*カバー絵・天保七年の瓦版「件(くだん)と云獣(いうけもの)」の件(徳川林政史研究所蔵)
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*246頁 / 発行 2002年
*カバー文
「夜、口笛を吹くとヘビが来る」「朝のクモは吉、夜のクモは凶」「長居の客には箒を逆さに立てるとよい」 ―― 。私たちのまわりには迷信とか俗信と呼ばれる言い伝えが、まるで網の目のように張りめぐらされている。気にとめていないようでも、具体的な生活の場面では、意外に人びとの行動に影響を与えている。本書は、一見、取りとめもなく散在しているかにみえる俗信を素材に、なにげない日常のなかに染み込んでいるものの見方や心性に注目し、その論理的な思考と構造を解き明かす。
*目次
第一章 昔話の構造と形態
一 「たにし長者」の形態論
主人公の誕生 結婚相手の獲得 変身と結婚 異話の生成 たにし長者と一寸法師
二 「猫と南瓜」の構造
物語の構造と展開 モティーフ複合の契機 伝播者と話の分布 猫の属性と蛇・瓜・南瓜
三 「猿聾入」の地域的変化
東北型と西南型 新潟県守門村の場合
第二章 伝播の背景
一 伝説と年中行事 ―― 田村麻呂の悪竜退治をめぐって
六月一日と尻あぶり 田村麻呂の悪竜退治 物語と行事の意識構造
二 伝説と俗信
長者の没落と枡 伏せるということの意味 鍋被せ伝説と民族
三 地すべり伝説の背景
第三章 俗信の世界
一 禁忌と連想
禁忌の形態 忌まれる庭木
二 蜘蛛の俗信と説話
朝グモ夜グモの吉凶 夜のクモは殺せ 虫と霊魂 クモの怪異譚と笑話
三 境界の呪具 ―― 箒
妊婦と箒 死者と箒 正月と箒 俗信の多様性 長居の客を帰す呪い 逆さまの民俗
四 生活のなかの俗信 ―― 新潟県古志郡山古志村
新たな視線で読む俗信的世界 天候と自然暦 動物・植物 衣食住など
おわりに / 文庫版あとがき / 参考文献
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