絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【し】

塩山 芳明著・南陀楼 綾繁編 (しおやまよしあき・なんだろうあやしげ)
「出版業界最底辺日記 ― エロ漫画編集者『嫌われ者の記』」
(しゅっぱんぎょうかいさいていへんにっき)


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*344頁
*発行 2006年

*カバー文
エロ漫画界にその名を轟かす凶悪編集者のルサンチマンにあふれる叫びを聞け ―― 。手抜き仕事の漫画家を怒鳴りつけ、いつも指定を間違える印刷所の営業マンを教育し、大手のたるみ切った社員編集者を罵る。不条理な業界構造に下請けの意地で対抗する。東京都の不健全図書指定にもめげず、出版業界の最底辺を突っ走ってきた男の、毒舌と皮肉に満ちた血闘記録。

*解説頁・福田和也


実相寺 昭雄 (じっそうじあきお)
「昭和電車少年」
(しょうわでんしゃしょうねん)


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*383頁 / 発行 2008年
*カバーデザイン・倉地亜紀子 / カバー写真・塩澤秀樹

*カバー文
昭和には電車がよく似合う。ウルトラマンなどで知られた映画監督が、鉄道オタクぶりを発揮する。戦前中国大陸で見た雄大な風景から、東京の街をかけめぐった路面電車の姿まで、少年時代の電車体験をいきいきと描く。さらには、いまも地方で活躍する名車両や寝台車など、現役で走る電車の楽しさを訪ね歩く。思い出と現実のあわいを行き来しながら、昭和の電車風景へと読者をいざなう。

*目次
第一の扉 聖地巡礼
第二の扉 宝庫よ、永遠なれ
第三の扉 わたしの名車たち
第四の扉 ブンコのおまけ
 文庫版刊行にあたって 原知佐子


島田 裕巳 (しまだひろみ)
「カルロス・カスタネダ」
(Carlos Castaneda)
ちくま学芸文庫


*カバーデザイン・写真 間村俊一
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*534頁 / 発行 2002年

*カバー文
今もなおロングセラーを続けている「呪術師ドン・ファン・シリーズ」の著者、カルロス・カスタネダは、その著作が最初に登場したときから、多くの謎につつまれていた。そもそも実在すらが疑われ、著作の内容も常に毀誉褒貶にまみれていた。カスタネダとは一体何者だったのか? ドンファン・シリーズは、何だったのか? 彼のライフヒストリー、著述の内容をつぶさに検証し、幾重にも重なった仮面の下に潜む素顔とその思想を白日のもとに曝す。従来のカスタネダ神話を脱構築し、新たな相貌の獲得を大胆に目論む挑発的な試み。書き下ろし学芸文庫オリジナル。

*目次
序章 カスタネダとの出会い
第一章 ドン・ファンは実在するのか
第二章 幻覚性植物
第三章 エスノメソドロジー
第四章 イニシエーション
第五章 スーツを着た呪術師
第六章 呪術師の説明
第七章 高められた意識状態
第八章 ドン・ファン密教
第九章 カスタネダの弟子たち
終章 旅の終わり
註 / あとがき


清水 義範 (しみずよしのり)
「猿蟹合戦とは何か 清水義範パスティーシュ100(一の巻)」
(さるかにがっせんとはなにか)


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*422頁
*発行 2009年
*カバーデザイン・神田昇和

*カバー文
文学はパスティーシュという形式によって継承されていく。著者自身が厳選した100のパスティーシュ作品を6分冊で刊行。本書には、文体模倣による17作品を収録。猿蟹の賦 / 二十一の異なるバージョンによる前文 / 猿取佐助 / パウダー・スノー / 笠地蔵峠 / 半村良『江戸群盗伝』の解説 / 女殺油地獄 / 船が州を上へ行く / 聖書 / 彼ら / ティンカー・ベルの日記 / ダイヤの花見 / 四畳半調理の拘泥など。書き下ろしの自著解説付。


清水 義範 (しみずよしのり)
「インパクトの瞬間 清水義範パスティーシュ100(二の巻)」
(いんぱくとのしゅんかん)


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*412頁
*発行 2009年
*カバーデザイン・神田昇和

*カバー文
パスティーシュとは、引用により、新しくて意外な理解をなるほど感のうちに与えてくれるもの。著者のお薦めパスティーシュ、本巻には、言葉の面白さで遊んだ16作品を収録。序文 / 国語入試問題必勝法 / インパクトの瞬間 / 手垢のついた言いまわし / 魚の名前 / 註釈物語 / CM歳時記 / 鉄板社文庫・解説目録 / 乱心ディスプレイ / 観戦記 / 取扱説明書 / ことばの見本市(抄) / 宮事記 / 豪奥新報元旦号第二部 / 河馬の夢 / 言葉の戦争など。執筆の舞台裏を明かす自著解説付。


清水 義範 (しみずよしのり)
「接客セブンティーズ 清水義範パスティーシュ100(四の巻)」
(せっきゃくせぶんてぃーず)


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*467頁
*発行 2009年
*カバーデザイン・神田昇和

*カバー文
世相・ビジネス・マスコミなどをデフォルメして笑いのめした17編。蕎麦ときしめん/動物ワンダーランド ── ヒト特集/秘湯中の秘湯/欠目戸街道を辿る/みどりの窓口/マーケティング天国/マツノギョウレツケムシ/接客セブンティーズ/ピンポン接待術/ひとり暮し入門/奥の細道/戦時下動物活用法/秘密倶楽部/事の初め/大騒ぎの日など奇妙なユーモア小説満載。作品の舞台裏を明かす自著解説付。


清水 義範 (しみずよしのり)
「時間線下り列車 清水義範パスティーシュ100(五の巻)」
(じかんせんくだりれっしゃ)


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*485頁 / 発行 2009年
*カバーデザイン・神田昇和

*カバー文
市井の人間模様に光をあて、とんでもないひねりを加えたユーモア小説、著者厳選の16編をお楽しみ下さい。表題作初め、ビビンパ / 靄の中の終章 / 祭りの夜 / 酔中動物園 / ホラ吹き爺さん / バスが来ない / アキレスと亀 / 配分王 / 鮫島村のデナーショー / 二〇一〇年宇宙の恥 / トグ兄ちゃん / 桜田ナオの援助交際 / 文明崩壊の日 / ねぶこもち艶笑譚 / ひとり。書き下ろしの自著解説付


清水 義範 (しみずよしのり)
「翼よ、あれは何の灯だ 清水義範パスティーシュ100(六の巻)」
(つばさよあれはなんのひだ)


*カバーデザイン・神田昇和
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*486頁 / 発行 2009年

*カバー文
奇想天外なびっくり小説群。遂にここまで!人間や社会の本質がちらりと見え、あまりのバカバカしさに爆笑の17編。

*目次
永遠のジャック&ベティ / 私は作中の人物である / 深夜の弁明 / 大江戸花見侍 / 他小説 / 翼よ、あれは何の灯だ / バラバラの名前 / 風来山人世界漫遊 / デストラーデとデステファーノ / 三銃士 / シェイクスピア傑作選 / 桃太郎vs.金太郎 / おーい、サラディン / 野良愛慕異聞 / 三劫無勝負 / 夕顔殺人事件 / ローズバッド / 自著解説


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下川 耿史 (しもかわこうし)
「日本エロ写真史」 (にほんえろじゃしんし)


*カバーデザイン・渡辺千尋
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*218頁 / 発行 2003年

*カバー文
「旦那、いい写真があるよ」と言ったのかどうか、かつて繁華街の暗がりや通信販売などで売買されたエロ写真 ――。その歴史は幕末に端を発し、戦地の兵隊の慰問用や、満州や大陸からの流入など広大な背景をもつものなのだ。喜びや哀しみ庶民の感情もいきいきと伝えるエロ写真の数々、さらにはフレンチ・カードなども紹介する、本邦初のエロ写真百年史。

*目次
〔第1話〕エロ写真のあけぼの
〔第2話〕横浜写真と“生活ヌード”の流行
〔第3話〕アマチュア・エロ写真の登場
〔第4話〕レズ・ブームとエロ写真
〔第5話〕エロと芸術の分離
〔第6話〕パリ万博とフレンチ・カード
〔第7話〕日露戦争とエロ写真
〔第8話〕大正のモデル・ブームとエロ写真
〔第9話〕SM写真の登場
〔第10話〕パロディ・エロ写真の流行
〔第11話〕「満州」のエロ写真
〔第12話〕爆発! 戦後エロ写真
あとがき
解説 出久根達郎


シモーヌ ヴェーユ著 渡辺 一民・川村 孝則訳 (Simone Weil・わたなべかずたみ・かわむらたかのり)
「ヴェーユの哲学講義」
(ヴェーユのてつがくこうぎ)
ちくま学芸文庫


*カバーデザイン・渡辺千尋
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*408頁 / 発行 1996年

*カバー文
本書は、若き日のヴェーユがロアンヌ女子高等中学(リセ)の最高学年哲学級でおこなった講義の記録である。「心理学」から始まり、「精神の発見」「社会学」「倫理学」などを通して、意識・感情・国家・身体などを考察するこの講義は独創的かつ自由奔放、そして何よりも生徒の人格を発展させようとする姿勢に貫かれている。この講義ののちロアンヌを後にしたヴェーユは、パリの電気会社で働くことになるが、講義録からは、「抑圧と自由」などの諸論考にはじまり『根をもつこと』に至る、その後の思想と行動を支える思索を見出すことができる。

*目次
はじめに / まえがき
 第一部
心理学で用いられる方法
反射
本能
行為における身体の役割
感情における身体(反射と本能)の役割
思考における身体の役割
精神を求めて
 第二部
 第一篇 精神の発見ののちに
精神 ― その性格
意識 ― 無意識 ― 意識の度合い
人格
判断
推論
 第二篇 社会学
第一章 社会学をいかに考えるか
第二章 歴史上の社会的抑圧 / 抑圧についての理論的な問題
第三章 経済生活の動き
第四章 現在の状況
第五章 国家についてのいくつかの考え方
第六章
第七章 個人と社会の関係についての結論
 第三部
倫理のよりどころ
審美的感情についての心理学
いくつかのプラン

訳注 / あとがき(渡辺一民)
シモーヌ ヴェーユ著 一つの注釈 (川村孝則)


ジャン・コクトー著 (Jean Cocteau) / 秋山 和夫訳 (あきやまかずお)
「ぼく自身あるいは困難な存在」 (ぼくじしんあるいはこんなんなそんざい)
ちくま学芸文庫


*装画・コクトー「竪琴のオルフェ」
 (C)EDERMIT
 vision a succesion.
 カバーデザイン・小林真里

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*342頁 / 発行 1996年

*カバー文
本書の執筆時に、コクトーは五十七歳だった。第二次大戦が終結して間もない、占領下の陰惨な記憶も鮮やかな時点で、自身の死を意識しつつ書かれた本書は、ラディゲ、サティ、プルースト、ディアギレフら、その多くは世を去っている親しい友人たちの的確で魅力的な人物論がちりばめられ、エスプリにみちたコクトーの姿と透徹した芸術観が浮かびあがってくる。「死について」「言葉について」「美について」「線について」など、「射撃姿勢をとらずに凝っと狙いを定め、何としてでも的を射抜く」というその手並みを味わいながら、読者は、コクトーの真摯さとそこに寄り添っている孤独の深さに導かれることだろう。

*目次
会話について / ぼくの幼年時代について / ぼくの文体について / 仕事について また 伝説について / レーモン・ラディゲについて / ぼくの容姿について / ぼくのさまざまの逃亡について / フランスについて / 演劇について / ディアギレフについて また ニジンスキーについて / 映画における驚異について / 友情について / 夢について / 読書について / 尺度(ムジュール)について / 幽霊屋敷について / 苦しみについて / 死について / 軽薄ということについて / パレ=ロワイヤルについて / 魂の操舵について / キヨーム・アポリネールについて / 笑いについて / 存在なしに存在することについて / 言葉について / 若者たちについて / 美について / さまざまの風俗について / 線について / ある無言劇について / 責任について

 あとがき / 註記 / 訳註 / 訳者あとがき / 文庫版訳者あとがき / 本文主要人名索引


ジュリアン・ロイド・ウェッバー編・池田香代子訳 (Julian Lloyd Webber・いけだ かよこ)
「パブロ・カザルス 鳥の歌」
(PABLO CASALS とりのうた)


*カバー装画・デザイン 安野光雅
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*237頁 / 発行 1996年

*カバー文
カタロニアが生んだ不世出のチェリスト、カザルス! 彼自身の言葉と同時代の人々の証言から、音楽性はもとより、人格の高潔さによっても世界のファンを魅了した「魂の音楽家」の素顔がよみがえる ―― バッハ、若かりし頃、直感と解釈、母など全18項目にわたる興味尽きない言葉の数々。

*目次
コンサート / 演奏と緊張 / チェロ / 若かりしころ / 母 / 演奏家が見たカザルス / オーケストラ / 指揮者として / カザルスと批評家たち / バッハ / 作曲家たち / 現代音楽 / ポップス / ピカソ / 音楽 / 戦争と平和 / 政治 / 人として / 信仰 / 天才 / 教師として / テクニック / 直感と解釈 / レコーディング / エイジェントと興行主 / アメリカ / 共産主義 / イギリス / ツアー / スペイン / マルタとの結婚 / 年齢 / ストラディバリウス / パイプ / 教育 / 引退 / 仕事 / 訳者あとがき


辛酸 なめ子 (しんさんなめこ)
「ニガヨモギ」


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*158頁
*発行 2004年
*カバーデザイン・辛酸なめ子

*カバー文
人として、女としての「業(カルマ)」を表現する新感覚アーティストのデビュー作。紙一重の鋭さで、あなたのココロの隙間を埋めましょう。
’94GOMES賞を受賞したザッツ先見ゼミ、人類の霊的救済に尽力するGIVO&AIKO、さらにフランスの魔性を学ぶファムファタルレッスン…。めくるめく妄想ワールドに、虚をつかれてハッ!とすることうけ合い。 解説 岩井志麻子