
*カバー写真
小松左京、司馬遼太郎 新潮社写真部
小津安二郎 (C)文藝春秋 / amanaimages
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*448頁 / 発行 2023年
*カバー文
「大破局」を描いた作家小松左京は、夢の大阪万博に何を見たのか。 モンゴルの草原に憧れた司馬遼太郎のロマンと、本質的悲劇とは。笠智衆を選んだ名匠小津安二郎。その静かなる戦いと、いつかくる「最後の五分」に込めた覚悟とは。鮮やかな着眼で巨匠たちの思考を読み解きつつ、日本の過去・現在・未来を浮かび上がらせていく。この国の断面を明らかにする画期的評論! 『見果てぬ日本』改題。
*目次
第一部 この国に真の終末観を……小松左京・未来への総力戦
「万博病」に取り憑かれた頃 / 『未来の世界』が描きだした至福 / 戦後産業文明の司祭として / 科学が人類に突きつける諸刃の剣 / 例外なき総動員への執着 / 『ゴジラ』のアクチュアルな批評性 / ゾロアスター教的な世界観 / 敗戦の恨みをSFと未来で晴らす / 人類の完成は究極の選択の繰り返しの果てに / 失敗を忘れる国、日本の根本的欠陥
第二部 島国の超克、漂泊者の夢……司馬遼太郎・過去へのロマン
騎馬民族の世界、農耕民族の世界 / 教条主義者より自由な放浪者として / 日本が嫌いな歴史家の「遠いまなざし」 / 父系的な東国と母系的な西国 / 中国史を日本史に重ねて見立てる / 東国の騎馬文化と西国の海人文化 / 神話が教える淡路の海人精神 / 黒潮の流れに乗る越人への幻想 / 北馬から南船への転向ドラマ『竜馬がゆく』 / 遊牧民・海民対定住民という二項対立 / 「日本国全土公有化」という非現実的ロマン / 突破できなかった歴史の必然という難関 / 永遠にさまよい、街道をゆく大名行列 / 非定住者賛美の文学 / 過去を理想化したユートピア
第三部 持たざる国の省力法……小津安二郎・現在との持久戦
「雲をつかむような、棒杭を抱いているような」人間 / 銃後の黒澤と前線の小津のあいだの深い河 / 典型的「ぬうぼう」、笠智衆を選んだ理由 / 並大抵でない節約の思想 / 其処に存在するものは、それはそれでよしッ! / 辿りついた平らかな円の思想
未来か過去か現在か ―― あとがきに代えて
解説 先崎彰容
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