絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【は】
ホーム | 未分類絶版文庫目次

灰野 昭郎 (はいのあきお)
「田村コレクション 櫛・かんざし」
(たむらこれくしょん・くしかんざし)
京都書院アーツコレクション



(画像はクリックで拡大します)

*239頁 / 発行 1997年

*カバー文
わが国の櫛・簪の歴史は長く、古くは縄文時代に遺品がみられる。古代において櫛・簪は、魔を払うとされ、護符の役目をもっていた。呪術・祭儀的要素の高かったこれらが、装身具として華やかさをもちはじめたのは、技巧を凝らした結髪がみられるようになった江戸時代以降のことである。変化に富んだ形と意匠、木製だけでなく、象牙・角・骨・鼈甲・金・銀・銅・珊瑚・ガラスなど豊富な材質、さらに、螺鈿・蒔絵・象嵌といった装飾法の枠を尽くして作られた多彩な櫛・簪類は、常に女性を艶やかに彩ってきた。江戸〜大正・昭和時代の女性の装いの美とその変遷を伝える田村資料館収蔵の櫛・簪の数々。

*目次
図版
近世櫛簪笄事情 灰野 昭郎
 写真-長野一晃


萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう)
「青猫 萩原朔太郎詩集」
(あおねこ)
集英社文庫



(画像はクリックで拡大します)

*260頁
*発行 1993年
*装画・秋山泰計 / AD・菊地信義 / 口絵レイアウト・野崎麻理

*カバー文
「月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠えるのである」病的なまでに鋭い官能と暗鬱な孤独を抱えたその男は、ついに日本語のしなやかさの根元にまでたどり着いた。
「ああ このおほきな都会の夜にねむれるものは / ただ一疋の青い猫のかげだ」日本を代表する叙情詩人の、艶やかに香気あふれる名詩選集。

*巻末頁 語注 / 解説 ― 過去の詩人、萩原朔太郎 阿毛久芳 / 鑑賞 ― 朔太郎との遭遇 内田康夫 / 年譜


葉治 英哉 (はじえいさい)
「春マタギ」
(はるまたぎ)
新人物文庫


(画像はクリックで拡大します)

*351頁 / 発行 2010年
*カバー画・勢克史 / カバーデザイン・幅雅臣

*カバー文
「熊(いたず)よ、われに授かってくれ!」
 朋輩の喜助と羚羊狩に出かけた半蔵は、突如現れた巨熊に襲われ、喜助は殺され半蔵も傷を負った。「そやつは穴もたずに違えねえ。おめえたちの手に負える相手じゃねえんだ」と言った祖父にも死なれ、天涯孤独となった半蔵は、マタギ仲間からもはずされた。
 喜助の無念も晴らせぬままに五年の歳月が過ぎたある日、狼撃ちで生計を立てていた半蔵に、南部藩の御野馬別当から熊退治の命が下る。山に入った半蔵の目の前に、あの「穴もたず」が再び姿を見せた……。
 獣たちの命をいただいて暮らす宿業を負い、厳しい自然と山の掟に生きる、誇り高きマタギたちの物語。


橋本克彦・鎌田慧・野田峯雄他著 (はしもとかつひこ・かまたさとし・のだみねお)
「鉄道員物語」 (てつどういんものがたり)
宝島社文庫


*カバーデザイン:坂川事務所
 写真:大木茂 / PPS通信社

(画像はクリックで拡大します)

*396頁 / 発行 1999年

*カバー文
「激動の時代を生きた機関士たちの昭和史」「“神様”と呼ばれた職人たちの生き様」―― 鉄路とともに生きてきた、かつて「国鉄」職員だった人々の、生の声を収録した心を揺さぶるノンフィクション。蒸気機関車の機関士、機関区員、あるいは線路工手として「国鉄」に生きた人たち、そしてその家族の人生には、鈍色の哀愁と現場で戦った誇りが溢れでていた。「鉄道員」の真実がここにある!

*目次
第一部 栄光の日々
信越本線 峠と機関車 … 橋本克彦
常磐線 機関車に憑かれた四十年 … 向坂唯雄
京浜東北線 ブルースなんか唄うものか … 稲葉嘉和
旧筑前勝田線 最後の国鉄炭鉱夫 … 出浜輝男
常磐線 田端機関区百年祭 … 藤森司郎
日南線 鉄路の少女たち … 長沖ミヨ子
青函連絡船 海峡の罐焚き … 鎌田慧
第二部 嵐のなかで
東海道新幹線 国鉄解体・壮大なる虚構 … 野田峯雄
東京山手線 小説山手線駅員物語 … 関口勘治
東海道本線 しがない線路工夫のねじれ節 … 地引浩
東海道本線 電力工手という男の自画像 … 谷透
中央本線 木曽谷の親子機関士 … 小林研治
鹿児島本線 安息の日々を求めて … 武田佐俊
著者紹介


橋本 忍 (はしもとしのぶ)
「幻の湖」 (まぼろしのみずうみ)
集英社文庫


(画像はクリックで拡大します)

*339頁
*発行 昭和57年
*AD・後藤市三

*カバー文
愛犬シロを殺された道子は、憎い犯人を追い、ただひたすら走り続ける……。何が彼女を復讐に駆り立てたのか? 怒りか、憎しみか、四百年前の怨念か。その走り続ける一本の道の果てに待っていた巨大な幻とは? 150万年間、沈黙を守り続ける琵琶湖の畔りに、永遠の見果てぬ幻を追い、走り続ける人間を描く、ネオ・サスペンス!

*解説頁・尾崎秀樹

親本

(画像はクリックで拡大します)

集英社
*316頁 / 単行本 / 発行 1980年

*帯文
白い犬を追って湖の伝説へ。ロマンの本質に迫るネオ・サスペンス!
撮影快調!今秋9月封切り決定
「砂の器」「八甲田山」に続く橋本プロ映画化作品。
書き下ろし長篇

長谷川 公之 (はせがわきみゆき)
「ゴーギャンのノア・ノア タヒチ紀行」
京都書院アーツコレクション



(画像はクリックで拡大します)

*143頁・文庫
*発行 平成11年

*岩波文庫版帯文
文明の国フランスを脱出.原始の島タヒチに渡った情熱の画家ゴーガンの滞在記.その絵の如く新鮮に印象的に島の風土と人間を描く.

*目次
『ノア・ノア』は、なぜ書かれたのか?
『ノア・ノア』とは、いかなるものか?
『ノア・ノア』は、どうなったのか?


長谷川 時雨著 (はせがわしぐれ) 杉本 苑子編 (すぎもとそのこ)
「新編近代美人伝」〈上下〉 (しんぺんきんだいびじんでん)
岩波文庫


(画像はクリックで拡大します)




*334頁 / 発行 1985年

*帯文
上巻
「蕗の匂いと、あの苦味」とその印象を記した評伝「樋口一葉」をはじめ、貞奴・らいてう等近代を真摯に生きた9人の女の物語.
下巻
女流作家、長谷川時雨が、同時代の女達を愛情深く描いた女性評伝の傑作選.下巻には九条武子・柳原白蓮等9篇を収録.
 
*目次
上巻
序にかえて
 明治美人伝 / 明治大正美女追憶 / マダム貞奴 / 樋口一葉 / 竹本綾之助 / 豊竹呂昇 / 芳川鎌子 / 大橋須磨子 / 一世お鯉 / 松井須磨子 / 平塚明子

下巻
 柳原Y子(白蓮) / 九条武子 / 田沢稲舟 / モルガンお雪 / 市川九女八 / 遠藤(岩野)清子 / 江木欣々女史 / 朱絃舎浜子 / 大塚楠緒子 / 解説 杉本苑子


長谷川 伸 (はせがわしん)
「荒木又右衛門」 (上下)
 (あらきまたえもん)
徳間文庫



*カバー装画・椙村嘉一
(画像はクリックで拡大します)




*上375頁・下350頁 / 発行 1986年

*カバー文

 大和郡山の荒木又右衛門のもとを、義弟の渡部数馬が訪った。仇討の助勢依頼であった。さる寛永七年七月、数馬の弟で岡山藩主・池田忠雄の寵童・源太夫が同藩士・河合又五郎に殺害され、これがもとの騒動で池田家は鳥取へ転封。藩主は失意の床で“三十一万五千石にかえても又五郎の首を”と遺言したというのだが、皮肉にも又右衛門が尊敬する同じ郡山藩の河合甚左衛門は又五郎の叔父であった……。名作時代小説。

 又右衛門は義弟・渡部数馬を助けて、その弟・源太夫の仇・河合又五郎を追うことになった。又五郎は転々居を変え、追う者、追われる者の忍従流浪の旅は4年を経て、ついに寛永十一年十一月、伊賀の国は上野の鍵屋ケ辻で結着をつける秋がきた! 世にいう三大仇討ちの一つ、巷間三十六人斬りと語り伝えられる伊賀越の決闘である。詳細な資料から又右衛門の生涯と実像を浮き彫りにした長篇歴史小説の名著。

*解説頁・村上元三


長谷川 伸 (はせがわしん)
「上杉太平記」 (うえすぎたいへいき)
徳間文庫


(画像はクリックで拡大します)

*285頁 / 発行 1987年
*カバーイラスト・曲山賢治 / カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
 森平右衛門は軽輩の出ながら、奢侈に耽る九代米沢藩主・上杉重定に取入り、租税を一手に押さえ、併せて人事も掌中にした。凶作・水害が打ち続き、藩の経営が危殆に瀕している中で、独り栄耀を極める平右衛門に、漸く非難の声が挙った。その中心にいたのは、竹ノ股当綱(たけのまたまさつな)ら、後に名君鷹山に仕えて藩政改革に着手する賢臣の一群であった。藩主の寵臣をいかに誅すべきか……名門・上杉家の内訌を描く長篇歴史小説。

*解説頁・磯貝勝太郎


長谷川 伸 (はせがわしん)
「国姓爺(上下)」 (こくせんや)
徳間文庫


(画像はクリックで拡大します)

*上316頁・下318頁 / 発行 1989年
*カバーイラスト・曲山賢治 / カバーデザイン・秋山法子

*カバー文

 戦国の世も末。鄭芝留、号は飛黄、明末の福建省に生れ、十八歳で九州平戸に渡る。在日十年、宮本武蔵の門人・花房権右衛門について武術を極める。
 海運と密貿易で南海に君臨する大船主・顔思斉の下に馳せ参じた芝竜、やがて寵臣の劉香をしのぐほどに重用されたが、思斉が毒殺され、後継は海の掟に従い、劉香との剣米の神事争いとなった……。海の無頼・海寇たちの活躍を描く海洋活劇ロマン。

 大船主となった鄭芝竜は五人の弟を集め、明政府の下で海防と貿易に従事した。ときに、台湾を支配するオランダを後楯に掠奪をくり返す謎の海賊船団が跳梁。芝竜の弟、芝虎が討滅に向かうが、敵船上に現われた海賊の首領こそ、かつて後継争いに敗れ逃走した劉香であった。一方、芝竜は日本人妻に一子をもうけた。幼名福松、後の劉成功である。雄大なスケールで描く海洋活劇ロマン完結篇。


長谷川 伸 (はせがわしん)
「相馬大作と津軽頼母」
 (そうまだいさくとつがるたのも)
徳間文庫



(画像はクリックで拡大します)

*413頁
*発行 1987年
*カバーイラスト・椙村嘉一

*カバー文
 南下するロシヤに備えて北辺の守りが叫ばれる文政四年、南部浪人・相馬大作は、仲間と語らって、下国中の津軽藩主を爆殺せんとしていた。幕末日本の国情を憂え、戦国以来の両藩の争いを避けようとした家老・津軽頼母は、これを知って藩主を説得、一行を迂回させることで当面の事なきを得たが……。大作の行為は義挙か暴挙か? 広汎な史料に拠って世にいう“檜山騒動”の実態に迫るノンフィクション小説の名篇。

*解説頁・伊東昌輝


長谷川 伸 (はせがわしん)
「戸並長八郎」
 (となみちょうはちろう)
徳間文庫



(画像はクリックで拡大します)

*535頁
*発行 1987年
*カバーイラスト・曲山賢治

*カバー文
 高畠二万石織田家のお家騒動を背景に、京都で藍坂党と死闘を繰りひろげた戸並長八郎。女神のようにあがめるおちい様の仏門入りを知らされて江戸に舞い戻るが、かつての生彩はない。そんな長八郎を藍坂党の残党がつけ狙う。「おいち様落飾おやめ」。京の叔父からの便りで明るさを取り戻した長八郎、早速、東海道を一路京へ。それを追う藍坂党の残党。桑名宿で、ついに果し合いの火花が。痛快時代長篇。

*解説頁・伊東昌輝


長谷川 伸 (はせがわしん)
「殴られた石松」 (なぐられたいしまつ)
徳間文庫


(画像はクリックで拡大します)

*345頁
*発行 1988年
*カバーイラスト・椙村嘉一 / カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
 駿州清水港で人足請負い業を営む山本長五郎こと清水の次郎長を親とたのむ石松は、親分のはからいで久しぶりに生国の三河の森へ墓参りに帰った。そこで石松は幼馴染みの兄貴分百姓惣吉が剣道指南で乱暴浪人の鬼藤桂之進に無礼討ちされた場面に出くわす。怒り心頭の石松は惣吉の弟常吉の肩入れをし敵討ちに乗り出す。傑作時代小説「殴られた石松」ほか「人斬り伊太郎」「飛び吉道中」「引返し百太郎」を収録。

*解説頁・伊東昌輝


長谷川 伸 (はせがわしん)
「紅蝙蝠」 
(べにこうもり)
徳間文庫



(画像はクリックで拡大します)

*510頁
*発行 1987年
*カバーイラスト・曲山賢治 / カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
 長い剣の修業から戻った浪人・戸並長八郎は、幼少から仕え、命より大切と慕う姫・おちい様の身に危機が迫っていることを知った。相愛の仲の藍坂帯刀(あいさかたてわき)の父で織田家家老・群太夫が、凋落したお家再栄のため、権勢昇日を誇る老中・田沼意次の側室に、おちい様を差し出すというのだ。
 喧嘩好きの無骨者、智恵には欠けるが腕力無比、純情に生きる長八郎が、奸臣・群太夫誅伐に立った……。 名作時代長篇。

*解説頁・伊東昌輝


長谷川 伸 (はせがわしん)
「股旅新八景」
 (またたびしんはっけい)
光文社時代小説文庫



(画像はクリックで拡大します)

*374頁 / 発行 昭和62年
*カバーイラスト・堂昌一

*カバー文
「人の行き交う町なかは、鼻がつかえて頭痛がする。やっぱり旅人は、山や川がのびのびしているとこがいいんだ。」 ― 縞の合羽に三度笠、一宿一飯の恩義に命を賭ける男たちの哀歓を描いた股旅もの小説の傑作選。

*目次
八丁浜太郎 / 頼まれ多九蔵 / 旅の馬鹿安 / 小枕の伝八 / 八郎兵衛狐 / 獄門お蝶 / 髯題目の政 / 三ツ角段平 / 解説 伊東昌輝


長谷川 強校注 (はせがわつよし)
「元禄世間咄風聞集」
(げんろくせけんばなしふうぶんしゅう)
岩波文庫


(画像はクリックで拡大します)

*340頁
*発行 1994年
*カバーカット・『けいせい色三味線』より

*カバー文
元禄七(一六九四)―元禄一六(一七〇三)年の間の江戸の噂話を書き留めた書。浅野内匠頭の刃傷沙汰をはじめ,生類憐み令にふれた科で処刑された事件,旗本の乱心,姦通などの醜行,落語「野晒」の原話などを収める。浮世草子等の源泉となった雑記類の多くが散逸した中では希有の生残りである。元禄時代の裏面を語る興味深い資料。索引を付す。


長谷川 天渓 (はせがわてんけい)
「長谷川天渓文芸評論集」
(はせがわてんけいぶんげいひょうろんしゅう)
岩波文庫



(画像はクリックで拡大します)

*235頁・旧仮名旧字体 / 発行 1955年

*目次
美的生活とは何ぞや / 『重右衛門の最後』(花袋作) / 不自然は果して美か / 解決なき創作物 / 批評の本領 / 研究的精神の缺乏 / 文學の試験的方面 / 自然と不自然 / 理想の破滅と文學 / 幻滅時代の藝術 / 文藝と道コ / 論理的遊戯を排す / 再び自然主義の立脚地に就て / 現實暴露の悲哀 / 近時小説壇の傾向 / 所謂餘裕派小説の價値 / 無脚色小説 / 自然派に對する誤解 / 自然主義と本能満足主義との別 / 無解決と解決 / 自然と不自然 / 現實主義の諸相 / 藝術家の冷酷なる態度 / 藝術と實行 / 自己分裂と靜觀

長谷川天渓年譜 / 長谷川天渓著作年表抄 / 解説(瀬沼茂樹)


長谷川 如是閑・石橋 湛山・小汀 利得・小林 勇 (はせがわにょぜかん・いしばしたんざん・おばまとしえ・こばやしいさむ)
「私の履歴書 反骨の言論人」
(はんこつのげんろんじん)
日経ビジネス人文庫


(画像はクリックで拡大します)

*389頁
*発行 2007年
*ブックデザイン・鈴木成一デザイン室

*カバー文
戦前、戦後を通じ、日本の言論界に多大な影響を与えた反骨のジャーナリスト。金解禁反対、新書創刊、自由と民主主義の追求……。権力に異を唱え、世間に媚びなかった彼らの生涯は、現代を生きる我々に何を語りかけるか。


秦 恒平 (はたこうへい)
「歌集 少年」 (かしゅうしょうねん)
短歌新聞社文庫


(画像はクリックで拡大します)

*114頁 / 発行 平成18年

*カバー文
少年五首
山なみのちかくみゆると朝寒き石段をわれは上りつめたり
わぎもこが髪に綰(た)くるとうばたまの黒きリボンを手にまけるかも
言(こと)に出でていはねばけふも柿の木の下にもとほり恋ひやまぬかも
山ごしに散らふさくらをいしの上に踏めばさびしき常寂光寺
朝地震(あさなゐ)のしづまりはてて草芳ふくつぬぎ石に光とどけり

*目次
菊ある道 / 山上墳墓 / 拝跪聖陸 / 光かげ / 夕雲 / 弥勒 / あらくさ / 歌の中山 / 迪子 / 華燭 / 保谷野 / 跋 秦恒平 / 初原に触れる 上田三四二 / 根の哀しみ 竹西寛子 / 母と『少年』と 秦恒平 / 解説 田井安曇 / 秦恒平略年譜


ハドソン著 寿岳 しづ訳 (W.H.Hudson じゅがくしづ)
「はるかな国・とおい昔」
(はるかなくに・とおいむかし)
岩波文庫



(画像はクリックで拡大します)

*455頁 / 発行 1998年

*カバー文
どこまでも続く大草原、広い空にひびく羊たちの鳴き声。アルゼンチンのパンパに育った作家ハドソン(1841-1922)が、自然とともに生き、その不思議な美に魅せられた幼年時代の思い出を美しくつづった自伝文学の傑作。博物学と文学の美しい交錯とうたわれるこの作品は、いまなお読者に深い感動を与えずにおかない。

*目次
一 最初の思い出 / 二 新しい家 / 三 老犬の死 / 四 植込み / 五 平原の風光 / 六 野鳥奇話 / 七 初めて見たブエノス・アイレス / 八 暴君の失脚、それからのできごと / 九 ポプラ屋敷の人たち / 一〇 一番近い英国出の隣人 / 一一 ぶち馬の飼養者 / 一二 零落(れいらく)の家の主 / 一三 パンパの家長 / 一四 鳩舎 / 一五 ヘビと子供 / 一六 ヘビの神秘 / 一七 少年のアニミズム / 一八 新しい先生 / 一九 兄弟 / 二〇 沼に鳥を捕る / 二一 野鳥狩りの冒険 / 二二 少年時代終る / 二三 光を失った生活 / 二四 損失と利得 / 訳者注 / 訳者のあとがき / 動植物名の索引


羽鳥 操 (はとりみさお)
「野口体操入門 ― からだからのメッセージ」
(のぐちたいそうにゅうもん)
岩波現代文庫


*カバー写真・「野口三千三 1996年」 佐治嘉隆撮影
(画像はクリックで拡大します)

*208頁 / 発行 2015年

*カバー文
「生きている人間のからだは、皮膚という袋の中に液体的なものが入っていて、そのなかに骨も筋肉も内臓も脳も浮かんでいる」という故野口三千三(一九一四‐九八)の独特の身体哲学をもとに生みだされた野口体操。従来の体操観を大きく覆し、演劇・音楽・美術・教育など多方面に影響を与え続けるその体操理論と実践の画期的入門書。野口体操が発明されるまでのメーキングストーリー、身体観と体操の動きの意味、それぞれの体操の実践方法などを多数の写真を用いてわかりやすく解説。

*目次
 まえがき
1 身体感覚を甦らせよう
 1-1 野口体操前史 ── 創始者野口三千三の足跡を追って
 1-2 野口体操と三島由紀夫 ── 時代とともに変わる身体観
2 からだをほぐす ── 野口体操とは
 2-1 野口体操の身体観
 2-2 「重さ」と「はずみ」と「筋力」と
 2-3 液体的な動き ── たとえばゲルの状態へ
 2-4 自然は矛盾することを内包する
 2-5 力を抜きながらストレッチをすることの意味
 2-6 鞭とハンマー
 2-7 曲線と直線
 2-8 呼吸の問題
 2-9 「ほぐすことの意味」 ── 「梃子」と「振り子」を中心に
 2-10 立つことを逆さにしてみたら ── 逆立ち
3 からだをうごかしてみよう
 2-1 上体のぶら下げ ── 動きの手ほどき、からだほどき
 2-2 腕まわし
 3-3 腰まわし・胸まわし
 3-4 波の動き
 3-5 尻たたき・胸つけ
 3-6 おへそのまたたき
 3-7 やすらぎの動き・真の動き・ひれ伏す動き
 3-8 ヨガの逆立ち
 3-9 すべる動き
 3-10 腕たてバウンド
 3-11 四股
 3-12 しゃがんで立つ
 3-13 「尻あるき」差異の感覚 ── からだのなかを分ける
 3-14 からだをうごかしてみよう
三途の川を歩いて渡る ── あとがきにかえて


羽田 澄子 (はねだすみこ)
「私の記録映画人生」
(わたしのきろくえいがじんせい)
岩波現代文庫


(画像はクリックで拡大します)

*288頁 / 発行 2014年
*カバー写真・岐阜県根尾村にある樹齢1400年の「淡墨桜」

*カバー文
古典芸能・美術から介護・福祉、近現代日本史など幅広いジャンルで記録映画を撮り続けてきた著者の自伝的エッセイ。旧満州に生まれ、「早池峰の賦」「AKIKO」「痴呆性老人の世界」「平塚らいてうの生涯」など数々の名作とともに歩んできた八十八年の人生をふりかえる。旅順ですごした少女時代の回想や、早世した妹の思い出なども綴る。

*目次
Tこんな映画を作ってきた
U あかね色の風景
V あの頃の私
W 老いと死をみつめて
羽田澄子演出作品目録
あとがき


馬場 あき子 (ばばあきこ)
「馬場あき子歌集」
 (ばばあきこかしゅう)
短歌研究文庫(短歌研究社)



(画像はクリックで拡大します)

*173頁 / 発行 昭和62年

*帯文
馬場あき子の作品世界をここに集約。
 九歌集から自選された。この『馬場あき子歌集』は、現時点における馬場あき子の抜抄であることにも意義があろう。 / この文庫により、処女歌集の『早笛』より第九歌集の『葡萄唐草』まで、大きく変貌を遂げて来た馬場あき子の歌風の展開のあとをたどって読むことができる。 (島津忠夫「解説」より)

*目次
早笛 抄 一〇〇首
 春の水ほか / 能の女ほか / 生活とほとり / 朝やけの雲
地下にともる灯
 地下にともる灯 / 生きて孤ならず / 雪・断章
無限花序 抄 一三七首
 思想なき夏 / 舞歌 / 無明夏
飛花抄 抄 二〇〇首
 飛花抄 / ひとり鬼 / 霜漉き歌
楼花伝承 抄 二三〇首
 翔たざれば領す / 彩絵 / 水辺の書 / 空への挽歌
雪鬼華麗 抄 一九五首
 雪鬼華麗 / 流離伝承 / つれぬきとめよ / 麻の雨
ふぶき浜 抄 二〇四首
 地平は遠く / ふぶき浜 / 万燈
晩花 抄 二〇〇首
古京晩花 / ゆくともみえぬ / いづこまで来し / 霧の王国
葡萄唐草 抄 二〇七首
 冬へ / 氷見 / 定住の霜 / 葡萄唐草
 解説 … 島津忠夫 / 略年譜


馬場 あき子・三枝 和子 (ばばあきこ・さいぐさかずこ)
「馬場あき子の謡曲集 / 三枝和子の狂言集 ― わたしの古典シリーズ」
(ばばあきこのようきょくしゅう / さいぐさかずこのきょうげんしゅう)
集英社文庫


*カバー作品・栗田敬子
 AD・菊地信義
(画像はクリックで拡大します)

*312頁 / 発行 1996年

*カバー文
能の台本である謡曲は、美麗な文体で、人生を語り、人間の運命を様式の美しさの中で謡う。井筒、忠度、熊野、善知鳥、紅葉狩、高砂、隅田川、鉢木、江口、安達原等、10曲を口語訳で。
能と深い関わりをもつ狂言はセリフ劇である。底抜けに明るく、ゆとりある笑いに包まれて快い。太郎冠者が大活躍し、逞しい庶民の女たちも登場する。狂言の魅力に現代語で迫る。中世の美意識と笑い、現代語の台詞とト書きで伝える能と狂言のエッセンス。

*目次
馬場あき子の謡曲集
わたしと謡曲 / 井筒 / 忠度 / 熊野 / 善知鳥 / 紅葉狩 / 高砂 / 隅田川 / 鉢木 / 江口 / 安達原

三枝和子の狂言集
わたしと狂言集 / 大黒連歌 / 末広がり / 佐渡狐 / 靭猿 / 木六駄 / ?聟(鶏聟) / 髭櫓(ひげやぐら) / 布施無経 / 月見座頭 / 朝比奈 / 柿山伏 / 菓争

語注 寿岳章子 / 解説 寿岳章子 / 鑑賞 大岡玲 / 謡曲と狂言の分類一覧 / 参考図 穂積和夫


林 えり子 (はやしえりこ)
「清朝十四王女 川島芳子の生涯」
(せいちょうじゅうよんおうじょ)
ウェッジ文庫


*装丁・上野かおる
(画像はクリックで拡大します)

*325頁 / 発行 2007年

*カバー文
清朝最後の王女として生まれた少女は、辛亥革命の勃発により日本に渡り、川島芳子と改名する。清朝の復興を夢見る一方で、恋愛にあこがれる美貌の女性に育った芳子に、やがて戦乱が襲いかかる。日本の狭間で歴史に翻弄され、“男装の麗人”と呼ばれたひとりの女性の数奇な運命を活写する。芳子の生涯を辿ることは、日本の現代史を振り返り、日本人の平和観を問い直すことである ── 。

*目次
序章 トランクの中身
第一章 必死の助命嘆願
第二章 芳子処刑さる
第三章 たそがれの出生
第四章 父二人
第五章 芳子、日本へ
第六章 おっとりしたお姫さまぶり
第七章 ある一夜の出来ごと
第八章 粛親王死す
第九章 芳子、断髪する
第十章 はかなき結婚
第十一章 暗転の上海
第十二章 満州事変起こる
第十三章 婉容の天津脱出と芳子
第十四章 上海事変
第十五章 満州国の建国
終章 ふたりのヨシコ ── 山口淑子の追憶
あとがきという後日談 / 解説のようなもの 村松友視

*関連文庫(サイト内リンク)
渡辺龍策 「川島芳子 その生涯 ― 見果てぬ滄海」 徳間文庫


林 忠雄 (はやしただお)
「カストリ時代 ― レンズが見た昭和20年代・東京」 (かすとりじだい)
朝日文庫


*カバー 横たわる踊り子
(有楽町・日劇屋上・昭和22年)
 カバー写真・林忠雄
 カバー装幀・森枝雄司

(画像はクリックで拡大します)

*206頁 / 発行 昭和62年

*目次
誰か故郷を想わざる
占領の時代
焼け跡・闇市
戦災孤児の街
甦った青春
裸と夢
ニコヨンの哀歓
 職業安定所、水上生活者、蟻の町、アルバイト
戦後の象徴・上野駅
おんな言葉の警察官
空手チョップと赤バット
スター誕生
 美空ひばり、近江俊郎、高峰秀子、原節子、三木鶏郎、三木のり平、丹下キヨ子、三国連太郎、滝沢修など
最後の文士
 太宰治、坂口安吾、織田作之助、田中英光、檀一雄、川端康成、安田靫彦、火野葦平、豊島与志郎、獅子文六、平林たい子、久米正雄、久保田万太郎、高見順など
街へ出た皇太子
帰らざる日々
スルメと焼酎 吉行淳之介
戦後社会風俗年表
あとがき


林 忠彦 (はやしただひこ)
「文士の時代」 
(ぶんしのじだい)
朝日文庫



(画像はクリックで拡大します)

*218頁
*発行 1988年
*カバー写真・林忠彦

*カバー文
私が、これまでの長い年月を写真家一筋に送ってこられたのも、「男を撮れば林忠彦」と言われる写真家になれたのも、終戦後、織田作之助、太宰治、坂口安吾のアプレゲール作家を撮り、その後も作家を撮り続けたおかげと、今、改めて感謝している。(林忠彦「あとがき」抜粋)
川端康成、谷崎潤一郎、志賀直哉、檀一雄、吉川英治……レンズを通して作家たちの雰囲気を鋭くとらえた写真文集。


林 房雄 (はやしふさお)
「青年 ― 若き日の伊藤博文・井上馨」〈上下〉 (せいねん)
徳間文庫


*カバーデザイン・秋山法子
(画像はクリックで拡大します)

*上252頁・下249頁 / 発行 1986年

*カバー文
【上巻】
元治元年、長州は公武合体派の巻き返しに加え、英米仏蘭による報復攻撃が予想される内患外憂の極にあった。この危機に志道(井上)聞多と伊藤俊輔は、外国との即時講和論を携えて留学先の英国から急遽帰国。欧州先進国の実情からみて救国の策は開国以外にない。かくして、藩論が攘夷の一点で保たれているというきわどい状況の中、二人の必死の活動が始まった…。著者の文学的転換点を画した代表作。
【下巻】
外国かぶれの臆病者、国を外夷に売る奸賊と誹謗され、刺客に狙われながらも、井上聞多と伊藤俊輔は懸命の奔走を続けた。だが藩是たる尊王攘夷の壁は厚く和平はならず、遂に四国聯合艦隊は馬関を攻撃、これに幕府の征長軍進発も加って、長州は存亡の淵に立たされた。混乱と絶望と虚無に襲われた二人だったが、折しも幽閉を解かれた高杉晋作から回天の策を授けられるに及んで…。著者の記念碑的作品の完結篇。

*解説頁・尾崎秀樹


林 不忘 (はやしふぼう)
「丹下左膳【三】 日光の巻」 (たんげさぜん)
光文社時代小説文庫


(画像はクリックで拡大します)

*452頁
*発行 2004年
*カバー画・志村立美 / カバーデザイン・盛川和洋

*カバー文
南町奉行・大岡越前守の手で将軍・吉宗の許へ届いたこけ猿の壺。蓋の裏に描かれた財宝の所在を示す地図を取り出したのだが―。一方、峰丹波一味の仕掛けた穴に落ちた左膳と、柳生源三郎は、老人によって九死に一生を得る。やがて東照宮修復のため日光へ向かう柳生対馬守、妖刀・濡れ燕を引っさげた左膳も日光へ奔る。異形異端の怪剣士が活躍する不朽の時代名作完結編。

*解説頁・川崎賢子


林 芙美子 (はやしふみこ)
「尾道 『放浪記』」
(おのみちほうろうき)
名作旅訳文庫
(JTBパブリッシング)



(画像はクリックで拡大します)

*240頁
*発行 2009年
*カバー 写真;千光寺から尾道水道を望む / デザイン;小川裕子 福田有希

*カバー文
恋と文学と、穏やかな海と。芙美子の心の故郷、尾道の記憶。人生が放浪そのものだった林芙美子。青春時代を過ごした尾道ゆかりの場所を今、歩く。『放浪記』のあの名場面と「旅訳」を合わせて読めば、旅する芙美子の心情が見えてくる。


伴田 良輔 (はんだりょうすけ)
「欲望百科 7色のコンドームから美容整形まで」
(よくぼうひゃっか)
光文社文庫


*カバーデザイン・横尾忠則
 「モナリザ」1966年
 (C)Tadanori Yokoo
(画像はクリックで拡大します)

*273頁 / 発行 1998年

*カバー文
 整形美人、女装、キス、性教育、尻叩き、集団行動、ヌード写真……。これらはいったいどこからやってきたのか? 人間の奥に潜む欲求はどこへ行くのか? 男にとっても女にとっても……。忍び寄るさまざまな誘惑に挑発されながら、煩悩の旅は果てしなく続く。愛の技術から桃源郷の探し方まで、奇才による「もうひとつの世界」へようこそ。

*目次
 文庫版まえがき
天国の回廊
1 ゴシップ / 2 双子 / 3 キス / 4 地球 / 5 UFO / 6 大量死 / 7 骨 / 8 メルヘン
愛の扉
9 カップル / 10 コンドーム / 11 胎児 / 12 家族 /13 夫婦
セックスの箱
14 ペニス / 15 性教育 / 16 ヌード写真集 / 17 尻叩き / 18 ストリーキング / 19 女装 / 20 生理用品 / 21 セルフラブ / 22 TV電話
モードの階段
23 美容整形 / 24 ヒゲ / 25 ハゲ&スキンヘッド / 26 デブ / 27 インスタント食品 / 28 水着 / 29 メガモデル / 30 少女 / 31 贈り物
社会の窓
32 ペット / 33 イルカ / 34 絶滅動物 / 35 集団行動 / 36 日記 / 37 旅行記 / 38 温泉 / 39 滝 / 40 奇想建築 / 41 フェイク / 42 擬態
 解説 小田島久恵


半藤 一利 (はんどうかずとし)
「大相撲人間おもしろ画鑑」
(おおずもうにんげんおもしろずかん)
小学館文庫


(画像はクリックで拡大します)

*267頁
*発行 2008年
*カバー画・「大日本大相撲勇力関取鑑」(落合芳幾) / (写真提供・日本相撲協会) / カバーデザイン・中山銀士

*カバー文
 子供の頃からの大の相撲ファンである著者が、古今東西の相撲びとたちを、自身の思い出を交え軽妙なタッチで綴っていく。
 相撲の始祖である、野見宿禰と当麻蹶速に始まって、谷風や大童山、荒岩や幡瀬川、玉ノ海といった力士の面々。聖武天皇、織田信長、乃木大将、夏目漱石といった相撲好き。そして、「鳥獣戯画」や河童までをも俎上に上げ、相撲を愛してやまない人々の熱気と心意気を伝えてくれる。
 相撲の魅力を再認識でき、歴史好きにも応えられない一冊。なお本文中の挿画は著者自身によるものである。


半村 良 (はんむらりょう)
「およね平吉時穴道行」
 (およねへいきちときあなのみちゆき)
ハヤカワ文庫 JA



(画像はクリックで拡大します)

*285頁 / 発行 昭和48年
*カバー・楢喜八

*角川文庫版カバー文
コピーライターの私は、江戸時代の戯作者・山東京伝の、現代にも通用する粋なセンスに心酔していた。京伝の資料を漁るうちに、ひょんな事から古日記を入手。それは岡っ引き・平吉の手によるもので、京伝の妹・およねへの恋心が綴られ、しかも彼女が神隠しにあったらしい異変が記されていた…。二百年の時を越えた恋の顛末を描く表題作他、「収穫」「組曲・北珊瑚礁」等を収めた、傑作短編集。

*目次
およね平吉時穴道行 / 幽タレ孝 / 酒 / 収穫 / H氏のSF / 虚空の男 / 組曲・北珊瑚礁 / あとがき