絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【い】

池内 紀 (いけうちおさむ)
「ザルツブルク」
(Salzburg)


*カバーデザイン・田淵祐一
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*202頁 / 発行 1996年

*カバー文
“モーツァルトの町”“小さなローマ”“アルプスの北のフィレンツェ”などと言われてきたザルツブルク。しかしそれだけだろうか。「この町では昨日と今日のさかい目がおぼろげで、過去と現在とが奇妙な風に入りくんでいる」とみる著者がザルツブルクの奥深い魅力を紹介。

*目次
T 聖堂と城と宮殿
 「ココニ幸アリキ」 / ≪狼≫猊下 / 人工庭園 / 祝祭都市
U ザルツブルク幻視行
 「特二記スベキ何事モナシ」 / コロレード大司教 / ロドローン伯爵 / 墓地について / 肖像画
V 二人の旅人
 カラス / レオンハルト大司教 / 二人の旅人 / 郊外
 ザルツブルク案内 / あとがき / 文庫版あとがき



池上 俊一 (いけがみしゅんいち)
「身体の中世」
(しんたいのちゅうせい)
ちくま学芸文庫



*カバーデザイン・神田昇和
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*402頁 / 発行 2001年

*カバー文
どの時代にもまして、身体を媒介として世界と関わったヨーロッパ中世。この時代、身体の各部位には多彩なメタファーが盛り込まれており、また、身体表現・感情表現には極めて重層的な社会的意味がこめられていた。アナール学派の研究をふまえつつ、多数の図像を用いて、「からだ」と「こころ」に向けられた中世ヨーロッパの視線から、色鮮やかな人間観を緻密に描きだす。

*目次
はじめに
T 身体コミュニケーション
U 身体に関する知・メタファー・迷信
V からだの「狂い」とこころの「狂い」
W 感情表現の諸相
X 五感の歴史
おわりに / 文献目録 / あとがき / 文庫版あとがき / 『身体の中世』解説 黒田日出男


池田 俊彦 (いけだとしひこ)
「生きている二・二六」
(いきているににろく)


*カバーデザイン・岡村俊一
 カバー写真・毎日新聞社提供
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*329頁 / 発行 2009年

*カバー文
「昭和十一年という波瀾の年にあの事件は勃発した。そして潰滅した」。昭和史を大きく転換させた二・二六事件。最年少の青年将校として事件に参加した著者が、事件後五十年を経て事件そのもの、蹶起に至る心情を明らかにした回想録。自身が体験した軍法会議の内幕や、獄中生活、生き延びた参加者のその後など、これまで書かれてこなかった「事件以後」も描く。

*目次
序章
第一章 蹶起
第二章 軍法会議
第三章 長い歳月の中で
第四章 回顧と反省
 あとがき
 解説に代えて 半藤一利
 文庫版解説 二・二六は生きている 中田整一
 参考文献



石井 研堂? (いしいけんどう)
「明治事物起原 1」
(めいじじぶつきげん)
ちくま学芸文庫


*カバーデザイン・間村俊一
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*393頁 / 発行 1997年

*カバー文
それ以前にはなかったもの、そしてそれ以後に生まれてきた諸物万般。明治維新を境として、欧米からもたらされ、現代の私たちの生活の基礎を築いたもの、電気・自転車・化学・哲学・新聞・音楽・会社、また、スキー・ゴルフ・バー・ビール・はじめての洋食の味など。いつ、だれが、どこで、いかに考え、そして取り入れ、自分たちのものとしていったのか、エンサイクロペディスト石井研堂が調べつくした、現代日本の文化・文明の始まり。懐かしくも滑稽な、私たちの生活の原点のすべてがここにある。第一巻は、男女断髪の始め、苗字を付けた始め、口吸の風俗など、明治初期の混乱とエネルギーに満ちた「人事部」。

*巻末頁
 祖父を思う 石井正夫
 『明治事物起原』のひとつの読み方 山口昌男
 『明治事物起原』の各版について 佐藤洋一


石井 研堂 (いしいけんどう)
「明治事物起原 2」
(めいじじぶつきげん)
ちくま学芸文庫


*カバーデザイン・間村俊一
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*375頁 / 発行 1997年

*カバー文
それ以前にはなかったもの、そしてそれ以後に生まれてきた諸物万般。明治維新を境として、欧米からもたらされ、現代の私たちの生活の基礎を築いたもの、電気・自転車・化学・哲学・新聞・音楽・会社、また、スキー・ゴルフ・バー・ビール・はじめての洋食の味など。いつ、だれが、どこで、いかに考え、そして取り入れ、自分たちのものとしていったのか、エンサイクロペディスト石井研堂が調べつくした、現代日本の文化・文明の始まり。文明開化で規制が変わり、日々雨霰と降る法令、そして朝令暮改、旧い生活は過ぎ去ったが、新しい社会の拠りどころはどこにあるのか。近代国家生みの苦しみの第二巻「法政部」。

*解説頁・石井研堂の人と業績 佐藤洋一

明治事物起原 全8巻構成
1 第一編 人事部
2 第二編 法政部
3 第三編 国際部
  第四編 美術部
  第五編 音楽部
  第六編 宗教部
4 第七編 教育学術部
  第八編 新聞雑誌および文芸部
5 第九編 交通部
  第十編 金融商業部
  第十一編 農工部
6 第十二編 軍事部
  第十三編 病医部
7 第十四編 遊楽部
  第十五編 暦日部
  第十六編 地理部
  第十七編 衣装部
8 第十八編 飲食部
  第十九編 居住部
  第二十編 器材部
  第二十一編 動植物部


石垣 りん (いしがきりん)
「焔に手をかざして」
(ほのおにてをかざして)


*カバー装画・佐伯和子
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*260頁 / 発行 1992年

*カバー文
雨の音を聞かなくなって久しい ── 。雨だれの音、土にしみ込む雨足。便利になって得たものと、失ったもの。都会で一人暮らす詩人の胸をよぎるゆかりの人、なつかしい日々。それはやさしさと残酷さ、人生の重みに彩どられている。豊かな感性ですくいとられた人生の哀歓。

*目次
T 暮しの周辺
U 言葉・読むこと書くこと
V ゆかりの人・人
W この岸で
 あとがき / 文庫版あとがき


石牟礼 道子 (いしむれみちこ)
「十六夜橋」
(いざよいばし)


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*396頁 / 発行 1999年
*カバーデザイン・加藤光太郎

*カバー文
不知火(しらぬい)の海辺に暮す土木事業家の主とそれをとりまく三代の女たち。遊女、石工、船頭……人びとがあやなし紡ぎ出す物語は、うつつとまぼろし、生と死、そして恋の道行き ── 。第三回紫式部文学賞受賞作品。

*目次
第一章 梨の墓 / 第二章 ほおずき灯籠 / 第三章 十六夜橋 / 第四章 みずな / 第五章 櫛人形 / 第六章 雪笛 / 解説 哀しみのコスモロジー 辺見庸


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈1〉」
 (いずみきょうかしゅうせい)


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*515頁 / 発行 1996年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
令嬢とともに暖かに寝(い)ねたれば

*目次
活人形 / 金時計 / 予備兵 / 義血侠血 / 夜行巡査 / 鐘声夜半録 / X蟷螂鰒鉄道 / 黒猫 / 外科室 / 冠弥左衛門 / 解説 絵のように美しい物語 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈2〉」
 (いずみきょうかしゅうせい)


(画像拡大不可)

*565頁 / 発行 1996年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
美人は顧みて「あれ」と身を震し

*目次
貧民倶楽部 / 化銀杏 / 海城発電 / 琵琶伝 / 黒白合 / 湯女の魂 / 政談十二社 / わか紫 / 解説 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈3〉」
 (いずみきょうかしゅうせい)


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*527頁 / 発行 1996年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
ざまあ見ろ、女の懐を出られやしまい

*目次
誓之巻 / 照葉狂言 / 化鳥 / 清心庵 / 龍潭譚 / 勝手口 / 湯島詣 / 葛飾砂子 / 註文帳 / 解説 女の世界 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか / たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈4〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*484頁 / 発行 1995年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*目次
薬草取 / 女客 / 高野聖 / 妖僧記 / 伊勢之巻 / 悪獣篇 / 海異記 / 吉原新話 / 妖術 / 露肆 / 朱日記 / 解説 洪水幻想 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか / たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈5〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*484頁 / 発行 1995年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
情けの火が重なり、白き炎の花となって

*目次
春昼 / 春昼後刻 / 草迷宮 / 沼夫人 / 星女郎 / 解説 迷宮の怪 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか / たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈6〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*533頁 / 発行 1996年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
唇ばかり、梅は果てぬ、雪の紅梅

*目次
眉かくしの霊 / 陽炎座 / 革鞄の怪 / 唱立山心中一曲 / 菎蒻本 / 第二菎蒻本 / 白金之絵図 / 茸の舞姫 / 歌行燈 / 南地心中 / 解説 顔のない美女 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか / たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈7〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*524頁 / 発行 1995年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
貴方の、ほのかな、口許だけでも…

*目次
海神別荘 / 天守物語 / 夜叉ケ池 / 山吹 / 紅玉 / 湯島の境内 / 錦染滝白糸 / 雪霊記事 / 雪霊続記 / 瓜の涙 / 伯爵の釵 / 売色鴨南蛮 / みさごの鮨 / 鷭狩 / 小春の狐 / 怨霊借用 / 解説 水源の女神 種村季弘

泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか / たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈8〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*507頁 / 発行 1996年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
ふくら脛(はぎ)が白く滑かにすらりと長く

*目次
絵本の春 / 木の子説法 / 半島一奇抄 / 卵塔場の天女 / ピストルの使い方 / 河伯令嬢 / 古狢 / 貝の穴に河童の居る事 / 白花の朝顔 / 夫人利生記 / 一景話題 / おばけずきのいわれ少々と処女作 / 遠野の奇聞 / 解説 女と人形 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか / たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈9〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*575頁 / 発行 1996年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
耳もとにその雪の素顔の口紅。

*目次
灯明之巻 / 神鷺之巻 / 開扉一妖帖 / 三枚続 / 式部小路 / 雪柳 / 縷紅新草 / 解説 火の女 水の女 … 種村季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈10〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*475頁 / 発行 1996年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
白い胸を、片手でかき上げるように

*目次
薄紅梅 / 山海評判記 / 解説 三人の女 種村 季弘


泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈11〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*590頁 / 発行 1997年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*目次
風流線 / 続風流線 / 解説 芸の討入り 種村季弘



泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈12〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*597頁 / 発行 1997年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
それでは色仕掛けになすったんだね。

*目次
婦系図(前篇) / 婦系図(後篇) / 日本橋 / 解説 ハイカラなピカレスク小説 種村季弘



泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈13〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*444頁 / 発行 1997年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
正しき膝を柔らかに、はじめて崩すと

*目次
芍薬の歌 / 解説 愛と死の戯れ 種村季弘



泉 鏡花著 種村 季弘編 (いずみきょうか/たねむらすえひろ)
「泉鏡花集成〈14〉」
(いずみきょうかしゅうせい)


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*515頁 / 発行 1997年
*カバー装画・小村雪岱 / カバーデザイン・間村俊一

*帯文
足と足と、白々と、ちらりと闇に。

*目次
由縁の女 / 解説 魔の山 種村季弘




伊藤 俊治 (いとうとしはる)
「20世紀写真史」
(にじゅっせいきしゃしんし)
ちくま学芸文庫


*カバーデザイン・矢萩喜従郎
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*279頁 / 発行 1992年

*カバー文
「写真とは、ひとつの二十世紀の黙示録の形式ではなかったのだろうか。それは十九世紀後半に始まるある終末と密接な関係を持ち、かつての人間の概念の死滅と深く結びついている。(本文より)」A・スティーグリッツからJ・P・ウィトキンまで、近代都市の発生から終末のビジョンまでを精緻に記述し、写真が織りなす二十世紀の感受性、人間の概念の変容を浮かびあがらせるとともに時代感情の壁を辿るモノクロームの文化史。

*目次
T 都市と時間の象徴 ―― 変わりゆく時空認識一八九〇 → 一九一〇
 1 意識の発生 / 2 都市の動感 / 3 写真家集団と芸術運動 / 4 旧世界から新世界へ / 5 失われた時間 / 6 写真の象徴性 / 7 都市からの眼差し、都市への眼差し

U 機械神の幻影 ―― “光の死”とその後の展開一九一〇 → 一九三〇
 1 “機械の眼”の覚醒 / 2 デウス・エクス・マキナ / 3 「機械」に突き刺さる「時間」 / 4 浮上する内部感覚 / 5 射影される精神環境 / 6 写真言語の確立

V ザデインされるイコン ―― 機能する写真の新しい均衡一九二五 → 一九四五
 1 グラフィズムの成立 / 2 マニピュレイションの浮上 / 3 フォト・ジャーナリズムの拡大 / 4 写真は説得する / 5 読まれる写真、読まれえない写真 / 6 もうひとつの眼差し

W 揺れ動く記録 ―― 「主観」と「現実」への眼差し一九四五 → 一九六〇
 1 フォト・ジャーナリズムの変容 / 2 ヒューマン・インタレストの崩壊 / 3 二つの異邦の眼 / 4 たちあらわれる知覚と記憶 / 5 主観と客観のはざまに / 6 現代性の介入

X 他者のフィギュア ―― 人間と環境のはざまに一九六〇 → 一九七〇
 1 転換期 / 2 鮮明な日常の澱 / 3 主体のパニック / 4 闇の跡の記録 / 5 比喩としての自画像

Y メディアと死の位相 ―― 終末の様々なヴィジョン一九七〇 → 一九八五
 1 身体感覚のメディア / 2 フィクショナルな画像 / 3 サバーピアの内面 / 4 女たちの写真 / 5 肉体の境界へ / 6 黙示録のヴィジョン

あとがき
文庫版あとがき

 一、時間軸の交差 / 二、年の無意識 / 三、物からのメッセージ / 四、風景の悲劇 / 五、身体感情の散乱 / 六、私性と死性


井上 ひさし・山元 護久 (いのうえひさし・やまもともりひさ)
「ひょっこりひょうたん島 11 マジョリタンの巻(2)」 (ひょっこりひょうたんじま)


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*444頁
*発行 1991年
*カバー装画・高瀬省三

*カバー文
怪盗アルセーヌ・クッペパンは、ひょうたん島を盗んで、魔女の国・マジョリタンの魔女たち(パトラ、ペラ、ルナ)に売りつけようとする。三人の魔女はクッペパンをだしぬき、ひょうたん島を手に入れ、島の人々のハートを盗みとろうとたくらむ。その狙いを知らずに、ひょうたん島の一同は、魔法の魅力にとりつかれて、魔女たちにとりいるが……。


作 … 井上ひさし / 山元護久
音楽 … 宇野誠一郎
人形デザイン … 片岡昌
人形出演 … ひとみ座
担当 … NHK青少年部
※声の出演
ドン・ガバチョ … 藤村有弘
トラヒゲ … 熊倉一雄
ダンディ … 小林恭治
ムマモメント … はせさんじ
――――
博士 … 中山千夏
ダンプ … 伊藤牧子
テケ … 増山江威子
チャッピ … 江美京子
プリン … 堀絢子

――――
サンデー先生 … 楠トシエ
ライオン … 滝口順平
――――
ガラクータ … 若山弦蔵
トウヘンボク … 柳沢真一
ドタバタ … 谷幹一
ヤッホー … 千葉信男
リトルキッド … 藤田淑子

――――
パトラ … 鈴木光枝
ペラ … 黒柳徹子
ルナ … 久里千春
ワニ … 野本礼二
クッペパン … 日恵野晃


井之口 章次 (いのくちしょうじ)
「日本の葬式」 (にほんのそうしき)
ちくま学芸文庫


*カバー写真・デザイン 工藤強勝
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*316頁 / 発行 2002年

*カバー文
私たちの祖先は死をどうとらえ、死者をどう弔ってきたのだろうか。広範に収集した資料を比較研究し、各地の葬送習俗のもつ意味、以前持っていた意義を探し求め、その推移変遷のあとをたどる。死者の魂はどこに行くのか、生き残った者の無事はどうすれば確保されるのか、あの世とこの世はどこで出会うのか、古来の祖霊信仰は仏教とどう結びついて儀礼に形を残しているのかなどのことがらを通して、葬式に込められた日本人の死生観と霊魂信仰を解き明かす。いまではもう見ることができない貴重な習俗を記録し、日本の葬儀民俗を考察した代表的著作。

*目次
 筑摩叢書版はしがき
千ごり万ごり / 出歩く魂 / たまよばい / 招魂と鎮魂 / 霊魂と水 / 猫のたましい / 耳ふさぎ / 死人の善光寺まいり / 御霊前 / 死体のあつかい / 葬列の意味 / 葬法の種類 / あの世とこの世 / よみがえる霊 / 忌あけ / 願もどし・洗いざらし / 神様になる / 日本人の他界観 / あの世の入口 / 土の中に生きのびた話 / 死神 / たままつり / 墓は必要なのか
 初版あとがき / 解説 葬送の民俗と現在(川村邦光) / 索引


茨木 のり子 (いばらぎのりこ)
「うたの心に生きた人々」
(うたのこころにいきたひとびと)


*カバーデザイン・菊地信義
 カバー装画・近藤直子
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*295頁 / 発行 1994年

*カバー文
タイプの全く違う詩人4人、しかしいずれ劣らぬ世渡りべた、貧乏、もうれつな反逆者 ―― 存分に理知と情熱を生きた晶子、忠君愛国に眩惑された自分の罪を負って戦後を生きた光太郎、ルンペン詩人と呼ばれながら気高い精神を詩に賭けた貘、アジア・パリを放浪し、プロレタリア詩にも戦争詩にも組みせず、自分自身の思考力を大切にした光晴。詩にとって時代とは、国家とは? 詩人にとって家族とは? 詩人の筆によって描破された鮮烈な詩人像。

*目次
はじめに
与謝野晶子
 1 堺そだちのむすめ / 2 恋のうた / 3 みだれ髪 / 4 君死にたもうことなかれ / 5 妻として、母として / 6 黄金の釘
高村光太郎
 1 高村光雲のむすこ / 2 パリでの人間開眼 / 3 父との対立 / 4 『智恵子抄』の背景 / 5 日本人の「典型」
山之口貘
 1 ルンペン詩人 / 2 求婚の広告 / 3 貘さんの詩のつくりかた / 4 ミミコの詩 / 5 沖縄へ帰る / 6 精神の貴族
金子光晴
 1 風がわりな少年 / 2 中退の青春 / 3 山師のころ / 4 第一回の外遊 / 5 詩集『こがね虫』 / 6 海外放浪の長い旅 / 7 むすこの徴兵をこばむ / 8 戦後になって
文庫版あとがき


井伏 鱒二著・東郷 克美編 (いぶせますじ・とうごうかつみ)
「井伏鱒二文集 第1巻 思い出の人々」
(いぶせますじ)


*カバーデザイン・神田昇和
 装画・《リンゴ》井伏鱒二筆
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*325頁 / 発行 2004年

*カバー文
「芸術の道は遠い。涯しがないかのごとくである。」50年にわたり火花をちらした己の努力をかえりみて、しんみり教えを垂れる師・坪内逍遙、映画の悲しい場面になると、ハンカチで顔を覆って泣きくずれた中島健蔵が、猛者で鳴らした将校の首をつかんで叱りつけた姿、太宰治の最初の妻小山初代の遺品である琴に映じた人影を描く名品「琴の記」、さらに鴎外・白鳥・岩野泡鳴・小林秀雄・大山名人・上林暁・小沼丹等の面影が、温雅な筆に鮮やかに浮かび上がる。

*目次
鯉(随筆)
坪田譲治 / 追憶の岩野泡鳴氏 ── 泡鳴忌に際して / 森鴎外氏に詫びる件 / 書画骨董の災難 / 喪章のついている心懐 / 坪内逍遙先生 / 肩車 / 岩田君のクロ / 中島健蔵氏のこと / 上林暁氏のこと / 牡丹の花 / 田中貢太郎さんのこと / 菊池寛氏と将棋 / 太宰治のこと / 掘り出しもの / 永井の会 / 牧野信一のこと / 余談 / 神近市子女史 / 垢石老をいたむ / 安吾さんのこと / 木山君の神経質 / 昨日の会 / 琴の記 / おふくろ / 政宗さんのこと / 尾崎士郎の諧謔 / 三好達治 / 大山名人のこと / 富ノ沢麟太郎 / 小沼君の将棋 / 惜しい人 / 終焉の宴 / 下曾我の御隠居
 初出・初収録 / 解説 東郷克美


岩井 克人 (いわいかつひと)
「資本主義を語る」 (しほんしゅぎをかたる)
ちくま学芸文庫


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*324頁 / 発行 1987年

*カバー文
「ノアの洪水以前」から資本主義は存在した。その資本主義の中心にいるのは、はたして人間なのだろうか? 「差異の原理」を分析しつつ、資本主義とは何か、そして日本独自の資本主義とは何なのかを解明するスリリングな論考。今村仁司・柄谷行人・網野善彦・水村美苗との四つの対談を併せ収める。

*目次
T 資本主義と人間を語る
 第一章 差異と人間
 第二章 進化論と経済学
 第三章 「法人」と日本資本主義
 第四章 ニッポン人
U 『貨幣論』を語る
 第五章 マルクスの逆説 今村仁司+岩井克人
 第六章 貨幣・言語・数 柄谷行人+岩井克人
V 歴史と人間を語る
 第七章 「百姓」の経済学 網野善彦+岩井克人
 第八章 帰って来た人間 水村美苗+岩井克人
 あとがき / 文庫版あとがき


岩井 好子 (いわいよしこ)
「オモニの歌 ― 四十八歳の夜間中学生」
(おもにのうた)


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*263頁 / 発行 1989年

*カバー文
四十八歳で初めて学校にいった在日朝鮮人オモニが、苦難の半生と学ぶことの喜びを語る感動の記録。世界一の就学率をほこる日本にも、教育を受ける機会を逃した人々が全国に数万いる。その多くは在日朝鮮人、被差別部落の人たちである。夜間中学に集まる彼らの姿を描きながら、その中で最も典型的な在日朝鮮人オモニの一生を聞書きで追う。

*目次
第1部 夜間中学の仲間たち
 夜間中学との出会い / 初めての授業 / 新入生歓迎運動会 / それぞれの過去を背負って / 秋の遠足 / 文集『わだち』 / 夜間中学生の像 / 新しい仲間 / コレ ナンデヤロ / 自分の歴史を学ぶ / 雨の修学旅行 / 1・2・3・3・年生 / 先生にも知らない歴史があった / 52歳の卒業証書

第2部 私の「自分史」
 門のない故郷・済州島 / オモニは魔法使い / 税金がきた / 「君が代丸」で日本へ / ああ、大阪 / オ・マ・エ・ワ・ア・ホ・カ / 私の夫は俳優さん / 大阪大空襲 / 猪飼野に根をはって / 風の便り、朝鮮戦争 / 朝鮮人から「日本人」 / 「日本人」から朝鮮人 / 青い空がない / オモニ ボゴシッポ
解説 小沢有作


巌谷 國士 (いわやくにお)
「ヨーロッパの不思議な町」
(よーろっぱのふしぎなまち)


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*301頁 / 発行 1996年
*カバー写真(著者撮影)プラハ市庁舎の時計

*カバー文
あらかじめ与えられた枠組をこえる「体験」を誘い、あまたある既知の町を「不思議な町」に一変させてしまうような、いわば「反ガイドブック」である。「知識」としての町の像が、「体験」によって崩れていく、魅力あふれる偏愛的都市エッセイ。

*目次
T
温泉二都物語 ―― ブダペスト、ソフィア
イスタンブール
ファイストスの円盤 ―― イラクリオン
U
モスクワ、レニングラードの旅
ヘルシンキ、淋しい町
北欧の庭園都市 ―― ストックホルム、オスロ
V
夢みるプラハ
ブカレスト彷徨
ユーゴスラヴィア都市紀行
W
イタリアの不思議な町
フェラーラ、キリコ、ルネサンス
未知との遭遇 ―― ピサ
X
エロティックな河 ―― リヨン
ナンシーとナンシー派美術館
地の涯にて ―― プルターニュの町々
Y
子どもたちの群れ ―― バルセロナ
サラマンカ、広場の魔法
ガリシアからポルトガルへ
Z
絵のなかの光景 ―― デルフト、ブリュージュ
ブリュッセル / マグリット
歪んだパノラマ ―― ルクセンブルクほか
[
ソールズベリの愛すべきレストラン
ビールと群衆 ―― ミュンヘン
カフェにて ―― ウィーン、ブラティスラヴァ
 あとがき
 文庫版あとがき
 解説 四方田犬彦