絶版文庫書誌集成

中公文庫 【よ】

横関 英一 (よこぜきひでいち)
「続 江戸の坂東京の坂」
 (ぞくえどのさかとうきょうのさか)


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*217頁
*発行 昭和57年
*カバー画・尾形月耕「半蔵門」明治四十一年東陽堂刊『新撰東京名勝画譜』より

*カバー文
坂の街、東京 ― 江戸庶民が付けた、単純明快でしゃれっ気豊かな坂の名という文化財を、古書・古絵図に探り、習俗信仰をたずね、道脇の新旧変遷をたどって博く考証研究を重ねた労作。「同じ名の坂と橋」「丹後坂と三人の丹後守」「瓢箪坂」「忠弥坂私見」など。

*解説頁・俵元昭


吉岡 源治 (よしおかげんじ)
「焼跡少年期」 (やけあとしょうねんき)


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*289頁 / 発行 昭和62年

*カバー文
東京大空襲で家を焼かれ、次々に肉親を失い、幼い妹と二人焼跡を彷徨しつつ、幾多の辛苦と絶望をのりこえて生きた少年期を刻んだ体験記。時代の落し子として上野地下道を根城に浮浪児生活を送った著者が、敗戦直後の東京の姿、人情、風俗等を克明に記したドキュメント。

*目次
戦争にもてあそばれた運命 昭和七年〜二十年
敗戦前後 昭和二十年〜二十一年
つかの間の平安 昭和二十一年〜二十二年
上野駅の地下道に住む 昭和二十三年
横浜の米軍基地 昭和二十四年〜二十五年
父の死・兄との再会 昭和二十五年
不吉なきざし 昭和二十五年〜二十六年
流浪の日々 昭和二十六年
昭和二十七年春
その後の歩み
 あとがき
 文庫版のためのあとがき


吉田 健一 (よしだけんいち)
「怪奇な話」
 (かいきなはなし)


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*223頁 / 発行 昭和57年
*カバー・磯部兼人

*カバー文
孤島に建つ二つの僧院を島ごと入れ替えてしまう魔法使い、月に心を奪われる大工、女の幽霊を冥界から請け出す男、宝籤売りの老婆のお化け、男につきまとう幻の老人 ― 奇抜な着想と巧妙なユーモアに飾られたお化け物語本来の愉しみ。生死を超えた静寂さと人間の孤独を漂わせる幻想譚九篇。

*目次
山運び / お化け / 酒の精 / 月 / 幽霊 / 老人 / 流転 / 化けもの屋敷 / 瀬戸内海 / 解説 三浦雅士


吉田 健一 (よしだけんいち)
「舌鼓ところどころ」 (したつずみところどころ)


*カバー画・川上澄生「横濱どんたく」より
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*249頁 / 発行 1980年

*目次
食べものあれこれ
 一 日本 / 二 支那 / 三 西洋
舌鼓ところどころ
 新鮮強烈な味の国・新潟
 食い倒れの都・大阪
 瀬戸内海に味覚あり
 カステラの町・長崎
 味のある城下町・金沢
 世界の味を待つ神戸
 山海の味・酒田
 以上の裏の所
饗宴
 胃の話 / 女房コック論 / 饗宴 / 当て外れ / 仕事をする気持 / 駅弁の旨さに就て / 東京の食べものや / 飲み食いの思い出 / 酒と人生 / 酒の飲み方に就て / 飲む話 / 文学に出て来る食べもの
 解説 池田彌三郎


吉田 健一 (よしだけんいち)
「書架記」
(しょかき)


*カバーデザイン
 吉田浩美・吉田篤弘(クラフト・エヴィン商會)
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*259頁 / 発行 1982年

*カバー文
手に馴染み慈しんだ数々の書物への想い ── 柔軟な感性と硬質な知性が織りなす「書物」本来の感触への案内状。著者の文学的運命を決めた読書体験をつづる、記憶の中の書架から選んだ読書家のための十四篇。

*目次
ラフォルグの短篇集 / 「ヴァリエテ」 / プルウストの小説 / ドヌ詩集 / 「悪の華」 / ワイルドの批評 / エリオット・ポオルの探偵小説 / マルドリュス訳の「千夜一夜」 / ホップキンス詩集 / 「パルマの僧院」 / イエイツ詩集 / 「ブライヅヘッド再訪」 / 「テスト氏」 / ディラン・トオマス詩集 / 後記 / 解説 清水徹


吉田 健一 (よしだけんいち)
「東京の昔」 
(とうきょうのむかし)


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*212頁
*発行 1976年

*カバー文
都会に住むにふさわしい人間がいて
人間が住むにふさわしい都会があって
時空を超えて暮らしを思わせる東京の昔
自転車屋さん、留学志望の青年……
おでん屋の酒の匂いも漂う長篇異色作

*解説頁・入江隆則


吉田 茂 (よしだしげる)
「大磯随想」
 (おおいそずいそう)


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*144頁 / 発行 1991年
*カバー・富岡鐵齋筆「?山積翠」(明治三十一年刊『大磯紀勝』所蔵)

*カバー文
長期政権から退き大磯に隠棲した吉田茂が、戦後十余年にしていまだ未熟な日本の政治の貧困を憂い、これからの外交のあり方や協同防衛の妥当性、また民主主義の重要性とその行き過ぎへの懸念などを語る。
“This is Japan”誌に掲載の英文を併載。

*目次
政治の貧困
思い出つづるままに
海浜にて
外交と勘偶感
大磯随想
 後記 吉田健一
 著者略年譜
Random Thoughts from Oiso


吉田 知子 (よしだともこ)
「極楽船の人びと」 (ごくらくせんのひとびと)


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*223頁
*発行 1987年
*カバー装画・直江博史

*カバー文
幻の運命共同体「極楽船」があてのない航海に出た。さまざまな過去を背負った乗客たちが極限状況で繰り広げる死と狂気を描き、日常の世界がいつのまにか非日常の世界に転じてしまう不分明さを衝く。


吉田 秀和 (よしだひでかず)
「一枚のレコード」 (いちまいのれこーど)


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*262頁
*発行 1978年

*カバー文
一枚のレコードに盛りこまれた音楽の夢の深さを、作曲と演奏の両面から探り、そこに人間精神のさまざまな形を見る。音楽批評の第一人者が磨き上げられた文体で綴る好著。

*解説頁・大久保喬樹


吉田 秀和 (よしだひでかず)
「音楽紀行」
(おんがくきこう)


*カバー画 A・ロレンツェッティ「善政」
 (パラッツォ・プブリコ、シエナ)
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*412頁 / 発行 1993年

*カバー文
一九五三年から五四年にかけての約一年、ハワイ、サンフランシスコを振り出しに、東廻りでアメリカとヨーロッパの諸都市を訪ね、転換期にあった音楽をつぶさに体験した時の鮮明な感懐を、その時代の息吹きとともに伝える。

*目次
 吉田さんのこと 福田恆存
アメリカの音楽
 アメリカ第一課 ハワイからサンフランシスコ / 映画の町 ロスアンジェルス / クリスマス・イーヴ クリスマス・キャロル / メトロポリタン・オペラ ニューヨーク / ニューヨークのオーケストラ / ニューヨークの音楽家たち
ヨーロッハの街と音楽
 パリの石畳 ヨーロッパ第一歩 / 二十世紀音楽会議 ローマ / イタリアのオペラ フィレンツェとミラノ / 荘厳な熱狂 パリのフルトヴェングラー / パリの不安 / 国際音楽祭 ウィーン / ウィーンのオペラ / 郷愁 アムステルダム / ロンドの倦怠 イギリス / モーツァルトの町 ザルツブルク / さまざまな真実 ベルリン / 旅の終りに近づきながら
 文庫版のためのあとがき


吉田 秀和 (よしだひでかず)
「音楽の光と翳」 (おんがくのひかりとかげ)


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*216頁
*発行 1989年
*カバー画 J・M・W・ターナー「モコ湖」

*カバー文
幼い日から常に身の周りにあり、日々の生活に分かち難く結びついて、さまざまな角度から人生を照らしつづけてきた音楽を、慈しみを篭めたまなざしで語るエッセイ


吉田 秀和 (よしだひでかず)
「主題と変奏」 (しゅだいとへんそう)


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*140頁 / 発行 1977年

*カバー文
音楽批評の第一人者である著者が、シューマン、モーツァルト、フランク、バルトークなどの音楽の本質を、透徹した楽曲分析によりつつ、見事な文体のエッセイに結晶させ、日本における自律した音楽批評を初めて確立した記念すべき処女評論集。

*目次
1 ロベルト・シューマン
2 シューマンのピアノ協奏曲をめぐって
3 モーツァルトの変ホ長調交響曲
4 音階の音楽家
5 セザール・フランクの勝利
6 ベーラ・バルトーク
7 ショーペンハウエルのフリュート
 解説 粟津則雄


吉田 秀和 (よしだひでかず)
「響きと鏡」
 (ひびきとかがみ)


*カバー画 G・モランディ「静物」
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*249頁 / 発行 1990年

*カバー文
音楽、舞踏、映画、彫刻などの見聞から、人は何を感じ、何を考えているのだろうか。人生に、消し去り難い影響を及ぼす芸術の数々を、深く静かに見据えるエッセイ。

*目次
《花筺》を舞うひと / 教養としての音楽 / チャップリン ― 自己分裂の自覚 / 孤心からえたげへ / 華麗なる未熟 / 多産の喜び / たばこのけむり / 北の湖領 / 日記抄 / 本やの話 / 有名な人 / TVの歴史ドラマ / 近代日本最初の批評家 / 彫刻家ドガ / ヴィスコンティの世界 / 古きを捨てる / 最初の喪失 / 「外国」の眼 / 京劇見物 / 痴愚日記 / 芸術と人生 / 文庫版のためのあとがき


吉田 秀和 (よしだひでかず)
「レコードのモーツァルト」


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*201頁 / 発行 昭和55年

*カバー文
限りなく美しく奥行の深い
モーツァルトの音楽と
さわやかに響き合うエッセイ。
レコートを聴く喜び
選ぶ楽しみとともに
かけがいのない精神の愉楽へと
読者を誘う好著。

*目次
カラヤンのモーツァルトで……
カラヤンとくらべてバレンボイムのモーツァルトは……
音のきれいなピアニストでモーツァルトをきくと
ブレンデルはエスプレシーヴォのピアニスト
現在私たちのきける最も興味あるモーツァルト
ビショップ=コワセビィチのモーツァルト
ヴァルター・クリーンのモーツァルト演奏
ギレリスの音、ギレリスの音楽
ジョージ・セル
マリナーとバルシャイ
ふたりの女性ピアニスト ― ハスキルとヘプラー ―
ピリスのピアノ
ヴァイオリン・ソナタ ― シュリングとヘプラー ―
ハイドン・セットの弦楽四重奏曲(1)  ― イタリア四重奏団、ブタペスト四重奏団、アマデウス四重奏団 ―
ハイドン・セットの弦楽四重奏曲(2)  ― ブッシュ四重奏団の場合 ―
モーツァルトの音楽はどんな響きがしていたのか?
かけがえのないモーツァルトのレコード
《恋の花つくり》
シュライアーのモーツァルト
ベーム指揮《コジ・ファン・トゥッテ》
 文庫版あとがき
 解説 中河原理


吉田 秀和 (よしだひでかず)
「私の時間」
 (わたしのじかん)


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*232頁 / 発行 昭和60年
*カバー・笠井正博

*カバー文
世界の街角にいのちの響きをみる「木目と年輪」、音楽の慰めを伝統のうちにさぐる「創る心伝える心」など、あわただしい日常生活のなかに精神の愉悦をうたった好エッセイ集。


吉野 作造著 三谷 太一郎編 (よしのさくぞう・みたにたいいちろう)
「吉野作造論集」 
(よしのさくぞうろんしゅう)


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*344頁 / 発行 昭和50年

*カバー文
時代の運命をみずからの運命として生きた吉野作造の生涯は、それ自体が凝縮された大正時代史であった。本書は彼の論説から八篇を選び、その背景となった歴史的事件への対応を通して、吉野作造における人間との交渉を追跡する。

*目次
民本主義論
 憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
 民本主義鼓吹時代の回顧

中国革命と朝鮮問題
 『三十三年の夢』解題
 北京大学学生騒擾事件について
 朝鮮青年会問題
 民族と階級と戦争

明治文化研究
 明治文化の研究を志せし動機
 わが国近代史における政治意識の発生

  補注
  解説 三谷 太一郎


吉野 秀雄 (よしのひでお)
「鹿鳴集歌解」
 (ろくめいしゅうかかい)


*カバー・「鹿鳴集歌解」自筆原稿
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*199頁 / 発行 昭和56年

*カバー文
師と仰ぐ秋艸道人會津八一の歌集『鹿鳴集』より、南都の風物・美術を典雅な調べに詠いあげた一九七首を選び、その一首一首にこめられた妙趣を、実作者・鑑賞者双方の立場から懇切に評釈鑑賞する

*目次
緒言
南京新唱 九十八首
南京余唱 四十二首
南京続唱 十四首
比叡山 十二首
観仏三昧 二十八首
旅愁(抄) 三首
初句索引
目次細目
 解説 斎藤正二


由水 常雄 (よしみずつねお)
「ガラスの道」
 (がらすのみち)


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*368頁 / 発行 1988年
*カバー・正倉院紺琉瑠坏 模 由水常雄作

*紹介文
最初の人工素材であり、人類を魅了し続けてきたガラスは、作られた時代や社会をそのまま反映する。消え去った古代ガラスを著者自ら復元しながら、その辿ってきた道を克明に追跡し、長い歴史と世界的な文化交流を明らかにする。

*目次
序 奇蹟の旅人―ガラス
1 五色の玉
2 ローマン・グラスの広大な貿易網
3 正倉院の宝物とサン・マルコ大聖堂の秘宝
4 断絶の時代を繋いだイスラーム・グラス
5 ヨーロッパ近世のガラス
6 近代のガラス
7 現代のガラス


由水 常雄 (よしみずつねお)
「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」


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*367頁 / 発行 1994年
*カバー写真 エミール・ガレ 平皿〈隠元〉一八八九年

*カバー文
十九世紀末、ヨーロッパを中心に世界各国で花開いたアール・ヌーヴォー。この新しい芸術様式の誕生に重要な役割を果したのが、日本美術であった。ウィーン、パリで数次にわたって開催された万国博における我が国の工芸品の出陳状況を精査し、日本の美術品が博した高い評価、その美学の広汎な浸透を跡付ける。百年前のヨーロッパと日本の間でダイナミックに展開した文化交流の実相を探り、アール・ヌーヴォーの本質を解明する、創見に満ちた芸術論。


吉本 隆明 (よしもとたかあき)
「世界認識の方法」
 (せかいにんしきのほうほう)


*カバーデザイン・笠島純二
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*199頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
新しい歴史理念の構築を目ざす著者が、マルクス理論の有効性をめぐるミシェル・フーコーとの激論を機に、ヘーゲルから構造主義までの思想課題を検討し、あわせて自己の思索的営為のすべてを語る。

*目次
世界認識の方法
歴史・国家・人間
世界史のなかのアジア
表現概念としての〈疎外〉
 註
 あとがき
 解説 栗本慎一郎


吉屋 信子 (よしやのぶこ)
「自伝的女流文壇史」 (じでんてきじょりゅうぶんだんし)


*カバー写真・菊池俊吉
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*218頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
若くして文壇に出た著者が、ながい作家活動の間に遇った女流作家十人の肖像を、折り折りの微かな表情をみごとに捉え、追慕の情こまやかに描きつくす「女流文壇側面史」。

*目次
上海から帰らぬ人 田村俊子と私
逞しき童女 岡本かの子と私
純徳院芙蓉清美大姉 林芙美子と私
白いおでこの印象 宮本百合子と私
小魚の心 真杉静枝と私
美女しぐれ 長谷川時雨と私
忘れぬ眉目 矢田津世子と私
東慶寺風景 ささき・ふさと私
美人伝の一人 山田順子と私
女流文学者会挿話
 後記
 解説 巖谷大四 / 裏表のない「あざやかな肖像画」豊崎由美


吉行 淳之介 (よしゆきじゅんのすけ)
「がらんどう」


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*182頁
*発行 昭和52年
*カバー画・たかざわとしみつ

*カバー文
がらんとした大きな家に独り住む男の心理。勤務先の美人とのエピソードを中心に、寒々とした心象風景を描く好篇「がらんどう」など、繊細な感性が不思議な味を醸し出す洒落た短篇集。表題作ほか、「貞淑な女」「美女哄笑」「犬猫日記」「墓地」「青い映画の話」など九篇。

*解説頁・石堂淑朗


米沢 富美子 (よねざわふみこ)
「二人で紡いだ物語」
(ふたりでつむいだものがたり)


*写真・結婚直前の二人(著者提供)
 カバーデザイン・中央公論新社デザイン室
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*341頁 / 発行 2011年

*カバー文
「物理の研究も、僕との結婚も両方取ればいい」。夫の一言から始まった結婚生活。三人の娘を育てながら物理学者として世界的な業績を打ち立てたその蔭には、常に夫の励ましがあった。夫との出逢い、結婚、研究生活、自身のがん、そして夫の死……。日本を代表する物理学者が、三十五年の結婚生活を中心に綴る、ロマンティックでエネルギッシュな半生記。

*目次
第一章 一年間の新婚旅行
 1 イギリスが遠かったころ / 2 英語で見たミステリー映画 / 3 真夜中の図書館 / 4 日本人のいない村 / 5 タイムスリップ / 6 クリスマスのヨーロッパ旅行 / 7 さびしがり屋の無人島 / 8 冬のイギリスと太陽のスペイン / 9 幸せをみつめて
第二章 夢のような日々
 1 運命の出会い / 2 人生を変えた一言 / 3 二人だけの呼び名 / 4 奇跡の生還 / 5 修士論文の研究 / 6 待ちに待った長女が家に来た日 / 7 奨励研究員のころ / 8 子連れ赴任 / 9 世界に問う研究成果 / 10 二女に買ったクーラー / 11 湯川先生の字をもらった三女
第三章 フルハウス
 1 あこがれのニューヨークへ / 2 ニュージャージーの四季 / 3 できないわけないだろう / 4 休暇ごとの家族旅行 / 5 運転席と助手席 / 6 プライベート・ナース / 7 私と娘たちの帰国
第四章 実りの季節
 1 四十代の金字塔 / 2 京都サマーインスティチュート始末記〈要約〉 / 3 二度目のフルハウス / 4 仕切り屋の荒仕事 / 5 夫からの花束のプレゼント / 6 病室は仕事場 / 7 ガーゼのゆかた / 8 猿橋賞受賞 / 9 一期一会 / 10 ニューヨークでの語らい
第五章 悠々自適
 1 夫のセカンドライフ / 2 フランス語の思い出 / 3 温泉のある別荘 / 4 価値観の転換 / 5 悠々自適の生活
第六章 すばらしい人生をありがとう
 1 女房のほうが僕に惚れとるんや / 2 夏の山歩き / 3 いちばん、ほっとするね / 4 大台にのる日 / 5 お別れ会 / 惜別の辞 ── 吉田充明 / 惜別の辞 ── 石川光俊 / 謝辞
第七章 思い出の物語
 1 君亡き夏 / 2 心もスーパーマンになった人 / 3 手探りの日々 / 4 夫の「遺産」 / 5 母と父、そして祖母
第八章 また会う日まで
 1 新しい世紀の仕事 / 2 娘たちの夢 / 3 私の好きな歌 / 4 思い出の街並み / 5 めぐり来る春
 あとがき / 文庫版あとがき / 中公文庫版あとがき


読売新聞社会部 (よみうりしんぶんしゃかいぶ)
「拝啓渥美清様」
(はいけいあつみきよしさま)


*カバー写真・松竹株式会社提供
 「男はつらいよ・寅次郎かもめ歌」より
 (第26作、1980年)
 カバーデザイン・中央公論新社デザイン室
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*318頁 / 発行 2006年

*カバー文
悪ガキだった小学校時代、結核と闘いながら下積み生活を送った浅草時代、テレビ・映画で幅広く活躍した売れっ子時代、そして『男はつらいよ』シリーズ一作に絞り、「寅さん」を演じ続けた晩年……プライベートをほとんど明かさなかった渥美清の役者一徹人生を、ゆかりの人々の思い出話で浮き彫りにした、涙と笑いが一杯の人間秘話。

*目次
第T部 浅草時代
 関敬六 ── 「組長宴席」断わった兄弟分の勇気
 西川ひろみ ── 日比谷公園で交わした再会の約束
 梅村三郎 ── 結核病棟で見せた寅さんの啖呵売
 谷幹一 ── 「生き方違う」と突然のトリオ解散 
 玉川みどり ── 好物だった母の「じゃがいもカレー」
 志村明 ── 三十四年ぶりの再会、そして再訪
第U部 売れっ子時代
 鈴木ヤスシ ── チンピラの親分に似た鋭い目つき
 久里千春 ── 結婚するかと思い描いたことも
 森口健 ── 出演辞退の批判に守り通した沈黙
 福中八郎 ── 「渥美君はいい」と獅子文六が褒めた
 早川恒夫 ── 「きっと面白いものにしてみせる」
 羽仁進 ── 顔つきで一目置かれたアフリカロケ
 石井愃一 ── 「役者稼業より堅気の生活に戻れ」
第V部 母校から
 田伏昭二 ── 寄せ書きに「…されどいばるな」
 原田操 ── 「お父さんはばかじゃない」と電話
 野島隆久 ── 弁当のつまみ食いがもとでけんか
 小菅博 ── 告げぬままだった兄の死の「真相」
 志村第一小学校 ── 世話好きだけど、お騒がせな先輩“寅さん研究”
 古藤孝行 ── 作業着で指したあの名人戦を再び
第W部 交遊秘録
 城悠輔 ── 犬に吠えられた絵本セールスマン
 大和田きみこ ── オルゴールのように響いた言葉
 青木隆司 ── 「閣下」と「番兵」、不思議な縁
 石田一 ── 一度だけしたインテリ親父の自慢
 井出勢可 ── 「おれが死んだら地蔵を作ってよ」
 桜井清市 ── 友の背広まで質入れした金欠時代
 柳義男 ── 「控え目でも、存在感」と笠智衆評
 早坂暁 ── 寅さんの重みから抜けられずに
 中山和記 ── 夜の山道急いだ第二子出産の日
 野中秀子 ── お子さんと一緒にニジマス釣り
第X部 撮影の現場から
 大西洋 ── 三つの顔を持ったスーパーマン
 露木幸次 ── 「寅」の指輪をなくした時の機転
 本間邦仁・宮澤兼子 ── 「セミの羽みたいな服ないかねえ」
 石川光子 ── のれんかき分け「お母さんただいま」
 峰順一 ── 首筋に残っていた天花粉の記憶
 五十嵐敬司 ── 試されているように感じた一言
 篠原靖治 ── スター気取りをいやがった大先輩
 阿部勉 ── 寅さん映画に生き方込めた生涯
 広田亮 ── 怖かったレンズ越しのアップ
 原一平 ── 雑草のように挫折しない芸人に
 山田洋次 ── 二人三脚で作った「寅さん」
 渥美清略年譜
 あとがき
 文庫版刊行に当たって
  話をする時だけ、人気者になった
  寅さんは日本のミッキーマウス“寅さんグッズ”


読売新聞20世紀取材班編 (よみうりしんぶんにじゅっせいきしゅざいはん)
「20世紀 太平洋戦争」
(にじゅっせいき たいへいようせんそう)


*カバー写真・読売新聞社
 カバーデザイン・EOS Co.,Ltd.
 Art Direction・吉田悟美一
 Design・山影麻奈

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*292頁 / 発行 2001年

*目次
T 日米決戦
 真珠湾攻撃 舞台裏核心いまだ封印
 日米開戦 あの時何があったのか
 真珠湾奇襲……その時、記者は
 山本五十六 死招いた“東郷の幻影”
 日系米兵 米国への忠誠 武勇で証明
 誤謬の始まり
 あるキリスト者 戦地の抵抗
 栄光と悲劇「沢村伝説」
 飢えと屈辱 十三万人のオランダ人
 ガダルカナル 敗戦への分水嶺
 半世紀前の“コンピューター戦争”
 爆弾とともに舞い降りたビラ
 沖縄戦 失われた魂の発掘
 ソ連参戦 「反ソ」強めた中立破棄
 日本人避難民 死の淵からの生還
 昭和天皇 責任論議深いよどみに
 東洋人として、一人の人間として
 あの戦争 揺れる呼称
 子へ、孫へ……「あの戦争」を語り継ぐ
U 原子爆弾
 科学者たちの「戦争責任」
 原爆開発 「国家管理の科学」幕開け
 ヒバク 世界に広がる恐怖
 核の時代と二人の女優
 原爆投下 展示論争揺れる米の「常識」
 世界の教科書に見る「原爆投下」
 原爆開発の栄光と苦悩
 参考文献
 執筆者・掲載日一覧

「20世紀」全12冊
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