絶版文庫書誌集成

文春文庫
【は】


橋本 克彦 (はしもとかつひこ)
「線路工手の唄が聞えた」 (せんろこうしゅのうたがきこえた)


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*357頁
*発行 1986年

*帯文
線路工手たちに唄い継がれた作業音頭。その90年の変遷を辿り、日本の近代の意味を問う

*目次
はじめに 線路と作業唄 / 1 北の線路 / 2 名人の眼 / 3 村の線路班 / 4 建主改従 / 5 消えた線路 / 6 金看板 / 7 音頭の流れ―伝説のジョーンズ工手長 / 8 音頭のリズム / 9 保線の魂 / 10 陽炎の彼方へ


親本

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JICC出版局
*単行本
*318頁
*発行 1983年

*帯文
 線路を守り続けた男たちは、多くを語らない人々であった。「音頭」は保線作業員たちのこのような沈黙のなか、心の奥で唄われることになった。そこはたぶん、この国が近代化を急ぎに急いだ結果、避けようもなく生起したさまざまな歴史の痕跡が人の心に転生して棲む世界である。
 傷つき叫び、呪 う声や、くつろぎ、はしゃぎ、笑う声がこだまするなかに「道床搗き固め音頭」も流れているに違いない。あの野太い、洒枯れた唄声は、仮に線路がこの社会からすべて取り去られても、歴史が続くかぎり不滅である。  (「あとがき」より)

畠山 重篤 (はたけやましげあつ)
「日本〈汽水〉紀行」
(にほんきすいきこう)


*カバー写真・ゲッティ イメージズ
 カバーデザイン・関口聖児
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*346頁 / 発行 2015年

*カバー文
宮城県気仙沼で牡蠣の養殖業を営みながら、「森は海の恋人」をスローガンに植樹運動を続ける著者が、全国の「汽水域」を訪ねた紀行文。汽水域とは淡水と海水の交じり合う、魚介の宝庫。豊かな恵みを支える人々と出会い、ダム建設などの問題 ―― 汽水域の現状を漁師の目で綴る。第52回日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。

*目次
第一章 汽水の匂う洲 / 牡蠣と人間 / 北上川が育む川の幸、海の幸 / 三陸リアス・広田湾秘史 / 縄文の記憶留める陸奥湾
第二章 ムツゴロウ涙する有明海 / 四万十川が鯨を呼んでいる / 汽水に包まれた世界遺産、屋久島 / 日本再生の鍵「グリーンベンチ」
第三章 脱ダム宣言とウナギの夢 / 「貝の女王」を育む安房と陸中の海 / 汽水文化の極み「江戸前」を護れ
第四章 私は蜆と棲みたい / 寒鰤跳ねる富山湾 / 北越雪譜に魅せられて鮭のくにへ
第五章 ヴァイオリンの国からの客人 / 揚子江の恵みをさぐる / 梓に誘われ千里行 / 「柞(ははそ)の森」へ還る
あとがき / 文庫版あとがき / 解説 太田愛人


畠山 重篤 (はたけやましげあつ)
「リアスの海辺から 森は海の恋人」
(りあすのうみべから)


*カバー写真・丸山洋平
 デザイン・斎藤深雪
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*300頁 / 発行 2002年

*カバー文
宮城県で牡蛎養殖業を営む著者は、「森は海の恋人」を呼びかけに、気仙沼湾に注ぐ大川上流の室根山で広葉樹の植林運動を進めている。あるとき「リアス」という言葉に導かれてスペインに旅立ち、同じリアス式海岸であるガリシア地方との不思議な縁を発見する。帆立貝道をゆくノンフィクション。

*目次
 はじめに
第一章 三陸の海辺にて
第二章 手鏡のような海
第三章 帆立貝を追って
第四章 貝道をゆく
第五章 すべての道はサンチャゴへ
 あとがき / 参考文献 / 文庫本あとがきに代えて / 解説 木村尚三郎


畑山 博 (はたやまひろし)
「『銀河鉄道の夜』探検ブック」
(ぎんがてつどうのよるたんけんぶっく)


*カバー・宮川一郎
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*297頁 / 発行 1996年

*カバー文
最愛の妹トシを失った悲嘆のどん底で書かれた名作、それは死のかなたへの旅 ―― 。幻想には幻想の力学がある。詩の心で向かい、科学で補えば、銀河鉄道は驚くべき実態を私たちに明らかにする。車輌、動力、時刻表といった細部を再現することから、賢治の宇宙を読み解く、謎解き『銀河鉄道の夜』。

*目次
T 銀河鉄道の創設 / U 銀河鉄道は何輌編成だったか / V ジョバンニは何号車何番にいたか / W 機関車の動力は何か / X 銀河ステーション駅前町の地図 / Y 発進のシンボル天気輪の柱とは何か / Z 切符はどうなっていたか / [ 列車を作っている材料は何か / \ レールは何で出来ているか / ] 列車はどうやって仕立てられたか / ]T 雲の鋳物の作り方 / ]U 隠れん坊していた機関車たち / ]V 銀河鉄道のトイレ / ]W 沿線の景色 / ]X 銀河鉄道連絡船の存在 / ]Y 銀河鉄道の沿革 / ]Z 考えられる究極の超宇宙 / ][ 機関士はどんな服装をしていたか / ]\ 列車は直線コースを走らない / ]] 銀河ステーション見取図 / ]]T 銀河鉄道のスピード / ]]U 車窓の景色がなぜ見えるのか / ]]V 宇宙卵について / ]]W 星空世界の総人口 / ]]X 星空星人の職業と生活 / ]]Y 銀河ステーションはどこにあるのか / ]]Z ジョバンニの吸った空気 / ]][ 水中列車としての銀河鉄道 / ]]\ 宇宙間逆風の秘密 / ]]] 烏爪のあかりの秘密 / ]]]T 銀河鉄道はその後どうなったのか / ]]]U ジョバンニはどうやって戻ったのか / ]]]V 夢との別れ / ]]]W 銀河鉄道は何時に出発したか / ]]]X 銀河鉄道時刻表 / ]]]Y 超時間の秘密 / ]]]Z 銀河ステーションのもう一つの秘密 / ]]][ 月光汽船についてふたたび / ]]]\ 水の神秘
 後記にかえて ―― 銀河鉄道始発駅の思想
 解説にかえて ―― アラスカで賢治文学を探検する カレン・コリガン=テイラー


早坂 隆 (はやさかたかし)
「昭和十七年の夏 幻の甲子園 戦時下の球児たち」
(まぼろしのこうしえん)


*デザイン・番洋樹
 カバー写真・松園多聞
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*383頁 / 発行 2012年

*カバー文
昭和十七年夏の甲子園大会は、朝日主催から文部省主催に変更。さらに、戦意高揚のため特異な戦時ルールが適用され、「選手」としてではなく「選士」として出場することを余儀なくされた。そして、大会後は「兵士」として戦場へ向かった多くの球児たちの引き裂かれた青春の虚実を描くノンフィクション大作。

*目次
序章 開幕迄
第一章 満州のハーモニカ  京王商業 VS. 徳島商業 (一回戦)
第二章 とある予科練生の憂鬱  水戸商業 VS. 滝川中学 (一回戦)
第三章 応召した監督  敦賀商業 VS. 福岡工業 (一回戦)
第四章 台湾から来たチーム  台北工業 VS. 海草中学 (一回戦)
第五章 少年航空兵に憧れた主将  北海中学 VS. 広島商業 (一回戦)
第六章 幻のホームラン  大分商業 VS. 仙台一中 (一回戦)
第七章 海軍航空隊の現実  一宮中学 VS. 松本商業 (一回戦)
第八章 戦時下の大記録  広岡中学 VS. 平安中学 (一回戦)
第九章 シベリア抑留  水戸商業 VS. 徳島商業 (二回戦)
第十章 撃沈  海草中学 VS. 福岡工業 (二回戦)
第十一章 真の最多得点記録  仙台一中 VS. 広島商業 (二回戦)
第十二章 焼け落ちた優勝旗  平安中学 VS. 一宮中学 (二回戦)
第十三章 一通の戦死公報  徳島商業 VS. 海草中学 (準決勝)
第十四章 キノコ雲の下  広島商業 VS. 平安中学 (準決勝)
第十五章 最後の熱戦  平安中学 VS. 徳島商業 (決勝戦)
第十六章 それぞれの青春と戦争  大会後
おわりに / 文庫版のためのあとがき / 解説 岡崎満義


林 えり子 (はやしえりこ)
「東京っ子ことば」
(とうきょうっこことば)


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*308頁 / 発行 2004年
*イラスト・井筒啓之 / デザイン・大久保明子

*カバー文
どの言葉を選び、どんな言い方をするか。かつて会話とは、知性と礼節と諧謔の織りなすゲームであった。それを知り尽くした東京人の話しことばが持つ、恥じらいとユーモア、感情をむきだしにしないスマートさ、歯切れの良さ。十四代つづく生粋の東京っ子が、その心意気と消えゆく言い回しを記した貴重な一冊。

*巻末頁
 東京っ子ことばの親玉は幸田文
 あとがき
 解説 福原義春


林 健太郎 (はやしけんたろう)
「昭和史と私」 (しょうわしとわたし)


*カバー・坂田政則
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*354頁 / 発行 2002年

*カバー文
金融恐慌と山東出兵で始まった昭和。マルクス主義が猖獗を極め、自らも心酔した時期。太平洋戦争と応召。戦後、東大紛争当時は全共闘によって173時間、キャンパス内に軟禁されたが、最後まで要求に屈せず、筋を通した。そしてベルリンの壁崩壊と天皇崩御。西洋史家の目を通して活き活きと描かれた同時代史。

*目次
第一章 昭和の幕開け
第二章 南京事件と山東出兵
第三章 満州某重大事件と天皇の悲劇
第四章 「旧制高校」というもの
第五章 マルクス主義に心酔した頃
第六章 西洋史との出会いと滝川事件
第七章 二・二六事件と昭和天皇の決断
第八章 スペイン内乱とシナ事変
第九章 東大経済学部の内紛
第十章 太平洋戦争と私の召集
第十一章 敗戦から戦後へ
第十二章 共産党シンパから社会党シンパへ
第十三章 戦後日本の大きな岐路
第十四章 冷戦のはじまり
第十五章 清水幾太郎と全面講和運動
第十六章 進歩的文化人との最初の論争
第十七章 六〇年安保騒動の前夜
第十八章 二年間の欧米留学
第十九章 ベルリンに壁がつくられた日
第二十章 安保騒動後の日本、そして世界
第二十一章 東大紛争百七十三時間の軟禁
第二十二章 昭和は終わりベルリンの壁は崩れた
 あとがき / 解説 本間長世


速水 健朗・円堂 都司昭・栗原 裕一郎・大山 くまお・成松 哲
(はやみずけんろう・えんどうとしあき・くりはらゆういちろう・おおやまくまお・なりまつてつ)
「バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで」
(ばんどりんじゅうずかん)


*カバー絵・(C)Bridgeman Images
/ amanaimages
 デザイン・石崎健太郎
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*453頁 / 発行 2016年

*カバー文
あなたが好きだったあのバンドはなぜ解散したのか? 金の分配、ドラッグ、メンバーの死、お馴染みの音楽性の不一致。ときにはマネージャーが暴走し、メンバーが殴り合い、美しい解散宣言もあれば、泥沼の裁判沙汰に至ることも。ビートルズからSMAPまで古今東西のバンドの死にざまを網羅する。音楽ファン悶絶必至の大著。

*目次
はじめに 速水健朗
第1章 1961‐1969
 ハナ肇とクレージーキャッツ / ザ・ビーチ・ボーイズ / ザ・ビートルズ / ザ・スプリームス / ビージーズ / ザ・ヤードバーズ / サイモン&ガーファンクル / ジャニーズ / ザ・フー / ザ・スパイダーズ / グレイトフル・デッド / ザ・ドアーズ / ザ・タイガース / ピンク・フロイド / ザ・ゴールデン・カップス / ザ・テンプターズ / ザ・フォーク・クルセイダース / ジェネシス / ディープ・パープル / T・レックス / ザ・バンド / バッドフィンガー / レッド・ツェッペリン / イエス / カーペンターズ / キング・クリムゾン / ジャクソン5→ジャクソンズ
第2章 1970‐1979
ブラック・サバス / RCサクセション / オフコース / ゴールデン・ハーフ / はっぴいえんど / J・ガイルズ・バンド / エマーソン、レイク&パーマー / クラフトワーク / PYG / 青い三角定規 / ベイ・シティ・ローラーズ / スコーピオンズ / 頭脳警察 / イーグルス / チューリップ / ロキシー・ミュージック / サディスティック・ミカ・バンド / スティックス / キャロル / エアロスミス / クイーン / フィンガー5 / キャンディーズ / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド / アバ / キッス / コモドアーズ / 甲斐バンド / ジャーニー / ジャバー・ベイブ / レインボー / ラモーンズ / ピンク・レディー / セックス・ピストルズ / ウルトラヴォックス / トーキング・ヘッズ / ザ・クラッシュ / ザ・ジャム→スタイル・カウシル / レイジー→ラウドネス / 世良公則&ツイスト / モーターヘッド / ジャパン / カーズ / トト / Yellow Magic Orchestra / ポリス / ザ・ナック / CHARGE and ASKA / デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ
第3章 1980‐1989
 シャネルズ→ラッツ&スター / アナーキー / HOUND DOG / インエクセス / ジューシー・フルーツ / 横浜銀蝿 / ルースターズ / ザップ / ハノイ・ロックス / INU / 安全地帯 / THE 虎舞流 / BOOWY / ソニック・ユース / カルチャー・クラブ / ワム! / カジャグーグー / チェッカーズ / 杉山清貴&オメガドライブ / ザ・スミス / C-C-B / アルカトラス / ザ・フレーミング・リップス / TM NETWORK / Rebecca / 一世風靡セピア / 爆風スランプ / BARBEE BOYS / ジーザス&メリー・チェイン / おニャン子クラブ / pizzicato five / SHOW‐YA / 聖飢魔U / ザ・ストーン・ローゼス / 米米CLUB / UP-BEAT / プリンセス・プリンセス / RED WARRIORS / BaBe / THE BLUE HEARTS / ガンズ・アンド・ローゼス / 光GENJI / ユニコーン / ZIGGY / Wink / JUN SKY WALKER(S) / JAGATARA / LINDBERG / THE BOOM / ニルヴァーナ / フリッパーズ・ギター
第4章 1990‐1999
 たま / ZOO / 東京パフォーマンスドール / BAKU→SPIRAL LIFE / ブラー / BLAKEY JET CITY / スマッシング・パンプキンズ / Qlair / テイク・ザット / SMAP / WANDS / マニック・ストリート・プリーチャーズ / JUDY AND MARY / ウルフルズ / THE YELLO MONKEY / LUNA SEA / レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン / access / 制服向上委員会 / 黒夢 / Hi-STANDARD / オアシス / サニーディ・サービス / My Little Lover / →THE HIGH-LOWS← / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT / SPEED / 猿岩石 / SHAZNA / SUPER CAR / デスティニーズ・チャイルド / ゆらゆら帝国 / 野猿 / PIERROT / Hysteric Blue / 19 / NUMBER GIRL
第5章 2000‐2016
 EE JUMP / t.A.T.u. / ZONE / ELLEGARDEN / LIV / 東方神起 / Berryz工房 / FUNKY MONKEY BABYS / KARA / 羞恥心 / andymori / girl next door / υ's / BiS / 黒木清
参考資料一覧 / バンド名索引


半藤 一利 (はんどうかずとし)
「永井荷風の昭和」
(ながいかふうのしょうわ)


*カバー・矢吹申彦
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*350頁 / 発行 2000年

*カバー文
戦争へと急傾斜してゆく昭和前期、20年間の日本戦後 ―― 荷風の視線はひくく市井を這い、時に上空を見上げ、驚くべき適確さで世界の不穏な風を読む。『断腸亭日乗』を主要テキストに、時代風景のなかに文豪の日常をくっきりと描写し、世俗の事件と歴史の命運とをあわせ読む「歴史探偵の手法」を確立した会心の著作。

*目次
序章 一筋縄ではいかぬ人
第一章 この憐れむべき狂愚の世 ―― 昭和三年〜七年
第二章 女は慎むべし慎むべし
第三章 「非常時」の声のみ高く ―― 昭和八年〜十年
第四章 ああ、なつかしの墨東の町
第五章 大日本帝国となった年 ―― 昭和十一年
第六章 浅草 ―― 群衆のなかの哀愁
第七章 軍歌と万歳と旗の波と ―― 昭和十二年〜十四年
第八章 文学的な話題のなかから
第九章 「八紘一宇」の名のもとに ―― 昭和十五年〜十六年
第十章 月すみだ川の秋暮れて
第十一章 “すべて狂気”の中の正気 ―― 昭和十六年〜二十年
終章 どこまでもつづく「正午浅草」
 あとがき / 主な参考文献 / 文庫版のためのあとがき
 解説 吉野俊彦


半藤 一利編 (はんどうかずとし)
「夏目漱石 青春の旅」
(なつめそうせきせいしゅんのたび)
文春文庫ビジュアル版



*カバーデザイン・納富進
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*255頁 / 発行 1994年

*目録文
文豪の青春とその作品舞台を、豊富な写真で、当代一流の執筆者七人が案内する画期的紀行

*目次
はじめに ―― 漱石と旅

青春の彷徨 塩原金之助と夏目漱石
 夏目姓を名乗る唯一の男孫が漱石の生い立ちと青春時代とテーマに、初めて筆を執る 夏目房之介 撮影・林朋彦

文学者漱石を受胎した明治二十八年“熱狂の五十四日” 『坊ちゃん』と子規との松山
 松山出身の作家が、漱石の作家的転回点となった日々を書き下ろす 早坂暁 撮影・丸山洋平

『草枕』の旅、『二百十日』の饒舌、九州の漱石
  熊本に生まれ育った直木賞作家が、熊本時代の漱石とその作品を解析する 光岡明 撮影・長野良市

霧の中のロンドン、スコットランドの安息
 “ロンドンの漱石”研究の第一人者が、漱石留学時代の英国とその足跡をガイドする 出口保夫 撮影・北川祐

『吾輩は猫である』の三題噺
 名著『漱石先生ぞな、もし』の作者が、処女作から選りすぐった「家・落語・漢籍」の三題を探偵する 文と絵・半藤一利

足尾から『坑夫』を幻視する
 作品舞台のモデル・足尾を“祖父の地”とする作家が、異色作の原風景に迫る 立松和平 撮影・名智健二

漱石の二十世紀 『三四郎』と明治四十一年の東京
 香り高き青春恋愛小説の地(グラウンド)にびっしりと描き込まれた近代日本の“不穏の種”を読み解く 関川夏央 撮影・成田秀彦

漱石を歩く人のために
 ■文学散歩地図
  早稲田(都新宿区) / 新宿二丁目(同左) / 神田駿河台界隈(都文京区) / 松山 / 小天温泉への道 / 阿蘇 / 熊本市内 / ロンドン / 足尾銅山 / 『三四郎』の本郷(都文京区)
 ■夏目家略譜
 ■『三四郎』の時代(明治四十年末現在)の市街電車路線図

夏目漱石略年譜