絶版文庫書誌集成

新潮文庫 【き】

菊地 ひと美 (きくちひとみ)
「イラストで見る花の大江戸風俗案内」
(いらすとでみるはなのおおえどふうぞくあんない)


*カバー装画・菊地ひと美
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*200頁 / 発行 2013年

*カバー文
時代劇や時代小説で疑問を感じたことはないですか。同心って何だろう。江戸時代ってみんな着物姿なんだろうか。吉原は誰でも入れる? そんなあなたにこの一冊。武士・町人の普段着の違い、オシャレな髪型一覧、湯屋(銭湯)の入り方、吉原での遊び方及び騙され方、そして奉行所の実態まで、詳細なイラストで解説。小説もテレビも歌舞伎もより楽しくなる!『花の大江戸風俗案内』改題。

*目次
 まえがき
其の一 花の吉原案内
 人目を忍びいざ吉原へ / 廓での遊び方 / 遊女の格と太夫 / 遊女いろいろ / 花魁道中 / 遊客いろいろ / 遊女の手練手管 / 遊廓の人々 / 芸者と私娼 / 妾いろいろ / 水茶屋の娘 / 茶屋と女将 / 素人と遊女と芸者の装い比較 / 実際の男達の遊び方考
其の二 武士と町人の暮らしと服装
 (1)武士
  武士の服飾 / 時代劇の主役とたどる武士の暮らしと装い / 中間・小者(武家奉公人) / 花の奉行所 / 大奥・武家の女
 (2)町人の日常着
  服装一般事情 / 商人 / 職人 / 火消 / 庶民の女 上品 / 庶民の女 中品 / 庶民の女
其の三 髪型
 娘と子持ちの見分け方 / 大奥・武家の髪型(江戸後期) / 町人女の髪型(江戸後期) / 男の髪型(江戸中〜後期)
其の四 芝居に多い商売づくし
 自身番と木戸番 / 髪結い / 駕籠 / 船・船頭 / 湯屋 / 蕎麦・寿し・天ぷら・屋台 / 居酒屋 / 小間物屋
新潮文庫版あとがき / 参考文献


岸田 国士 (きしだこくし)
「暖流」
 (だんりゅう)


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*405頁
*発行 昭和22年
*カバー・佐藤忠良

*カバー文
志摩病院の院長から志摩家と病院の財政救済を委託された日疋祐三〈ひびきゆうぞう〉は、昔うけた恩義からというよりも男の意気に感じてその難事業に献身的な努力をする。日疋のプロポーズを断った院長の娘啓子、一途に彼を愛しやがて婚約する看護婦ぎんを配して、この三人によって代表される理想と現実の相剋を描き、青年の新しい生き方を追求して風雪の海上に一脈の暖流を探ろうとした傑作。

*解説頁・宮崎嶺雄

*単行本

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三笠書房
*315頁
*発行 1976年
*カバー・三井永一


北 杜夫 (きたもりお)
「巴里茫々」
(ぱりぼうぼう)


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*149頁
*発行 2014年
*カバー装画・安野光雅

*カバー文
古い歴史と街並と親しい友人との憶い出が重なる、懐かしい都会、巴里 ―― 『どくとるマンボウ航海記』時代のパリを舞台に、若き日に思いをはせる表題作。山岳小説の傑作『白きたおやかな峰』で描いたカラコルム ―― その地を二十六年ぶりに再訪し、参加した登山隊で出会った心優しき案内人を探し当てる「カラコルムふたたび」。二つの旅の記憶が走馬灯のように甦る、詩情溢れる二編。


北 杜夫・辻 邦生 (きたもりお・つじくにお)
「若き日の友情 ― 辻邦生・北杜夫往復書簡」
(わかきひのゆうじょう)


*カバー・往復書簡より
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*418頁 / 発行 2012年

*カバー文
辻邦生22歳、北杜夫20歳。旧制高校で出会った二人の青年は、真情を吐露し、励ましあい、敬愛するトーマス・マンの死について、文学と人生について語り合った。大学の下宿先の仙台から、留学先のパリから、そして「どくとるマンボウ航海記」の船上から ―― 。単行本未収録の新発見20通を含む、昭和23年から昭和36年までの180通を超える、日本文学史上貴重な書簡を収録した決定版。

*目次
まえがき
 辻邦生さんについて 北 杜夫

T 1948年3月10日〜1957年9月27日
U 1958年11月14日〜1959年4月12日
V 1959年5月12日〜1961年5月15日

あとがき
 「われもまたアルカディアにありき」 辻 佐保子

180通を超える手紙が伝える熱い友情のドラマ 北 杜夫×辻 佐保子

索引


北中 正和 (きたなかまさかず)
「にほんのうた ― 戦後歌謡曲史」
 (せんごかようきょくし)


*カバー装画・野村俊夫
 カバー装幀・菊地信義
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*270頁 / 発行 平成七年

*カバー文
『歌謡曲』はどこからやって来たのだろうか? そしてどこへ行こうとしているのだろうか? だいたい『歌謡曲』とはいったい何なのだろうか? ……並木路子、美空ひばりの時代からラテンやGS、ニューミュージック、ラップやハウスなど様々なムーヴメントを吸収しながら成立してきた、日本固有のポピュラー・ミュージック『歌謡曲』。その流れを概説しながらその正体に鋭く迫る。

*目次
1 米軍キャンプとジャズ / 2 女性歌手の活躍 / 3 異国情緒の氾濫 / 4 伝統回帰とお座敷ソング / 5 ラジオ、映画、うたごえ運動と歌謡曲 / 6 最初で最後のジャズ・ブーム / 7 マンボ、タンゴなどラテン音楽の流行 / 8 ハワイアンとウエスタン / 9 シャンソン / 10 空前の浪曲ブーム / 11 ふるさと歌謡と都会調歌謡 / 12 ロカビリー / 13 洋楽カヴァー曲 / 14 リバイバルと浪曲調 / 15 カレッジ・フォーク、エレキ、加山雄三 / 16 和製ポップス / 17 グループ・サウンズ / 18 関西フォーク / 19 ニュー・ロック / 20 フォークの旅立ち / 21 ニューミュージックの誕生 / 22 スタジオ・ミュージシャン / 23 歌謡曲とニューミュージックの交流 / 24 外国人歌手と外国曲 / 25 ニュー・ウェイヴとアイドル / 26 バンド・ブームへの道 / 27 沖縄ポップ / 28 ミリオン・セラーと歌謡曲 / あとがき / 参考文献 / 人名索引


北原 白秋著 与田 凖一編 (きたはらはくしゅう・よだじゅんいち)
「からたちの花―北原白秋童謡集」 
(からたちのはな)


*平成5年10刷「新潮文庫の復刊」版カバー
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*193頁 / 発行 昭和32年

*カバー文(平成5年10刷「新潮文庫の復刊」版)
「私の童謡製作は寧ろ本質への還元であるかも知れぬ」その清新な感覚と唯美的な作風で日本近代詩歌界に聳立する白秋が、言葉の魔術師ぶりを遺憾なく発揮した童謡の精華。「赤い鳥小鳥」「蜻蛉の目玉」「揺籃のうた」「待ちぼうけ」「この道」等、親から子へと歌い継がれてきた名唱一九九編。

*目次
蜻蛉の眼玉
兎の電報
祭の笛
花咲爺さん
子供の村
二重虹
象の子
月と胡桃
驢馬の耳
赤いブイ
 解説 与田準一
 カット(童謡集『子供の村』より)


北原 白秋 (きたはらはくしゅう)
「雀の生活」 (すずめのせいかつ)


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*219頁・旧仮名旧字体
*発行 1951年
*カバー画像・平成6年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*カバー文
雀は貧者の宝です。寂しい人間の慰めです。 ― 白秋は世間を騒がせた姦通事件のあと江口章子と結婚し、葛飾真間で雀を相手に清貧閑寂の生活に入った。雀をうたった長編散文詩ともいえるこの思索と求道の随筆は、その後二人が小田原に転居するまで二年間にわたって書きつがれた。

*解説頁・薮田義雄

木村 久邇典 (きむらくにのり)
「素顔の山本周五郎」
 (すがおのやまもとしゅうごろう)


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*320頁
*発行 昭和59年
*カバーデザイン・上田晃郷 / カバー写真・小島啓佑

*カバー文
敗戦直後の混乱のなかで、著者は山本周五郎と出会う。その後20年間、編集者として友人として、つねに周五郎のもっとも身近にいた一人であった著者が、その死の直後に著わした鎮魂の書。綿密な考証をもとに様々なエピソードを通して、類い稀な周五郎の個性を浮き彫りにする。“曲軒”とあだ名されたほど頑固な生き方と切り離しては存在しえなかった周五郎文学を知る上で必読の書。

*解説頁・平田光弘