絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【お】

大村 彦次郎 (おおむらひこじろう)
「時代小説盛衰史(上下)」
(じだいしょうせつせいすいし)




*カバーデザイン・神田昇和
 カバー題字、イラスト・Plump plum

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上412頁・下348頁 / 発行 2012年

*カバー文

中里介山「大菩薩峠」から司馬遼太郎の登場まで、半世紀に及ぶ時代小説の栄枯盛衰を豊富なエピソードと味わい深い語り口で描ききった力作。大衆文学研究賞・長谷川伸賞受賞。

名作が誕生する背景や秘話、大きな役割を果たした挿絵画家や作家と苦楽を共にした編集者など、作品とともに生きた人間像を掘り起こした好著。

*目次

第一章

 野間清治が『講談倶楽部』を創刊する ――“講談師問題”が起こる ―― 都新聞社の雑報記者たち ―― 伊藤みはると平山蘆江 ―― 大逆事件と中里介山 ―― 「大菩薩峠」の連載が始まる ―― 岡本綺堂と「半七捕物帳」
第二章
 演芸記者の長谷川伸 ―― 報知の逸材野村胡堂 ―― 川柳作者吉川雉子郎 ―― 直木三十五と早稲田英文科 ―― 春秋社版「大菩薩峠」 ―― 白柳秀湖の社会講談 ―― 奇才白井喬二と国枝史郎 ――『サンデー毎日』の創刊
第三章
 関東大震災の発生 ―― 吉川英治が上野公園で牛めし屋を始める ―― 大佛次郎の青春 ――〈鞍馬天狗〉現わる―― 白井喬二の大作「富士に立つ影」 ―― 大阪で『苦楽』が創刊される ―― 川口松太郎の生い立ち
第四章
 『キング』の創刊 ―― 吉川英治「剣難女難」VS.下村悦夫「悲願千人斬」 ―― 同人誌『大衆文藝』の創刊 ―― 「赤穂浪士」VS.「鳴門秘帖」 ―― 三上於菟吉と長谷川時雨 ―― 村松梢風が個人雑誌『騒人』を出す
第五章
 円本全集の流行 ―― 「現代大衆文学全集」がヒットする ―― 旧派の時代小説家たち ―― 前田曙山の人気 ―― 林不忘〈姓は丹下、名は左膳〉―― 佐々木味津三の「右門捕物帖」 ―― 子母沢寛の「新選組始末記」
第六章
 沢田正二郎の急逝 ―― 「瞼の母」と「一本刀土俵入」 ―― 直木三十五の代表作「南国太平記」 ―― 吉川英治が出奔する ―― 郡司次郎正の「侍ニッポン」♪人を斬るのが侍ならば ―― 野村胡堂が〈銭形平次〉を書く
第七章
 『日の出』の発刊 ―― 菊池、吉川VS.直木の〈宮本武蔵〉論争 ―― 三田村鳶魚の「大衆文芸評判記」 ―― 長谷川伸が生母と再会する ―― 佐々木味津三、直木三十五、長谷川海太郎の相次ぐ死 ―― 「流転」の井上靖
第八章
 第一回直木賞の川口松太郎 ―― 中里介山が衆院選に落選する ―― 鷲尾雨工の再起 ―― 海音寺潮五郎の上京 ―― 伝奇小説の角田喜久雄 ―― 挿絵の天才岩田専太郎 ―― 「宮本武蔵」の人気 ―― 雑誌王野間清治死す


第九章

 岡本綺堂の死 ―― 山手樹一郎の退社 ―― 曲軒こと山本周五郎 ―― 長谷川伸の「荒木又右衛門」 ―― 新鷹会と村上元三 ―― 富田常雄と山手樹一郎 ―― 「日本婦道記」の山本周五郎が直木賞を辞退する ―― 巨星中里介山没す
第十章
 敗戦の日々 ―― 大佛次郎が内閣参与になる ――『苦楽』の再刊 ―― 山手樹一郎の「夢介千両みやげ」 ―― 捕物小説の流行 ―― 山本周五郎の鬱屈 ―― 菊池寛と真山青果の死 ――『講談倶楽部』の復刊 ―― 『苦楽』の廃刊
第十一章
 村上元三の「佐々木小次郎」 ―― 吉川英治「新・平家物語」が始まる ―― 新聞小説の花ざかり ―― 舟橋聖一の「花の生涯」 ―― 松本清張が「西郷札」を投稿する ―― 三田村鳶魚の死 ―― 芥川賞の松本清張と五味康祐
第十二章
 田岡典夫の抗議 ―― 山本周五郎の「樅ノ木は残った」 ―― 松本清張の上京 ―― 剣豪小説の流行 ―― 柴田錬三郎と「眠狂四郎」 ―― 長谷川伸の「日本捕虜志」 ―― 司馬遼太郎が「ペルシャの幻術師」を投稿する
第十三章
 『近代説話』の創刊 ―― 司馬遼太郎の「梟の城」と池波正太郎の「錯乱」 ―― 大岡昇平VS.海音寺潮五郎 ―― 村上元三VS.南條範夫 ―― 尾崎秀樹と『大衆文学研究』の創刊 ―― 山岡荘八の復活と〈徳川家康ブーム〉
終章
 巨匠吉川英治死す ――『講談倶楽部』の終焉 ―― 忍法帖の山田風太郎 ―― 司馬遼太郎の「竜馬がゆく」 ―― 杉本苑子と永井路子 ―― 野村胡堂、長谷川伸の大往生


大村 彦次郎 (おおむらひこじろう)
「東京の文人たち」 (とうきょうのぶんじんたち)


*カバーデザイン・神田昇和
 カバー装画・木村荘八画「震災後久松町川岸」
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*343頁 / 発行 2009年

*カバー文
まだ東京が江戸という町の体温を残していた時代に、生を享けた文人たち ―― 江戸末期生まれの嵯峨の屋おむろ、幸田露伴、尾崎紅葉、夏目漱石から小泉信三、花柳章太郎、白洲正子、田村隆一、色川武大まで。東京生まれの作家、詩人、随筆家、画家、役者100人のとっておきのエピソードを集成し、その文業に影響を与えた古き良き時代の面影や東京の文化を端正に描き出す。文庫書き下ろし。

*目次
小説家 (NOVELIST) T
画家 (PAINTER)
随筆家 (ESSAYIST) T
詩歌人 (POET)
小説家 (NOVELIST) U
劇作家・劇評家 (DRAMATIST&REVIEWER)
随筆家 (ESSAYIST) U
役者 (PLAYER)
小説家 (NOVELIST) V
 あとがき


大村 彦次郎 (おおむらひこじろう)
「文壇さきがけ物語 ある文藝編集者の一生」
(ぶんだいんさきがけものがたり)


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*366頁
*発行 2013年
*カバーデザイン・神田昇和 / カバー資料・新興藝術派叢書広告(昭和五年)

*カバー文
大正の終わりに新潮社へ入社し、長きにわたり文藝編集者生活をおくった楢崎勤の一生を追うことで、戦前から戦後にかけての昭和文壇草創期の舞台裏を描き尽くした名著。『文壇栄華物語』『文壇挽歌物語』以前の時代を描いた〈文壇三部作〉の最後を飾った。『ある文藝編集者の一生』を文庫化にあたり改題。 解説 川本三郎


岡崎 武志 (おかざきたけし)
「昭和三十年代の匂い」
(しょうわさんじゅうねんだいのにおい)


*カバーデザイン・倉地亜紀子
 カバー写真提供・共同通信社
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*357頁 / 発行 2013年

*カバー文
昭和三十年代は、子どもたちにとって毎日がワンダーランドだった?大イベントだったテレビ購入、誕生日は不二家のお子様ランチ、土管のある空地が遊び場、くみとり便所の強烈な匂い……万博、アトム、レモン石鹸、トロリーバス。少年時代を大阪で過ごした著者による懐かしいだけでは語りきれない昭和の本当の生活と思い出たち。文庫化に際し新章の書下ろしと岡田斗司夫氏との巻末対談を収録。

*目次
 序 昭和三十年代への思い
1 エイトマンとたこ焼き
 「8マン」とたこ焼き / なぜか名前は東八郎 / ちょっと危ないたばこ型強化剤 / 桑田次郎の有為転変 / エイトマンと新幹線 / 大阪人のソウルフード「たこ焼き」
2 おはよう!こどもショーおよび米産アニメの声優
 キューピーちゃんとピンちゃん / 茶の間のウエスタン・カーニバル / CMソングの女王・楠トシエ / レベルの高かった吹き替えの声優 / ブラウン管になだれこんだ芸人たち
3 あの頃はまだ戦後だった
 戦記マンガブーム / 戦記マンガの戦争は一種のゲーム / 戦争マンガ誌にあふれた戦争の情報 / 「鉄人28号」は、昭和三十年代を描いた物語 / 休み時間には「駆逐水雷」 / 「戦争ごっこ」でわかる人間の器量 / 駆逐水雷から学んだ器量 / もっと危険な戦争ごっこ / プラモデルでも戦争ものは人気 / 「おそ松くん」に軍服じいさん登場 / ユーミンが見た戦後的風景
4 初めてのシングル盤
 最初のオーディオ / 繰り返し聞いたフランク永井「大阪ぐらし」 / 雪村いづみと「約束」 / ジョリジョリと針音を序曲に / ソノシート全盛の時代 / いまでは高値のテレビアニメ・ソノシート / アニメと文具・菓子のタイアップ
5 科学の未来が明るかった時代
 明るいナショナル / マンガが描いた未来都市 / アニメと原作の違い / 鉄腕アトムは本当につくれるか / 未来に陰りが見え始める / ユーミンの「科学も夢見ていた時代」 / 鉄腕アトムは二〇一三年の話
6 わが家にテレビがやってきた
 テレビがうちにやってきた / テレビは神様だった / 電気屋のおやじは司祭 / 前田家と小林家にもテレビ / テレビはめちゃくちゃ高かった / 上を向いて歩こう / 恐怖! 大映『釈迦』の予告編
7 アメリカのホームドラマ
 電気に頼らないシンプル・ライフ / サザエさん家の電気冷蔵庫 / 氷冷蔵庫で知るビールの味 / 口に含んだ氷のかけらは甘い / 国松さまのお家は不法建築 / アメリカは何でも揃っている / 大アメリカを象徴するカタログ / 五畳半のすまい
8 少年期を包んだ歌たち
 アニメソングは高度成長期の応援歌 / 「ひょっこりひょうたん島」 / 豪華な作家陣 / 梓みちよが、ブラウン管で恋した最初の女性(お姉さん) / 学校では教わらない歌もあった
9 お誕生日は不二家のお子様ランチ
 不二家の冷房の匂い / ペコちゃん人形を探して / 不二家のデコレーションケーキに驚愕
10 マンガに見る日本の風景
 「鉄腕アトム」が描く未来都市 / 空き地に土管は子どもたちのパラダイス / シェルターとしての空き地 / 有刺鉄線で囲まれた空き地 / 物語は空き地から始まる / 「ど根性ガエル」は練馬区だった / 昭和五十年代でも存在した空き地と土管 / 石置き屋根 / 木の電柱
11 誘拐、孤児、家出の願望
 十円玉ハゲの吉展ちゃん事件 / 主人公性への「誘拐」 / 都会のなかの闇 / インド人もびっくり / 孤児願望 / 家出はしたけれど
12 昭和三十年代の匂い
 駄菓子には添加物ストレートフラッシュ / 他人の家の匂い / 湯たんぽの湯の匂い / アセチレンガスは夜店の匂い / 学校の手洗い場にはレモン石鹸 / 給食の匂い / 背広についた煙草の匂いは大人の匂い / 赤チン、正露丸、仁丹の匂い / 冬服にはいつもナフタリンの匂い / ナフタリンって何?
13 のら犬と子どもたち
 子ども天国『ちびっこギャング』 / レモネードという飲み物 / 犬は放し飼いの時代 / 飼い犬と日本人の関係 / きまって狂女がひとりいた / 狂った女と運動靴
14 大阪市電とトロリー
 今や夢の阪急ビル / 天神橋筋商店街ににぎわい / あれは万引きだった / 地下鉄と肩を並べる市電の営業キロ数 / 架線にスパーク、トロリーバス / トロリーと走るからトロリーバス
15 汲み取り便所が果たしたこと
 肥溜めに叩き込め! / 糞尿は貴重な肥料だった / 下水道の整備と水洗化 / 気取ったところでこんなもの / 大谷崎の便所論 / 腰掛け便器で衰えた脚力
16 おじさまの匂い
 「おじさま」の匂い / 「タバコ」の匂い / タバコは顔を接近させる / 「いこい」の匂いが懐かしい / ロンビーの缶はチョーク入れ / サロンパス臭が漂う通勤電車 / 仁丹くさい息は薄荷脳 / 映画・小説に登場するステキなおじさまたち / いまなら、とんねるずが「おじさま」 / おじさまがモテた時代 / 『挽歌』に登場する中年男 / 汗をかかない男たち
巻末対談 ぼくたち昭和三十年代の大阪っ子 ── 岡田斗司夫さんと
 文庫版あとがき


岡崎 武志 (おかざきたけし)
「古本病のかかり方」
(ふるほんびょうのかかりかた)


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*270頁
*発行 2007年

*カバー文
・大掃除や引越しの時に古新聞をつい読みふけってしまう。・新刊本の洪水に飽き、ベストセラーはできれば買いたくない……そんな自覚症状のあるアナタはすでに「古本病」に感染している。危ない。著者はいかにして古本病にかかったのか。「河童本と蛙本、その正体」「夢に見る古本屋のある町」「わたしの京都青春古本地図」「作家のアルバイト本」……読了するとあなたも立派な古本病患者になれる。 解説 荻原魚雷

*目次
第一章 古本という名の迷宮
第二章 古本めぐりで日が暮れて
第三章 古書を温ねて新しきを知る


岡本 かの子 (おかもとかのこ)
「岡本かの子全集(全12巻)」
(おかもとかのこぜんしゅう)
ちくま文庫


*カバー装画・三岸節子
 カバーデザイン・間村俊一
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*全12巻構成
第1巻

*477頁 / 発行 1994年
*収録内容 かやの生立 / ひばりの子 / 動かぬ女 / トシオの見たもの / 夫人と画家 / 帰去来 / 萩子とアンナ / 花子 / 黄昏前夜 / 好い手紙 / 或る日の幻想 / 阿難と呪術師の娘 / 鬼子母の愛 / 新神秘主義 / 寒山拾得 / ある日の蓮月尼 / 象牙の牀 / 智慧に埋れて / 巴里の唄うたい / 食魔〈グウルメ〉に贈る / オペラの辻 / 雪 / 街の尼僧の話 / さくらんぼ / フランス南海岸 / 売春婦リゼット / ミス・マシュウの新職業 / オペラの帰途 / 門番 / 巴里のキャフェ / 午後五時の恋人 / 愚人とその妻 / 餅 / 橋 / 汗 / マロニエの花
第2巻
*482頁 / 発行 1994年
*収録内容 ドーヴィル物語 / 秋の夜がたり / おせっかい夫人 / 母と娘 / 狂童女の恋 / 豆腐買い / ガルスワーシーの家 / 山のコドモ / 伯林の落葉 / 百喩経 / 取返し物語 / 褐色の求道 / 茶屋知らず物語 / 健康三題 / 鯉魚 / 気の毒な奥様 / 上田秋成の晩年 / 或る秋の紫式部 / 荘子 / 兄妹 / 街頭 / バットクラス / 小町の芍薬 / 愚かな男の話 / 敵 / 晩春 / 鶴は病みき / 渾沌未分 / 決闘場
第3巻
*474頁 / 発行 1993年
*収録内容 春 / 明暗 / 母子叙情 / 川 / 花は勁し / 高原の太陽 / 夏の夜の夢 / 過去世 / 唇草 / 肉体の神曲
第4巻
*450頁 / 発行 1993年
*収録内容 金魚撩乱 / 老主の一時期 / 落城後の女 / 勝ずば / 狐 / 蔦の門 / 扉の彼方へ / 酋長 / やがて五月に / 解説 デカダンスの生命力 種村季弘 / 解題 小宮忠彦
第5巻
*423頁 / 発行 1993年
*目次 巴里祭 / 東海道五十三次 / 呼ばれし乙女 / みちのく / 愛 / 老妓抄 / 蝙蝠 / 快走 / 家霊 / 鮨 / 娘 / とと屋禅譚 / 越年 / 丸の内草話 / 解説 歌声がひろがる 津村佑子 / 解題 小宮忠彦
第6巻
*486頁 / 発行 1993年
*収録内容 河明り / ある時代の青年作家 / 雛妓 / かの女の朝 / 真夏の幻覚 / 噴水物語 / 窓 / 宝永噴火 / 富士 / 旅宿より夫へ / 美少年 / 食魔
第7巻* 518頁 / 発行 1993年
*収録内容 生々流転
第8巻
*511頁 / 発行 1993年
*収録内容 女体開顕
第9巻
*612頁 / 発行 1994年
*収録内容 かろきねたみ / 愛のなやみ / 浴身 / わが最終歌集 / 歌日記
第10巻
*507頁 / 発行 1994年
*収録内容 散華抄 / 綜合仏教聖典講話 / 観音経 / 仏教読本 / とわのよろこび / 本当の仏教とは / 仏教の新研究 / 近代精神界の現象 / 五味粥 / 仏教のデッサン / 未完成の世界より / 日本文学に於ける仏教の影響 / 仏教と芸術〔ほか〕
第11巻
*497頁 / 発行 1994年
*収録内容 梅花を友におくる文 / 小猫 / 読書 / 詩 小まり / 昔の友へ / 病衣を脱ぎて / 詩 傷つける実 / 忘らるる身をば思はず / 善良さと小心さと / 親の前で祈祷 / 詩 運命 / 詩 山茶花 / 私の日記 / 春の羞恥 / 詩三章 / 女性には徹底した善人がない / 三月の日記より〔ほか〕
第12巻
*526頁 / 発行 1994年
*収録内容 歌と小説と宗教と / 自作案内 ― 肯定の母胎 / 書簡 / 年譜


奥成 達・ながたはるみ (おくなりたつ)
「駄菓子屋図鑑」
(だがしやずかん)


*カバー・章扉デザイン 井上則人
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*298頁 / 発行 2003年

*カバー文
かつて駄菓子屋は子どもたちの社交場だった。ガキ大将がいた。初恋の子がいた。寒天ゼリーをチュルッと吸い、水あめをこねまわし、ゴムとびの高さを競い、ベーゴマで火花を散らした。男も女も、大きな子も小さな子も一緒に白熱したSケン、道端で炸裂させたカンシャク玉の派手な音……。懐かしさに心癒される駄菓子とおもちゃと遊びの数々を再現する。

*目次
まえがき
駄菓子編T
 寒天ゼリー / 粉末ジュース / チューブチョコ / カウボーイガムとオレンジマーブルガム / 紅梅キャラメル / フルヤ・ウインターキャラメル / カバヤキャラメル / ドロップとハッカ / ニッキ / 動物ビスケット / エイセイボーロ / あんこ玉 / 麩菓子 / かりん糖 / 金花糖の大鯛 / 金平糖 / ザラ玉 / 変わり玉 / カルメ焼き / ラムネ菓子 / ラムネ / ミカン水
おもちゃ編T
 日光写真 / 模型飛行機 / カンシャク玉 / 鉄砲 / ブリキおもちゃ / 電信テープ、王冠、缶詰のラベル / 移し絵 / ウイテコイ / ピョンピョン蛙 / 紙せっけん / ゴムボール / 野球ゲーム / ヨーヨー / パチンコ / 幻燈機 / ハーモニカ / ビーズ / ままごと遊び / ぬりえ
駄菓子編U
 水あめ / ソースせんべい / 酢いか / ナメ抜き、型抜き / 梅ジャム / 酢こんぶ / アイスキャンデー / アイスクリーム / コッペパン / ポン菓子屋 / あめ細工屋 / ベビースターラーメン / コロッケ / どんどん焼き / さらしあめ
おもちゃ編U
 ヨビコと毛笛 / プロマイド / 貯金箱 / 磁石、虫眼鏡 / 万華鏡、変装用眼鏡 / ラッキー・パズルと知恵の輪 / バッジ、メダル、ペナント / トンボとり / 凧あげ / まわり将棋、軍人将棋 / うなぎ釣り、雷魚釣り / 匂いガラスと粘土型 / 三角乗り / 靴ベラ投げ / 竹トンボ / 少年雑誌の付録 / ガチャガチャ
〈懐かしの遊び〉図解
 ビー玉 / メンコ / 石けり / おはじき / リリアンとビニールひも編み / ベーゴマ / Sケン / あたとり / けん玉 / お手玉 / チェーンリンク / くぎさし / ゴムとび / コマまわし / 竹返し
あとがき / 解説 座右の書と銘 出久根達郎 / 索引


桶谷 秀昭 (おけたにひであき)
「北村透谷」
(きたむらとうこく)
ちくま学芸文庫



*カバーデザイン・中山銀士
 カバー写真・竹内理能
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*304頁 / 発行 1994年

*カバー文
江戸期のデカダンスを濃く曳きながら、文明開化による破壊と建設をおこなおうとしていた近代日本。詩人であり、思想家でもある北村透谷は、その知的混沌の不幸を背負いつつ新たな文学の可能性を追求した。近代精神の深い亀裂にみまわれたその作品『楚因之詩』『蓬莱曲』を中心に、評論・随筆、晩年の叙情詩まで、一人の天才の栄光と悲惨、壮大な思考実験の軌跡をたどる。

*目次
第一章 アンビションと初期漢詩
第二章 回心
第三章 『楚因之詩』
第四章 バイロンの翳
第五章 『蓬莱曲』(一)
第六章 『蓬莱曲』(二)
第七章 恋愛と風流 ── 批評文(一)
第八章 自然と社会 ── 批評文(二)
第九章 最後の抒情詩
 年譜 / 参考文献 / あとがき / 透谷死後百年 ── 文庫版あとがきにかえて


小沢 昭一 (おざわしょういち)
「珍奇絶倫 小沢大写真館」
(ちんきぜつりんおざわだいしゃしんかん)


*カバー写真・石黒健治
 カバーデザイン・倉地亜紀子
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*342頁 / 発行 2006年

*カバー文
俳優にして写真屋のセガレ、小沢昭一による、写真+取材集。いわゆる特殊浴場、ゲイボーイショー御一党、レズビアンスナック従業員、阿鼻叫喚のストリップ・ショー、路傍の珍看板、旧・赤線地帯…現場に足を運んでファインダーを向け、さまざまなソノ道の達人にインタビューし、取材する。昭和の「色」の世界を微に入り細をうがって撮りまくり、聞き込んだ貴重な記録。

*目次
写真屋の父と私
記念写真
東京ゲイボーイショーこもごも語る
一条さゆりさんの魂
トルコ嬢アンケート
人物アルバム
 桐かほる / 天狗対こけし / ローズ秋山夫妻 / カルーセル麻紀
レ痔ビアンショー
“残酷”入門 団鬼六氏に聞く
人肌に彫る 彫清(凡天太郎)さんに聞く
スポーツ・ヨシワラ
看板・はり紙
つわものどもが夢の跡 東京・旧赤線めぐり
 玉の井・千住(通称コツ)・洲崎・品川
 新小岩(通称丸健)・鳩の街・東京パレス
 亀戸・新宿二丁目・新宿花園街
 亀有・武蔵新田・立石・吉原
吉原・女郎屋の証言
パンツーマンの傾向と対策 山内俊一さんに聞く
写真のどこが面白い ── 細江英公さんと
風景
あとがき / 文庫版 あとがき / 解説 立木義浩


小沢 昭一 (おざわしょういち)
「雑談にっぽん色里誌 仕掛人編」
(ざつだんにっぽんいろざとし しかけにんへん)


*カバーデザイン・イラスト 矢吹申彦
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*329頁 / 発行 2004年

*カバー文
吉原大学優等生にして当代一の色里通・小沢昭一とプロのショーバイニンたちとの興味津々の四方山話。浅草十二階裏の私娼窟「銘酒屋」の賑わいから、戦時中に大陸で従軍慰安所を経営した女衒の苦労、七十歳にして現役の街娼の心意気、北の端から南の果てまで遊び巡った粋人の放埓人生など、色里に生きた“漂泊民”たちの性史をたどるインタビュー集。

*目次
 はじめに
浅草の「銘酒(めいし)屋」 ── 松蔭(まつかげ)夫妻
従軍慰安所 ── 須川昭さん
七十歳の現役春婦伝 ── 神田千代さん
にっぽん色里通 ── 石沢徳太郎さん
 解説 下川耿史


小沢 昭一 (おざわしょういち)
「雑談にっぽん色里誌 芸人編」 (ざつだんにっぽんいろざとし げいにんへん)


*カバーデザイン・イラスト 矢吹申彦
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*322頁 / 発行 2004年

*カバー文
大衆芸能研究者にして当代一の色里通・小沢昭一と遊びのチャンピオンでもあるはなし家師匠たちとのくんずほぐれつ雑談大会。三遊亭円遊、高砂家ちび助、古今亭志ん好、桂枝太郎といった、いずれ劣らぬツワモノのイキな遊び、シャレた遊び、バカな遊びの極意から芸談、自伝まで。色里を楽しみ尽くした“漂泊民”たちのココロを活写するインタビュー集。

*目次
 はじめに
三遊亭円遊師匠
高砂家ちび助師匠
古今亭志ん好師匠
桂枝太郎師匠
 解説 井上章一


小沢 昭一 (おざわしょういち)
「ぼくの浅草案内」
(ぼくのあさくさあんない)


*カバー写真・小沢昭一
 カバーデザイン・間村俊一
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*207頁 / 発行 2001年

*カバー文
当代きっての浅草通・小沢昭一による、浅草とその周辺の街案内。東京の川が埋め尽くされる中、ここには川がある。露地や横丁には人のぬくもりがあり、歴史と人情とうまいもの、そして芸能と“いろ”のにおいが色濃く漂う。「浅草の街へまぎれこむと、私の心はじんわりと休まる」そんな街を限りない郷愁をこめて描く。情緒纏綿、精力絶倫、伝説の名著が今、よみがえる!

*目次
浅草と私との間には……
浅草散歩の御参考までに歩いてみました六コース
A 浅草寺周辺
B 千束から三ノ輪まで
C 花川戸から白鬚橋まで
D 駒形から浅草橋まで
E 田原町から上野へ
F 隅田川を渡って向島
お別れに
「墨東綺譚」と私(付録
おまけ・壱)
浅草ストリップと私(付録
おまけ・弐)
解説 坪内祐三
 写真 ― 著者 地図・イラスト ― 浅井努



小沢 昭一・永 六輔 (おざわしょういち・えいろくすけ)
「平身傾聴 裏街道戦後史 色の道商売往来」
 (へいしんけいちょう うらかいどうせんごし いろのみちしょうばいおうらい)


*カバーデザイン・倉地亜紀子
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*365頁 / 発行 2007年

*カバー文
米兵の防波堤となった女たち。夜の蝶。ポン引き。アジアの色町を股にかけた末にガード下に立った女。ブルーフィルム屋一代、SM稼業ご一同、スワッピング稼業の方々、特殊浴場の方々……昭和の色の道ご商売人たちの話を、稀代の聞き手・小沢昭一が、平身低頭しつつ微に入り細をうがって聞き出し、同行した永六輔がまとめた。上巻は「色の道商売往来」。その道のプロの話の、深さよ。

*目次
まえがきのまえがき 小沢昭一
まえがき 往復“陰学”書簡
T 陰学探険
 陰学エッセイ 永六輔
 1 ブルーフィルムに賭ける浪花男のド根性
 2 マル秘映画主演者が公開するピストン演技の奥儀
 3 複雑化するコンピュータ時代のSM
 4 夫婦交換こそは〈愛妻〉の極致
 5 女より女らしい温泉“男芸者”の夢
 6 あなたの電話を待つコールガールの胸のうち
 7 トルコ天国 ── 客に貧富身分の上下なし
 8 トルコ発祥20年 ── その変遷と今後のありかた
 9 客が求める“密室”サービスのテクニック
U にっぽん陰流戦後史
 陰学エッセイ 永六輔
 1 米兵の防波堤となった女たちの二十四時
 2 ベテラン健在!! 闇に咲く妖艶な花の前半生
 3 元ポン引きが体験した夜の戦後風俗史
 4 激動する時代の有楽町ガード下に生きた女ひとり
 5 元客引きの語る娼妓商売繁盛裏ばなし
 6 シャレた元お役人の戦後から現代までの性風俗診断
 7 ユーモアとアイデアで勝負した“乗せ屋”一代
あとがき 永六輔


小沢 健志 (おざわたけし)
「幕末・明治の写真」 (ばくまつめいじのしゃしん)
ちくま学芸文庫


*カバー写真・洗い髪おつま(小沢健志所蔵)
 カバーデザイン・渡辺千尋

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*358頁 / 発行 1997年

*カバー文
嘉永元年(1848)に長崎の上野俊之丞によって、西洋の新文化の香りも高くもたらされた写真(ダゲレオタイプ)は、写ることへの驚きと喜びをもって受け入れられた。外国人から取得した写真術を模索しつづけた湿板写真時代の上野彦馬・下岡蓮杖らの辛苦、激動の幕末・明治初期の日本を鮮やかに現在に残し、さらに商業写真・芸術写真として広く大衆に親しまれていった乾板写真にいたるまで、写真にまつわるさまざまなエピソードと写真師たちのドラマを織りまぜながら綴る。貴重写真200点あまりを収録。

*目次
 はじめに
第一章 銀板写真の時代
第二章 銀板写真 ―― 最初の成功
第三章 銀板写真 ―― 初めて写された日本人
第四章 湿板写真のはじめ
第五章 職業写真家の誕生
第六章 写真師開業 ―― 下岡蓮杖
第七章 幕末の写真師たち
第八章 湿板写真 補遺
第九章 明治の写真
第十章 明治の上野彦馬
第十一章 横浜写真から東京へ
第十二章 東京の写真師たち 1
第十三章 東京の写真師たち 2
第十四章 東北の記録写真家 菊地新学
第十五章 西郷写真の話
第十六章 乾板写真時代への歩み
第十七章 バルトンと鹿島清兵衛
別編・第十八章 北海道開拓写真
 後記 / 写真史年表 / 所蔵者一覧


小沢 健志編 (おざわたけし)
「写真日露戦争」
(しゃしんにちろせんそう)
ちくま学芸文庫


*カバーデザイン 高麗隆彦
装画 大山巌総司令官とその副官たち(撮影者不明)
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*232頁 / 発行 2010年

*カバー文
ひたすら富国強兵への道を歩んだ若き近代国家明治日本は、1904年、朝鮮半島に権益を求め、満州を南下してきた大国ロシアと戦端を開いた。日本は国家の命運を賭け、持てる力のすべてを注ぎ込んでこの戦いに臨んだ。本書は、この日露戦争を撮影した膨大な戦場写真のなかから、陸軍と海軍それぞれ新たな資料を発掘し、そのエッセンスを選りすぐった写真によって構成。ここには砲声が聞こえてくるような臨場感溢れるものから、明治人の気概が感じられるものまで、この時代の真実の姿がある。日露戦争とはいったい何であったのかを強烈に問いかけてくる迫真のドキュメント。

*目次
はじめに 小沢健志
解説 日露戦争とは何であったか 半藤一利
陸軍
日露戦争における陸軍陸地測量部の写真 三井圭司
第一軍
 開戦 ―― 日本軍上陸から鴨緑江の会戦へ
第二軍
 南山の戦い
 小倉倹司
 遼陽の会戦
第三軍
 旅順の戦い
第四軍
 沙河・黒溝台の会戦
 奉天の会戦
鴨緑江軍
二元帥六大将
陸軍の軍人たち
海軍の軍人たち

海軍
日露戦争における海軍の写真 井桜直美
 日本の戦艦
 海戦から旅順口(港)閉塞作戦へ
 黄海海戦
 蔚山沖海戦
 日本海海戦
日露戦争姫路捕虜収容所の記録
凱旋観兵式の明治天皇
日露戦争の写真技術

日露戦争年表 / 日露戦争関連地図 / 参考文献 / 所蔵先および出典一覧


小沼 丹 (おぬまたん)
「清水町先生 井伏鱒二氏のこと」
(しみずちょうせんせい)


*カバー装画・生井巌
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*198頁 / 発行 1992年

*カバー文
小沼丹が、師とあおぐ井伏鱒二について綴った随筆・解説等を精選して集成。将棋、釣、旅など、その文学、人となりを余すところなく描き出し、語りつくした滋味あふれる一巻。

*目次
T
将棋 / 随筆井伏鱒二 / ステツキ / 断片 / 師と私と / むべ / 釣竿 / 風韻 / 太宰治の記憶 / 御坂峠 / 『厄除け詩集』
U
解説〔『現代随想全集』〕 / 解説〔『ジョン万次郎漂流記』〕 / 解説〔『駅前旅館』〕 / 井伏鱒二の文学 / 解説〔『現代の随想』〕
V
井伏鱒二
 出所一覧 / 解説 師弟の関係 庄野潤三