絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【く】

工藤 美代子 (くどうみよこ)
「昭和維新の朝 ─ 二・二六事件を生きた将軍と娘」
(しょうわいしんのあした)


*カバーデザイン・間村俊一
 カバー写真・毎日新聞社提供
(画像はクリックで拡大します)

*455頁 / 発行 2010年

*カバー文
著名な女流歌人、齋藤史が1994年、宮中歌会始に召人として召されたことは、大きな話題になった。というのも、その父である陸軍少将・齋藤瀏は、昭和天皇を激怒させた2・26事件を主導した青年将校たちの、有力な支援者だったからである。歴史に関わり、翻弄されたひと組の父と娘の歩みを通して、昭和史の激動の真実を生き生きと描き出す。

*目次
序章 宮中歌会始 ― 幻影の兵士たち
第1章 自然児・瀏の流転 ― 蛍雪の旅立ち
第2章 日露戦争と明治日本 ― 赫奕たる残照
第3章 軍都旭川 ― 史と栗原の別れ
第4章 洛南事件始末 ― 昭和という困難の幕開け
第5章 野に放たれた瀏 ― 動乱と歌の火花
第6章 亀裂する軍閥 ― 蹶起への分岐点
第7章 維新前夜 ― 軍師、齋藤瀏奔る
第8章 雪の朝 ― 戒厳令下の尊皇
第9章 処刑の夏 ― 暴力のかくうつくしき世に住みて
第10章 終戦、天皇の「人間宣言」 ― 栗原たちが聞かないでよかった
終章 和の歌 ― 天皇家との和解
文庫版あとがき
解説 「野の中にある一樹」をめぐって 鳥居民
参考文献


窪田 般弥 (くぼたはんや)
「カザノヴァ ロココの世紀」
(casanova)


*カバー装画
 ボンネ、ルイ・マラン。
 甘い約束、ドゥレに基く。
(画像はクリックで拡大します)

*364頁 / 発行 1993年

*カバー文
「わたしは狂おしいほど女を愛してきた。しかし、つねに女たちより自由を愛してきた」皇帝や国王のもとに平気で出入りし、百余人におよぶ美女たちを欲望のおもむくままに手に入れた享楽主義者、ジャック・カザノヴァ。色事師、ぺてん師、魔術師など、その不名誉な仮面の下に彼の素顔を見、女と酒と美食に明け暮れたロココ人の「自由」の精神の秘密を解き明かす。

*目次
第一章 生涯の物語
第二章 水都ヴェネチア
第三章 ロココ時代―ぺてん師の群れ
第四章 冒険家―鉛屋根の牢獄からの脱獄
第五章 青春の女たち
第六章 凋落の色事師
第七章 『回想録』以後
あとがき / 文庫版あとがき / 参考文献
解説 現代精神への起爆剤 飯塚信雄