絶版文庫書誌集成

現代教養文庫 【こ】

呉 林俊 (ごりんしゅん)
「記録なき囚人 皇軍に志願した朝鮮人の戦い」
(きろくなきしゅうじん)


(画像はクリックで拡大します)

*268頁
*発行 1995年

*紹介文
4歳で渡日。19歳で皇軍兵士…。在日の画家・詩人の苦悩と半生記。

*目次
第1部 少年の幻影 / 第2部 “皇民”の幻影 / 第3部 崩壊の前夜


小池 正胤・宇田 敏彦・中山 右尚・棚橋 正博=編 (こいけまさたけ・うだとしひこ・なかやまゆうしょう・たなはしまさひろ)
「江戸の戯作絵本 (二) 全盛期黄表紙集」
 (えどのパロディーえほん)


(画像はクリックで拡大します)

*265頁 / 発行 1981年

*カバー文
 黄表紙は大人の漫画であり、荒唐無稽なナンセンス文学である。その真髄は、人生や社会の微妙な部分を誇張してみせる「穿ち」や、パロディーの面白さにあり、また、写実的な風俗描写を行なう繊細な絵にあった。
 田沼時代から寛政の改革へという政治の動きの中で、下級武士の町人であった黄表紙作者たちの目に写った江戸の社会はどうであったか。彼らは、政治や社会への認識を笑いのオブラードに包み、戯画化し、諷刺し、手軽な読物として読者に提供したのだった。

*目次
黄表紙とは
凡例
万載集著微来歴(まんざいしゅうちょぴらいれき)  恋川春町作画
天慶和句文(てんけいわくもん)  山東京伝/北尾政演画
頭てん天口有(あたまてんてんくちあり)  四方山人作/勝川春潮画
狂言好野暮大名(きょうげんすきやぼだいみょう)  岸田杜芳作/北尾政美画
大悲千禄本(だいひのせんろくほん)  芝全交作/北尾政美画
江戸生艶気樺焼(えどうまれうわさのかばやき)  山東京伝/北尾政演画
亀山人家妖(きさんじんいえのばけもの)  朋誠堂喜三二作/北尾政演画
面向不背御年玉(めんこうふはいのおとしだま)  森羅万象作/式上亭柳好画
 作者・画工略歴
 概説


交通協力会交通新聞編集局編 (こうつうきょうりょくかいこうつうしんぶんへんしゅうきょく)
「味覚旅行」
(みかくりょこう)


(画像はクリックで拡大します)

*289頁 / 発行 1960年 / 社会思想研究会出版部名義

*目次
編者のことば
北海道
 一 噴火湾に沿って / 二 にしん・えれじい / 三 石狩平野 / 四 支笏・洞爺 / 五 さいはての北の海
東北
 一 奥の細道のゆかしい味 / 二 米どころ・日本海岸
関東
 一 港と寺と観光と / 二 北関東ところどころ / 三 水郷と黒潮にはぐくまれて / 四 世界の縮図・東京
中部
 一 天城越え・伊豆周辺 / 二 表東海道 / 三 木曽路 / 四 荒海と城下町
関西
 一 琵琶湖のほとり / 二 伊勢路の旅 / 三 古都の味 / 四 食いだおれの大阪 / 五 万葉の味 / 六 紀伊・熊野路
中国
 一 緑のP戸内海 / 二 砂丘と大山 / 三 ヘルンの町・伝説の国
四国
 一 黒潮とお遍路の国
九州
 一 つくし野 / 二 切支丹の町 / 三 阿蘇の噴煙 / 四 泉都・別府の周辺 / 五 日向路と薩摩の味


小海 永二編著 (こかいえいじ)
「村野四郎 若い人のための現代詩」
 (むらのしろう)


(画像はクリックで拡大します)

*333頁
*発行1971年

*カバー文
 事物に対する冷厳な目と、鋭い洞察力をもって、現代詩に新しい道を切りひらいた村野四郎の詩一五三篇を収録、各篇に懇切な鑑賞を付した。ほかに村野の代表的詩論三篇、随筆六篇、詩人岡崎清一郎と高野喜久雄による村野評、編者解説、村野年譜、参考文献、村野アルバムよりなり、今日までの村野の全詩業を展望した。


小関 智弘 (こせきともひろ)
「春は鉄までが匂った」
(はるはてつまでにおった)


(画像はクリックで拡大します)

*260頁
*発行 1993年

*目録文
NC(数値制御)旋盤工として働き作家活動を続けてきた著者の“28年の町工場暮らし”。日本の技術力を底辺で支える人びとと現場を描くルポルタージュ。


小辻 梅子訳編 (こつじうめこ)
「ケルト魔法民話集」 
(けるとまほうみんわしゅう)


(画像はクリックで拡大します)

*317頁 / 発行 1995年
*カバーイラスト=ジョン・D・バトン(Joseph Jacobus:Celtic Fairy Toiesより)

*カバー文
 古い神話の時代、人類の歴史がまだ浅かったころ―ケルトの神々や英雄、妖精や魔ものは、みな人間と同じ宇宙に住んでいた。
 英雄たちは、超自然的力をあやつる魔術師だ。スサノオノミコトのヤマタノオロチ退治の日本神話を思わせる竜退治の民話もあり、魔法と魔術の幻想空間が行間に展開する。
 『ケルト妖精民話集』『ケルト幻想民話集』につづく「ケルト民話シリーズ」の三冊目。

*目次
トゥレンの子たちの運命
ナナカマドの妖精宮
ギーラ・ダッカーと彼の馬の追跡
ケルト海竜物語
 訳者あとがき


小寺 正三 (こてらしょうぞう)
「起業家 五代友厚 大阪経済の磁石を築く」 (きぎょうかごだいともあつ)


(画像はクリックで拡大します)

*349頁 / 発行 1988年

*カバー文
東の渋沢栄一、西の五代友厚と並び称せられ草創期の日本資本主義を生き抜いた冒険と野心に満ちた波瀾の生涯。明治財界を築いた男の物語。

秀吉以後の いや少なくとも明治の大阪の指導者として 開発者として 友厚の右に出る人は一人もない筈だ 比較し得る人もいない ―― 織田作之助

*目次
青年時代 / 倒幕時代 / 堺事件 / 大阪開港 / 弊制改革 / 下野 / 鉱山経営 / 活版所開設 / 友情 / 騒擾 / 大阪会議 / 惨死 / 贋札騒動 / 熱海会談 / 北海道視察 / 明治十四年の政変 / 中江兆民 / 少年幸徳秋水 / 晩年 / 遺言 / あとがき / 文庫本化にあたって


後藤 淑 (ごとう はじめ)
「日本芸能史入門」
 (にほんげいのうしにゅうもん)


(画像はクリックで拡大します)

*284頁
*発行 1964年 / 改訂 1978年
*カバー・宗達「舞楽」屏風より

*カバー文
 原始芸能、奈良・平安時代の舞楽、鎌倉・室町時代の能、江戸時代の人形浄瑠璃・歌舞伎、明治以降の現代劇と、それぞれ日本独特の社会・文化と深いつながりをもつ、すぐれた芸能の歩みを、豊富な写真を駆使しながら詳述した入門書。

*目次
はしがき
T 日本芸能史の窓を開く前に
 芸能という語 / 日本芸能の価値 / 日本の芸能を知るために / 科学的な考え方 / 資料
U 原始芸能の世界
 原始芸能という言葉 / 芸能の発生 / 土偶・土面から音楽歌舞する埴輪へ / 『日本書紀』・『古事記』に記されている芸能 / 中国文化の影響 / 部族的・郷土的芸能
V 貴族芸能の開花
 原始芸能の中央集中 / 外来楽の流入 / 音楽歌舞を統轄するための役所 / 舞楽の日本化
W 民衆芸能の登場
 『信西古楽図』と『教訓抄』 / 律令体制の動揺がもたらしたもの / 二つの世界 / 新しいエネルギー / 舞楽と田楽 / 永長大田楽の背景 / 京都稲荷祭の猿楽 / 庶民の歌
X 民衆芸能の発展
 武士の世 / 祭礼と芸能 / 雑芸と雑芸民 / 猿楽と能・狂言 / 勧進興行
Y 能楽の大成
 南北朝争乱 / 足利幕府と足利義満 / 観阿弥と世阿弥 / 能の特色 / 狂言の特色
Z 近世芸能の芽生え
 戦乱の世 / 能楽の行方 / 民衆の芸能
[ 人形浄瑠璃・歌舞伎の形成
 町と河原 / 初期の歌舞伎 / 初期の人形浄瑠璃 / 人形浄瑠璃・歌舞伎の発達 / 人形浄瑠璃の集大成 / 歌舞伎の集大成
\ 近代芸能の展望
 明治維新と演劇改良 / 新しい演劇 / 新しい演劇と歌舞伎の力 / 第二次世界大戦下の芸能界 / 戦後の芸能界

日本芸能史略年表 / 参考書 / あとがき


今野 圓輔 (こんのえんすけ)
「怪談 民俗学の立場から」
(かいだん)


(画像拡大不可)

*214頁 / 発行 1957年 / 社会思想研究会出版部名義

*目次
T 幽霊・妖怪の登場
一、 怪談はなぜもてはやされるか
 夏の夜の寵児 / 四つの特性 / その栄枯盛衰
二、 怪談の主人公たち
 幽霊 / 妖怪変化 / 憑きもの
三、 幽霊・妖怪出現の背景
 雑音にひしめく都会 / ランプにかすむ田舎 / カワタレ時・逢魔が時 / ネオンに挑む幽霊
U 幽霊の歴史性
一、 夏芝居・盆興行と幽霊
 盛況の幽霊ばなし / お盆と幽霊の因縁 / ある学者の意見
二、 幽霊あ・ら・か・る・と
 足のある幽霊・ない幽霊 / 新旧文化の併存 / 都会の幽霊(1) / 都会の幽霊(2) / 田舎の幽霊(1) / 田舎の幽霊(2)
三、 幽霊の実態
 火の玉と魂のぬけた人間 / 人魂の色・形・種類 / 幽霊の現われかた
四、 二十世紀の謎 ── 心霊現象について
 心霊術の実験 / 現代の幽霊現象 / 近代科学との対決
V 妖怪変化百態
一、 「モウ」と出る妖怪変化
二、 山中に住む妖怪
 生きている仙人 / 「やまびと」 / 鬼と天狗
三、 家と路傍の妖怪
 路上の怪 / すさまじき雪女郎 / 狐と狸の腕自慢
四、 遊泳自在の妖怪
 水神変じて河童 / 河中の怪物 / 海の妖怪 / 濡れ女・磯姫・海女 / 竜宮と人魚
W 神がみの零落と霊魂信仰
一、 あの世とこの世と
 天国とは何か / 天国はいずこ / 天国への階段
二、 生霊と精霊
 生きている魂 / 死後の魂と盆行事 / 成仏しきれぬ魂
三、 祖霊と八百万の神がみ
 八百万の正体 / すべては守神へ / 強い信仰意識
四、 信仰の衰退と芸術の発生
 ご神体の具像化 / なぜ偶像化される? / 芸術の発生 / 信仰の衰退と怪談
X 怪談は生きている
一、 現代人と怪談
二、 現代文明と怪談のゆくえ
 信仰の娯楽化・慣習化 / 近代生活の不安 / 怪談流行の新しい素地
三、 エピローグ
 幼な子の疑問 / 常識のエヤ・ポケット / われわれの立場
付録 霊魂現象の調査について / 参考文献紹介 / あとがき


今野 円輔 (こんのえいすけ)
「現代の迷信」
(げんだいのめいしん)


(画像はクリックで拡大します)

*400頁 / 発行 1961年 / 社会思想研究会出版部名義

*目次
序 黒い習俗の日本
第一部 現状
 一 文明の谷間に生きる
  1 現代版・ノアの方舟 / 2 日本の紳士淑女たち / 3 若い情熱のゆくえ / 4 日本人に生まれたがゆえに / 5 「ゆりかごから墓場まで」 / 6 青年たちの実感
 二 幸福のなかの影
  1 しあわせを喜ぶ / 2 6の字離婚事件 / 3 三つの幸いの物語 / 4 縁起をかつぐ人びと
第二部 過誤と真実
 一 前兆(きざし)
  1 習俗のなかの兆占禁呪 / 2 花は占う / 3 第六感は本能か / 4 しろうと天気予報 / 5 朝坊主・夢じらせ
 二 卜占(うらない)
  1 占いの当たる率 / 2 マジック・キング / 3 鹿の骨と亀の甲 / 4 八卦は三〇〇〇年の昔から / 5 占いさまざま
 三 禁忌(タブー)
  1 暮らしの中の戒律 / 2 サラリーマンと塩 / 3 雪の底の産婦たち / 4 着れず・作れず・食べられず / 5 しゃべれない日本語
 四 呪術(まじない)
  1 ゆかいなマジナイ / 2 正月の予祝呪術 / 3 生命誕生への執念 / 4 マジナイ療法 / 5 魔よけ風土記 / 6 病気よけの神たち / 7 交通安全の神々 / 8 たたりと呪い
 五 祈願(きがん)
  1 祈願の迷信化 / 2 祈願と科学との間
第三部 その背景
 一 淫祠邪教の温床
  1 淫祠邪教と迷信 / 2 神はありがたし / 3 殺人を犯す神々 / 4 邪教とはいうけれど
 二 大安・ひのえうま・鬼門
  1 旧暦・新暦の混用 / 2 運勢暦のトリック / 3 ひのえうまの悲劇 / 4 気にする人しない人
第四部 迷信論
 一 常識の内幕
  1 本を読まないアメリカ人 / 2 常識の中の誤診 / 3 レプラは遺伝しない / 4 ホウレン草有害説 / 5 癇の虫の居所
 二 日本人と迷信
  1 これまでの迷信論 / 2 迷信調査の推移 / 3 迷信とはなにか / 4 新装される迷信 / 5 迷信のゆくすえ
付録 / 迷信身の上相談 / 参考文献 ― この本の終わりに


今野 圓輔 (こんのえんすけ)
「日本怪談集 幽霊篇」
(にほんかいだんしゅう ゆうれいへん)


(画像拡大不可)

*312頁
*発行 1969年

*目録文
古典文学、民俗資料、落語等、更に雑誌、新聞等に記載されたものから、どちらかといえばノンフィクションとして分類出来る話を蒐集した。


今野 武雄 (こんのたけお)
「伊能忠敬」 (いのうただたか)


(画像はクリックで拡大します)

*232頁 / 発行 2002年

*カバー文
伊能忠敬の精力的で有能な活躍ぶりは、五十歳で隠居してからの天文学の研究や測量、そして地図作成の事業においても発揮された。地球の大きさを確定し、日本の国土の地球上での位置と形状とを正確に認識するという、すばらしい科学的業績をなしとげた。  (「むすび」より)

*目次
一 生い立ち
二 伊能家
三 伊能家における忠敬
四 暦学と天文学のこと
五 江戸修学時代
六 蝦夷地測量の交渉
七 蝦夷地の測量
八 第二次の本州東海岸の測量
九 第三次の測量
十 西国の測量
十一 その後の測量と日本輿地全図
十二 シーボルト事件について
十三 忠敬図のその後
 むすび
 関連人物年表
 略年譜