絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【た】
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高井 有一 (たかいゆういち)
「夜の蟻」
(よるのあり)


*カバー装画・司修
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*279頁
*発行 1993年

*カバー文
―― どうせあたしの方が後に遺ってあの子の世話になって暮らすのだから、あの子の気に入らない事はさせたくない、と言った。私は黙っていた。妻は毅夫の社宅へ泊りがけで出掛け、今の家を壊して、跡地に二世帯が階上階下に分れて住める家を建てる案を、大凡の費用分担まで含めて決めて来た。 ―― こうして定年後の「私」夫婦の新しい生活が始まる。

*解説頁 菖蒲園の歳月 高橋昌男


高島 俊男 (たかしまとしお)
「水滸伝の世界」
(すいこでんのせかい)


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*350頁 / 発行 2001年
*カバーデザイン・南伸坊

*カバー文
豪傑108人が痛快にあばれまわるものがたり、水滸伝。
梁山泊の総大将がなんとも情けない男なのはなぜか。英雄は色を好むのか。みごとに描きわけられた殺人のタイプとは。さまざまな顔をもつ女傑の魅力は ―― 。
水滸伝のおもしろさ、それをめぐることがらの広さと深さへ誘う、希代の本読みによる案内書。

*目次
 まえがき / 一 豪傑たちのものがたり / 二 総大将宋江 / 三 副将盧俊義 / 四 英雄色を好む? / 五 人の殺しかたについて / 六 李俊のばあい / 七 女傑たち / 八 人を食った話 / 九 武松の十回 / 十 講釈から芝居まで / 十一 誰が水滸伝を書いたのか? / 十二 遼国征討 / 十三 一番いいテキスト / 十四 「天都外臣」とは誰ぞや? / 十五 水滸伝をチョン切った男 / 十六 中国で出ている水滸伝いろいろ / 十七 豪傑たちのアダ名 / あとがき / 文庫版あとがき


高橋 敏 (たかはしさとし)
「国定忠治の時代 読み書きと剣術」
(くにさだちゅうじのじだい)


*カバーデザイン・神田昇和
 カバー挿画
  「近世水滸伝 組定重次 八代目市川団十郎」 三代目歌川豊国画
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*286頁 / 発行 2012年

*カバー文
上州の博徒・国定忠治が生きた時代は、社会の大きな転換期でもあった。養蚕業の発展によりもたらされた富の蓄積が、文人結社・手習塾などの興隆や、女性たちの自立を促し、やがては世の中を動かす原動力ともなっていったのである。本書はそうした時代の庶民の息遣いを、豊富な古文書と丹念なフィールドワークをもとに描き出した意欲作といえる。

*目次
 序 蚕繁昌の国
T 国定忠治の周辺
 桐生周辺の無宿・博奕打
 忠治の武器感覚
 忠治の読み書き能力 無宿忠次郎と師僧貞然
 同時代の忠治観
 忠治外伝 菊池登久子とその甥
U 民衆の読み書き(リテラシー)
 筆子・筆子中とは
 民衆の読み書きと村落文化
 落文・火札・張札
 旅する庶民の眼 「道中記」の世界
V もうひとつの近世社会
 上州の女たち
 子育て絵馬と間引き絵馬
 商家の年中行事
 馬庭念流の家
あとがき
文庫版あとがき
文庫版解説「アウトローにも高い読み書き能力」(青木美智男)
図版資料一覧
初出一覧


高橋 輝次 (たかはしてるつぐ)
「書斎の宇宙 文学者の愛した机と文具たち」
(しょさいのうちゅう)


*装画・林哲夫
 カバーデザイン・間村俊一
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*314頁 / 発行 2013年

*カバー文
机、原稿用紙、万年筆、鉛筆…。身近な文具にまつわるエッセイを通じて、家族や友人、師との関わり、若かりし日々の思い出、執筆に当たっての葛藤など、創作活動の秘密を浮かび上がらせるアンソロジー。全59篇収録。

*目次
T わたしの机たち
室生犀星 「机」 / 里見ク 「朱き机の思出」 / 川端康成 「四つの机」 / 尾崎一雄 「四角な机 丸い机」 / 岡本綺堂 「私の机」 / 久保田万太郎 「机の記」 / 水上勉 「小さな仕事机」 / 上林暁 「二月堂の机」 / 壺井栄 「机」 / 「机のある部屋」 / 網野菊 「文楽と机と」 / 黒井千次 「広い机」 / 内田百閨@「机」 / 池田弥三郎 「古い机」 / 常盤新平 「文机」 / 吹田順助 「古机」 / 團伊玖磨 「机」
U 机上風景
島村抱月 「書卓の上」 / 日夏耿之介 「わたくしの執筆癖」 / 井伏鱒二 「机上風景」 / 木山捷平 「机の上」 / 奥野信太郎 「机辺歳晩」 / 北川桃雄 「机上のもの」 / 團伊玖磨 「机の上」 / 長田弘 「机」
V 原稿用紙と筆記具
石川欣一 「原稿用紙その他」 / 安岡章太郎 「先輩の忠告」 / 吉行淳之介 「原稿用紙」 / 河野多惠子 「原稿用紙」 / 山口瞳 「わが筆硯の具」 / 小檜山博 「追っかけ」 / 「原稿用紙、その後」 / 徳田秋声 「万年筆」 / 福永武彦 「万年筆」 / 久世光彦 「父の万年筆」 / 宮城谷昌光 「万年筆という舟」 / 吉村昭 「入学祝い」 / 津村節子 「原稿用紙と万年筆のこと」 / 杉本苑子 「鉛筆雑感」 / 川本三郎 「鉛筆」 / 藤堂志津子 「掌の側面」 / 内館牧子 「6Bの鉛筆」 / 岸本葉子 「紙に下書き」 / 柴門ふみ 「消しゴムのよしあしは消しカスの量で決まる」 / 吉村昭 「綴じる」 / 谷川俊太郎 「書くこと」
W 机の周辺
澁澤龍彦 「地球儀」 / 大岡信 「ファクス深夜便」 / 安藤鶴夫 「カレンダー」 / 戸板康二 「抽斗の中」 / 小川洋子 「小説とワープロ」 / 山本文緒 「日々是送受信」
X わたしの書斎
野村胡堂 「書斎」 / 伊藤整 「書斎」 / 中村真一郎 「私の書斎」 / 安岡章太郎 「書斎の工夫」 / 宮尾登美子 「私のいる場所」 / 津村節子 「本との闘い」 / 小牧健夫 「私の書斎」 / 高橋義孝 「わが幻の書斎」 / 天野忠 「書斎の幸福」
 編者あとがき / 執筆者紹介 / 典拠一覧


高橋 幹夫 (たかはしみきお)
「江戸あきない図譜」
(えどあきないずふ)


*カバーデザイン・間村俊一
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*289頁 / 発行 2002年

*カバー文
振り手形 / 為替 / 両替屋 / 白皮屋 / 酒問屋 / 天道ぼし / 茶漬屋 / 山鯨 / 塩売り / 新粉細工 / 冷水売り / 磨き師 / 輪替え / もてあそび物売り / 灰買い / ほうろく売り / 赤蛙売り / わいわい天王 / すたすた坊主……江戸人の「あきない」のキーワード、金融・運送・商店・行商に着目し、現代につながるその「稼ぎ」の知恵とテクニックを300点余の豊富な図版で実証する。江戸ビジネス事情入門書。

*目次
はじめに / 第一章 金融と流通 / 第二章 三都の商い / 第三章 船の商売と飛脚 / 第四章 旅篭と下宿 / 第五章 見世と看板 / 第六章 食べ物商売 / 第七章 食を売る出商い / 第八章 技を売る出商い / 第九章 出商いの色々 / 第十章 遊行の人たち / あとがき / 索引


高峰 秀子 (たかみねひでこ)
「人情話 松太郎」
 (にんじょうばなし まつたろう)


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*197頁
*発行 1990年
*カバー・デザイン 安野光雅

*カバー文
「私は、五歳にもならぬ子供のころから映画界の人込みの中で育ったから、人を見る目だけは相当なすれっからしである。自分の目でシカと見た人の他は信用しない。女優という職業柄、いわゆるお偉いさんや有名人にはずいぶんと会ったけれど、川口先生のように自分に真ッ正直で気ッ風がよく、そのくせホロホロと涙もろいという、まるで『江戸ッ子』を絵に描いたようなお方は、あとにもさきにもただ一人である。」(本文より)
「鶴八鶴次郎」「明治一代女」で庶民の心をつかんだ江戸っ子作家・川口松太郎との絶妙なやりとりで綴る人間ドラマ。

*解説頁・中島誠之助


滝田 ゆう (たきたゆう)
「昭和夢草紙」
 (しょうわゆめぞうし)


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*418頁
*発行 1993年
*カバー・滝田ゆう

*紹介文
少年の頃、夢中で駆けまわった裏町裏通り、横丁や小路。ベーゴマやちゃんばらに明けくれた。しかし、そこは玉の井、大人の町、ちらりちらりと大人の世界がかいま見える。その町も今はなく、ただただ夢、幻として想うばかり…。少年時代に育った懐しい町を絵とエッセイで描き出す。


竹内 正浩 (たけうちまさひろ)
「軍事遺産を歩く」
(ぐんじいさんをあるく)


*カバー写真・竹内正浩
 (戦艦陸奥旧四番砲塔)
 カバーデザイン・岡田和子
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*253頁 / 発行 2006年

*カバー文
函館山の要塞、聯合艦隊の地下壕、幻の天皇御座所、天守閣の機銃痕、戦艦の主砲塔、岸辺にうち捨てられたトーチカ。終戦から60年余、消滅したかに見えた軍事関連遺跡は、各地に残っていた。けれども、それらの殆どは何の手だてもとられず、ひっそりと埋もれていた。近代の戦争と戦後のリアルな姿を記録した貴重な写文集! 文庫書き下ろし。

*目次
 はじめに
T
国境の町のトーチカ 根室(北海道)
山頂に眠る地下遺跡 函館山(北海道)
 コラム◎赤煉瓦とコンクリート
U
突貫工事の飛行場 茂原(千葉県)
鉄道聯隊の夢の跡 新京成線(千葉県)
最後の聚合艦隊司令部 日吉(神奈川県)
忘れ去られた記念碑 観音崎・横須賀(神奈川県)
 コラム◎野に還る
V
幻の天皇御座所 松代(長野県)
六〇年、時を停めた空間 豊川(愛知県)
キャベツ畑の奇妙な塔 渥美(愛知県)
 コラム◎遺跡を探す
W
帝国海軍と赤煉瓦の町 舞鶴(京都府)
兵站基地と化した城塞 大阪城(大阪府)
明治期要塞の一級遺産 友ヶ島(和歌山県)
 コラム◎記憶から記録へ
X
要塞島の数奇な運命 大久野島(広島県)
日本初の砲台公園 小島(愛媛県)
海軍の伝統を育んだ島 江田島・呉(広島県)
 コラム◎国境の膳
Y
草生す東洋一の飛行場 大刀洗(福岡県)
三つ並んだ不思議な塔 針尾島(長崎県)
軍港を囲む明治の砲台 佐世保(長崎県)
海峡を睨む防人の島 対馬(長崎県)
掩体壕が物語る「戦後」 宇佐(大分県)
 あとがき


竹田 青嗣 (たけだせいじ)
「意味とエロス ― 欲望論の現象学」
(いみとえろす)
ちくま学芸文庫


*カバーデザイン・間村俊一
 カバー写真・林朋彦
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*329頁 / 発行 1993年

*カバー文
現象学こそがわれわれがとりうるもっともラディカルな哲学的態度であり、そして、その可能性をさらに推し進めることのなかにこそ、現代思想の混迷を突破する道がある! 著者の哲学的デビューの書であり、その原点をいまもくっきりと指し示す本書は、読者に哲学することの意義と歓びを感じさせずにはおかない。

*目次
T 意味とエロス ―― 欲望論の現象学
 @ 存在と意味の問い
 A 欲望論の現象学
U 世界認識のパラドックス
  〈差延〉と〈根源〉
V 実存の根底
  超越としての〈外部〉
  読みびと知らずのバルト
  反=形而上学の源流
「あとがき」にかえて ―― 現象学的思考について
初出一覧
文庫版あとがき
文庫版解説(西研)


竹中 労 (たけなかろう)
「鞍馬天狗のおじさんは」
(くらまてんぐのおじさんは)


*カバー写真所蔵・本地陽彦
 カバーデザイン・野村高志
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*413頁 / 発行 1992年

*カバー文
昭和の銀幕を駆け抜けた鞍馬天狗! 生涯、映画を愛し、女に惚れ、一銭の財産も残さずに逝った往年のヒーロー・アラカン=嵐寛寿郎が語った日本映画の裏舞台。いかがわしくも、魅力と活気に満ちていた映画界のようすが、竹中労の名調子に乗って甦える。山中貞雄、伊藤大輔、マキノ雅広らの若き日々がいきいきと描かれる、もう一つの日本映画史。

*目次
序章 ただ見る池塘春草のゆめ
 嵐寛寿郎の他に神はなかった / 聞書・1 生い立ちの記
第1部 ああ、サイレント時代
 聞書2 天狗、売り出す / 聞書3 山中貞雄のこと / 聞書4 さらば無声映画 / レポート1 マキノ・東亜・寛プロ
第2部 雲の上から地の涯てへ
 聞書5 かくて、神風は吹かず / 聞書6 戦争あきまへん / 聞書7 女難・剣難の巻 / レポート2 日活〜三社統合・敗戦
第3部 化天の中をくらべれば
 聞書8 あらかん天皇記 / 聞書9 老兵・路頭に迷うの巻 / 聞書10 君知るや南大東島
総括A かえりみれば半世紀
 聞書11 老いらくの章
総括B 嵐寛寿郎名作劇場 ―― サイレント篇
 白川書院版 あとがき・ファンの皆さんに / 色は匂えと 散りぬるを ── 故・嵐寛寿郎へのオマージュ
解説 「竹中労のおじさんも ── 」 橋本治

徳間文庫版(サイト内リンク)


竹中 労 (たけなかろう)
「決定版ルポライター事始」
(けっていばんるぽらいたーことはじめ)


*カバーデザイン・野村高志
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*329頁 / 発行 1999年

*カバー文
美空ひばり、大杉栄、ビートルズ、チャンバラ映画……。芸能を愛し革命を夢見て、花のような文章を残した竹中労。“トップ屋”とさげすまれながらも、えんぴつ一本を武器としたルポライター稼業。陋巷市井に沈潜し、アジア・アラブ・中南米へと飛翔した竹中労が過激なまでに自由であった自らの半生と行動の論理を記した名著、待望の文庫化!

*目次
序(はじめに) ──
PARTT ピラニアよ、群れるな!
 ルポライターの履歴書 / マーク・ゲインと『籠の鳥』
PARTU わが名は、ゴースト・ライター
 言論暴力とは何か? / 刑法改正と“自由な言論”
PARTV ストリート・ジャーナリズムの黄昏
 エロチシズムと赤旗と…… / 『週刊明星』の研究 / 「価値なき自由」を守ること / 宮崎勤の蝶をさがせ!
INTERLUDE 実戦ルポライター入門
 テーマをきめる(上) 編集者との共働作業について / テーマをきめる(下) 予断を立て、予断を棄てること / プロットを組む(構成) まず、基本の実習から始めよう / スケジュールと予算(上) 小宇宙を形整して時空を凝縮する / スケジュールと予算(下) イメエジを描き・捨て、プロットを組む
PARTW 「探険」への旅立ち……
 敗戦三文オペラ ── 浅草(エンコ)慕情 / 上野駅・地下道無惨 / 窮民街に生き暮れて
あとがき / 竹中労の仕事 / 実務者あとがき / 解説 竹熊健太郎


竹中 労 (たかなかろう)
「断影 大杉栄」
(だんえい おおすぎさかえ)


*カバーデザイン・野村高志
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*307頁 / 発行 2003年

*カバー文
ほんとうの自由を求めて、権威・権力と戦い、女性を愛し、ついには関東大震災直後に憲兵隊によって虐殺された大杉栄。歴史の闇に埋もれた大正アナーキストたちの中でも、ひと際、光彩を放つ大杉の激しく熱い魂へと迫る! アナキズムとはなべての支配されざる精神 ── と語る竹中労が渾身の力で書き下ろした未発表原稿が文庫オリジナルで登場。

*目次
プロロオグ
生い立ちの記 ── 兇暴の疾
一波万波 ── 無政府主義以前
冬の時代 ── 大逆事件
生の拡充 ── 『近代思想』
断章 ── 愛は惜しみなく奪う
補遺 ── 苦諦・日蔭茶屋
襤褸の巷 ── 美的浮浪者の群
日本の運命 ── 「労働運動」の時代
長い幕間 ── コミンテルンの密使
アナ・ボル抗争 ── 「総連合」成らず
パリに激す! ── ニッポン脱出
又・幕間 ── 還らぬ骸(むくろ)、梅雨の入り
地獄変 ── 関東大震災
我、是くの如く聞けり ── 大杉殺し・甘粕ではナイ
エピロオグ
現代書館版・あとがき / 解説 なだいなだ


田中 小実昌・大庭 萱朗編 (たなかこみまさ・おおばかやあき)
「田中小実昌エッセイ・コレクション(4)おんな」
(たなかこみまさえっせいこれくしょん)


*カバーデザイン・南伸坊
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*340頁 / 発行 2003年

*カバー文
戦争が終わって東大に復学した田中小実昌が飛ひ込んだのはストリップの世界でした。渋谷の劇場、東京フォリーズのストリッパーや、新宿ゴールデン街で出会うちょっと不思議な女性たちなど、オンナたちのココロやカラダにコミさんはいつも翻弄されっぱなし!でも何だか楽しそう?好評にお応えして、田中小実昌エッセイ・コレクション、いよいよ第2期刊行開始!

*目次
第一章 ストリッパーの素敵な世界
ただいまヌード特売中 / 口説きのテクニック / ストリッパーの朝 / パンティかかえてゴ出勤 / ヌード・ダンサーの楽屋裏 / 裸のばらんすシート / ヒツジのバサ打ち / ヒロシマ弁の踊子 / おヘソのゴマとり / あけみの生いたち / ドサ廻り役者 / 女が着物を脱ぐ時 / 関西ストリップの楽屋裏 ―― 舞台で見られない部分を探求 / ジプシー・ローズをしのぶ / グラインドの女王 / 酒が好きだったローズ / ハンド・バッグの中 / 酒神と心中 / ストリップ用語私史

第二章 ぼくが出会ったオンナたち
乳房のつめたい女 / おしめり危険地帯 / いたこのいたマン / 続・いたこのいたマン / 易者と娼婦 / あのスージイ / 青線・赤線 / グレース / 鍵のない部屋 / またもN・G / こまったな / 処女の開通式 / 男と女、どちらがアレを好きか? / 体が大きい女は感じてくるのもゆっくりか? / 若い女の子のつるりと剥けた裸身の味は…… / セックスにマメな女の構造は? / こんな女のコには思わずタメ息が出てしまう / 女の部分、母親の部分 / わが底なし女たち(ボトムレス・ガールズ) / 川っぷちの恋 ―― 浜松の女 / 披露宴に来た女 / 男三人が惚れた女 / シャシンの撮影

第三章 オンナとオトコのいる暮らし
はめまらのこと / わがチン友のプライバシー / 池内淳子様 / アイ・ラヴ・ユー、ベービィ / わがココロの妻 / 実際なんて……
出典 / 解説 ―― 岩井志麻子


田中 小実昌・大庭 萱朗編 (たなかこみまさ・おおばかやあき)
「田中小実昌エッセイ・コレクション(6)自伝」
(たなかこみまさえっせいこれくしょん)


*カバーデザイン・南伸坊
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*343頁 / 発行 2003年

*カバー文
エッセイ・コレクションのしめくくりは「自伝」。呉で過ごした少年時代に始まり、戦争での苛酷な体験、終戦後のストリップ劇場での裏方仕事、それからテキヤの子分になって全国を回り、もぐりこんだ横田基地で米兵たちとおしゃべりしながら翻訳に手を染め、そして……。さまざまなキャリアを経ても、ちっとも変わらないコミさんの視線の妙をお楽しみください!

*目次
「なまけ者」の価値ある生涯
T
大正14年… / 昭和12年… / 昭和17年… / 昭和19年…
U
こわかった看護婦 / 地獄船の隔離病室 / コレラ患者も楽し / 炊事係りに魅力 / なにかが狂ってた? / 男と寝ない“踊り子” / 懐かしの「額縁ショウ」 / ストリップと影絵 / 人生はつねに“断絶” / オッパイの神様 / 黒いうねりの客 / ハダカさんの花笠 / 大尉のセックス音
V
バスボーイ / エントツ掃除 / 張っちゃいけない親父の頭 / イージイ・ヤクザ / 乞食からもらったオニギリ / 高市(たかまち)まわり / かけだしのテキヤのころ / ヒツジのバサ打 / 横田基地のバンブダンプ / 失業保険大好き / 不動産屋、そして医学研究所 / もう老後

出典 / 解説 ―― 鶴見俊輔


種村 季弘 (たねむらすえひろ)
「贋物漫遊記」
(にせものまんゆうき)


*カバーデザイン・安野光雅
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*213頁 / 発行 1989年

*カバー文
犬歯を突き出し口もとから生血をしたたらせたドラキュラ、胸もあらわなマリリン・モンロー……死者をかたどって鬼気せまる蝋人形の話、一村を大ペテンにかけた贋帝大生の話、獄門をのがれて長生きした鼠小僧の話、などなど。世は大ウソばやりの今日この頃、とはいえ、凡百のニセモノを顔色なからしめる、極めつきニセモノの大博覧会!
『書物漫遊記』『食物漫遊記』につづき、恐怖と諧謔、そして蘊蓄にあふれたエッセイを集めた「漫遊記」シリーズ第三弾。

*目次
序章 肩書蒐集家の悲哀 / 1 あなたに似た人 / 2 ガセネタくらべ / 3 私の娘 / 4 帝大生登場 / 5 影を売る男 / 6 分身大活躍す / 7 キリストの墓いずこ / 8 悪人長生 / 9 小人国再訪 / 10 声色人生 / 11 贋物日記 / 12 池袋の女 / 終章 偽八卦の超能力 / あとがき / 解説 種村ごのみ 井上章一


種村 季弘 (たねむらすえひろ)
「迷信博覧会」
(めいしんはくらんかい)


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*235頁 / 発行 1991年

*目録文
昔からいい伝えられている迷信、日常生活の中の迷信、そして荒唐無稽な話のいろいろ。

*目次
第1章 動物
 天狗のしゃれこうべ / 兎のダンス / 物品取り寄せの限界 / 狸の集金旅行 / 絵馬は仲立ち
第2章 運
 鬼門には背中を向けろ / 嫁婿えらび神の声 / 媚薬の使い方 / 閾際の吉凶 / 初恋のたたり
第3章 物
 ナウイぞ、スルメ男 / ありがたいお札 / 霊柩車の運転法 / 浅右衛門の胆蔵
第4章 暦
 13日の金曜日 / 4月1日は馬鹿になろう / 厄年の綱渡り / 丙午の女
第5章 食
 黄金色の茄子 / 茸とクソの戦争 / 吸血鬼とニンニク / 塩は敵に送れ / 南瓜がこわい
第6章 呪
 チチンプイプイ / 長い長い名前 / 鼻を高くするおまじない / くしゃみ論争