絶版文庫書誌集成

中公文庫 【の】

野口 富士男 (のぐちふじお)
「私のなかの東京 ― わが文学散策」
 (わたしのなかのとうきょう)


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*236頁 / 発行 1989年
*カバー・小林清親画(明治二十一年刊「小洒落異誌(さざれいし)」)

*カバー文
近代の都市のなかで、東京ほど大きな変貌をとげた街はないのではないか。さらに、東京は文学作品に最も多く描かれた都会でもある。――幼少期から馴れ親しんだ東京の街々を歩き、詳細に探索して、目に映る東京に、明治以降の文学作品や記憶のなかの過去の東京を重ねて追想する、実感的東京論。

*目次
外濠線にそって
銀座二十四丁
小石川、本郷、上野
浅草、吉原、玉の井
芝浦、麻布、渋谷
神楽坂から早稲田まで
 解説 川本三郎


野口 富士男 (のぐちふじお)
「わが荷風」
 (わがかふう)


*カバー・風間完
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*276頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
玉の井、吉原、浅草、小石川、麻布など ― 。少年時代から溺読してやまなかった永井荷風ゆかりの地を丹念に踏査し、荷風の人と文学を自らの青春への追憶と重ねて語る。著者の長年の夢を果した出色の荷風論。

*目次
1 明治四十二年十二月
2 順境のなかの逆境
3 九段坂・青春前期
4 深川と深川の間
5 麻布十番までの道
6 堤上からの眺望
7 画にならぬ場所
8 それが終るとき
9 繁華殊に著しく
10 人の命のあるかぎり
11 また見る真間の桜
12 われは生れて町に住む
 年譜
 参考文献
 文庫版あとがき


野坂 昭如 (のさかあきゆき)
「一九四五・夏・神戸」 (せんきゅうひゃくよんじゅうご・なつ・こうべ)


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*352頁
*発行 昭和52年
*カバー・司修

*カバー文
神戸旧市街にあたる石屋川と六甲道駅にはさまれた静かな住宅地N町は、昭和の初期から開発され、一九四五年六月五日の神戸大空襲で完全に消滅した。
大東亜戦争の戦局の推移につれて変転しつづけるN町での少年期と、明らかに一つの人生の終りを意味したあの“夏”を、養父母をはじめ、N町の周辺で生きた人びとの意識の流れを背景に克明に記録する自伝的長篇小説。

*解説頁・菊地昌典


野尻 抱影 (のじりほうえい)
「日本の星
星の方言集」 (にほんのほし)


*カバー・芹沢_介(せりざわけいすけ)
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*346頁 / 発行 1976年

*カバー文
三十余年の歳月にわたって収集した星の和名七百種を紹介し、四季の夜空をいろどる星の生い立ちを日本の農山漁村に生きてきた人々の実生活の中にさぐる。

*目次
春の星
 ほくと(北斗) / ななつぼし(七つ星) / しそうのほし(四三の星) / ひちようのほし(七曜の星) / ななよのほし(同) / ひしゃくぼし(柄杓星) / かぎぼし(鍵星) / かじぼし(舵星) / ふなぼし(船星) / けんさきぼし(剣先星) / はぐんせい(破軍星) / そえぼし(輔星) / といかけぼし(樋掛け星)…しし座 / よつぼし(四つ星)だいがらぼし(台礁星)…からす座 / むぎぼし(麦星)…うしかい座 / しんじゅぼし(真珠星)…おとめ座
夏の星
 くるまぼし(車星)たいこばし(太鼓星)…かんむり座 / かまどぼし(竃星) / くびかざりぼし(首飾り星) / うおつりぼし(魚釣り星)…さそり座 / かごかつぎぼし(籠担ぎ星)あきんどぼし(商人星) / あわいないぼし(粟荷い星) / さばうりぼし(鯖売り星) / あかぼし(赤星) / すもとりぼし(角力取り星)からすぼし(唐臼星) / きゃふばいぼし(脚布奪い星)おとどいぼし(兄弟星) / しょくじょ(織女)たなばた(棚機)…こと座 / ひこぼし(彦星)いぬかいぼし(犬飼星)…わし座 / じゅうもんじぼし(十文字星)あまのがわぼし(天の川星)…はくちょう座
秋の星
 ほっきょくせい(北極星)…小ぐま座 / ほくしん(北辰)みょうけん(妙見) / ひとつぼし(一つ星)しんぼし(心星) / ねのほし(子の星) / やらいぼし(遺らい星)ばんのぼし(番の星) / みぼし(箕星)…いて座その他 / なんと(南斗) / ひしぼし(菱星)…いるか座 / みなみノひとつぼし(南の一つ星)…みなみノうお座その他 / ますがたぼし(桝形星)よつまぼし(四隅星)…ペガスス座 / とかきぼし(斗掻き星)…アンドロメダ座 / いかりぼし(錨星)やまがたぼし(山形星)…カシオペア座 / ごようのほし(五曜星)
冬の星
 ごかくぼし(五角星)…ぎょしゃ座 / ふたつぼし(二つ星)かどぐい(門杭)…ふたご座 / がにのめ(蟹の眼) / すばる・すまる(昴)…おうし座 / むつらぼし(六連星) / いっしょうぼし(一升星) / くさぼし(草星?) / はごいたぼし(羽子板星) / つとぼし(苞星) / くようのほし(九曜星) / つりがねぼし(釣鐘星) / あとぼし(後星) / みつぼし(三つ星)…オリオン座 / さんこう(三光) / さんちょうのほし(三丁の星) / さんじょうさま(三星様) / さんだいしょう(三大星) / しゃくごぼし(尺五星) / おやにないぼし(親荷い星)おやこうこうぼし(親孝行星) / かせぼし(カセ〈木偏に上下〉星) / たけのふし(竹の節) / はざのま(稲架の間) / たがいなぼし(手桶荷い星) / どよう さぶろー(土用三郎) / こみつぼし(小三つ星)いんきょぼし(隠居星) / からすきぼし(柄鋤星) / さかますぼし(酒桝星) / よこぜき(横関) / へいけぼし(平家星)げんじぼし(源氏星) / つづみぼし(鼓星) / あおぼし(青星)おおぼし(大星)…大いぬ座 / さんかくぼし(三角星)くらかけぼし(鞍掛星) / いろしろ(色白)…小いぬ座 / めらぼし(布良星)ろうじんせい(老人星)…アルゴ座

琉球の星 / 奄美の星 / アイヌの星 / クルス星(南十字) / 古典の星
 解説 石田五郎 / 索引


野尻 抱影 (のじりほうえい)
「星三百六十五夜(上)」
 (ほしさんびゃくろくじゅうごや)


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*252頁
*発行 1978年
*カバー・野間仁根

*カバー文
東西古今の詩文に親しみ、ギリシア・ローマをはじめ、古代中国や平安・江戸時代の星の美しさを再現する著者の星座への恋文集。オリオン霊園に旅立った詩人の、星を愛する人たちへの贈りもの。 1月〜6月


野村 胡堂 (のむらこどう)
「胡堂百話」 (こどうひゃくわ)


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*239頁
*発行 1981年
*表紙・白井晟一

*カバー文
同級生石川啄木の思い出、泉鏡花、上司小剣等との交流、銭形平次あれやこれ、三十年にわたった新聞記者生活の回想。創作余談、レコード評論 ―― 岩手の農村に生まれ育った文学少年が、やがて大衆文学を代表する時代小説作家として盛名を馳せるに至る。


野村 胡堂 (のむらこどう)
「三万両五十三次 (全四巻)」
 (さんまんりょうごじゅうさんつぎ)








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*〈一〉357頁・〈二〉368頁・〈三〉358頁・〈四〉343頁
*発行 昭和57年
*カバー・三井永一

*カバー文
〈一〉
雄大な構想で疾駆する東海道 ――
興趣百万石の巨篇全四巻。
 変転きわまりなき幕末の江戸、神奈川条約の勅許をめぐって京へ動く黄金三万両、勤王・佐幕入り交う剣士たち、仇敵を追い狙う小百合、奇妙な女賊陽炎のお蓮とその一味、波乱の開幕。

〈二〉
妖麗の花、白澄の花、剣の華 ――
多彩絢爛の大衆文芸玉座篇。

 なにか物々しい和泉屋の嫁入り
 行列は、箱根を越えて沼津へ。
 雪深い関所を破った矢柄兄妹に
 謎の人物がひしと迫る。

〈三〉
昼飯は鞠子(まりこ)のとろろ汁、連絡のあるような無いような幾つかの群れは、三万両の大金をめぐって大きな運命の糸にあやつられながら、宇津の谷峠に向いました。
先鋒は馬場蔵人の一行、和泉屋の嫁入り行列がそれに続いて最後は小動(こゆるぎ)平太夫とその手の者 ― 。
谷底は深い林に鎖され、峰の上には鉛色の冬雲が棚引いて、真昼も剽盗(おいはぎ)ぐらいは出かねないたたずまい。

〈四〉
 人の気を察することの早いお蓮も、金五のこの物思いばかりはどう考えても見当がつきません。
 「親分、そんなに考え込んでばかりいると毒だよ。歌でも歌って聴かせようか。坂は照る照る鈴鹿は曇る、合の土山雨が降る ―― というのは、この辺じゃないの」
 「お蓮、お願いだから、少し黙っていてくれ」

追いつ追われつ百二十里、春まだ浅い東海道の風光をよそに繰り拡げられる琵琶湖上の大活躍、絢爛奇出の第四巻完結篇。

*解説頁・武蔵野次郎


野村 實 (のむらみのる)
「山本五十六再考」
(やまもといそろくさいこう)


*カバーデザイン・鈴木成一デザイン室
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*377頁 / 発行 1996年

*カバー文
ハワイ奇襲攻撃において山本みずから現地で指揮を執っていたら、戦局はどう変わっていたか。伏見宮博恭王が天皇と海軍に与えた影響の大きさは ―― 。
軍事史の専門家が長年にわたって渉猟した旧陸海軍第一級資料の詳細な検証に基づく、知られざる日本海軍の姿。

*目次
第一部 天皇と伏見宮
  ロンドン軍縮条約をめぐる対立 / 軍令部総長・伏見宮 / 伏見宮に遠慮した天皇 / なぜ東条に大命が降下したか / 及川留任を望んだ伏見宮 / 嶋田海相を動かした伏見宮の勧告 / 皇太子への手紙が意味するもの / 的中した天皇の予感
第二部 山本五十六再考
  伏見宮・山本五十六負傷の真因 / ロンドン会議の山本五十六 / 米内軍令部総長案はなぜ潰れたか / 実らなかった山本五十六海相 / もし山本五十六がハワイへ出撃していたら
第三部 戦史こぼれ話
  丁字戦法の立て役者は誰か / 吉田茂と消えた海軍機密文書 / 逃した蘭印解放作戦の好機 / 日本海軍のインド洋制圧作戦 / 陸海軍統合論の背景
 あとがき / 参考文献 / 解説 谷沢永一


野村 無名庵 (のむらむめいあん)
「本朝話人伝」
(ほんちょうわじんでん)
中公文庫BIBLIO


*カバー画・諸家雷鳴
 (豊原国周絵〔橘右近コレクション〕)
 カバーデザイン・(EOS Co.,Ltd)
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*310頁 / 発行 2005年

*カバー文
舌禍事件で刑死した馬場文耕、将軍の門前で「将棋の神様」を演じた三笑亭可楽、呼び物の講釈を質に入れた石川一夢、座禅で芸道に開眼した三遊亭円朝など、江戸~明治期に名人上手と謳われた講釈師、落語家の銘々伝。

*目次
卷頭に一言 / 文耕と瑞竜 (一)〜(三) / 瑞竜と竜山 / 立川焉馬 (一)〜(二) / 森川馬谷 (一)〜(二) / 三笑亭可楽 (一)〜(二) / 桃林亭東玉 (一)〜(二) / 東玉と伯円 (一)〜(五) / 伯山と伯圓 / 可楽と良斎 (一)〜(三) / 南鶴と南窓 / 宗教と古喜 / 湯島の燕晋 / むらく、正藏 / 三遊亭円生 / 講談三名誉 / 石川一夢 (一)〜(四) / 名人しん生 (一)〜(二) / 初代の南龍 (一)〜(二) / 扇橋と扇歌 (一)〜(二) / 馬琴と北梅 / 潮花と花清 / 二代目廬洲 (一)〜(二) / 柳橋と柳枝 (一)〜(三) / むらく異変 (一)〜(二) / 典山と貞山 (一)〜(四) / 一立斎文車 (一)〜(二) / 竜玉と正藏 / 二代目伯円 / 三遊亭円朝 (一)〜(二) / 桃川大如燕 / 談洲桜燕枝 / 松鯉の伯山 (一)〜(二) / 文治と文楽 (一)〜(三) / 放牛舍桃林 / 伊東燕尾 (一)〜(三) / 春錦亭柳桜 (一)〜(三) / あとがき


野村 無名庵 (のむらむめいあん)
「落語通談」
(らくごつうだん)


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*252頁 / 発行 1982年

*カバー文
落語作家・演芸評論家として、大正・昭和の寄席芸界に多大の影響を及ぼした著者が、庶民生活の表裏を活写した、自在で融通性に溢れる落語の興趣と真髄を軽妙洒脱に説き明かしながら、大衆話芸の笑いの源泉へ誘う。

*目次
 自序
落語通談
 はしがき / 落語のいろは歌留多 / 出世の鼻 / 先生の紛失 / 活きた落語 / 甲府の旅 / 世太郎と先生 / 名画の奇瑞 / 托善の名作 / 永代の椿事 / 「梅の春」由来 / 「時そば」「佃祭」 / 寝床義太夫 / 街頭の風流 / デロレン祭文 / 夜舟と山祭り / 老子の鏡 / 無理な「元犬」 / 我流のお茶 / 八さん第二世 / 泥棒甲乙丙 / 名作と大物 / 煩悩と菩提 / 頓智と嘘つき / 移入の「駱駝」 / 花嫁武勇伝 / 七人語り分け / 痛快な片棒 / 空想の道行 / 敵正語封じ / めいめい付け / 巷の悲喜劇 / 横町の隠居 / 年の市綺聞 / 欲の世の中 / 年の暮人生 / 「素人鰻」余談 / 夥しき芝居噺
 滑稽 落語講義録
 落語名題総攬
 珍選辞典 落語国の人々
  本文主要芸人略伝
  解説 藤井宗哲