絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【え】

永 六輔 (えいろくすけ)
「南無阿弥陀仏」
(なむあみだぶつ)
ハルキ文庫


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*181頁 / 発行 1998年
カバーイラスト・安西水丸

*カバー文
南無阿弥陀仏、ナムアミダブツ、ナンマイダー、ナマンダー、と唱えたら、大往生できる。そんなわけないと思いながらも頼ってしまう。六字の名号にこめられた悲しみを、寿徳山・最尊寺十六代目住職、永忠順という父から学んだ、寺生まれの寺育ち、正真正銘江戸ッ子十七代目の著者が綴る、ホロリ切ない半生自伝。

*目次
 はじめに、南無阿弥陀仏 / T 合掌 / U 南章 / V 無章 / W 阿章 / X 弥章 / Y 陀章 / Z 仏章 / [ 合掌 あとがき / 解説 小沢昭一


江國 滋 (えぐにしげる)
「滋酔郎 俳句館」
 (じすいろうはいくかん)
朝日文庫



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*272頁
*発行 1989年
*カバー装幀・安野光雅

*カバー文
「東京やなぎ句会」で永年“句道”に磨きをかけてきた滋酔郎こと江國滋が、もちまえの庶民気質と自由人の闊達な目を活かして語る、俳句とエッセイによる痛快社会戯評。紅白歌合戦、確定申告、タクシードライバー、押し売り電話、人事異動、いじめ……社会におこるさまざまな事象を、十七文字のフレームに鮮やかに切りとってみせる。


江國 滋 (えくにしげる)
「落語への招待」 (らくごへのしょうたい)
朝日文庫


*カバー装画・安野光雅
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*315頁 / 発行 1998年

*カバー文
自称落語愛好者の著者が、古典落語を堅苦しい「古典芸術」のイメージから洒脱な筆で解き放つ、名随筆集。日本人の喜怒哀楽の機微に寄り添う庶民性と、ときに生の深淵を垣間見せるリアリティの瑞々しさ ― 。世代を越えて息づく“日本の粋”の魅力に溢れる落語水先案内書。

*目次
落語への招待
  私の落語鑑賞 / 誇張のおかしさ / 落語的リアリティー / かなしさを伝える / 幻想の世界 / 場面転換と省略 / 仕草の妙味 / 題名とサゲ
落語哲学
  序説 / 諺について / 色について / 金について / 生活の知恵について / 道徳について / 言葉について / 現代性について / 結語
料簡・吟味・間
  料簡 / 吟味 / 間 / 結語
落語の人物
  「愛すべき論」 / 錯覚と約束 / 群像としての魅力 / すべてわが像
裸の江戸っ子
  暗黙の了解 / 二つの啖呵 / 地理的優越感 / 痩我慢集団 / 徒党を組めば / 称号として残る
職人百景
  職人魂 / 黄金の腕 / わが被害妄想 / 主客顛倒 / 不思議で不思議で / 鳶やーい / 強気 / 年季野郎頌 / 包丁一本 / 仕立職ご出世 / 東西東西 / 実感的職人論
服装描写考
食物描写考
  刺身 / 鰻 / 酒 / 豆腐 / 甘納豆 / 赤飯 / おかめそば
落語無学
  どろぼう / ひいふ / たんめい / みずや / こうべえ
芸談
桂文楽との別離

 解題
 江國さんをしのぶ ― 小沢昭一

 〈装画〉江國滋


江馬 進 (えますすむ)
「世界の模様帖 テキスタイルにみる伝承デザイン」
(せかいのもんようちょう)
青幻舎ビジュアル文庫シリーズ


*デザイン・坂田佐武郎
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*312頁 / 発行 2014年

*カバー文
終戦後、外国の文化が堰をきったように流入された日本。掲載された模様は、コプト製、ペルシャ製、インド更紗をはじめ、西欧、東欧、北欧、アフリカ、中近東、アジア、南米と幅広く、世界全域に及ぶスケールを有します。
日本画家であり、西陣織の図案家でもあった江馬進(1910〜1973年)は創作、研究のため、世界各地より蒐集された裂地を模写し、木版刷りによる『東西染織文』(1951年、1955年刊)を著しました。本書に収録された320余点の裂地模様は、世界の国々や様ざまな民族の特徴を表し、古くから連綿と受け継がれてきました。モチーフは、植物、花、幾何学、動物、人物など、多様な色づかいで構成されており、刊行から半世紀以上を経た今も、私たちに新鮮な驚きと新たな発見を生み出してくれます。世界の模様の数々をごゆっくりお愉しみ下さい。

*目次
はじめに
染織文様の分類とその特徴 城一夫
 1 染織文様の誕生 / 2 染織文様の起因とその存在意義 / 3 染織文様の種類と分類 / 4 染織文様の変遷
ヨーロッパ / 中近東 / アフリカ / アジア / アメリカ
解説 染織文様別 / 索引


エリス・ピーターズ著・大出 健訳 (Ellis Peters・おおいでけん)
「死を呼ぶ婚礼 修道士カドフェルシリーズD」
(しをよぶこんれい)
光文社文庫


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*337頁 / 発行 2003年
*cover design・盛川和洋(櫻舎)
*1991年11月 現代教養文庫刊『死への婚礼』を改題

*カバー文
── 四十歳以上も年下の花嫁を連れて、シュルーズベリに華燭の典を挙げに来たドンヴィル。資産家の花嫁には、財産目的の伯父・伯母も付いていた。ところが、婚礼の前日に行先も告げずに消えたドンヴィルは、婚礼当日に無惨な絞殺死体となって発見される。犯人と目されたドンヴィルの従者は、美貌の花嫁に切ない想いを残しながらも逃亡を図った。カドフェルだけが知り得た最終章の思わぬどんでん返しは……。

*巻末エッセイ いいじゃん、面白ければ 温水ゆかり


エリス・ピーターズ著・岡本 浜江・岡 達子・大出 健訳 (Ellis Peters・おかもとはまえ・おかたつこ・おおいでけん)
「修道士カドフェルの出現 修道士カドフェル・シリーズ(21)」
(しゅうどうしかどふぇるのしゅつげん)
光文社文庫


*cover design・盛川和洋
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*206頁 / 発行 2006年

*カバー文
── 時は1120年の晩秋。国王ヘンリーは16年にもわたって続けられていた戦闘に終止符を打ち、イングランドとノルマンディの所領を統一することに奏功した。そして王のために戦った諸侯や騎士たちの中に、経験豊かな練達の戦士カドフェルはいた。 (「ウッドストックへの道」)
── カドフェルがいかに天の啓示を受け、修道院にたどり着き修道士になったのか。その経緯を描いた作品を含む、シリーズ唯一の短編集。全21巻完結。

*目次
 はじめに
ウッドストックへの道
死の価値
目撃者
 解説 カドフェル誕生
 付録 修道士カドフェル・シリーズ:ガイド


エリス・ピーターズ著・大出 健訳 (Ellis Peters・おおいでけん)
「秘跡  修道士カドフェルシリーズ(11)」
(ひせき)
光文社文庫


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*338頁
*発行 2004年
*cover design・盛川和洋(櫻舎)

*カバー文
―― 女帝モードとスティーブン王の『骨肉の争い』は最終局面を迎えていた。そんな中、ハイド・ミードの修道院を焼け出された修道士が、シュルーズベリに逃げて来る。十字軍に従軍したこともあるヒュミリス、そして負傷した彼に献身的に尽くすフィデリスだった。ヒュミリスには従軍前に将来を約束した、当時六歳の婚約者・ジュリアンがいた。ところが修道院に入っているはずの彼女は、三年前から行方知れずになっていて……。

*解説頁・大津波悦子(ミステリー評論家)


エレン・E.M. ロバーツ著 (Ellen E.M. Roberts) 大出 健・椋田 直子訳 (おおいでけん・むくたなおこ)
「絵本の書き方 ― おはなし作りのAからZ教えます」
(えほんのかきかた)
朝日文庫


*カバーデザイン・福田和雄
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*234頁 / 発行 1999年

*カバー文
魅力的な主人公をつくるには? ストーリーに不可欠な要素とは? 読み手の特性、プロットの立て方から、イラストレーターとの共同作業の進め方、原稿持ち込みのコツまで、多くの絵本を手がけたベテラン編集者が実例を挙げ、具体的にレクチャーする、絵本作家になるためのパーフェクト・ガイド!

*目次
 序文 バーバラ・ロロック(ニューヨーク公共図書館児童図書部)
 まえがき アルヴァン・トレセント(児童文学研究所学部長)
第1章 絵本とは何か
第2章 絵本の世界
第3章 自分の世界を見つけだせ
第4章 さまざまな絵の工夫
第5章 主人公と正確設定
第6章 物語の構成 ―― 驚きと満足感
第7章 絵本の舞台設定
第8章 絵本の原則
第9章 執筆プラン
第10章 原稿を練りあげる
第11章 原稿提出をめぐって
第12章 原稿から本になるまで
第13章 第二作以降をどうするか
第14章 ルールを破れ
 巻末付録 参考絵本 / 訳者あとがき


円地 文子・瀬戸内 寂聴・佐藤 愛子・田辺 聖子 (えんちふみこ・せとうちじゃくちょう・さとうあいこ・たなべせいこ)
「私の履歴書 ── 女流作家」
(わたしのりれきしょ じょりゅうさっか)
日経ビジネス人文庫(日本経済新聞出版社)


*ブックデザイン・鈴木成一デザイン室
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*460頁 / 発行 2007年

*カバー文
「作家の履歴書は、作品を読む方が本当のことを語っていると思う」(円地文子)。しかし本書も一度読み始めるとやめられない面白さ! いずれ劣らぬ華麗な文学遍歴からは、昭和という時代、特に戦争を生き抜いた日本人女性のたくましさも垣間見えてくる。 解説:斎藤美奈子

*目次
私の履歴書 円地文子
私の履歴書 瀬戸内寂聴
私の履歴書 佐藤愛子
私の履歴書 田辺聖子
 解説 斎藤美奈子


遠藤 ケイ (えんどうけい)
「男の民俗学T 職人編」
(おとこのみんぞくがく)
小学館文庫


*カバーイラスト・遠藤ケイ
 カバーデザイン・折原カズヒロ
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*317頁 / 発行 2004年

*カバー文
昭和の日本には、旧きよき時代を腕一本で支えつづけた男たちがいた。頑固一徹に磨き上げられた熟練の手技。愚直なまでにひたむきに昔ながらの手仕事を貫く生涯一職人の心意気。失われつつある伝統や、土着の芸能を、体を張って守り抜く男たちの矜持がそこにある。名もなき「昭和の名匠」たちを全国に訪ね歩いた著者が、精緻にして骨太な絵と文で描き出す伝統の技と男たちの生きざま。杜氏、花火師、刺青師、猿まわし匠、ビードロ職人、暖炉職人、チンドン屋衆など全三十七編を収録した「男の民俗学シリーズ」第一弾。

*目次
文庫版まえがき
黒衣伝 / 杜氏伝 / 花火師伝 / 猿まわし伝 / 魚河岸伝 / ゲージ屋伝 / 墨匠伝 / 墨壷職人伝 / 凧師伝 / 装蹄師伝 / 刺青師伝 / 車人形師伝 / 出羽人形師伝 / 琵琶法師伝 / 虚無僧伝 / 焼きイモ屋伝 / ビードロ職人伝 / 琉球硝子職人伝 / 祭り人形師伝 / 海鼠壁職人伝 / 金魚屋伝 / 簀桁職人伝 / 万年筆職人伝 / 飴職人伝 / ベーゴマ職人伝 / 煙突掃除人伝 / 黒文字職人伝 / 人体標本職人伝 / リヤカー職人伝 / チンドン屋伝 / 硯彫り師伝 / 暖炉職人伝 / 琉球三絃師伝 / 鳥獣剥製師伝 / 軍鶏・闘鶏伝 / 闘犬伝 / 鮭木彫り名人伝
解説 野田知佑



遠藤 ケイ (えんどうけい)
「男の民俗学U 山野編」
(おとこのみんぞくがく)
小学館文庫



*カバーイラスト・遠藤ケイ
 カバーデザイン・折原カズヒロ
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*347頁 / 発行 2005年

*カバー文
 厳しい自然のなかに身を置き、生きるための糧を命がけで得てきた男たちがいる。
 獲物を狩り、木を伐り、土を掘り起こし、火を操って、自然と闘いながら、自然と共に生きてきた山の男たちだ。 長い経験によって培われた知恵と技。強靱な肉体と腹に据えた覚悟。そして、自然と正面から向き合う者だけが知る、掟と、祈り。
 現代の日本人が忘れかけた人の営みの原点がそこにある。鷹匠、マタギ、炭焼き職人、杣人、木地師、刀工、養蜂家など、全三十六編を収録したシリーズ第二弾。

*目次
鷹匠伝 / マタギ烈伝 / ハブ捕獲人伝 / 養蜂伝 / 杣人伝 / 木馬師烈伝 / 漆掻き人伝 / 炭焼き伝 / 輓馬烈伝 / 猪撃ち伝 / エゾ鹿撃ち伝 / わだら猟伝 / 山スキー職人伝 / ピッケル職人伝 / 野鍛冶伝 / 鋳物師烈伝 / 刀工伝 / 大甕細工人伝 / 茅葺職人伝 / 豊後土工伝 / 石油採掘人伝 / 炭焼き窯職人伝 / 森林伐採師伝 / ドンタ引き伝 / ハツリ師列伝 / 木地師伝 / メンパ職人伝 / 杓子職人伝 / 山草採取人伝 / 自然薯掘り伝 / 岩茸採取人伝 / 蜂の子捕り伝 / とりもち職人伝 / 馬具職人伝 / 角突き伝 / 道祖神石工伝 / 解説 松岡正剛


遠藤 ケイ (えんどうけい)
「男の民俗学V 大漁編」
(おとこのみんぞくがく)
小学館文庫


*カバーイラスト・遠藤ケイ
 カバーデザイン・折原カズヒロ
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*348頁 / 発行 2005年

*カバー文
 海の漁師は、大海に船を出し、命懸けで獲物を狙う。川の漁師は、清流に身を浸し、熱く魚影の群れを追う。身ひとつ、腕一本の真剣勝負。先人から受け継いだ独自の漁法、危険をも顧みない漁師の気概、鍛え抜かれた熟達の業、そして何より、豊漁に沸く男たちの輝く笑顔がそこにある。
 鯨、海蛇、伊勢海老、カジキ、サンマから、鰻、シロウオ、ムツゴロウ、ザザ虫まで、日本各地に伝わる伝統の漁、奇漁・珍漁を丹念に追い、海川に生きる男たちの姿を生き生きと捉えた全三十七編。シリーズ完結の第三弾。

*目次
トド撃ち烈伝 / 捕鯨師伝 / 大漁旗染め師伝 / 突棒伝 / 見突き漁師伝 / サワラ突き漁伝 / めいろう師伝 / 追い込み漁師伝 / 糸満漁師伝 / 海蛇捕獲人伝 / 海老ふせ漁師伝 / バンジョウ漁師伝 / 房総海士列伝 / 房総潜水夫伝 / 海女眼鏡職人伝 / 鵜匠伝 / 鵜捕獲人伝 / 川漁師伝 / ザザ虫捕り伝 / 石がち漁師伝 / 網戸漁師伝 / 塩引き名人伝 / ザイボリ漁伝 / モジリ漁伝 / 鰻捕獲人伝 / たきや漁師伝 / 追い叉手漁伝 / 郡上竿師伝 / 四万十川漁師伝 / 白魚漁師伝 / ムスカケ烈伝 / シャク捏ね漁師伝 / 釣り針職人伝 / イカダ師伝 / 砂金掘り伝 / 砂鉄採掘人伝 / 文庫版あとがき / 解説 C・W・ニコル


遠藤 周作 (えんどうしゅうさく)
「フランスの大学生」
(ふらんすのだいがくせい)
新風舎文庫



*カバーデザイン・山下大輔
 カバーイラスト・浅倉めぐみ

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*253頁 / 発行 2005年

*カバー文
一九五〇年、二十七歳の遠藤周作はフランス現代カトリック文学を学ぶため戦後初の留学生としてフランスに渡った。本書は、留学期間中、フランスの学生生活について日本に書き送った原稿をまとめたエッセイ集である。本書収録の「フランスにおける異国の学生たち」、「ボルドオ」「テレーズの影を追って」は、一九五一年三月のアルデッシュ旅行、八月のボルドー旅行を題材にしており、特に重要な意味を持つ。著者の若々しい感受性とみずみずしい文体を感じさせる幻のデビュー作品が復刊。
解説は、作家・三田文学編集長の加藤宗哉。巻末には、遠藤周作年譜を収録。

*目次
T 四つのルポルタージュ
 恋愛とフランス大学生 / フランス大学生とコミュニスム / フランスにおける異国の学生たち / 一九五〇年代のフランス大学生)
U 牧歌
 葡萄の丘と夏の雲 / ボルドオ / テレーズの影を追って
V 四季
 絵葉書の裏に / 冬 ― 霧の夜 / 春 ― 日記から / 夏 ― アルプスの陽の下で / 秋 ― 白き墓地
 あとがき / 新版あとがき / 解説 加藤宗哉 / 巻末資料 / 書評 / 遠藤周作年譜 山根道公編