絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【ふ】

フィッツジェラルド著・沼澤 洽治訳 (Fitzgerald・ぬまざわこうじ)
「バビロン再訪 フィッツジェラルド短篇集」
(BABYLONさいほう)
集英社文庫


*装画・西方久 / AD・菊地信義
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*276頁 / 発行 1990年

*カバー文
「おれはこの都会を、われとわが手で台なしにしてしまった」大恐慌後のパリを舞台に、かつてそこで全てを ── 妻、娘、自らの人生を失った男の喪失感を切々と謳いあげた名品「バビロン再訪」他二篇。第一次大戦後の好況と精神的解放感から花開いた喧騒の20年代、ジャズエイジの竃児として時代を駆け抜いた著者の代表作品集。

*目次
メイ・デー
富豪青年
バビロン再訪
 語注 / 解説 佐藤晴雄 / 鑑賞 常盤新平 / 年譜 佐藤晴雄


深沢 賢治著・石川 梅次郎監修 (ふかざわけんじ・いしかわうめじろう)
「真釈 佐藤一斎『重職心得箇条』」
(しんしゃくさとういっさいじゅうしょくこころえかじょう)
小学館文庫


*カバーデザイン・熊沢正人+中村聡
 カバー画・佐藤一斎像
(渡辺崋山筆・東京国立博物館蔵)
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*166頁 / 発行 2002年

*カバー文
〈推薦の言葉〉
 人の世は、識見と定見が大事である。識見を養うためには、歴史、しきたりを知らなければならない。定見はゆるぎない信念である。実際の行動規範としては、公平に裁決する事と大小軽重をあやまらない事だ。このような教えは、会社にも一般社会にも応用がきく。
 これだけ具体的で、こなれた文は少ない。全体に深澤賢治氏の経験と素養がにじみ出ており推薦に値する。この本を座右において、読む事をお勧めしたい。
石川忠久
(二松學舎大學 學長)
(全国漢文教育学会 会長)

*目次
 監修の言葉 / 一条・人物の条件 / 二条・部下の活用 / 三条・時流を見抜く / 四条・前例を破る / 五条・機を見る / 六条・公平と中庸 / 七条・苛虐の戒め / 八条・心の余裕 / 九条・人事の把握 / 十条・長期計画 / 十一条・度量の広さ / 十二条・私利私欲の禁 / 十三条・相互信頼 / 十四条・省く、省みる / 十五条・猜疑を慎む / 十六条・情報の公開 / 十七条・人心の一新 / 注 / 参考文献 / あとがき


深沢 七郎 (ふかざわしちろう)
「生きているのはひまつぶし」
(いきているのはひまつぶし)
光文社文庫


*カバーデザイン・間村俊一
 カバーイラスト・美濃瓢吉
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*197頁 / 発行 2010年

*カバー文
「忘れるっていうことは、人間に大切なことですよ」「忘れることで頭の中はちょうどいいぐあいに片づけられるからね」「自然死(自殺ではなく)は人間にとって一番ありがたいこと」。四十歳を過ぎて小説『楢山節考』でデビュー。放浪の果ての農耕生活、作家としてのオンリー・ワンの生き方を貫いた深沢七郎。未発表作品集として刊行された話題の書が遂に文庫化。

*目次
T 死んだら
U 土とたわむれ
V 男と女と
【発掘エッセイ】我が享楽の人生の道
W 都会と田舎と
X 肩書
Y 小説を書く
Z 旅する
【発掘エッセイ】予想外の結末(私の外国旅行)
[ 遊ぶ
\ 喰う
] 涙する
]T 忘れる
 あとがきにかえて / マイ・スター深沢七郎讃 白石かずこ


福田 英子 (ふくだひでこ)
「妾の半生涯」 (わらわのはんせいがい)
岩波文庫


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*118頁
*発行 昭和33年
*旧仮名旧字体

*帯文
女性運動史上に光を揚げた著者が波瀾に富むその半生を自ら綴った貴重な体験記.自由民権思想が昂揚した明治中葉の風潮が窺われる.

*解説頁・絲屋壽雄


福永 武彦・中村 真一郎・丸谷 才一 (ふくながたけひこ・なかむらしんいちろう・まるやさいいち)
「深夜の散歩 ― ミステリの愉しみ」
 (しんやのさんぽ)
ハヤカワ文庫JA



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*287頁
*発行 1997年
*カバー装画・和田誠

*カバー文
一冊のミステリを手に“深夜の散歩”に出かける。おかげで翌朝は寝不足でたいへんだ。だがこの“悪癖”はやめられない。 ―― 自他ともにミステリ中毒者を認める当代きっての文学者三人が、該博な知識を背景にミステリを読む愉しみについて洒脱に、縦横無尽に語る。高い批評性と予見性をもって現代ミステリの数々の傑作を論じ、後代に決定的影響を与えた。ミステリ読者をいっそうミステリ好きにさせる魅力あふれる名著。

*目次
深夜の散歩 ―― 福永武彦
一回 Quo Vadis?
二回 ソルトクリークの方へ
三回 ヒロンズ・パーク陸軍病院の方へ
四回 メグストン島の方へ
五回 ロンドン警視庁の方へ
六回 マーロウ探偵事務所の方へ
七回 ワグラム街のバーの方へ
八回 五番線のバスの方へ
九回 ヨット「幸運児」の方へ
十回 百番目の傑作の方へ
十一回 封をした結末の方へ
十二回 マジスン市の方へ
十三回 クール&ラム探偵社の方へ
十四回 カーステヤズ家の方へ
十五回 モーナ・マックレーン家の方へ
十六回 気違いハッター家の方へ
十七回 クロスローズ南方の百姓家の方へ
十八回 ウェールズ地方の古い廃坑の方へ

バック・シート ―― 中村真一郎
一回 アイソラの街で
二回 英国の疎開地で
三回 クイーン検察局で
四回 恐怖感覚!
五回 小さなホテルで
六回 百冊目のガードナー
七回 地獄を信じる
八回 最高の後味
九回 子供の眼の下に
十回 この人生の軽さ
十一回 灰色のフラノの背広
十二回 「文学的な」表現
十三回 短篇小説
十四回 慣習小説
十五回 スパイ小説

マイ・スィン ―― 丸谷才一
一回 クリスマス・ストーリーについて
二回 すらっからしの読者のために
三回 長い長い物語について
四回 サガンの従兄弟
五回 冒険小説について
六回 手紙
七回 ダブル・ベッドで読む本
八回 犯罪小説について
九回 フィリップ・マーロウという男
十回 美女でないこと
十一回 ケインとカミュと女について
十二回 男の読物について
十三回 ある序文の余白に
十四回 タブーについて
十五回 新語ぎらい

 元版『深夜の散歩』あとがき / 丸谷才一
 あまりにも予見的な / 瀬戸川猛資
 掲載作品リスト


復本 一郎 (ふくもといちろう)
「俳人名言集」 (はいじんめいげんしゅう)
朝日文庫


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*216頁
*発行 1992年
*カバー装画=生井巌 / カバー装幀=中島かほる

*カバー文
名人はあやふき所い遊ぶ(芭蕉)。薄と軽とは道あるべし(去来)。如何なる書にても読むべし。一冊にても多く読むに如かず(子規)。
俳句をもっと深く知るために ―― 俳句がもっと上達するために ―― 芭蕉・蕪村・一茶から虚子・誓子・龍太・兜太まで、古今の名言が教える俳句の真髄。


藤岡 和賀夫 (ふじおかわかお)
「懐かしい日本の言葉 ミニ辞典」 (なつかしいにほんのことば)
NPO直伝塾プロデュース・レッドブック (宣伝会議)


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*230頁・文庫本 / 発行 2003年
*写真提供:江崎グリコ「タイムスリップグリコ」(C)KAIYODO、1966円谷プロ、光プロ

*紹介文
絶滅のおそれのある日本語360語を紹介。漢数字入れクイズも掲載する。

*目次
はじめに
@父母の口癖
Aお客様 ― あいさつ言葉
Bご近所、寄り合い、仲間うち ― くだけた場所でのくだけた言葉
C男と女
Dきれいな響き、言いまわし
E悪態、軽蔑
F大人の常識語
G学ある人の教養語
H故事、ことわざ
I御の字、小の字
J早口言葉、語呂言葉
Kうまいたとえ
随筆 黒柳徹子 / 吉行和子 / 板東英二 / 山下洋輔 / 白石加代子 / 野々村真
おまけ
1 年中行事 / 2 いろは歌留多・東西 / ?! 漢数字入れクイズ
索引


藤原 審爾 (ふじわらしんじ)
「秋津温泉」
(あきつおんせん)
集英社文庫


*カバー・関野準一郎
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*195頁 / 発行 1978年

*カバー文
戦後の暗い日、私は偶然に「秋鹿園」の広告を目にした。かつて十七の夏、そこで出会ったカリエスを病む美少女直子と、ういういしい生命に溢れた新子への思慕が甦える。あの人たちにめぐり逢えば、生きていく力がわいてくるかもしれない。悩ましい愛執にかわった少年の日の淡い慕情を抱いて、妻子ある身で私は再び閑寂で澄明な秋津の宿を訪れる。人間の愛の哀しさ清冽な叙情で描く初期代表作。

*巻末頁
 藤原君のこと 井伏鱒二
 解説 小松伸六

*吉田喜重監督『秋津温泉』(1962年)原作


藤原 審爾 (ふじわらしんじ)
「武士道地獄」
 (ぶしどうじごく)
集英社文庫



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*496頁 / 発行 昭和58年
*カバー装画・東啓三郎

*カバー文
主君から許嫁琴路を側室に要求された遠藤蓮次郎は琴路を伴い脱藩するが、皮肉にも兄佐一郎、弟代三郎の二人に追討の命が下った。槍・剣・弓の達人三兄弟の骨肉の争闘、兇暴な代三郎に夫を殺されたお蘭に手をかす剣客や砲術家の一団が代三郎を狙う。山陽道から京へ、江戸へ、三組の武士団が、道中波瀾万丈の争闘をくりひろげる武士道残酷物語。

*解説頁・武蔵野次郎


藤原 審爾 (ふじわらしんじ)
「われらが国のへそまがり」 (われらがくにのへそまがり)
徳間文庫


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*252頁
*発行 1985年
*カバーイラスト・おおば比呂司 / カバーデザイン・池田雄一

*カバー文
 親代々の土地を受継ぎ茶店を開く我らが“実つぁん”。ぼけっとしているようだしちょっと怒りっぽいところから、村人からは“ひっくりベソ”なんて呼ばれているが、とんでもない。実つぁんは理不尽なことが大嫌い。相手が町長や大臣でも断固闘うのだ。村に軍国主義や資本主義が入り込んできたとき、実つぁん、どんなに闘ったか。
 瀬戸内の荒廃していく自然と人情のなかを、誠実に生きようとする男を描く。

*解説頁・山田洋次


藤原 マキ (ふじわらまき)
「私の絵日記」 (わたしのえにっき)
学研M文庫


*カバー・ブックデザイン:齋藤視倭子
 ロゴマークデザイン:中谷匡児

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*277頁 / 発行 平成15年

*カバー文
つげ義春夫人が遺した一家の日常をつづる絵日記。そこには、言葉だけでは表せない醇乎たる家族生活の喜びと哀しみが、見事に表現されている。夫婦ゲンカや愛息との愉しい散歩のこと、みずからの病や夫の精神的不調のこと、懐かしい田舎の風景のこと……。平成11年に他界した藤原マキ氏の絵日記・画集・エッセイをここに集成し、巻末にロング・インタビュー「妻、藤原マキのこと」(つげ義春)を特別収録。

*目次
画集 藤原マキの懐しい風景(*カラー)
私の絵日記 つげ家の生活
あとがき二題
思い出エッセイ
画集 藤原マキの懐しい風景(*モノクロ)
写真集 つげ家の人々
妻、藤原マキのこと つげ義春


文・藤森 照信 写真・増田 彰久 (ふじもりてるのぶ・ますだあきひさ)
「建築探偵 雨天決行」 (けんちくたんていきそうてんがい)
朝日文庫


*カバー・デザイン 辻修平
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*191頁 / 発行 1997年

*カバー文
「コレハナニカアル!?」 ― 素朴な疑問と湧きあがる好奇心に動かされてノコノコ敷地の中、建物の中へ―。気分が安らぐ美しき刑務所、由緒ある遊廓、トンデモナイ姿の学校など、おもしろエッセイと豪華な写真で紹介した数々の変わりダネ建築探訪記。カラー写真多数収録の四巻シリーズ第二作。

*目次
名古屋が誇る不夜城“日本一” ―― 中村遊廓
幻の後楽園球場の屋根 ―― フラー・ドーム
子供の城は球と立方体 ―― 帯広・双葉幼稚園
日本最古の幼稚園 ―― 大阪・愛珠幼稚園
街づくりのナウ ―― 主婦の友ビル
ネギ畑の中の聖堂 ―― 曲田福音教会
ロシア正教のインテリア ―― 豊橋ハリストス正教会
見よう見真似の大傑作 ―― 函館ハリストス正教会
ニッポンの夜明け ―― 神子元島灯台
皇居のドラゴン ―― 二重橋
文明開化に舞う竜と天使 ―― 松本・開智学校
珍しいインド風のお寺 ―― 築地本願寺
カレー味のヴィクトリア建築 ―― 西本願寺伝道院
これだけ書いてもまだ足りない ―― 東京駅
堀の中はツライです ―― 中野刑務所
トリの真似をしたカゴの中で ―― 小菅・東京拘置所
今泉さんの戦後 ―― 旧全造船会館
壁画の前でジョッキを! ―― 銀座・ライオンビアホール
ハイカラ華族の夢の跡 ―― 那須のプランテーション別荘
本書に登場する主な建築物一覧
解説 阿川佐和子


文・藤森 照信 写真・増田 彰久 (ふじもりてるのぶ・ますだあきひさ)
「建築探偵 奇想天外」 (けんちくたんていきそうてんがい)
朝日文庫


*カバー・デザイン 辻修平
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*191頁 / 発行 1997年

*カバー文
近代建築にかけては天下無敵の名コンビ、大学教授と建築写真家はオモシロイ建築を求めて日本全国、はては海外まで出かけ何でも探し出してくる。どこから読んでも楽しめる4巻シリーズ第4巻では、名推理と豪華なカラー写真でプラハの街並み、国会議事堂、日銀本店…とさまざまな建物の“謎”に迫る!

*目次
官軍と商人の西洋館合戦 ―― 旧函館区公会堂
アメリカの中の控え目な日本 ―― 札幌・豊平館
ナマコ壁西洋館の謎 ―― 旧新潟税関庁舎
現存最古の赤煉瓦建築 ―― 長崎・ソロバン・ドック
三一五号室でハンバーガーを ―― 横浜・ニューグランドホテル
謎のチェコ人建築家 ―― レツルをたずねて
プラハの街角から ―― フォイエルシュタインをたずねて
スロバキアからの教会 ―― レーモンドをたずねて
田園趣味の家は残った ―― 東京・旧福本邸
ヨーロッパへ行った大工 ―― 宮城県・登米
“世界一”ハデ病院のデザイナー ―― 山形・済生会
建築探偵宍戸さんのこと ―― 聖路加病院チャペル
和風のキリスト教会 ―― 奈良教会
ゴルフをやりたい一心で ―― 伊東・川奈ホテル
雪国の勇み肌の倉 ―― 長岡・サフラン酒造
大分にアール・デコあり ―― 第一勧業銀行大分支店
金次郎の弟子が作った旅館 ―― 箱根・萬翠楼福住
左官の名人「伊豆の長八」 ―― 伊豆松崎・岩科学校
日本初の牛小屋 ―― 北大模範家畜房
シルクの国をたずねる ―― 長野県諏訪地方の旅
長崎が兄でアモイが弟 ―― 長崎・グラバー邸
田園調布のルーツは三つ ―― 田園調布駅
農家風のリゾートホテル ―― 野尻湖ホテル
ポストモダンの元の元は ―― 黒部川第二発電所
オフィスとともに九十九歳 ―― 第一生命館
アール・デコ世界一 ―― 旧朝香宮邸
もうひとつの明治の顔 ―― 日本銀行本店
アジアの中の西洋館 ―― ソウル・旧朝鮮総督府
複雑な、複雑な出生の秘密 ―― 国会議事堂
本書に登場する主な建築物一覧
【解説】探偵のすがお ―― 鈴木博之


文・藤森 照信 写真・増田 彰久 (ふじもりてるのぶ・ますだあきひさ)
「建築探偵 神出鬼没」 
(けんちくたんていしんしゅつきぼつ)
朝日文庫


*カバー・デザイン 辻修平
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*191頁 / 発行 1997年

*カバー文
“名探偵”、いよいよ上海、北京、ベトナムへ ―― 。大学教授がエスプリの利いたエッセイを書けば、建築写真家は華麗な写真で勝負に出る。教会、ホテル、女子大、銀行、旧財閥の貴賓施設……ユニークな洋風建築を一網打尽、名推理を重ねて探偵行脚は続く。カラー写真多数収録の四巻シリーズ第三作。

*目次
日本最古の洋館のナゾ ―― 大浦天主堂
上海で教会を探す ―― 上海・聖ザビエル教会
これが大浦天主堂のルーツ ―― 上海・聖ヨセフ教会
建築界の“黒羊” ―― 旧香港上海銀行長崎支店
上海のキングの館 ―― 上海・サッスーン邸
上海から船に乗って軽井沢 ―― 万平ホテル
久しぶりの発見デス ―― 北京・旧日本公使館
大金庫室の野菜イタメ ―― 北京・旧横浜正金銀行
讃岐の活動写真館 ―― 世界館
タコのフランス料理 ―― 京都・東華菜館
西陣の空高く美女と野獣が ―― 西陣電話局
北海道のライト ―― 小樽・坂邸
辻のヴィオロン弾き ―― 網走市立郷土博物館
昭和を開いた白い箱型の家 ―― 土浦邸
日本派手建築界最強之華 ―― 目黒雅叙園
古都のアブナイお風呂たち ―― 京都の銭湯
ここはアジア! ―― ベトナム紀行
古都の“洋風”神社 ―― 金沢・尾山神社神門
演説の習慣が生まれた場所 ―― 慶応・三田演説館
空から眺めた時計王の館 ―― 服部金太郎邸
生命と引きかえた西洋館 ―― 関東閣
地球の芯棒からギリシャ風へ? ―― 旧大倉精神文化研究所
とにかくウマイ、石の校倉造り ―― 明治神宮宝物殿
石の列柱日本一 ―― 第一勧銀神戸支店
美しき、美しき女子大よ! ―― 神戸女学院
寮から始まった学校 ―― 東京女子大
燃える心臓と亀のいる門 ―― 聖心女子学院
デザインは有栖川宮? ―― 会津・天鏡閣
戦時下最後の建物と明治の安土城 ―― 岩国・室津の旅
本書に登場する建築一覧
【解説】この探偵の依頼人は誰か ―― 赤瀬川原平


文・藤森 照信 写真・増田 彰久 (ふじもりてるのぶ・ますだあきひさ)
「建築探偵 東奔西走」 (けんちくたんていとうほんせいそう)
朝日文庫


*カバー・デザイン 辻修平
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*191頁 / 発行 1997年

*カバー文
「近代建築」にかけては、鑑識眼・推理力ともに並ぶものはない“名探偵”の大学教授と建築写真家が、面白い建物を求めて、二人で東へ西へ ― 。ユーモア溢れる語り口で宮殿から豪邸、監獄、教会、銭湯といった数々の名建築、変わり種の建物を紹介。カラー写真多数収録の四巻シリーズ第一作。

*目次
かわいそうな宮殿 ―― 赤坂離宮
ほんものの牢屋 ―― 山口刑務所
三原山噴火で、あやうし! ―― 大島測候所
石の監獄と小鳥 ―― 鹿児島刑務所
監獄建築の元祖 ―― 奈良刑務所
修道院みたいな監獄 ―― 千葉刑務所
百恵さん気をつけて! ―― 一橋大学
西洋館の屋根で墨がすれるか ―― スレート葺きの建築
牡鹿半島はパリみたい!? ―― 牡鹿半島の建築群
独眼竜政宗愛用のスレート ―― 三陸海岸の洋館
ブタさんビルの占領夜話 ―― 大阪ビル一号館
世界図のある小学校 ―― 旧中込学校
わが国の水準はこう決まる ―― 日本水準原点標庫
礼儀作法の家は小鳥の西洋館 ―― 小笠原伯爵邸
ケンブリッジ出身の殿様の御乱行 ―― 蜂須賀侯爵邸
百十五歳の洋式工場 ―― 富岡製糸場
日本一有名な西洋館 ―― 札幌時計台
クラーク先生と下見坂の故郷 ―― マサチューセッツ
石炭王のユートピア ―― 松本健次郎邸
“ナニワの高天原”を知ってますか ―― 大阪市中央公会堂
蔵書のための洋館 ―― 岩崎小弥太の住まい(T)
ここが三菱財閥終焉の館 ―― 岩崎小弥太の住まい(U)
これはお寺じゃありません ―― 大黒湯
千住の風呂屋ラッシュ ―― 子宝湯
これが二十世紀の銭湯デス ―― 廿世紀湯
本書に登場する主な建築物一覧
解説 安西水丸


舟橋 聖一 (ふなはしせいいち)
「お市御寮人 ― 信長兄妹・波瀾の生涯」
(おいちごりょうにん)
ノン・ポシェット(祥伝社)



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*413頁
*発行 平成3年
*カバーデザイン・中原達治

*カバー文
兄信長とお市御寮人は、十四歳違いの兄妹である。共に信頼し合う最愛の二人だったが、お市が乞われて嫁いだ浅井長政と兄が対立し袂を分かった……。
お市に恋焦がれる柴田勝家、妻帯の身でお市を狙う好色な豊臣秀吉。乱世を生きる男たちの権力と野望を縦糸に、美貌のお市と信長の、波瀾万丈の生涯を華麗に描く舟橋歴史ロマンの最高傑作!

*解説頁・劇作家 伊藤信夫


古井 由吉 (ふるいよしきち)
「行隠れ」
 (ゆきがくれ)
集英社文庫



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*256頁 / 発行 昭和54年
*カバー装画・金守世志夫

*カバー文
妹の婚礼前夜に姿を消した不 具の姉。挙式は予定通り行われたが……。姉を求め探す大学生の末弟泰夫の魂の深層で、秘かに重なり合う“恋人への渇望”と“姉への思慕”。日常の時間の背後に潜む人間の情念を、鋭い感性としたたかな文章で結晶させた長篇小説。

*解説頁・高井有一


古井 由吉 (ふるいよしきち)
「山躁賦」
 (さんそうふ)
集英社文庫



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*231頁
*発行 昭和62年
*カバー・菊地信義

*カバー文
叡山山頂の宿で一夜を明かした「私」は、途方もない幻覚のひろがりに全身をつつみこまれる。谷間に坐るおびただしい豆粒ほどの僧が、重苦しげな呪文を称えている等々……比叡、高野、鞍馬、葛城、吉野など、神社仏閣、戦場を遍歴。研ぎ澄まされた感性で、超自然を体験する幻想紀行小説集。作者の新境地を拓いた金字塔。

*解説頁・渋沢孝輔


古田 武彦 (ふるたたけひこ)
「倭人伝を徹底して読む」
 (わじんでんをてっていしてよむ)
朝日文庫



*カバー装幀・荒川じんぺい
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*402頁 / 発行 1992年

*カバー文
倭人伝に、「倭人は帯方の東南大海の中に在り……」という条がある。著者・陳寿をはじめ当時の中国人は“大海”の語に、どんなイメージを托したのだろうか。……例えば、この様な問いを発することなくして、原文の解釈は一歩も進まないはずだ、とする著者が、魏志倭人伝を遂語的に総点検する。

*目次
 はじめに
 序
第一章 『三国志』以前の倭と倭人
第二章 日本の文献に見る倭
第三章 倭人伝以前の倭
第四章 帯方の東南大海の中に在り
第五章 里程論
第六章 記された国名
第七章 戸数問題
第八章 剣・矛・戈
第九章 銅鏡百枚
第十章 倭人伝の詔勅
第十一章 朝廷の多元性
 研究論文摘要
 あとがきに代えて ― 中山千夏さんとの往復書簡
 文庫版によせて
 資料 ― 倭人伝・読み下し文


古山 高麗雄 (ふるやまこまお)
「半ちく半助捕物ばなし」
 (はんちくはんすけとりものばなし)
集英社文庫



*カバー・風間完
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*370頁 / 発行 昭和56年

*カバー文
岡っ引の房五郎親分の手先になった煮豆屋の半助、他人を尾行(つけ)ても、張り込みしても、何をやらせても半ちく半端。同じ長屋の容姿(みめ)、気立て、声よしのおちよちゃんに岡惚れしたものの、思いはとどかず、悶々の毎日。そんなある日、おちよちゃんの親父(おとっ)さんを何者かが殺害。半助の胸ははり裂けんばかりになったが……。ユーモアとペーソスあふれる捕物ばなし。

*目次
わらびに咲いた桃の花
山吹色に濡れた達引(たてひき)
犬も歩けば土左に当たる
雪隠の火事の恋心
釣られ女は釣り女
良薬は体に痛し
焼きいも屋に手を出すな
雲は晴れたかまだかいな
手練手管に大掛かり
 解説 三木卓