絶版文庫書誌集成

新潮文庫 【し】

椎名 誠 (しいなまこと)
「本の雑誌血風録」
(ほんのざっしけっぷうろく)


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*567頁
*発行 2002年
*カバー装画・沢野ひとし

*カバー文
面白い本を読んだら、その感動を一人でも多くの人に伝えたい ── そんな目的のために出版社を立ち上げた若者たちがいた。モットーは「無理をしない、頭を下げない、威張らない」。1976年4月「本の雑誌」創刊。難題を一つ一つ解決してゆく怖いもの知らずのがむしゃらパワーは、読む人に元気を与えてくれます。ちょっとお疲れ?の方に特にお勧め。好きな事を邁進する者に不可能はないのだ!

*解説頁・吉田伸子


椎名 麟三 (しいなりんぞう)
「美しい女」
 (うつくしいおんな)


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*253頁
*発行 昭和46年
*カバー・辻光典

*カバー文
明日地球がほろぶということがはっきりしていても、今日電車に乗っていられれば満足であるというほど電車を動かすことが好きで、姫路地方の私鉄に三十年も勤めている〈私〉。こんな平凡実直な〈私〉にも、たえず心に描きつづけている美しい女のイメージがあった……。自分の宿命を受け入れた庶民の謙虚な生き方をとおして、生命の輝きを伝える椎名文学の代表的作品。

*解説頁・松本鶴雄


椎名 麟三 (しいなりんぞう)
「永遠なる序章」
 (えいえんなるじょしょう)


*昭和43年14刷表紙
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*昭和55年32刷版カバー/カバー装画・辻光典

*平成5年36刷「新潮文庫の復刊」版カバー

*218頁 / 発行 昭和32年

*カバー文
終戦直後、飢餓と汚濁と混乱に陥った敗戦都市東京に、暗い運命を背負ってうごめく人々 ― 余命いくばくもないと宣言されて、不意に生きていることの戦慄的な歓喜にとらわれる復員兵砂川安太、その上官でニヒリストの竹内銀次郎と可憐な妹登美子などの救いなき姿を、箴言〈しんげん〉的文体のうちに描く。実存主義文学として戦後はじめてベスト・セラーとなり、著者の名を一時に高めた名作。

*解説頁・本多秋五


椎名 麟三 (しいなりんぞう)
「重き流れの中に」
 (おもきながれのなかに)


*カバー・辻光典
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*平成6年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*212頁 / 発行 昭和25年

*カバー文
敗戦直後の混乱期に『深夜の酒宴』で登場した椎名麟三は、たちまち異常な注目を浴びた。つづいて発表された『重き流れの中に』はその文壇的地位を確定的とし、『深尾正治の手記』はこうした一時期の彼の文学の総決算をなすものだった。これらの作品は、貧困と無知にとりかこまれ生の不安と実存の重荷に呪縛されながらその重さに堪えている、戦後世代に必然的に生れた文学といえる。

*解説頁・中野好夫


椎名 麟三 (しいなりんぞう)
「自由の彼方で」
 (じゆうのかなたで)


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*325頁
*発行 昭和48年
*カバー・辻光典

*カバー文
キリスト教によって新たな境地を得た著者が、自由の“彼方”において無自覚に反抗的な生活を送ってきた過去の自分を、一個の「死体」と突き放して眺める立場から描いた自伝的作品。共産主義運動の高揚した昭和初年、コック見習いから私鉄の車掌、そこでの運動への接近と検挙、転向の過程を、自己憐憫をもこめた客観的筆致で描写してゆく。他にその後の主人公を扱った『運河』を併録。

*解説頁・白川正芳


椎根 和 (しいねやまと)
「平凡パンチの三島由紀夫」
(へいぼんぱんちのみしまゆきお)


*写真(三島由紀夫) 撮影・著者
 「平凡パンチ」一九六九年一月二十七日号
 表紙イラスト 大橋歩
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*342頁 / 発行 2009年

*カバー文
1968年、超人気週刊誌の編集者として、ぼくは、スーパースター三島由紀夫と出会った。番記者で唯一剣道の弟子となり、共にハンバーグを食べ、編集部で音楽を聴き、結婚式でスピーチをもらう ―― 割腹自決までの三年間、新宿騒乱に同行し、「楯の会」の秘事を間近で見つめるなど濃密な関係を築いた著者が、文豪の知られざる素顔に迫った。従来の三島像を覆す、傑作ノンフィクション。

*目次
第一章 “キムタク”なみのアイドルだった
第二章 ねじれにねじれ拡散した信条
第三章 スーパースター第一号誕生!
第四章 頭脳に“ものが入ってきた”
第五章 “ひどいから、いい”感覚
第六章 “イメージ”が、新しい哲学になった
第七章 “集合的無意識”世界への旅
第八章 ゲバラとアリと三島のダンス
第九章 気づかれなかった本当の遺書
第十章 白い錬金術師の家
 あとがき
 解説 川本三郎


ジェームズ・ヒルトン著 増野 正衛訳 (James Hilton・ますのまさえ)
「失われた地平線」
(うしなわれたちへいせん)


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*325頁
*発行 昭和34年

*カバー画像・平成6年発行「新潮文庫の復刊」版

*「新潮文庫の復刊」版カバー文
第一次大戦後の革命運動に揺れるインドの地から緊急避難しようとした英国領事ら四人。ところが、彼らを乗せた旅客機は、青い月が輝き、ラマ教寺院が聳える摩訶不思議なチベットの秘境=シャングリ・ラヘと拉致されてしまった。『チップス先生さようなら』の著者が描くユートピア綺譚。


ジェラアル・ド・ネルヴァル著・中村 真一郎訳 (なかむらしんいちろう)
「火の娘」
(ひのむすめ)


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*166頁
*発行 昭和26年
*カバー画像・平成5年発行「新潮文庫の復刊」版

*目録文
十九世紀フランスのロマン派の奇才は美しい追憶と限りない夢想を描き、プルーストやリルケに愛読された。歴史的追憶が織りなす自伝的な恋物語「シルヴイ」のほか四編を収録。


獅子 文六 (ししぶんろく)
「やつさもつさ」



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*354頁 / 発行 昭和30年

*帯文
混血児の保育園を経営する男まさりの志村亮子を中心に、米軍中尉や黒人兵らがやっさもっさと入り乱れる戦後の世相を辛辣に描く

*目録文
白・K・黄の多彩な登場人物 ―― 横濱を舞臺に敗殘日本の悲喜劇を描く辛辣諷刺の痛快作

*本文解説より
『やっさもっさ』は、昭和二十七年二月二十四日より八月十九日まで、すなわち一八八回にわたって毎日新聞に連載された小説である。作者にとっては、『てんやわんや』『自由学校』につぐ戦後三度目の新聞小説である。

*解説頁・十返肇


篠田 一士 (しのだはじめ)
「二十世紀の十大小説」
(にじゅっせいきのじゅうだいしょうせつ)


*デザイン・新潮社装幀室
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*562頁 / 発行 2000年

*カバー文
プルーストの『失われた時を求めて』、ジョイスの『ユリシーズ』、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』等々、その名は知っていても、なかなか読破するチャンスのない「小説」が十篇。しかし臆することはない。篠田一士は、一作一作、丁寧かつ渾身の力を込め、躍るような筆致で道案内してくれる。文学の、小説の魅了、読書の楽しみを余すところなく伝える一冊。

*目次
 多元化する世界文学のなかで
『失われた時を求めて』(プルースト)
『伝奇集』(ボルヘス)
『城』(カフカ)
『子夜』(茅盾)
『U・S・A』(ドス・パソス)
『アブサロム、アブサロム!』(フォークナー)
『百年の孤独』(ガルシア=マルケス)
『ユリシーズ』(ジョイス)
『特性のない男』(ムジール)
『夜明け前』(島崎藤村)
 後書き
 二十世紀の十大小説を読むために
 篠田一士著作目録
 解説 池内紀


島尾 敏雄 (しまおとしお)
「『死の棘』日記」
(しのとげにっき)


*デザイン・新潮社装幀室
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*562頁 / 発行 2008年

*カバー文
思いやり深い妻が夫の不実の証拠を眼にし、狂気に苛まれ豹変する ―― 。夫婦の絆の行き着く果てを描き、昭和52年の刊行以来読み継がれる小説『死の棘』。本書は、その背景をつぶさに記録した日記である。不安に憑かれ、夜を徹して責める妻、心身共にぎりぎりまで追いつめられ、心中の相談をもちかける夫……。小説よりも凄まじい夫婦の軌跡を記し、深い感動を呼ぶ日記文学の傑作。

*目次
「『死の棘』日記」刊行に寄せて 島尾ミホ
昭和二十九年九月
 島尾敏雄、ミホ、伸三、マヤの一家は、昭和二十七年三月、神戸より東京都江戸川区小岩町四の一八一九に転居。敏雄は、都立向丘高等学校定時制の非常勤講師として、世界史と一般社会を担当。(翌年三月、退職)当時、伸三は六歳。マヤ、四歳。
十月
 二十四日、ミホ、三十五歳の誕生日。
十一月
十二月
昭和三十年一月
 十日、一家で敏雄の故郷である福島県相馬郡小高町へ行く。(二十日、帰京) / 三十一日、ミホ、慶応病院神経科に入院。(三月三日、退院)
二月
三月
 七日、ミホ、慶応病院に再入院。(三十日、退院) / 九日、敏雄、伸三とマヤを連れて小高町へ。(十三日、帰京)
四月
 七日、一家で千葉県佐倉市並木町八五に移る。 / 十七日、“事件”起こる。 / 十八日、敏雄、三十八歳の誕生日。
五月
 三日、東京都豊島区池袋七の二○七一、林和子(ミホの従妹)方に移る。
六月
 六日、ミホ、千葉県市川市の国立国府台病院精神科に入院。敏雄も連れ添う。 / 十九日、伸三とマヤ、林和子と共にミホの故郷である奄美大島へ。 / 二十七日、ミホ、持続睡眠治療に入る。(七月十日、投薬中止)
七月
八月
九月
 六日、ミホ、冬眠治療に入る。(十月六日まで)
十月
十一月
十二月
 三日、名瀬、大火に見舞われる。 / 十八日、敏雄の新刊「われ深きふちより」が河出書房より届く。
 解説:加藤陽子


島木 建作 (しまきけんさく)
「赤蛙」
 (あかがえる)


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*203頁 / 発行 昭和24年
*カバー画像・平成6年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*カバー文
向こう岸に渡ろうと岩から何度となく激流に身を投じる赤蛙。その迸る生への崇高な讃歌を示す表題作。威厳さえ漂う泰然自若とした巨大な野良猫の捕獲劇の顛末を諦視した「黒猫」等、正義と生命の肯定に全身を傾けた島木文学の最晩年に到達したリリカルな境地。名品8篇を収める。

*目次
背に負うた子 / 蒲団 / 煙 / 野の少女 / 黒猫 / 赤蛙 / むかで / ジガ蜂 / 解説 中村光夫


島木 健作 (しまきけんさく)
「生活の探求」〈第一・二部〉
 (せいかつのたんきゅう)


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*発行 昭和25年

*第二部カバー文
農村人の自覚をもって歩む杉野駿介の良き理解者であった父。その突然の死後、彼は東京へ向かった。二週間の在京は自らを客観視する機縁となり、実行によって新しい道を切り拓こうという信念をいよいよ固くしていた。悪疫に打克ち、託児所を開設する……。時代の圧力の下にあって、"転向"を政治の問題から人間の問題へと掘り下げた島木健作の力作長編である。

*解説頁・中村光夫


ジャック・シャルドンヌ著・神西 清訳 (じんざいきよし)
「愛をめぐる随想」
(あいをめぐるずいそう)


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*143頁 / 発行 1953年
*カバー画像・平成6年発行「新潮文庫の復刊」版

*目録文
情熱的な恋愛よりも、夫婦間の愛憎の中にこそ、人間の心の真実があらわれる ―― 。誇張のないニュアンス豊かな文体で「夫婦小説」を書いた著者が、自著から集めた愛の章句。

*目次
序 モリス・ドラマン
愛 それは恋よりも遙かに豐か
小引
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
譯者あとがき


シャルル・プリニエ著 関 義訳 (せきただし)
「醜女の日記」
 (しゅうじょのにっき)


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*300頁
*発行 1958年
*カバー画像・平成6年刊「新潮文庫の復刊」版

*カバー文
「自分は醜い」という意識のなかに籠って、日々をすごす女サピーヌ。長年の友人だった美しい男に意外な愛を打ち明けられた彼女は、心の安定を求めて遂に自らの顔に整形のメスをいれるのだが……。愛され方を知らず、生きるには繊細すぎた魂の激しい苦悩を日記体で綴った悲劇。


「週刊新潮」編集部編 (しゅうかんしんちょうへんしゅうぶ)
「『週刊新潮』が報じたスキャンダル戦後史」
 (しゅうかんしんちょうがほうじたすきゃんだるせんごし)


*デザイン・新潮社装幀室
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*468頁 / 発行 平成20年

*カバー文
人は所詮、金と色と権力欲だ ── 。人間の奥底に隠れた本質が噴き出すとき、世間はそれをスキャンダルと呼ぶ。昭和三十一年の創刊以来、喝采を浴びた美談にも、時の英雄の姿にも惑わされず、常識の裏を追及しつづける「週刊新潮」。政財界事件から皇室報道、芸能ゴシップまで、半世紀に亘る膨大な記事の中から選りすぐった傑作を収録。戦後日本の「裏側」がここに集大成されている。

*目次
 はじめに
第一章 「美談」と「常識」の裏側
 「奇跡的に蘇生」と報道されていた心臓提供者(昭和四十三年八月二十四日号)
 小野田少尉帰還の感動と「天皇会見」(昭和四十九年三月二十一日号)
 「巨人長嶋クビ」の大脚本(昭和五十五年十月三十日号)
 「ピンク・レディー」の創立資金は東京相互銀行を“恐喝”した金(昭和五十三年十二月二十一・二十八日号)
渡辺淳一特別対談 / 「週刊誌の取材に応えたばかりに……」 / 聞き手 松田宏(「週刊新潮」前編集長)
時代を彩ったグラビア ― 列島を沸かせた英雄(ヒーロー)
第二章 虚飾の英雄
 『朝日』のエース本多勝一記者のやっていること(昭和四十六年九月二十五日号)
 社会主義者よ驕るなかれ、「田中」逮捕は「自由国日本」の勝利(昭和五十一年八月五日号)
 「児玉誉士夫」が遺した「女」たちの「暗い勲章」(昭和五十九年二月二日号)
 宗男疑惑追及の急先鋒 辻元晴美代議士の呆れた巨額「秘書給与詐取」疑惑(平成十四年三月二十八日号)
時代を彩ったグラビア ― 歴代総理の貌
第三章 わるいやつら
 日本にはじめて登場した本格殺し屋「関口」の生活(昭和四十八年十月十八日号)
 警察も手が出せないのか、妻子にかけた三億円保険を要求する九州一の「ワル」(昭和四十九年十二月五日号)
 大火災で噴き出たホテル・ニュージャパンの「暗部」(昭和五十七年二月十八日号)
 射殺された『東京女子医大』入院患者の「黒い金脈」(昭和五十九年二月十六日号)
時代を彩ったグラビア ― 変わりゆく東京
第四章 菊のカーテンの隙間から
 殿下、ズボンが太すぎます 皇太子に捧げる(昭和三十五年九月五日号)
 鷹司氏事故死の報道態度 NHKからニューヨーク・タイムズまで(昭和四十一年二月十二日号)
 三笠宮寛仁殿下がデートしている「変な赤坂芸者」(昭和四十九年九月二十六日号)
 美智子妃のご実家正田家の「栄光のなかの孤独」(昭和五十七年九月二日号)
時代を彩ったグラビア ― 天皇家の素顔
第五章 この国のおかしなかたち
 選挙替玉事件を報道する新聞の調子(昭和四十三年八月三日号)
 「中曽根派黒いウワサの記事」取材から掲載までの真相(昭和四十七年七月十五日号)
 「交通ゼネスト」に新聞が書かない、もう一つの「国民の声」(昭和四十九年四月十八日号)
 怪文書 怪情報乱れ飛ぶ永田町でズバ抜けた「一つの記録」(昭和五十一年八月十九日号)
 気をつけろ「佐川君」が歩いてる(昭和六十年十一月七日号)
時代を彩ったグラビア ― 逞しき昭和の女性
第六章 男と女の世の中
 子爵令嬢綾小路章子の男に彩られた華麗なる破局(昭和四十九年一月十・十七日号)
 手記 外務省機密文書漏洩事件 判決と離婚を期して 私の告白 蓮見喜久子(昭和四十九年二月七日号)
 近来の大型恋愛と囃される若尾文子さんと黒川紀章氏(昭和五十二年十月六日号)
 もう一人「宇野首相との十年」を語る「愛人」の人柄(平成元年六月二十九日号)
時代を彩ったグラビア ― 連載小説を支えた文士
第七章 われわれは見た
 金嬉老で恥をかいた人々 日本を征服した五日間(昭和四十三年三月九日号)
 「死」をもって完了させた三島美学(昭和四十五年十二月五日号)
 再開三菱銀行『北畠支店』で「言ってはならぬ」こと(昭和五十四年二月八日号)
 三越クーデター「論功行賞」の暗礁(昭和五十七年十月七日号)

 回想 「週刊新潮」とその時代 ―― あとがきにかえて
 「週刊新潮」厳選 各タイトルで見る五十年史


ジュール・ロマン著 青柳 瑞穂譯 (あおやぎみずほ)
「プシケ(全三部)」


*発行 昭和30年
*カバー画像はありません。

*目録文
第一部 リュシエンヌ / 第二部 肉體の神 / 第三部 船が……
戀愛そのもの、女性の愛の姿を追って全世界に話題を投げた戀愛小説!
若く美しく知的な女性リュシエンヌと夫ピエールの出會を第一部に、肉體を知ったリュシエンヌが性愛に灼きつくされる姿を第二部に。肉體の王國から魂の戀愛に移る様相を第三部に描く不朽の名作。


庄野 潤三 (しょうのじゅんぞう)
「貝がらと海の音」
(かいがらとうみのおと)


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*424頁
*発行 2001年
*カバー装画・河田ヒロ

*カバー文
郊外に居を構え、孫の成長を喜び、子供達一家と共に四季折々の暦を楽しむ。友人の娘が出演する芝居に出かけ、買い物帰りの隣人に声をかける ―― 。家族がはらむ脆さ、危うさを見据えることから文学の世界に入った著者は、一家の暖かな日々の移りゆく情景を描くことを生涯の仕事と思い定め、金婚式を迎える夫婦の暮らしを日録風に、平易に綴っていく。しみじみとした共感を呼ぶ長編。

*解説頁・江國香織


ジョルジュ・ベルナノス著 木村太郎訳 (きむらたろう)
「田舎司祭の日記」 
(いなかしさいのにっき)


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*336頁 / 旧仮名旧字体
*発行 昭和27年
*カバー・平成6年刊「新潮文庫の復刊」版

*カバー文(平成6年5刷「新潮文庫の復刊」より)
終始自己否定を繰り返してきた田舎司祭の聖なる苦悩――。カトリックの信仰生活を真摯に生きるひとりの聖者が、自虐の果てに、ようやく辿り着いた新たなる境地。それは、生易しい自己執着の領域から脱却し、忘我による恩寵の地平に自らを解放することだった。カトリック文学の金字塔。


新潮社編 (しんちょうしゃ)
「江戸東京物語 都心篇」
(えどとうきょうものがたりとしんへん)


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*347頁
*発行 平成13年
*カバー装画・小川幸治

*カバー文
八重洲口にあった“遠山の金さん”の北町奉行所。丸ビル入居第一号・高浜虚子の意外な先見。落成披露日に大震災、帝国ホテルの数奇な運命。六代円生も親しんだ神田須田町の賑わい。あんみつ誕生秘話―。江戸東京四百年の歩みを101のコラムとイラスト・写真でつづるシリーズ第一弾。〈日本橋〉〈銀座・築地〉〈丸の内・皇居〉〈神田・お茶の水〉を収録。
(散歩人のための地図・ガイド付き)

*解説頁・山本夏彦
*挿画・小川幸治


新潮文庫編集部編 (しんちょうぶんこへんしゅうぶ)
「帝都東京 殺しの万華鏡 昭和モダンノンフィクション 事件編」
(ていととうきょうころしのまんげきょう)


*デザイン・新潮社装幀室
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*333頁 / 発行 2003年

*カバー文
惨! 是レガ帝都東京ノ“殺シ”ノ現状ナリ ── 。戦前、新潮社が発行していた総合月刊誌「日の出」から、事件ノンフィクションを厳選。時空を超えてさすらう修羅たちが、今ここに甦る。刑事本人が綴る猟奇情痴の殺人現場、医学博士が明かす死体鑑定秘話、そして現役警察官・裁判官による鬼気迫る裏座談会……。そのおぞましき本性、脈々と息づく狂気、現代社会に通じる宿業の人間絵巻。

*目次
 刊行にあたって
第一部 男と女の「非情の現場」
 情痴の片腕事件 元警視庁刑事 谷山栄吉 / 昭和十一年九月号
 湯上りの死美人 元警視庁刑事 梅野幾松 / 昭和十一年八月号
 屋根裏の殺人鬼 元警視庁刑事 和田眞壽造 / 昭和十一年八月号
  都会の犯罪・裏の裏座談会 昭和十三年七月号
第二部 猟奇、狂気の「倒錯愛」
 女装の殺人魔 元警視庁刑事 中村春造 / 昭和十二年八月号
 母殺し涙の裁判 佐山栄太郎 / 昭和九年十月号
 津田沼の生首事件 元警視庁刑事 伊藤健吾 / 昭和十二年七月号
  法医学二態
   自殺か他殺か 医学博士 山田修 / 昭和九年十二月号
   解剖室奇談 東京女子医専教授 堀泰二 / 昭和九年八月号
第三部 驚愕と怪異の「人間模様」
 旋風殺人事件 岩崎栄 / 昭和十年三月号
 樽漬の生美人 元警視庁刑事 高山竹太郎 / 昭和十一年六月号
  裁判官の思い出座談会 昭和九年五月号
 解説 佐野眞一