
*カバー装画・村上豊
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*上308頁・下362頁 発行 1980年
*中公文庫版カバー文
上巻
十歳になるやならずで酒と博奕を覚えた孝蔵(後の志ん生)が、唯一夢中になれたものが落語だった。二十歳で弟子入り、芸を磨くに余念はないが、飲む打つ買うの三拍子にずぼらな性分が加わり、周囲に迷惑のかけ通し。師匠の羽織を飲みつぶし、酔いつぶれて寄席の高座をすっぽかし……。芸の方はいっこうに芽が出なかったが、いつかは立派な芸人になってやる、という思いは本物だった。
下巻
酒のしくじりで寄席に出られなくなった孝蔵は、落語以外に自分の生きる道はないと痛感。高座復帰後は少しずつ人気も上昇し、昭和十四年、念願の五代目古今亭志ん生を襲名。戦後は名人・文楽と並び称される存在になり、飲む打つ買うは相変らずながら生活も安定していくが、逆に下積み時代の仲間が次々とこの世を去っていき、脳出血で倒れた志ん生も次第に高座から遠ざかってゆく……。
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