩東作 / 芝全交 / 松亭金水 / 馬場文耕 / 式亭三馬 / 烏亭焉馬

*解説頁・中野三敏


井上 靖 (いのうえやすし)
「カルロス四世の家族
小説家の美術ノート」 (かるろすよんせいのかぞく)


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*151頁 / 発行 1989年
*カバー・ゴヤ カルロス四世家族(部分) マドリッド・プラド美術館蔵

*カバー文
表題のゴヤの作品のほか、ダ・ヴィンチの絵、顔氏家廟碑、桂離宮庭園、信貴山縁起絵巻など、透徹した詩精神に投影された五つの美のかたちについて、鋭い洞察力と豊かな想像力で輝かしいイメージを喚起する。小説家の豊饒な美の世界へ誘う、珠玉の美術エッセイ。

*目次
ゴヤの「カルロス四世の家族」について
桂離宮庭園の作者
微笑と手と(レオナルド・ダ・ヴィンチ小論)
顔真卿の「顔氏家廟碑」
「信貴山縁起絵巻」第一巻を観る
 あとがき
 美と想像力 高階秀爾


井上 靖 (いのうえやすし)
「故里の鏡」 
(ふるさとのかがみ)


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*254頁
*発行 1982年
*カバー・安野光雅

*カバー文
― 「初心集」とでも名付けたいような随想集である。三十代、四十代、五十代、六十代、それぞれの初心がここには集められている。 (著者あとがきより)
ふるさとの山や河、忘れえぬ人々、文章修行のこと、酒との出逢い、言葉と詩歌の心、芸術論、中国旅行など、折々の心に沁みる日常を澄明に刻む掌篇随想集。

*解説頁・福田宏年


井上 靖 (いのうえやすし)
「わが文学の軌跡」 
(わがぶんがくのきせき)


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*274頁
*発行 1981年

*カバー文
青春の日の柔道への没頭、詩との出会い、戦中戦後の新聞記者生活、中国体験など、四十代で作家活動に入り、小説の面白さを復権した著者が、自ら語る自己形成とその文学的軌跡。井上文学の魅力の源泉を探り、全貌を明らかにする。 付詳細年譜・参考文献

*篠田一士と辻邦生を聞き手とした対談形式の内容です。


猪木 正道 (いのきまさみち)
「ロシア革命史 ― 社会思想史的研究」
(ろしあかくめいし)


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*292頁 / 発行 1994年
*カバー 冬のモスクワ川とクレムリン(世界文化フォト 提供)

*カバー文
世界ではじめて共産主義政権を樹立したレーニンとボリシェヴィキ革命を中心に、十九世紀末のナロードニキから第二次大戦終結までの、革命の全過程と思想、人間性と非人間性を、透徹した眼で鋭利に分析。本書の時代を超えた普遍性は、ソ連崩壊後の今日ますます真価を発揮する。

*目次
 旧版はしがき / はしがき
第一章 序言
第二章 ロシアの後進性
 1 後進性の原因 / 2 ツァーリズム / 3 ナロードニキ / 4 ロシア資本主義
第三章 ボリシェヴィズム
 1 プレハーノフ / 2 原始マルクス主義 / 3 カウツキーとベルンシュタイン / 4 レーニン主義
第四章 ツァーリズムの苦悶
 1 日露戦争 / 2 第一次革命 / 3 第一次革命(続) / 4 ストルイピン時代
第五章 十月革命
 1 第一次世界大戦 / 2 第一次世界大戦(続) / 3 二月革命 / 4 四月テーゼ / 5 ボリシェヴィキ政権
第六章 世界革命
 1 憲法制定会議 / 2 ブレスト・リトフスク / 3 内乱 / 4 コミンテルン
第七章 一国社会主義
 1 新経済政策 / 2 五ヵ年計画 / 3 第二次世界大戦
第八章 結言

 注
 解説 木村汎


井伏 鱒二 (いぶせますじ)
「珍品堂主人」 (ちんぴんどうしゅじん)


(画像はクリックで拡大します)

*162頁
*発行 1977年
*カバー・硲伊之助

*カバー文
風が吹かないのに風に吹かれているような後姿には、料亭〈途上園〉に夢を託した珍品堂主人の思い屈した風情がただよう ―― 。善意と奸計が織りなす人間模様をあざやかに描きわける井伏文学の傑作

*解説頁・中村明


伊馬 春部 (いまはるべ)
「櫻桃の記」
 (おうとうのき)


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*312頁
*発行 昭和56年
*カバー題字・庫田つづる

*カバー文
太宰治の無二の朋友として、またその文学のもっともよき理解者の一人である著者が、多くの資料を駆使して描く鎮魂のドラマ「桜桃の記」他、いまなお衰えぬ太宰文学の魅力と秘密を語る全エッセイ。


今西 英造 (いまにしえいぞう)
「演歌に生きた男たち その栄光と挫折の時代」
 (えんかにいきたおとこたち)


*カバー写真・国産第1号卓上蓄音器J1-91
(写真提供・日本ビクター株式会社)
 カバーデザイン・山田健二

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*329頁 / 発行 2001年

*カバー文
「篭の鳥」で一世を風靡した演歌師・鳥取春陽、「カチューシャの唄」で日本中を熱狂させた松井須磨子、「東京ラプソディー」を作曲した古賀政男……。
大正初期から太平洋戦争期に日本で流行った演歌・流行歌に携わった人々の真実の姿を、豊富な資料とともに活き活きと描き出す。

*目次
第一章 燃えあがる大正演歌
 一 演歌師・鳥取春陽
 二 パイノパイノパイ
 三 狂乱須磨子とかけ出し晋平
 四 廃墟に流れる歌
 五 大正悲歌
第二章 昭和流行歌は踊る
 一 暗いあけぼのとモダニズム
 二 モガ・モボ狂騒曲
 三 カフエー流行歌盛衰記
 四 春陽・その生と死
 五 楠木繁夫の歩んだ道
 六 三人の「流行歌」詩人
第三章 流れゆく挽歌
 一 サムライ・ニッポン
 二 アベタケ・メロディー
 三 昭和モダニズムへの挽歌
 四 密林に消えた歌声

 あとがき
 文庫版へのあとがき
 資料提供者と参考文献
 掲載曲目一覧


入江 相政 (いりえすけまさ)
「侍従とパイプ」
(じじゅうとぱいぷ)


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*208頁
*発行 1979年

*目録文
パイプ掃除の苦心談が書名のそもそも。皇居内の自然のたたずまいと時世の変転を静かなユーモアでつづる。エッセイストの名を高めた名著。


入江 相政 (いりえすけまさ)
「城の中」
(しろのなか)


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*261頁
*発行 2014年改版

*目録文
すぐれた随筆家としても知られる著者が、侍従生活二十数年の感慨を、皇居内の四季の折節に寄せて、流麗な筆と巧まぬユーモアで綴る珠玉のエッセイ

*解説頁・小田部雄次


入江相政 (いりえすけまさ)
「濠端随筆」
(ほりばたずいひつ)


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*285頁
*発行 1980年
*カバー・小間絵 岡村吉右衛門

*カバー文
那須野の冬に、春の夜の酒の味わい、自然のよさもさることながら、相撲や芝居にも心ひかれる。昔の東京への感情や戦後秘話など、四季折々の随筆集。

*解説頁 恬淡さと、こだわりと 原武史


色川 武大 (いろかわぶだい)
「生家へ」 (せいかへ)


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*280頁 / 発行 昭和61年
*カバー・小山田二郎

*カバー文
いつも想念が還りつく生家。夢や現実を覆いつくす鮮烈な生家と父の記憶 ―― 。
不安にわずかな安堵を見出した幼年時代と戦争をはさむ不毛につらぬかれた悪夢のような青春を、負の精神史として描く異色の連作十一篇に、第六回中央公論新人賞受賞の若き処女作「黒い布」を付し、著者のすぐれた原質を示す作品集。

*目次
作品1 / 作品2 / 作品3 / 作品4 / 作品5 / 作品6 / 作品7 / 作品8 / 作品9 / 作品10 / 作品11 / 黒い布 / あとがき / 解説 津島佑子


色川 武大 (いろかわたけひろ)
「私の旧約聖書」
 (わたしのきゅうやくせいしょ)


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*219頁
*発行 1991年

*カバー文
人生のはずれ者、札つきの不良という少年期からの深い認識。中学時代、偶然読んだ旧約聖書によって、はじめて神と人間との契約にふれた旧約の世界を知り、同時に人間の叡智への底知れない怖れを感じた著者の、生涯にわたる旧約聖書との密なるかかわりを語る。 文庫オリジナル

*目次
 まえがき / キャッチボール / 契約 / アブラハム / 能力 / エジプトへ / 移動 / 荒野 / 乳と蜜の流れる地 / 預言者 / 孤独 / 分裂 / 苦難 / 歴代のひとびと / ヨブ / 伝道者 / 終末


岩下 俊作 (いわしたしゅんさく)
「富島松五郎伝」 
(とみしままつごろうでん)


(画像はクリックで拡大します)

*253頁 / 発行 1981年
*カバー・谷中安規

*カバー文
明治の北九州小倉、唄がうまくて賭博好き、一本気な快男児の慕情の一生(映画「無法松の一生」の原作)。他に「西域記」等二篇。

*目次
富島松五郎伝
聖・もうれん
西域記
 解説 松本清張


岩満 重孝 (いわみつしげたか)
「百魚歳時記 第三」 
(ひゃくぎょさいじき)


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*232頁
*発行 1982年
*カバー画・岩満 重孝

*カバー文
好評『百魚歳時記』の書下ろし三冊目。日本を取り巻く海に河川に生きる魚の種類は数知れないが、それら愛すべき魚たちは、みなそれぞれに個性をもっている。楽しい挿画と洒脱な文章で綴る事典風エッセイ。


巌谷 國士 (いわやくにお)
「日本の不思議な宿」
 (にほんのふしぎなやど)


*カバー写真・著者撮影
(鹿児島 重富荘)
 デザイン・菊地信義

(画像はクリックで拡大します)

*353頁 / 発行 1999年

*カバー文
建築、美術、文学、食物、温泉、風景、見世物、記憶……日本の宿には実にコンパクトで濃密な小宇宙がある。それらをめぐりながら、体験と回顧、観察と批評、夢想と物語をさまざまにくりひろげてゆく、巌谷國士のワンダーランド。日本の宿は“驚異”に満ちた空間だ!

*目次
箱根塔ノ沢 環翠楼 ―― 「昔のまんま」の空間 (神奈川)
伊豆松崎 山光荘 ―― 鏝絵師長八を思う (静岡)
桑名 船津屋 ―― 泉鏡花と名物・焼蛤 (三重)
宝塚ホテル ―― 春爛漫の少女歌劇 (兵庫)
城崎 三木屋 ―― 文学「外湯めぐり」 (兵庫)
舞鶴 松栄館 ―― 赤煉瓦建築探偵とともに (京都)
奈良ホテル ―― 歳末の古都散策 (奈良)
飯坂 なかむらや ―― 名湯の向いに立つ (福島)
花巻 松雲閣 ―― 宮沢賢治と温泉について (岩手)
大湯 千葉旅館 ―― ストーンサークルの不思議 (秋田)
礼文島 コリンシアン ―― 最北端でウニ三昧 (北海道)
登別 第一滝旅館 ―― 地獄と鬼と大浴場と (北海道)
小樽 越中屋 ―― 栄華のなごりを追って (北海道)
伊香保 千明仁泉亭 ―― 蘆花や夢二や女神たち (群馬)
角間 越後屋 ―― 武田百合子さんのおもかげ (長野)
入山辺 霞山荘 ―― 片倉館から松本まで (長野)
鶴来 和田屋 ―― 「金沢の美食」のはてに (石川)
民宿石垣島 ―― 南国のフローラ (沖縄)
鹿児島 重富荘 ―― 日本最古の写真から (鹿児島)
嬉野 和田屋別荘 ―― 旅館「夢街道」をゆく (佐賀)
松江 皆美館 ―― ヘルン・遠眼鏡・奉書焼 (島根)
下津井 六口島花壇 ―― 瀬戸内の寂しい夜 (岡山)
佐田岬 金沢旅館 ―― 学生時代への旅 (愛媛)
帝国ホテル ―― 永遠のオフ・シーズン (愛知 明治村)
あとがき・文庫版あとがき
宿一覧

☆目次のカッコ内の県名は当方が補足しました。