絶版文庫書誌集成

旺文社文庫・日本の著作
【し】


椎名 麟三 (しいなりんぞう)
「愛について」 (あいについて)


*カバー・松本タカオ
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*203頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
人は出会い、愛し、そして苦しむ。愛の深さは、また苦悩の深さである。しかし生きる喜びは、愛する喜びである。愛とは? ほんとうの愛とは? 生涯をかけて「愛」のテーマに取り組んだ作家椎名麟三が、自らもまたつまずき苦しんだ体験を通して、真実の愛のありかを探った珠玉のエッセイ集である。

*目次
 T
愛について
 U
愛について
愛について
愛について
愛と知性について
死と愛について
 V
現代の恋愛論
 W
人間はホントウにだれかを愛することができるのか
 初出誌一覧 / 解説 / 年譜 松原新一


椎名 麟三 (しいなりんぞう)
「運河」 (うんが)

*211頁 / 発行 1976年

*目録文
非合法下の共産主義活動で検挙されるが仲間を裏切ることにより釈放になる。背信の世界の中で自由を問う自伝的長編小説。



椎名 麟三 (しいなりんぞう)
「邂逅」 (かいこう)


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*262頁
*発行 1976年
*カバー・松本タカオ

*カバー文
死の運命を免れない人間に真の自由はあるのだろうか。『深夜の酒宴』以来、自由の問題を追及してきた椎名麟三が、イエス・キリストの〈復活〉の思想に出会い、絶対性を相対性に変える〈ユーモア〉こそが、死と生の和解と共存をはかり真の自由をもたらすとした野心作。椎名文学の中で画期的な意義を持つばかりでなく、日本のキリスト教文学における記念すべき作品となっている。

*解説頁 安宅啓子(『邂逅』に見る自由の世界)
*挿絵 松本タカオ


塩田 丸男 (しおたまるお)
「一社懸命」
 (いっしゃけんめい)

*241頁 / 発行 1984年

*目録文
サラリーマン生活を経て作家になった著者が、サラリーマンへのささやかな讃歌と援歌を歌った書。



篠田 正浩 (しのだまさひろ)
「駈けぬける風景」 (かけぬけるふうけい)


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*268頁 / 発行 1984年

*カバー文
「心中天網島」「沈黙」「卑弥呼」「はなれ瞽女おりん」「瀬戸内少年野球団」……鮮烈な映像の狩人、篠田正浩のスポーツ感覚エッセイ集。“皇国少年”の前に現れた占領軍兵士の思い出から、孤独なランナーだった学生時代、芸術家たちとの出会い。そして女の魅力学
〈チャーモロジー〉まで、現代を全力で駈けぬける ― 。

*目次
1 フィルムの余白
 紙屋治兵衛の墓 / 松尾寺の厄除 / カラス島異聞 / 帆船と口紅 / 恐龍の化石
2 ぼくの青春地図
 虚無だけが残った / 葬列と蛇の目傘と闇市 / 飲む、打つ、買うは男の根源的な情熱である / 女優を妻にするということ / わが正装 / 洋服と着物のあいだ / コーヒーと私 / オートバイ / 私のエトは羊 / 六十五歳までメガホン片手に / 読書遍歴 / 私のピアノ遍歴 / 授業参観
3 シングルへの不安
 ボビーとベンの間で / シングルへの不安 / ゴルフ・エロチカ / 突然、ジョニイのように / ゴルファーと宗教 / ゴルフで私が見た人々
4 女の魅力学(チャーモロジー)
 脚・エロスの宿 / 女の細腕 / 女の胸、についての短い考察 / 柳腰とヴィーナス / 眼は口ほどに…… / 女の指、についての三つの感想 / 項(うなじ)・背後の美学
5 スポーツの修羅
 スピードの修羅 / スポーツの四季 / ランナーの空想 / アマチュアリズムの崩壊 / 健全な精神を作らない / 精神主義の裏に恥の意識 / 「個人」見失った高校野球 / 江川とタツノの違い / 持久力はどこまで / プレッシャーの魔力 / コンペとコンペティション / 今年、この三人……瀬古・八木・江川 / 暴力は文化の対象 / “争いより談合”の農耕民 / 強者と弱者のあいだ
6 出会いの風景
 音の恩人 / K四五七とギーゼキング / わが友人慎太郎 / 従妹、篠田桃江 / 栗津潔さんのこと / ピカソのソ / 武満徹と映画音楽 / 玉三郎のこと / 私の水上勉体験
あとがき
  解説 阿久悠
 篠田正浩監督作品年譜 巻末


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「新編三国志」 
(しんぺんさんごくし)

*379頁 / 発行 1986年

*目録文
諸葛孔明の援けを得て、曹操・孫権とともに天下を三分した蜀の劉備玄徳の活躍を描く傑作長篇。



柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「徳川三国志」 
(とくがわさんごくし)

*514頁 / 発行 1986年

*目録文
忠長・正雪・根来衆を操り将軍家光を倒そうとする紀伊頼宣と、伊賀忍者を使い阻止する智恵伊豆。



島 静代 (しましずよ)
「たったひとりでボンジュール ― レストラン ル・カメリア"留学"記」

*229頁 / 発行 1986年

*目録文
自分らしい生き方を求めてフランスへ。日本女性で最初に調理師国家試験にパスした著者の留学記。



島尾 伸三 (しまおしんぞう)
「絵本中華食三昧」 
(えほんちゅうかしょくざんまい)

*191頁 / 発行 1986年

*目録文
中国料理の本場、広州と香港を主な舞台にして、幼児食から老人食、屋台から豪華料理まで全紹介。



清水 潔 (しみずきよし)
「インド・ネパール旅の絵本 甦る楽園と地獄」 
(いんどねぱーるたびのえほん)

*239頁 / 発行 1986年

*目録文
現代人を魅了してやまない゛たましいの故郷"インド世界の神話から料理まで広く取材して活写。

*目次
インド旅日記 / インドの心 / ネパール旅日記 / 個人的な観光ガイド



子母沢 寛 (しもざわかん)
「幕末奇談」 (ばくまつきだん)



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*339頁 / 発行 1981年

*カバー文
名君や侠客の話から、新選組、新徴組の話、更にはお岩や小平次の因果噺など、幕末期に題材をとった逸話奇談の数々……。軽妙洒脱、独自の語り口と、優れた歴史眼、綿密なる考証に裏づけられた歴史随筆初期の傑作「露宿洞雑筆」。他に子母沢文学の背景を知るうえで興味深い「幕末研究」を併載。

*目次
幕末研究
宿洞雑筆
 小金井小次郎の臨終 / 14歳の介錯人 / 桜下に人を斬る / 名君 / 小便 / 旅人 / 小笠原壱岐守 / 妓夫仁義 / 戸ケ崎熊太郎 / 大石進とちんばの孝吉 / 近藤周助邦武 / あたけ丸事件 / 皿屋舗弁疑録 / 権助、女中、行水 / のっぺらぼう / 小平次因果噺 / 小豆ばかり屋敷 / 貞女お岩 / 池田侯分家 / 甲斐屋敷の血糊餅 / 武兵衛家出 / 宇治の間 / 女中自害 / 武林唯七と蝦 / 頻霞荘雑記 / 古老ばなし / 新徴組雑事 / 佐久間象山の伜 / 南窓閑話 / 逃げる旗本の記


子母沢 寛 (しもざわかん)
「游侠奇談」 (ゆうきょうきだん)



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*307頁
*発行 1981年
*カバー  三井永一

*カバー文
飯岡の助五郎、国定忠治、相模屋政五郎、清水の次郎長など、近世キラ星のごとく輩出した侠客たち。講談俗説に語られる彼らも、その実像となると意外に伝わっていない。游侠研究の第一人者でもあった著者が、侠客たちの跡をたずね、文献を漁り、古老に聞き、その実像を語った歴史考証ものの先駆的傑作。

*巻末頁
解説 松島榮一
年譜 尾崎秀樹


白石 かずこ (しらいしかずこ)
「可愛い男たちと可愛い女たち ― わたしの映画飛行」 (かわいいおとこたちとかわいいおんなたち)


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*268頁
*発行 1982年
*カバー装画・池田満寿夫

*目録文
詩人・白石かずこが、映画を水先案内人として、人びとの愛のかたちを語る。

*解説頁・森茉莉


白石 かずこ (しらいしかずこ)
「JAZZに生きる ― わたしの内なる異邦人の旅」 (じゃずにいきる)


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*235頁
*発行 1982年

*目録文
JAZZの宇宙から心のポエジーを繰り出す詩人白石かずこの気ままで、自由なアドリブエッセイ。


白洲 正子 (しらすまさこ)
「西国巡礼」 
(さいごくじゅんれい)


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*244頁
*発行 1985年
*カバー写真・入江泰吉 / 構成・SALT

*目録文
那智から初瀬、清水寺、竹生島など西国三十三か所の霊場をめぐる巡礼の旅。写真多数を収録。

*目次
はじめに / 西国巡礼について / 熊野路 / 紀州から河内へ / 大和の寺々 / 宇治より滋賀へ / 洛中洛外 / 西国街道にそって / 播磨路 / 丹後から近江へ / 湖東から美濃へ /  花山院について / あとがき / 案内 / みちしるべ / 地図


新村 出 (しんむらいずる)
「語源をさぐる」 
(ごげんをさぐる)


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*327頁
*発行 1981年

*目録文
アメツチの話から動植物、はたまた隠語に至るまで、語源研究の第一人者が贈る楽しい語源談義。


新村 出 (しんむらいずる)
「新編 琅かん記」 
(しんぺん ろうかんき)

*295頁 / 発行 1981年

*目録文
世評高い随筆集「琅かん記」を中心に、きわめつきの語源談をあつめた待望の一冊。驚愕すべき学識。

「かん」は王偏に干(環境依存文字)