絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【き】

菊地 明 (きくちあきら)
「土方歳三日記 上下」
(ひじかたとしぞうにっき)
ちくま学芸文庫



*カバーデザイン・間村俊一
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*上371頁 / 下556頁 / 発行 2011年

*カバー文
上 生い立ち、上京、新選組結成、そして池田屋事件
新選組副長、土方歳三。怜悧な思考、抜きんでたリーダーシップで組織を率い、敗軍の将として戊辰の役を転戦、函館で最期を遂げる。類稀な魅力から、小説・映画・ドラマでもその生涯が描かれてきたが、さまざまな異説に彩られ、真実は解明されてこなかった。本書では、本人の手紙、関係の旧家に伝えられた文書、隊士をはじめとする同時代人の諸記録まで、夥しい史料を渉猟、綿密な考証に基づいて時系列に再構成し、全生涯を初めて明らかにする。上巻は生い立ちから上京、新選組結成、局長・芹沢鴨の斬殺、そして池田屋事件で一躍名の上がった元治元年までを収録。時代はますます風雲急を告げてゆく。

下 新撰組副長、鳥羽伏見戦、箱館戦争、そして散華
新選組副長、土方歳三。怜悧な思考、抜きんでたリーダーシップで組織を率い、敗軍の将として戊辰の役を転戦、函館で最期を遂げる。類稀な魅力から、小説・映画・ドラマでもその生涯が描かれてきたが、さまざまな異説に彩られ、真実は解明されてこなかった。本書では、本人の手紙、関係の旧家に伝えられた文書、隊士をはじめとする同時代人の諸記録まで、夥しい史料を渉猟、綿密な考証に基づいて時系列に再構成し、全生涯を初めて明らかにする。下巻の新選組最盛期の慶応元年から。やがて鳥羽伏見の戦いに敗れて東走し、近藤勇亡き後、土方は会津、北海道へ戦場を求め、函館で壮烈な最期を迎える。


菊地 信義 (きくちのぶよし)
「装幀談義」
(そうていだんぎ)


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*219頁
*発行 1990年

*目録文
書店の店頭で、どうしたら読者の目を惹きつけられか。装幀家が自在に語る誘惑の秘術。

*目次
1 素材について
2 書体について
3 図像について
4 構成について


木田 元 (きだげん)
「闇屋になりそこねた哲学者」
(やみやになりそこねたてつがくしゃ)


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*245頁 / 発行 2010年
*カバーデザイン・間村俊一
 カバー写真・昭和20年9月、海軍兵学校の制服に身を包む著者。

*カバー文
満洲での少年時代。江田島の海軍兵学校で原爆投下を目撃した日。焼け跡の東京でテキ屋の手先だった頃。そして著述と翻訳に没頭した時代……。昭和20年夏、焼きつくされた街に放り出された海軍兵学校帰りの17歳の少年は、なぜハイデガーの『存在と時間』に魅かれるようになったのか。高名な哲学者が人々との出会いと読書体験を軸に、波乱に富んだ人生を縦横に語る。

*目次
1 父のこと、満洲のこと / 2 江田島へ / 3 焼跡の街で / 4 ぼくは運び屋だった / 5 青春彷徨 / 6 勉強したくなった / 7 東北大学で / 8 『存在と時間』をはじめて読んだ頃 / 9 ハイデガーへの回り道 / 10 先生たち / 11 ハイデガーがわかる / 12 現象学とは何か / 13 ぼくが書いた本 / 14 翻訳について / 15 自分のこと、健康のこと / 16 読書会のこと / 17 友人たち / 18 おわりに / あとがき / 文庫版あとがき ―― 後の祭り / 解説 木田さんの「すごみ」 与那原恵 / 略歴 / 著作一覧


北原 尚彦 (きたはらなおひこ)
「新刊! 古本文庫」
(しんかん ふるほんぶんこ)


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*334頁 / 発行 2003年
*カバーデザイン・神崎夢現

*カバー文
この本は、古本文庫についての新刊文庫である(ヤヤコシイ)。ひとくちに文庫本といっても、約100年の歴史があるのだ。その中には、数々の名著もあれば、一世を風靡しながらも、忘れ去られたもの、現在から見れば笑うしかないような珍本、奇本、トンデモ本も山のように存在する。それらを全部ひっくるめて、古本文庫の楽しさを伝授する書き下ろしエッセイ。図版満載。

*目次
はしがき
珍本・稀書篇
歴史・変遷篇
文庫画廊篇
あとがき ―― 三度の飯より古本文庫


木下 直之 (きのしたなおゆき)
「美術という見世物 ― 油絵茶屋の時代」
(びじゅつというみせもの)
ちくま学芸文庫



*カバー絵
歌川国芳・浅草奥山生人形
(部分) / 神戸市立博物館蔵
カバーデザイン
吉田篤弘+吉田浩美
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*401頁 / 発行 1991年

*カバー文
浅草は奥山の生人形、西洋油画を並べた油絵茶屋、パノラマ館での戦争体験、掛け軸になった写真……19世紀日本のエロ、グロ、ナンセンス。細工師の手になる奇々怪々な造形表現のかずかずは、市井の人びとはもちろん、外国人をも驚かせ魅了したが、それにもかかわらず、西洋文明に倣えの近代化が押し進められる渦中で排除され、やがて歴史に埋もれてしまう。美術という基準からはずれたアウトローを掘り出し、幕末・明治の驚くべき想像力を検証する、転換期の日本美術への新たな視座。図版多数。

*目次
乍憚口上
石像楽圃 夫婦か知らねど匹付合
手長足長 活ける人に向ふが如し
胎内十月 色事は何処の国でも変りやせぬ
万国一覧 洋行せずして異国を巡る奇術
油絵茶屋 みるハ法楽みらるゝも衆生済度
パノラマ 人造ニナリテ天設ヲ欺ク奇奇怪怪
写真油絵 写真ニシテ油絵油絵ニシテ写真
甲冑哀泣 油絵ハ能く数百年の久しきを保つ者なり
写真掛軸 之を眺むるに風韻雅致を極め
仕舞口上
穿胸国のひとびと 文庫版のためのあとがきにかえて


木村 伊兵衛・田沼 武能編 (きむらいへい・たぬまたけよし)
「木村伊兵衛 昭和を写す3 人物と舞台」
(しょうわをうつす)


*カバーデザイン・熊谷博人
 写真・木村伊兵衛
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*207頁 / 発行 1995年

*カバー文
横山大観をはじめ代表的な日本画家四人の風貌、俳優たちの個性あふれる表情、六代目菊五郎ほか歌舞伎役者の迫力ある舞台、市井の職人たちの顔の輝き……。人物写真にかけて右に出るもののない名手の実力をあますところなく写した傑作集。

*目次
四人の画家
人物(文士・人国記 他)
人物(職人・女たち)
舞台
 解説 出口裕弘

*註 「四人の画家」=上村松園・鏑木清方・川合玉堂・横山大観


京須 偕充 (きょうすともみつ)
「圓生の録音室」
(えんしょうのろくおんしつ)


*カバー写真・横井洋司
 カバーデザイン・舩木有紀
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*298頁 / 発行 2007年

*カバー文
落語ブームと言われる中、「古典」は生き続けている。昭和の名人、六代目三遊亭圓生。その精緻な話芸は『三遊亭圓生人情噺集成』、『圓生百席』として残された。このレコードをプロデュースした若き日の著者が、圓生を初めておとない、録音室での制作、そして名人との突然の別れに至るまでの濃密な日々を描く。愛惜をこめて描かれる“稀代の芸の鬼”の情熱と素顔。

*目次
第一章 録音室への道
 花びらの道 / 青年の眼 / 駆け引き / 圓生の名 / 出口さんの拳 / 昼の茶碗酒 / いささかの勇気 / 闇のなかの名人芸 / 歌手志望 / 最後のためらい / 手の内 / キリスト御免
第二章 録音室の日々
 静かなはじまり / 松はゆがみて / 録音作業報告 / 編集のいましめ / 江戸のことば / Xくんの失敗 / 『圓生百席』 / 対談 / エクレア怖い / 圓生ばやし / 記者会見のハプニング / 『鰻の幇間』と『芝浜』 / 短かった『百川』 / スタジオの「夏」と「冬」 / ふと困らせる / 完全燃焼『夏の医者』 / 二人の圓生
第三章 録音室のそと
 圓生の二十世紀 / 『淀五郎』と王選手の記録 / 月詣りのひと / 圓生の激怒 / 点描
第四章 録音室との別れ
 録音の終わり / ホットミルク / たらちね / 江戸の夢 / 最後のネタおろし / スタジオとの別れ / 食べあわせ / 長かった『刀屋』 / 長生きのおかげ / 訃報 / 虚空の別れ
三遊亭圓生人情噺集成・圓生百席 収録日順演目一覧 / あとがき / 文庫のためのあとがき / 再度の文庫化にあたって / 解説 赤川次郎 柳家喬太郎