絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【と】

戸板康二著・吉田千秋写真 (といたやすじ・よしだちあき)
「写真歌舞伎歳時記 秋・冬」 
(しゃしんかぶきさいじき)


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*141頁 / 発行 昭和55年
*カバー写真・「暫」の尾上辰之助 デザイン・山下昌也

*カバー文
現在演じられている歌舞伎の大半は、かつて大阪の人形浄瑠璃の竹本座・豊竹座で書きおろされた作品で、近松門左衛門以降、おどろくほど高水準の傑作が数多く作られている。歌舞伎の作者が工夫した物語の世界と趣向の奥行の深さは限りなく、スペクタクルとしての卓抜な着想も観客に視覚的に強烈な印象を与える。本書はその「秋冬」版。

*目次
カラー図版
 秋狂言
  菊畑 鬼一法眼三略巻
  引窓 双蝶々曲輪日記
  茶屋場 七段目 仮名手本忠臣蔵
 冬狂言
  櫓のお七
  新口村 恋飛脚大和往来
  吉田屋 廓文章
  三千歳直侍 雪暮夜入谷畦道
 正月狂言
  対面 寿曽我対面
本文・モノクロ図版
 秋
  星飛ぶ / 迎火 / 燈籠 / 虫の声 / 放生会 / 八幡祭 / 秋の潮 / 廓の秋 / 霧 / 木の実 / 菊 / 菊畑 / 蘭菊 / 紅葉 / 紅葉狩
 冬
  焚火 / 障子 / 枕屏風 / 筆売 / ふところ手 / 炬燵 / 火鉢 / 咳 / 頭巾 / 足袋 / 羽織 / 頬かぶり / 火の番 / 夜鷹そば / 熱もり / おでん / 狸 / 京の顔見世 / 浮寝鳥 / 雪 / 雪こかし / 傘の雪 / 雪つぶて / 雪責 / 雪衣 / 白鷺 / 春支度 / 年忘 / 餅つき / 紙子 / 小判
 新年
  春芝居 / 初曽我 / むきみ隈 / 島台 / 羽根 / 万歳 / 凧 / 鳶と角力 / 鏡開
役者定紋
流動の美 戸板康二


戸板 康二 (といたやすじ)
「グリーン車の子供」 
(ぐりーんしゃのこども)


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*303頁 / 発行 1982年
*カバー装画・小松久子

*カバー文
子役が気に入らず出演を躊躇っていた雅楽はグリーン車で偶然隣合わせた奇妙な女の子を見るうちに……新幹線をともに旅する読者を意外な結末に導く絶品、日本推理作家協会賞受賞の表題作ほか、老優中村雅楽と竹野記者の名コンビが活躍する10篇を収録。劇通にして人間通の著者ならではのアイデアが魅力の傑作集。

*目次
滝に誘う女 / 隣家の消息 / 美少年の死 / グリーン車の子供 / 日本のミミ / 妹の縁談 / お初さんの逮夜 / 梅の小枝 / 子役の病気 / 二枚目の虫歯 / 神かくし
 解説 小泉喜美子


戸板 康二 (といたやすじ)
「小説・江戸歌舞伎秘話」
 (しょうせつえどかぶきひわ)


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*457頁
*発行 昭和52年
*カバー装画・山本武夫

*カバー文
「車引」の場で梅王丸、松王丸、桜丸の三兄弟は赤の襦袢を着る恒例になっているが、五代目団十郎はあるとき白襦袢を着用してアッといわせた。団十郎に新趣向を思いつかせるには、陰にどんな事情があったか(座頭の襦袢)。歌舞伎研究で高名な著者が、江戸歌舞伎に題材を得てミステリ趣向をこらした異色連作小説。

*解説頁・小泉喜美子


戸板 康二 (といたやすじ)
「團十郎切腹事件」
 (だんじゅうろうせっぷくじけん)


*カバー装画・山本武夫
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*296頁 / 発行 昭和56年

*カバー文
謎を残す八代目團十郎の死を名探偵老優雅楽が卓抜な着想で推理する直木賞受賞の表題作の他、『車引殺人事件』『奈落殺人事件』など、花道と奈落の明暗の境に生きる役者の世界に材をとる七篇を収録。頭脳明晰にして洒脱、ユニークな名探偵雅楽を得て、歌舞伎の虚構美と謎解きの論理性がみごとに結晶した本格推理短編集。

*目次
車引殺人事件
尊像紛失事件
立女形失踪事件
等々力座殺人事件
松王丸変死事件
盲女殺人事件
團十郎殺人事件
奈落殺人事件
 後記
 解説 小泉喜美子


戸板 康二 (といたやすじ)
「松風の記憶」
 (まつかぜのきおく)


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*303頁
*発行 昭和58年
*カバー装画・小松久子

*カバー文
歌舞伎俳優の浅尾当次が巡業先で変死した。早朝、人里離れた山寺に当次を呼び寄せた人物は何者か。やがて当次には息子の当太郎のほかに二人の隠し子がいることがわかった ― 。親友の死の謎に挑む名探偵・中村雅楽の滋味溢れる名推理が、芸に生きる人間たちのもつれた愛憎の糸を解きほぐす傑作長編推理。

*解説頁・小泉喜美子


戸板 康二 (といたやすじ)
「六代目菊五郎」 
(ろくだいめきくごろう)


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*194頁
*発行 昭和54年
*カバーデザイン・村山豊夫

*カバー文
近代歌舞伎の名優六代目菊五郎は、舞台の工夫、芸域の広さ、知識の豊かさ等において、誰も真似できない才人であった。大正期、初代中村吉右衛門と競演した華やかな時期は「菊吉時代」とよばれる。本書は、この伝説的名人の素顔、思想、芸風等を、豊富な資料とあふれる意欲とで描出した評伝で、著者の代表作。

*解説頁・利倉幸一


東郷 隆著・上田 信絵 (とうごうりゅう・うえだしん)
「歴史・時代小説ファン必携【絵解き】雑兵足軽たちの戦い」
(ぞうひょうあしがるたちのたたかい)


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*240頁 / 発行 2007年
*カバー装画・上田信 / カバーデザイン・若月清一郎

*カバー文
戦国時代の合戦で活躍した雑兵足軽たち。勝敗を決する部隊の主役でありながら、武将の陰で注目されてこなかった彼らの戦いの実像を、正確な考証とリアルなイラストで再現。足軽のルーツ、合戦への動員のされ方、給料の額、集団戦法と武器の使用法など満載の、ビジュアル歴史読みもの第2弾!〈文庫書下ろし〉

*目次
序 / 雑兵足軽像の実際 / 下級兵士の発生 / 源平から鎌倉へ / 弓兵となる雑兵 / 対モンゴル戦と倭寇 / 南北朝と武装民(悪党と野伏) / 雑兵弓の威力 / 雑兵の新兵器 / 応仁の乱と足軽 / 村々の雑兵 / 下剋上の先兵たち / 一領具足 ── 兵農未分離の人々 / 『雑兵物語』の世界 / 長柄槍 / 陣中の心得@食 / 陣中の心得A排泄 / 陣中の心得B医療 / 陣中の心得C博打 / 陣中の心得D盗み / 陣中の心得?略奪 / 陣中の心得F女と商売人 / 鉄砲足軽・弓足軽 / 旗差・戦陣に備える兵 / 江戸期以後の足軽


ドウス 昌代 (どうすまさよ)
「イサム・ノグチ 宿命の越境者(上下)」




*カバー写真・安斎重男
 カバーデザイン・平野甲賀
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*上397頁 / 下464頁 / 発行 2003年

*カバー文

母の国・アメリカ、父の国・日本。数奇な運命と歴史の嵐の狭間で「ミケランジェロの再来」と謳われた少年の苛酷な旅がはじまる。父子の相剋、戦争、華麗な恋愛遍歴、そして栄光と孤独 ── 。波瀾万丈の84年を描きつくす傑作ノンフィクション!


自然とエロス、東洋と西洋の美の融合。巨匠はひたすらに美を追い求め、狂おしく愛に生きる。名声はいや増し、孤独の影は濃い。己れの宿命に果敢に向きあい、20世紀を生き抜いた大芸術家が最後まで追い求め、問い続けたものはいったい何か……。渾身の取材で魂の叫びに耳を傾け、精神の深淵に迫る評伝。

*目次

 プロローグ
第一章 母の子
 T ヨネ・ノグチ / U レオニー・ギルモア / V 異邦人の恋 / W 宿命の子 / X 父の国へ / Y まぼろしの故郷
第二章 オール・アメリカン・ボーイ
 T インタラーケン校 / U 父代わり / V イサム・ノグチを名乗る / W パリの青春 / X 東洋への巡礼 / Y 母の死
第三章 かたつむりの歌
 T メキシコの蝶=フリーダ / U 父の国と母の国の決裂 / V ポストン強制収容所 / W アクドゥガル・アレー / X 瞳にきらめく明星=ナヤンタラ / Y インドへの道


第四章 日本との蜜月
 T 灰燼の国 / U ヨシコさん / V 結婚 / W 魯山人の「夢境」 / X 夢幻の破局 / Y 東は東、西は西
第五章 庭という小宇宙
 T ユネスコ庭園 / U 大いなる始まり / V 二人の小さな巨人 / W 石工との出会い / X 豊饒の季節 / Y エロスのぬくもり
第六章 さようなら、夢追い人
 T イサム・ノグチ庭園美術館 / U ヴェネツィア・ビエンナーレ / V 最後の仕事
 エピローグ
 あとがき / 取材協力者 / 参考文献 / 解説 藤森照信 / 年譜


ドウス 昌代 (どうすまさよ)
「水爆搭載機水没事件 トップ・ガンの死」
(すいばくとうさいきすいぼつじけん)


*カバー写真 ユニフォト・プレス
 カバーデザイン 安彦勝博
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*403頁 / 発行 1997年

*カバー文
日米両国が隠蔽を企てた核大国アメリカの最高機密に挑む。一九六五年、米航空母艦タイコンデロガから核兵器を搭載した攻撃機が、パイロットを乗せたまま転落。「ブロークン・アロー」という暗号の核兵器事故の調査報告では、事故現場は太平洋海上とされたが、実は沖縄沖であることが判明した。『トップ・ガンの死』改題

*目次
プロローグ
第一章 何かを訴える必死な表情を残して……
第二章 水没事故の原因は誰に?
第三章 死者は語る
第四章 なぜ事故は隠蔽されたか
第五章 残された者も、生き延びた者も……
エピローグ
あとがき
参考文献・資料リスト


トウベ・ヤンソン著 香山彬子訳 (かやまあきこ)
「彫刻家の娘」 
(ちょうこくかのむすめ)


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*272頁
*発行 昭和48年
*カバー K・B・K / カバー写真 ベル・ウーロフ・ヤンソン

*カバー文
一連のムーミン童話でいまや「現代の神話の創造者」とその天才を評価されるトウベ・ヤンソン。彼女の遠い幼い日の想い、魂の叫びと幻想のアラベスク ―― 静かな森と湖と入江、雪と氷の静寂、バラライカの音色、サウナ焚、ロウソクの煌き……。
彫刻家の父、画家の母に類い稀な才能を受継ぎ、時に奔放に激しく、時に優しく海の波に、嵐に、バラになる。まさにムーミンの世界の凝縮であり、待望の初訳。


戸川 昌子 (とがわまさこ)
「大いなる幻影」
 (おおいなるげんえい)


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*195頁
*発行 昭和53年
*カバー装画・国分正夫

*カバー文
古色蒼然とした赤煉瓦のアパートは、女の館だった。互いに他人を寄せつけずに暮らす老嬢たち。そこへ突如アパート移動工事が始まる。工事に呼応して奇怪な事件が続発し、それまで沈潜していた老嬢たちの過去がむき出しにされた! 人間の愛憎、女心の軌跡をサスペンス十分に描いた名作。第8回乱歩賞受賞作品。

*解説頁・赤江瀑


戸川 幸夫 (とがわゆきお)
「ヒトはなぜ助平になったか」
 (ひとはなぜすけべえになったか)


*カバー装画・おおば比呂司
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*227頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
なぜヒトには“交尾期(さかり)”がなくなったのか?ヒトはなぜ“対面位”で交わるようになったのか?なぜオッパイはいつも肥大しているのか?比較動物学という見地から多くの動物たちの場合と照応しながら、ヒトの性を男女の結合力の根源として据えなおし、ヒトと動物の性の本質を真面目に楽しく考察する。

*目次
第一章 ヒトが助平になったわけ
第二章 ヒトのセックスに門限はない
第三章 オッパイは広告?
第四章 口説きのテクニック
第五章 異常にして正常な性
第六章 ひねくれ性談
第七章 おしまいの話
 あとがき
 解説 尾崎秀樹


殿山 泰司 (とのやまたいじ)
「三文役者あなあきい伝 partU」 
(さんもんやくしゃあなあきいでん)


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*247頁
*発行 昭和55年
*カバー装画・和田誠

*カバー文
復員して、ふたたび迎える役者稼業。進藤兼人・吉村公三郎ら多彩な才能との出会い、そして敬愛してやまない川島雄三との交際 ― 華やかで充実した映画界の人々の裏話、心優しき友とのふれあいなど、映画と共に歩んだ三文役者・殿山泰司の半生を戦後映画史に託して語るユーモアとペーソス横溢の快作。

*解説頁・金井美恵子


土門 拳 (どもんけん)
「続々風貌」 (ふうぼう)


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*110頁
*発行 昭和53年
*カバーデザイン・松永真

*カバー文
各界の才能を撮って、86人。鬼才26歳の作品に始まり、1951年、41歳までに撮影の名高い人物写真集の完結篇。私たちは、これによって近代日本を担った著名人の素顔を知るのもよいだろう。写真一筋、剛腕の巨匠の、あまりに誠実・熱血の生き方をたどるのもよい。これは、写真の本道に生まれた、あなたのための古典である。


富岡 多惠子 (とみおかたえこ)
「西鶴の感情」
(さいかくのかんじょう)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊池信義
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*272頁 / 発行 2009年

*カバー文
商都大坂、銀が銀を生む世の実相と、色と欲に翻弄される人達の生態をリアルに描いた井原西鶴。伝記もなく、殆ど知られざるその実像を、作品の行間から、また同時代の遊女評判記などから鮮やかな手付きで攫みだし、西鶴が生きた「時代」と「場所」を臨場感たっぷりに現前させる。中勘助、釋迢空など、評伝に新境地を拓いた作者の批評精神が最高度に発揮され、伊藤整文学賞、大佛次郎賞両賞を受賞した傑作。

*目次
西鶴の感情
 著者から読者へ
 解説 松井今朝子
 年譜
 著者目録 与那嶺恵子


富永 健一 (とみながけんいち)
「マックス・ヴェーバーとアジアの近代化」 (まっくすヴぇーばーとあじあのきんだいか)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*288頁 / 発行 1998年

*カバー文
近代化を探究したマックス・ヴェーバーは、宗教改革を経た禁欲的なプロテスタンティズムが、勤勉に働き資本形成に励む企業家精神を養い資本主義を生んだとした。一方、アジアの神秘主義的な儒教や現世逃避的な仏教は、合理化を求める近代化とは相いれず、日本のみが西欧的な封建制をもったため容易に資本主義を受けいれることができたとする。ヴェーバーの理論でアジアの近代化の問題点を指摘する。

*目次
第一章 日本の近代化とマックス・ヴェーバーの社会学理論
第二章 資本主義の精神における西洋対東洋 ― アジアにおける近代化の未成熟
第三章 マックス・ヴェーバーと中国および日本の近代化
第四章 日本の近代化と欧米の社会学思想 ― 日本の精神的近代化過程の一側面
第五章 マックス・ヴェーバーと経済社会学


豊田 穣 (とよだじょう)
「革命家・北一輝 『日本改造法案大綱』と昭和維新」
(かくめいかきたいっき)


*カバーデザイン・安彦勝博
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*560頁 / 発行 1996年

*カバー文
主著『日本改造法案大網』に記された壮大な国民救済の論理と日本民族発展の理想は、青年将校に多大な影響を与えた。“昭和維新の聖典”としてもてはやされたばかりではなく、その後の大日本帝国の運命をも変えた。本書は、昭和初期の最大のイデオローグであった北一輝の生涯と思想を追究した傑作評伝である。

*目次
第一章 二・二六事件勃発と北一輝
 雪の朝 / 正義軍決起す! / 北一輝と正義軍 / 戒厳令と正義軍 / 人無し、勇将真崎あり / カリスマと志士たち / 西郷と北一輝 / 秩父宮と二・二六事件 / ついに“反乱部隊”となる / 秩父宮の令旨と北一輝の逮捕 / 落日の反乱軍
第二章 北一輝の故郷をゆく
第三章 『日本改造法案大綱』
 『日本改造法案大綱』と北一輝 / 巻二 私有財産制度 / 巻三 土地処分三則 / 巻四 大資本の国家統一 / 巻一 国民の天皇
第四章 北一輝の誕生
 北一輝の生い立ち / 北一輝とニーチェ / 北一輝と坂本龍馬 / 『国体論』と『純正社会主義』 / 失恋・上京・『国体論』 / 北一輝思考のルーツ / 中国革命への参加 / 嵐の中の北一輝 / 新しい中華民国の発足 / 北一輝の結婚 / 宋教仁の暗殺 / 弟・昨吉の見た北一輝 / 宋教仁の亡霊・北一輝の中国追放と再訪 / 北一輝の変身 / 『支那革命外史』の発想と意図
第五章 戦争の予兆と予見
 転換期の北一輝 / 『日本改造法案大綱』執筆の頃 / 孫文と日本外務省の秘密契約 / 法華経と北一輝 / 宮中某重大事件と北一輝 / 朝日平吾の遺書 / 西田税の出現 / 北一輝の風貌、西田を魅了する / カリスマと相続く怪文書事件 / 軍部ファシズムの胎動 / 動き出した軍部ファシスト / 統帥権干犯事件と一夕会 不発! / 三月事件と十月事件 / 満州事変と十月事件 / 西田税の経歴 / 秩父宮の同期生として陸士本科へ / 再び北朝鮮へ / 西田税、北一輝に革命断行の意思表示す / 浪人と国家改造 / 北一輝と大川周明の訣別 / 海軍のオルグ・藤井斉の登場 / ロンドン会議と国家改造派
第六章 五・一五事件勃発!
 西田狙撃さる / 犬養邸襲撃 / 五・一五事件と昭和維新 / 五・一五事件と北一輝 / 五・一五事件から二・二六事件まで / 陸軍士官学校事件と磯部浅一の登場 / 永田軍務局長斬殺さる / 磯部浅一という男 / 決起近し / そして雪が…… / 嵐のあと…… / 獄中の北一輝とその最期
第七章 北一輝小論
 (1)北一輝の心境 / (2)坂本龍馬と磯部浅一 / (3)北一輝に国家改造革命の意志ありや? / (4)明治維新と昭和維新 / (5)北一輝と『日本改造法案大綱』の運命


豊田 穣 (とよだじょう)
「波まくらいくたびぞ
悲劇の提督・南雲忠一中将」 (なみまくらいくたびぞ)


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*371頁
*発行 昭和55年

*カバー文
機動部隊司令官として南雲忠一が戦果を挙げた真珠湾攻撃でも、長官山本五十六を高名にしたものの南雲への評価は低い。そして近代海戦の始まりといわれるミッドウェーでは、南雲に敗戦の責めが負わされる。ここでも英雄は墜死した山本五十六であった。南雲に対する偏見を正すべく真実凝視を意図した著者の一大労作。

*目次
第一部 真珠湾 / 第二部 底流 / 第三部 霧のミッドウェー / 第四部 最期
 あとがき
 ある鎮魂歌 小木曽 新


単行本

講談社
*378頁 / 発行 昭和48年
*装幀・小高辰也

新書版


講談社ロマンブックス
*241頁(上下二段組頁) / 発行 昭和51年
*装幀・原弘 / 装画・山下昌也
*カバー文
米沢の貧しい士族の家に生まれた南雲忠一は“米沢の海軍”の伝統にしたがって海軍に入り、律儀な軍人としての生涯を歩んだ。豪傑肌の逸話の多い人物であった。生涯における最大の栄光は真珠湾攻撃の司令官としてのそれであり、最大の悲劇はミッドウエー敗戦の責を負わされ、サイパンで孤軍奮闘のうちに自決したことであろう。
南雲提督は、なぜにこうも極端な振幅のなかを揺れ動かなければならなかったか? その疑問を解き明かすことによって、山本五十六評価がゆるぎ始め、日本海軍史・太平洋海戦史評価の誤謬が浮きあがってくる。海兵出身作家の良心を賭した長編伝記力作。

豊田 穣 (とよだじょう)
「飛行機王・中島知久平」
(ひこうきおう・なかじまちくへい)


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*421頁 / 発行 1992年
*カバーデザイン・安彦勝博

*カバー文
飛行機にとりつかれた中島知久平は、旺盛な行動力で日本初の飛行機製作所を作る。折しも軍国主義の嵐。量産した軍用機のなかで「隼」「月光」などは航空史に残る名機だった。その一方で政治家としても活躍した彼は、先を見る眼力、エネルギッシュな動きで巨人とも呼ばれた……。飛行機王の生涯を描く名評伝。