絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【さ】

斎藤 栄 (さいとうさかえ)
「黒水晶物語 昭和囲碁風雲録」
 (くろすいしょうものがたり)


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*337頁
*発行 昭和59年
*カバー装画・南正雄

*カバー文
碁の天才児山岡慎太郎は、母千鶴の手ひとつで育てられた。母は慎太郎に亡夫の仇敵である棋士の名を教え、その敵に勝つことを命令する。亡夫は将来性抜群の碁打ちだったが、関東大震災の折に非業の死を遂げた。しかもその死には奇怪な謎が秘められていた――。
 天才勝負師の青春を、激動の昭和期にからませて描く、異色サスペンス長篇。

*解説頁・酒巻忠雄(『囲碁クラブ』編集長)


斎藤 真一 (さいとうしんいち)
「瞽女物語 斎藤真一の世界」 
(ごぜものがたり)


*カバーデザイン・竹内宏一
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*94頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
三味線を手に越後路を流浪する盲目の旅芸人―瞽女(ごぜ)―その秘められた美学とは? 休むことを知らず曠野を流れる三味の音に似て、人間の原点の孤独を背負いながら、地獄と浄土の世界を内にさまよい、苦悩、陶酔する女たち。その鮮烈なる赤と、暗く重たい青の絵具に重ねて、鬼才斎藤真一が描く、瞽女―愛と死の物語。

*目次
瞽女物語
瞽女とわたし
瞽女との出会い
瞽女の旅
瞽女屋敷と親方
年越し、離れ瞽女
修業のことなど
日常生活とたしなみ
瞽女の一年
雪国の村人と瞽女
 収録作品一覧


西東 登 (さいとうのぼる)
「蟻の木の下で」 (ありのきのしたで)


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*300頁
*発行 昭和51年
*カバー装画・上原徹

*カバー文
井之頭公園内にある羆の檻の前で羆の爪痕を遺す男の死体が発見された。死体の傍には新興宗教正聖会のバッジが落ちていた。死者の戦友だった町工場の社長池見は週刊誌記者鹿子の協力を得て、事件の核心に迫る。が、事件は第二、第三の殺人事件へと発展、謎は深まる。本格謎解きに戦争犯罪を絡ませた異色作。

*解説頁・中島河太郎


佐伯 一麦 (さえきかずみ)
「日和山 佐伯一麦自選短篇集」
(ひよりやま)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*272頁 / 発行 2014年

*カバー文
新聞配達の早朝の町で、暗天に閉ざされた北欧の地で、染織家の妻と新たな暮らしを始めた仙台の高台の家で、そして、津波に耐えて残った小高い山の上で ──
「私」の実感をないがしろにしない作家のまなざしは常に、「人間が生きて行くこと」を見つめ続けた。
高校時代の実質的な処女作から、東日本大震災後に書き下ろされた短篇まで、著者自ら選んだ九篇を収録。

*目次
朝の一日
栗の木
凍土
川火
なめし
青葉木菟
誰かがそれを

日和山
 著者から読者へ / 解説 阿部公彦 / 年譜 / 著書目録


早乙女 勝元 (さおとめかつもと)
「火の瞳」 (ひのひとみ)


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*297頁
*発行 昭和52年
*カバー装画・鈴木義治

*カバー文
昭和20年3月10日未明の東京大空襲は下町一帯をたちまち火の海と化した ― 国民学校6年生の杉夫は、母と仲よしの町子とともに、なんとかして生きのびようと襲いかかる猛火とたたかい、逃げ道を探した。死を切りはなすことのできない「ほんとうの戦争」のおそろしさを鮮烈に描き、平和の尊さを訴えた不朽の名作。

*解説頁・西村滋


坂上 弘 (さかがみひろし)
「枇杷の季節」 (びわのきせつ)


*カバー装画・藤松博
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*234頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
“異郷人”の自覚はすでに彼には親しいものだった。父の転勤のたびに繰り返した転校、いつも身近にあった戦争の翳、渾沌としたそれらの日々に訪れた人生への早い目覚めがうながしたものは……。原点としての幼少年時代とその心の領域の移りゆきを、よく醒めた文体で感銘ふかく描きつくす好短篇集。5篇を収録。

*目次
枇杷の季節
冬の日
幼年暦日
川のある町
白い道
 解説 岡松和夫
 年譜


坂上 弘 (さかがみひろし)
「優しい人々」
 (やさしいひとびと)


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*234頁
*発行 昭和54年
*カバー装画・藤松博

*カバー文
兄夫婦の交通事故という天災のような事態が一族の人間関係の中にひこ起した大きな波紋。父が母が妻が妹が、ベッドの上の兄と死んだ義姉をめぐって、時にはかくされていた心理をあらわにしながらぶつかり合う。不意に緊張状態に置かれてしまった家庭を見つめて、現代における真の愛の可能性を探る問題の長編小説。

*解説・上田三四二 / 年譜・田谷良一編


阪田 寛夫 (さかたひろお)
「わが町」 (わがまち)


*カバー装画・山城隆一
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*230頁 / 発行 昭和55年

*カバー文
いまは失われた大阪の街並みに道筋に、ユニークな人物がぞくぞく立ち現れる。人間くさく、おかしく、ぶきっちょで、ペーストにみち、そしてついにいとおしい人間たち。過ぎ去った幼かりし若かりし季節、そこで出会い別れた愛すべき人々へのいちずな思いをうたって、笑いと涙を呼ぶ人間讃歌。連作長篇の名品。

*目次
宝塚 / 上福島 / 帝塚山 / 阪南町 / 瓢箪山 / 河内 / 天王寺 / 上町 / アベノ / 釜ヶ崎 / 加古川 / 平城山 / 新川 / 臨南寺 / 奈良市学園町 / あとがき / いさかい ―― 「平城山」から「わが町」まで 鬼内仙次 / 年譜


相良 亨 (さがらとおる)
「本居宣長」
(もとおりのりなが)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*328頁 / 発行 2011年

*カバー文
漢意(からごころ)を否定し、われわれは現に日本人を支えてきた秩序によって生きるしかないという神道論を展開。文芸においては物のあわれを主張した宣長。その思想を追うことは、今日のわれわれ自身を知り、未来に生かすべきものと、同時に克服すべきものも見出すことだと著者はいう。日本思想史に決定的な影響を与えた宣長の本質を鮮やかに浮き彫りにした名著。

*目次
 まえがき
第一章 物のあわれ論
 一 二つの関心 ―― 歌と神道
 二 『あしわけをぶね』
 三 物のあわれをしる ―― 『石上私淑言』
 四 「物のあはれをしる」生き方 ―― 『紫文要領』
第二章 神道論の形成
 一 「あはれ」と新しい神観念
 二 神道論の変容 ―― 『石上私淑言』『古事記雑考』
第三章 道について
 一 道の二面性
 二 客観的秩序としての道
 三 不可知性と有効性
 四 「真心」と道の「みやび」
第四章 「せむかたなし」
 一 二重構造的姿勢
 二 禍津日神の重視
 三 顕事と幽事
 四 「其時の神道」 ―― 『鈴屋答問録』第十三
 五 悲しみと安心 ―― 『鈴屋答問録』『玉くしげ』
宣長年譜 / 参考文献 / 解説 菅野覚明


サキ著 田内 初義訳 (たうちはつよし)
「サキ短編集」 
(さきたんぺんしゅう)


*カバー装画・司修
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*170頁
*発行 昭和54年

*カバー文
サキ。子の日本人に似た奇妙な名前をもつ英国の作家が紡ぎだす妖かしの世界。人間の右往左往を冷やかに眺める醒めた眼。ユーモアの裏に潜む牙をむきだした悪意。意味ありげな冒頭、展開の面白さ、意外な結末。……どこを切ってもサキの静かな哄笑が聞えてくるブラックユーモアの傑作十九篇を新訳で贈る。

*目次
狼少年 / 秋の公園 / たそがれ / 休日の仕事 / 開かれた窓 / サーノグレイツ家の狼 / 物置小屋 / スレドニ・ヴァシュタール / 運命の猟犬 / リアリズム / ビザンチン風オムレツ / 牝鶏 / エスメ / 話し上手 / 七番目の鶏 / 二十日ねずみ / 罪ほろぼし / バスタブル夫人の遁走 / ハイヤシンス
 あとがき(訳者)


佐木 隆三 (さきりゅうぞう)
「慟哭 小説・林郁夫裁判」
(どうこく)


*カバー写真・Ryan McVay/Getty Images
 カバーデザイン・坂野公一(Welle design)
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*400頁 / 発行 2008年

*カバー文
「私がサリンをまきました」オウム真理教の大幹部「治療省大臣」にして地下鉄サリン事件の実行犯・林郁夫。その告白と慟哭の法廷から、未曾有の無差別殺人事件の全体像が浮かび上がった。文庫化にあたり、書下ろし「その後のオウム裁判」も収録した、オウムの真相を暴く渾身のノンフィクション・ノベル。

*目次
第一章 丸の内警察署取調室
第二章 東京地裁オウム法廷
第三章 麻原裁判の師弟対決
第四章 「自己愛的人格障害」
エピローグ ── 麻原というまやかし
あとがき
文庫版あとがき ── その後のオウム裁判


咲村 観 (さきむらかん)
「小説 小林一三」〈上下〉
 (しょうせつこばやしいちぞう)


*カバー装画・生頼範義
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*上巻317頁・下巻350頁 / 発行 1988年

*カバー文
上巻
十五歳を迎えた年、一三は自ら発心して上京、慶応義塾に入る。作家をこころざすがならず、卒業と同時に三井銀行に就職、だが、そこでの一三は落第サラリーマンでしかなかった。しかし、運命は自ら切り拓くもの、証券会社の支配人職へ勧誘されて彼は断乎決断する。華麗なる財界人への一三の第一歩であった。
下巻
想像だにしなかった株価の大暴落は、証券会社支配人の夢を一三から奪いさった。だが、それがかえって好運だったのかも知れない。新たに企画された私鉄建設の話が彼の全途に洋々と開ける。私鉄、デパート、歌劇、映画と庶民の欲望を先取りしたカルチャー商法で“大阪急”を築いた男の明治魂を描く話題作。

*解説頁・佐高信


桜井 徳太郎 (さくらいとくたろう)
「祭りと信仰 ― 民俗学への招待」
 (まつりとしんこう)
講談社学術文庫



*カバーデザイン・島田拓史
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*328頁 / 発行 1987年

*カバー文
本書は、東北の恐山や伊豆利島、吉野・熊野の祭りと信仰など、日本の農山漁村の民衆の間に培われた伝承文化を追究した民俗採訪記である。著者の学問的な関心が当初の地理学から歴史学、そして民俗学へと移行した、その転機をなしたのが柳田国男との出会いであった。以来民俗調査へと深く沈潜し、やがて桜井民俗学の結実を見るに至る。宗教と歴史と民族を包括した複眼思考のもとに民衆の基層文化の構築を目ざす桜井民俗学への招待。

*目次
「学術文庫」版まえがき
あゆみ ―― 歴史と民俗を探る旅人の記
第一部 日本の精神的風土
東北の民間信仰 / みちのくの民俗 / 死霊の誘い / 祭りと信仰 / 孤島の哀愁 ―― 八丈小島 / 黒潮洗う離島 ―― 伊豆御蔵島 / 伊豆利島の奥霊様 / 吉野・熊野の信仰 / 淡路島新風土記 / 鬼ヶ島の祭礼と若者たち ―― 讃州 女木島祭礼聞書 / 宇和の俗信

第二部 歴史探究と民俗学
歴史を探る民俗学 / 卑弥呼と民俗学 / 講の研究と民俗学 ―― 民族研究の動向 / 日本人の祖先観 / 死の儀礼 ―― 埋葬・墓制・供養など / 生と儀礼 ―― 王朝時代の通過儀礼 / 抜け参りと民間信仰 ―― 民間における伊勢信仰の原初形態 / 門前町の移り変わり ―― 宗教都市成立の歴史民俗学的考察 / 正月行事ノート / 近世東国の民衆生活 ―― 『おくのほそ道』と『東遊雑記』 / 明治百年と靖国神社 ―― 日本における御霊信仰の系譜

原本あとがき / 解説 山折哲雄 / 初出一覧 / 索引


桜井 徳太郎 (さくらいとくたろう)
「昔話の民俗学」
(むかしばなしのみんぞくがく)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*307頁 / 発行 1996年

*カバー文
庶民の素朴な心情が率直に語られている昔ばなし。本書は、昔ばなしが、民話や神話・伝説とはどう違うかという本質論から出発し、昔ばなしの民族・地域・時代・世界性を論究、さらに異郷譚、小子譚(ちいさこばなし)、遊魂譚などに分類して、その中に日本人の思想や生活文化の特質が如実に反映されていることを実証する。日本人の心のふるさとと言われてきた昔ばなしを、新たな視点から解釈した待望の昔ばなし民俗論。

*目次
「学術文庫」版まえがき
序 昔ばなしと現代
 1 昔ばなしの再評価 / 2 昔ばなしと郷土 / 3 昔ばなしと民俗学 / 4 昔ばなしの応用
一 昔ばなしの本質
 1 昔ばなしと民話の違い / 2 昔ばなしと神話・伝説の区別
二 昔ばなしと民族性 ── 天人女房譚(てんにんにょうぼうたん)の原態
 1 民族の心のふるさと / 2 昔ばなし「天人女房」にみる民族性 / 3 七夕の伝承と習俗にみる民族性
三 昔ばなしの地域性と時代性
 1 地域性について / 2 時代性について / 3 日本昔ばなしの特色
四 昔ばなしの世界性 ── 継母の継子いじめばなしの例
 1 日本の継子譚(ままこばなし) / 2 世界各地の継子譚 / 3 世界共通のモチーフ
五 異郷譚(いきょうたん) ── 日本人の他界観
 1 異郷人歓待(かんたい) / 2 異郷譚 / 3 竜宮譚 ── 海底との往来
六 小子譚(ちいさこばなし) ── 一寸法師・桃太郎・竹の子童子など
 1 一寸法師 / 2 小子譚 ── 一寸法師譚の原型 / 3 小子譚の特性
七 遊魂譚(ゆうこんたん) ── 霊魂のはたらき
 1 日本人の死霊(しれい)と生魂(せいこん) / 2 魂の入れかわり / 3 夢買長者のはなし / 4 背守(せまも)りと背紋
八 笑いばなし
 1 笑いばなしの本質 / 2 笑いばなしの諸類型
九 動物昔ばなし
 1 人間と動物の交渉 / 2 動物昔ばなしの類型
十 昔ばなしの研究 ── 昔ばなしを研究する人びとのために
 1 昔ばなし研究の手引 / 2 昔ばなしの分類 / 3 研究のための文献
解説 野村純一 / 付録 参考資料 / 例話索引


佐々木 克 (ささきすぐる)
「志士と官僚 ― 明治を『創業』した人びと」
(ししとかんりょう)
講談社学術文庫



*東京幸橋御門内の図
 (「マスプロ電工美術館」蔵)
 カバーデザイン・蟹江征治
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*324頁 / 発行 2000年

*カバー文
幕末の志士は明治政府「創業」にいかに係わったのか。官僚として新政府の基礎を築きあげた大久保利通。志士的資質から遂に脱しきれなかった西郷隆盛、木戸孝允。そして脱藩の郷士、草莽の志士たちのさまざまな生き方、反乱、暗殺事件……。
維新期の混乱の中で形成された「官僚」の本質を斬新な手法で解明し、歴史に新たな視点を加える好著。

*目次
序章 「創業」の政府
第一章 新首都で新政を
 1 世直しと錦絵
 2 遷都論の諸相
 3 遷都と奠都
第二章 維新官僚とその政治
 1 朝臣の出発
 2 官僚の構想
  (1) 地方都市 / (2) 天皇像の形成
第三章 明治の志士とその行動
 1 志士の類型
 2 志士たちの明治
  (1) 反逆の系譜 / (2) 挫折の系譜
第四章 政治と私の空間
 1 政治史の裏舞台
 2 女達の維新史
 3 公と私の風景
第五章 志士の発想と官僚の論理

 註 / あとがき / 学術文庫版へのあとがき


佐多 稲子 (さたいなこ)
「樹影」
(じゅえい)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*398頁 / 発行 1988年

*カバー文
被爆地長崎。敗戦後三年目の夏、華僑の女柳慶子と画家麻田晋は出遭った。原爆病に脅かされる二人はいたわり合い、自らの生を確かめるように愛し合い、十数年の苦痛の果てに死んで行った。著者の故郷長崎の、酷く理不尽な痛みを深い怒りと哀惜をこめて強靭に描く。原爆を告発した不朽の名作。野間文芸賞受賞。

*巻末頁
 著者から読者へ
 解説 小田切秀雄
 作家案内 林淑美
 著者目録


佐多稲子 (さたいねこ)
「私の東京地図」
 (わたしのとうきょうちず)


*装幀・亀倉雄策(第1刷)
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*カバー装画、挿画・風間完(第2刷)
*256頁 / 発行 昭和47年

*カバー文
第1刷
終戦直後の文芸解放を謳歌する風潮のさなか、戦災で壊滅した昔の東京の街々やそこで行きあった人々の中で、めまぐるしい生活の変遷を重ねてきた作者自身の成長の過程を描くことによって、自らの戦争中の行き方を自問し、自己の再発見をめざした自伝文学の傑作。
第2刷
戦災で壊滅した東京をまのあたりにした作者の心に、懐しい昔の東京の街々やそこで行き逢った人々、その中に交って、幾多の変遷を重ね、必死に生きてきた自身の姿が甦える。失われ、過ぎ去ったものを再構築し、自己の立脚点を確認することによって、戦争中の生き方を自問し、戦後の再出発を賭した自伝文学の傑作。

*目次
版画 / 橋にかかる夢 / 下町 / 池之端今昔 / 挽歌 / 坂 / 曲り角 / 表通り / 川 / 移りゆき / 表と裏 / 道 / 解説 対談・「私の東京地図」をめぐって 佐多稲子・佐々木基一 / 年譜


佐藤 愛子 (さとうあいこ)
「花はくれない 小説佐藤紅緑」
(はなはくれない しょうせつさとうこうろく)


*カバー装画・太賀正
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*319頁
*発行 1976年

*カバー文
佐藤紅緑 ── 俳人・劇作家・小説家・児童文学者。「ああ玉杯に花うけて」(少年倶楽部連載)などの大衆的な少年少女小説を執筆し、短篇童話中心だった日本の児童文学に長篇小説の礎石をすえる ── ひたむきな激情に生きた、明治の男、紅緑の波瀾の青春からその死までを娘の眼から赤裸々に描く感動の長篇。

*解説頁・今官一

「ああ玉杯に花うけて」(サイト内リンク)


サトウハチロー
「詩集 おかあさん 1」
 (ししゅうおかあさん)


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*188頁
*発行 昭和52年
*カバー装画 / さしえ 村上豊

*カバー文
少年時代、無類の腕白坊主だった詩人サトウハチローが、母を偲び、母と子の情愛の美しさ、深さをうたいあげた永遠の詩集(全三巻)。どの詩も読者の共感を呼び、深い感銘を与えます。この第一巻には「ちいさい母のうた」「おかあさんの匂い」「秋風に母の声がある」「この世でこよなく美しきもの」など125編収録。

*巻末頁
 解説・宮中雲子
 年譜


サトウハチロー
「詩集 おかあさん 2」
 (ししゅうおかあさん)


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*185頁
*発行 昭和52年
*カバー装画 / さしえ 村上豊

*カバー文
「詩集おかあさん」の第二巻。ママ、おかあさん、おふくろ ― 呼び方は違っても母を思う気持ちは同じです。その気持ちをサトウハチローが詩に結晶させたバラエティ溢れる不滅の名品。この巻には「母の日記が二十八冊」「クリスマスを待ちかねて」「かあさんのくせ」「雨はわが母のソバカス」など125編収録。


サトウハチロー
「詩集 おかあさん 3」
 (ししゅうおかあさん)


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*187頁
*発行 昭和52年
*カバー装画 / さしえ 村上豊

*カバー文
好評の「詩集おかあさん1・2」に続く第三巻。自ら「おふくろ屋」と称した詩人サトウハチローが、母をうたった香り高い詩の花束。この巻には「しょうじんあげ」「しんこをこねる」「ピアノの上に」「背中を丸めて」「わさびをぬいて下さいね」「美しきものはみな哀し」など127編収録。(全三巻完結)


佐藤 春夫 (さとうはるお)
「晶子曼陀羅」
(あきこまんだら)
講談社文芸文庫


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*324頁
*発行 1993年
*デザイン・菊地信義

*カバー文
与謝野寛・晶子夫妻の生涯の詩と真実を、明星派の歌人山川登美子の哀しい死にからめて描く読売文学賞受賞作。若き日、晶子らに師事して文学の道に歩んだ佐藤春夫が、晶子・寛・登美子三者三様の秘めた愛の絶唱の心の裡を無限の共感をこめて語りつくす名篇。『晶子曼陀羅』完結後、あらためて三者の愛を寛の長詩をもとに深く洞察して執筆した「ふたなさけ」を併録。


佐藤 春夫 (さとうはるお)
「殉情詩集|我が一九二二年」
(じゅんじょうししゅう・わがせんきゅうひゃくにじゅうにねん)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*318頁 / 発行 1997年

*カバー文
命がけの恋の世界を歌い、あまりにも有名な『殉情詩集』。人口に膾炙する「秋刀魚の歌」を所収の『我が一九二二年』。強い反俗的批評精神が横溢する「愚者の死」等の「初期詩集」。古今東西の詩人のエッセンスを熟知しつつ、あえて古典的韻律にこめた清新な情感と詩の未来を見すえる凄烈な意志。多くの抒情詩と一線を画する“佐藤春夫の詩”の出発点から大正十五年刊『佐藤春夫詩集』とその「補遺」までを全収録。

*目次
初期詩集
殉情詩集
我が一九二二年
佐藤春夫詩集
佐藤春夫詩集(補遺)
 解説 佐々木幹郎
 年譜 牛山百合子
 著書目録・参考文献 牛山百合子
 詳細目次


佐藤 雅美 (さとうまさよし)
「開国 ― 愚直の宰相・堀田正睦」
 (かいこく−ぐっちょくのさいそう・ほったまさよし)


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*814頁
*発行 1997年
*カバー装画、装丁・風間寛

*カバー文
鎖国体制の堅持か、開国か?幕末の日本を揺るがす大問題があった。運命のいたずらによって時の総理にあたる老中首座となった堀田正睦は、早く日本を国際社会に仲間入りさせようと、強烈な使命感に燃え、開国を主張した。孤軍奮闘を続けて条約調印にこぎつけた堀田に京都の天皇側から猛反撃が始まった。

*解説頁・清原康正


沢田 允茂 (さわだのぶしげ)
「言語と人間」 (げんごとにんげん)
講談社学術文庫


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*358頁
*発行 1989年
*カバーデザイン・菊池薫

*カバー文
親や先輩から習った言葉をただオウム返しに発語するだけで、私たちは真に「ロゴスをもった動物」といえるのか。自分で新しい言葉の組合せを考え、独自の新しい思想風景を創る、それでこそ価値ある文化の創造も可能となる。そう考える著者は、まず人間の言葉を起源に遡って考察し、「心」の形成と進化を跡づける。次に理性の構造を分析し行為に至る筋道と諸問題を考える。文明の更に前方へと歩む人間の生き方と倫理を問い直す根源的思索の書。


澤地 久枝 (さわちひさえ)
「石川節子 ― 愛の永遠を信じたく候」 (いしかわせつこ)


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*272頁 / 発行 昭和59年
*カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
節子は、夫である石川啄木の愛と才能に命を賭けて生きた果敢な女。天才詩人と謳われた啄木の多くの詩歌も、病気と貧困にめげぬ妻の献身なしにはありえない。だが、その晩年、節子は生活に疲れ、思想的に大きく成長していく啄木から決定的に取り残されていく……一つの愛に殉じた明治の女の哀切な生涯。

*目次
雪の跫音 / 処女詩集『あこがれ』 / つかの間の平安 / 北海漂泊 / “半独身者” / 女教師 節子 / 「喜之床」二階 / 跳梁をはじめるもの / 義絶 / 節子の節操 / あいつぐ死 / 遺された命 / 単行本あとがき / 文庫版あとがき / 石川節子・啄木略年譜